2013年、2014年と、ここ数年テレビアニメの本数が急増している。2015年もすでに数多くの作品が発表され、この傾向はまだまだ続くようだ。世の中はまさにテレビアニメ大盛況の時代を迎えている。
そうしたなか2016年に、とびっきりユニークなテレビアニメシリーズが放送されることになった。『6HP Six Hearts Princess』とタイトルした作品が、2016年に登場する。現代アーティスとして世界的に知られた村上隆とその作品をマネジメントするKaikai Kikiが、予てより進めているアニメプロジェクトだ。

村上隆は日本のポップカルチャーを引用した彫刻や絵画、インスタレーションでよく知られている。意表をついたテーマや取り組みで衆目を集めることが多い。近年は映像への関心を深めており、2013年には初監督の実写映画『めめめのくらげ』を公開、話題を呼んだ。
今回のテレビ放送決定の発表も異例のかたちだ。1月17日に発売された現代美術の老舗雑誌「美術手帖」2月号の裏表紙全面にて告知する。同誌の2月号は現代美術誌としては異例の「ロボットデザイン特集」で、多数のアニメ作品が掲載されている。これに合せたかたちだ。表紙はガンダムが飾っており、その裏表紙が『6HP』になった。

告知はJNTHED(ジェイエヌティーヘッド)によるビジュアルを背景に、“6HP Six Hearts Princess An Anime TV series to be aired in 2016 by Takashi Murakmami”と小さく書かれている。また製作に関わるとみられるKaikai Kiki(カイカイキキ)、STUDIO PONCOTAN(スタジオポンコタン)、GENSHIMON(現代視覚聴覚芸術制作部門)の名前が併記された。協力として『TAILENDERS』などで知られるmebaeとSTUDIO PONCOTAN、著作権表記の(C)Takashi Murakmami/Kaikai Kiki Co., Ltd.」All right reservedも記載されている。
表記は複雑だが、Kaikai Kiki、STUDIO PONCOTAN、GENSHIMONはいずれも村上隆の関連会社だ。村上隆が主導するテレビアニメシリーズと言っていいだろう。現代アーティストのテレビアニメという珍しさに加えて、村上隆はかねてより日本の商業アニメの製作システムに疑問を呈する発言を多くしているだけに、その製作・制作過程も今後気になるポイントだ。

そしてもちろん最も気になるのは、作品自体である。村上隆はこれまでも『Six Hearts Princess』とタイトルしたアニメやコンセプトを発表している。それらは日本の魔法少女アニメの伝統や文化を引用したもので、女児向け作品のようなルックが話題を呼んだ。
ところが今回の告知のビジュアルは、アンドロイドあるいは妖怪のような姿の侍である。SF、ファンタジーの挿絵や日本の伝統の武者絵にも似ている。その趣は大きく異なり、従来の『Six Hearts Princess』とのつながりが気になるところだ。

イラストを描くJNTHED(ジェイエヌティーヘッド)は東京在住のアーティスト、「メタルギアアシッド」「メタルギアソリッドポータブルオプス」のメカニックデザインなどで知られている。
JNTHEDは、村上隆の実写映画『めめめのくらげ』で美術設定協力をしており、その続編『めめめのくらげ2』では美術設定協力に加えて、メカニックデザインも担当することが決まっている。自身の公式サイトでは、すでに6HPプロジェクトの世界観設計とメカニックデザインを担当することを明らかにしている。作品で大きな役割を果たすことがわかる。

様々な謎を投げかける『6HP Six Hearts Princess』は2016年放送開始。そこで何が起きるのか、少し先になるが楽しみに待ちたい。

Kaikai Kiki
http://www.kaikaikiki.co.jp/
STUDIO PONCOTAN
http://poncotan.jp/

『6HP(シックスハートプリンセス)』
キャラクターデザイン・作画監督: mebae
CGアニメーション監督: 三浦武蔵(STUDIO PONCOTAN)
編集: 野々市谷有美
制作: STUDIO PONCOTAN
企画・原案・監督: 村上隆
《animeanime》