NHK「日曜討論」に出演

NHKの老舗番組に出た。

http://www.nhk.or.jp/touron/

テレビで討論番組を見ていると、よく「もうちょっとうまく言えばいいのに」と思うのだが、いざ自分でしゃべると、これがなかなか…と、毎度思う。

ここで言い尽くせなかったことのいくつかに触れて、もどかしさを解消しておきたい(笑)。

今日の「日曜討論」のテーマは「平成27年度予算」。

1)二本柱じゃなく三本柱で

「経済成長と財政再建の両立」はよい。

ただ、消費税増税先送りによる財源不足の中で財政再建を優先したため、無理は出ている。日本の最大の問題は、少子化・高齢化・人口減少という人口動態の問題。

これらは、都市・地方、男・女、正規・非正規の格差を是正していけば改善していくということが、各種データから明らかになっている。

したがって「成長」「効率化」「格差是正」が予算の3本柱になるべきだが、格差是正だけが抜け落ちている。

この難題(トリレンマ)に挑むことが課題先進国・日本の使命だし、国際的役割だと思うが、財務省の「平成27年度予算のポイント」を見ても、「格差是正」という言葉はどこにも載ってない。

その姿勢が見られなかったのは残念。

2)中間層の弱体化を懸念

低所得層の家計が厳しくなればなるほど、生活保護の利用者は余裕があるように見えるという逆転現象が依然として続いており、それが今回の削減に帰結した。

財政難の中、効率化をはかろうとするため、低所得者対策は住民税非課税レベル(約2400万人)に厳しく絞り込んだものが多い。

他方、3%の消費増税に加えて、年明けからトイレットペーパー、ティッシュ、食用油、冷凍食品、カップ麺、アイスクリームといった毎日の暮らしに密着したものが値上がりしている(約8~10%)。

懸念されるのは中間層。なかでも中間層と低所得者層の間くらいのところ(年収200万円~所得中央値437万円までに約3600万人)。

加えて、春闘をめぐる経営陣のコメントを見ていても、アベノミクスの恩恵がこの層にまで浸透してくる兆しは見えてない。

中間層の崩落が懸念される。

私たちの希望は全体が持ち上がっていくことだが、それとは逆に下げ合う力学が働くと、消費も抑制されて成長どころではなくなる。

実際大学でも、奨学金を利用できても将来返せるか不安があるので利用を見送り、生活をさらに切り詰めて乗り越えようとする学生が散見される。

3)生きていくって大変

難しいことはいろいろあるが、阪神大震災から20年の機に思うのは「生きていくって大変」ということ。

20年経ってようやく前を向けたという人もいれば、まだ難しいという人もいる。

日本の「希望出生率」は1.83。望む人が結婚できて、望む数の子どもが持てれば、人口減少に歯止めがかかる。

しかし「安心して結婚・妊娠・出産・子育てできる社会を達成していると考える人」は2013年度で19.4%。

ムダは削減すべきだし、効率化も重要なのだが、ギリギリやりすぎると「安心」からは遠ざかっていってしまう。

予算というのは数字の羅列で、情緒的に書けるものでも書くべきものでもないが、生きていくことの大変さに寄り添う姿勢が数字からにじみ出てくるような、そんな予算費目をもっと増やしていってほしい。

 

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