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平成26年12月24日安倍内閣総理大臣記者会見

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第3次安倍内閣 閣僚等名簿はこちら

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【安倍総理冒頭発言】
 本日、国会で首班指名を受け、引き続き内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。よろしくお願いいたします。
 先の総選挙において、私たち連立与党を御支持くださった国民の皆様に改めて厚く御礼を申し上げる次第であります。今後とも自由民主党と公明党の、強固な、安定した基盤の上に立って政策を前に進めてまいります。
 なすべきことは明確であります。安倍内閣の総力を挙げて、この総選挙で国民の皆様に公約した政策を一つ一つ確実に実現していくこと。それに尽きると考えています。
 デフレからの脱却を確かなものとするため、来年10月に予定されていた消費税の引上げを18か月延期いたします。そうした中でも、待機児童をなくし、子育て世帯を応援する新制度を来年4月から開始いたします。そして、医療や介護など、社会保障の充実を可能な限り予定どおり実施してまいります。関連法案と来年度予算の準備を急ぎ、次期通常国会で野党の皆さんにも御協力いただき、速やかな成立を目指してまいります。アベノミクスの成功、それを確かなものとしていくこと。これが最大の課題であります。
 選挙期間中、1万4,000キロ全国を駆け巡り、中小・小規模事業の皆さん、地方にお住まいの皆さんを始め、様々な声を直接耳にすることができました。そうした多様な声にもきめ細かく応えることにより、アベノミクスを更に進化させていきたいと考えています。
 今週、経済対策を取りまとめます。寒冷地における灯油の支援、燃料や資材の高騰に苦しむ中小・小規模事業の皆さんへの支援、子育ての支援など、地域それぞれの事情に応じた支援をしっかりと行います。同時に、省エネルギーや水素社会に向けたインフラの整備、災害に強い国づくりなど、次世代への投資もしっかりと行っていく考えであります。
 先週の政労使会議では、経済界が、今年に引き続き来年の賃上げにも最大限の努力を行うことを約束してくれました。賃上げの流れを再来年の春も、そのまた翌年の春も継続させ、雇用の更なる改善を図るため、三本の矢の経済政策を更に大胆に、更にスピード感を持って実施してまいります。民間の活力を阻む規制について、抜本的な改革を断行いたします。そして、必ずや、景気回復の実感を全国津々浦々へとお届けしてまいります。
 地方がそれぞれの個性をいかし、自らの情熱で新たな地平を切り開いていく、意欲あふれる地方の皆さんを応援するための総合戦略を今週、閣議決定いたします。新たな戦略の下、地方で育ち、学び、働ける環境を整え、小さくても便利なまちづくりを進め、そして、若い世代の結婚、出産、子育ての希望がかなえられる社会の構築に向けて一歩一歩進んでまいります。来年の通常国会では、必要となる予算と法律案を実現させ、地方創生への取組を本格化させてまいります。
 女性が輝く社会の実現もまた、引き続き安倍内閣にとって最大のチャレンジであります。残念ながら、先の臨時国会で廃案となった女性活躍推進法案について、次期通常国会において、早期の成立を目指してまいります。
 今回の総選挙では、外交・安全保障政策についても大きな争点となりました。地球儀を俯瞰する外交を進め、国益を確保する。そして、国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜く。その決意に揺らぎはありません。
 現在、7月に閣議決定した基本方針に基づき、来年の通常国会に向けて、切れ目のない安全保障法制の準備を進めています。その担当大臣には経験豊かな江渡さんにお願いをしてまいりました。しかし、今回の組閣に先立ち、江渡大臣から、法案審議に遅滞をもたらすことのないようにと強い辞意があり、誠に残念ではありますが、その意思を尊重することといたしました。
 新たに就任いただいた中谷大臣は、長年安全保障政策に携わってきた知識と経験に加え、自衛隊の現場にも精通しておられます。今回の閣議決定でも、与党協議の際に重要な役割を果たしていただきました。今後、中谷大臣の下で万全の法案準備を進め、国民の更なる御理解を得る努力を続けながら、来年の通常国会における成立を図ってまいります。
 政権発足以来、東日本大震災からの復興、教育の再生、そうした重要課題にも全力で取り組んでまいりました。一層加速してまいります。
 デフレ脱却、社会保障改革、外交・安全保障の立て直し。どれも困難な道のりであります。私は全身全霊を傾けて、戦後以来の大改革を進めています。すべからく新たな挑戦であります。当然、賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もあります。
 しかし、今回の総選挙で、引き続きこの道を真っすぐに進んでいけと国民の皆様から力強く背中を押していただきました。信任という大きな力を得て、内閣が一丸となって有言実行、政策実現に邁進していく。その決意であります。
 これまで以上に緊張感を持ち、そして、謙虚に、政権運営に当たってまいります。
 今年もいよいよ残すところ1週間となりました。安倍内閣へのこの1年間の心温まる御理解と御支援に、改めて感謝を申し上げます。そして、少し早いですけれども、来年、皆様にとりまして、すばらしい1年となりますことを祈念しております。
 私からは以上であります。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、皆様からの質問をお受けしたいと思います。
 質問を希望される方は挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。
 先ず、幹事社の方から質問をお受けします。どうぞ。

(記者)
 幹事社の西日本新聞です。
 本日、第3次安倍内閣が発足して、総理が先ほどおっしゃったように江渡防衛大臣を交代させて、中谷元防衛庁長官を充てるという人事を行われましたが、その他の閣僚は全員留任させました。この閣僚交代を最小限に絞った今回の人事の狙いについて、先ず一点お聞かせください。
 それから、今回の衆院選の勝利によって長期政権への足場を固めたという見方もかなりありますが、こうした中で、総理が政治家としての歴史的使命と位置付けられている憲法改正について、今後どう取り組まれるのでしょうか。特に、2016年の参院選と同時に国民投票を目指す動きもありますが、こうしたスケジュール感も含めてどうお考えか、お聞かせください。

(安倍総理)
 先ず、9月に内閣の改造を行ったばかりであり、まだ3か月しかたっていないわけでありまして、ですから、そもそも3か月ぐらいしかたっていないのに全面的な改造という考え方自体が私は間違っているのだろうと、このように思います。
 3か月しかたっていないわけでありますが、今のメンバー、臨時国会をともに乗り切ってまいりました。そうした経験をいかして、しっかりと、実行実現内閣として、来年の通常国会において予算、そして法案の審議成立に向けてともに努力をしていきたいし、それぞれの役職においてしっかりと実績を残していただきたい、そう期待をしております。腰を据えて内外の諸課題に、政策課題に全力で取り組んでいただきたいと思っています。
 そして、憲法改正でありますが、憲法改正については、そもそも自由民主党の結党以来の大きな目標と言ってもいいと思います。自民党を結党した際、しっかりとした経済的な基盤をつくって国民生活を豊かにするということと同時に憲法を改正していく、これが2つの大きな目標であったわけであります。その意味においては、今回の公約においても憲法改正に取り組んでいくことを明記しているところであります。
 私自身にとっては、幹事長の際に憲法改正草案をつくっていく、その作業をスタートしました。そして、第1次安倍政権において国民投票法を成立させ、第2次安倍政権がスタートし、改正し、投票の要件を18歳に引き下げました。いわば宿題であった投票の年齢について、決定することができました。
 これから憲法改正、これは歴史的なチャレンジと言ってもいいと思います。しかし、それはそう簡単なことではありません。先ず3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成していく必要があります。その努力を進めていくこと。同時に、大切なことは、発議された後、国民投票を行うわけであって、国民投票において過半数の支持を得なければいけません。ここが正に正念場であり、これこそが憲法改正の一番の大切なポイント、舞台と言ってもいいと思います。つまり、そこで国民的な支持を得なければいけません。どういう条文から国民投票を行うのかどうか、また、その必要性等について、国民的な理解を先ずは深める努力をしていきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、幹事社の方、もう1社伺います。
 どうぞ。

(記者)
 NHKの岩田です。
 安倍総理は、これまで地球儀俯瞰外交を展開し、会見でもこうした外交を進めることで国益を確保していく考えを示されましたけれども、今後も外交課題は山積していると思います。ある意味、来年は正念場とも言えると思うのですけれども、そこでお伺いいたします。
 先月、中国の習近平国家主席と首脳会談が実現しましたが、日本、中国、韓国の首脳会談の前提となる外相会談が年内にまだ実現をしていません。今後、中国、韓国との関係改善、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。
 そして、ウクライナ情勢を抱えるロシアについてですが、平和条約交渉をどのように進めていかれるお考えでしょうか。お願いいたします。

(安倍総理)
 中国の習近平主席とは、北京におけるAPECにおいて日中首脳会談を行うことができました。その際、戦略的互恵関係の考えに立って関係を改善していくことで一致いたしました。引き続き、戦略的互恵関係の考えの下に、大局的な観点から様々なレベルで対話を積み重ね、両国の関係を発展させていきたい、こう考えています。
 良好な日中関係は両国の国益にとって間違いなくプラスであるという認識を一致させることができたのではないかと思うわけでありますし、両国がお互いに努力をして友好な関係を作っていくこと、これは国際社会が望んでいることでもあると思います。
 韓国の朴槿恵大統領とも、APECの夕食会で率直に様々な話題についてお話をいたしました。朴大統領からは、その後、日中韓の外相会合を早期に開催し、首脳会合に繋げていきたいとの考えが表明されたわけでありますが、日本としても、私としても協力をしていきたいと考えているところでございます。
 そして、隣国ゆえに様々な課題があるわけでありますが、課題があるからこそ首脳会談を行い、率直に胸襟を開いてお互いに自分たちの考えを述べていくことが大切ではないのか。意見交換を行っていくことが極めて重要ではないか。課題があるからこそ、問題があるからこそ首脳会談を行うべきだ。問題があるから、課題があるから首脳会談を行わないというのは逆であって、課題があるからこそ首脳会談を行っていく、行っていくべきだ。日本は常に対話のドアはオープンにしています。
 ロシアのプーチン大統領とも、北京APECの際に会談を行いました。明年の適切な時期にプーチン大統領の訪日を実現すべく、具体的な準備を開始することとなりました。プーチン大統領との個人的な信頼関係を基礎に、協力の幅を広げながら、国益にかなうよう、日露関係を進めつつ、北方領土の問題の解決と平和条約締結に向けて粘り強く交渉を続けていく考えであります。
 また、ウクライナ問題についても、平和的解決に向けてロシアが建設的な役割を果たしていくよう働きかけを続けていく考えであります。そのためにも、対話はしっかり継続していく必要があると考えております。

(内閣広報官)
 これからは、幹事社以外の皆様から質問をいただきます。再度申し上げます。挙手をしていただきまして、私が指名いたします。
 それでは、山口さん。

(記者)
 AP通信の山口と申します。よろしくお願いします。
 今後の政策課題についてお尋ねしたいと思います。
 選挙では、総理は経済再生を最優先とされ、また、今回は防衛大臣に政策に精通していらっしゃる中谷さんを起用されるなど、安全保障の取組でも基盤が固まったように思われます。他には憲法改正、教育問題、歴史問題など様々な課題がある中、長期安定政権となることが予想される今回の第3次安倍内閣で、総理が力を入れたいと思われる経済以外の課題をお聞かせいただければと思います。例えば、戦後70年の節目もあるこの数年間は、やはり戦後レジームからの脱却というような取組を念頭に置かれているでしょうか。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 私は、経済最優先で取り組んでいく、選挙においてもこう申し上げてきました。そもそも政権を奪還した際、強い経済を取り戻す、このようにお約束をしたわけでございます。
 なぜ経済最優先か。それは正に日本が15年以上にわたってデフレ経済の下に低迷をしてきた。そして、その結果、国際社会においても日本の存在感は低下し、そして外交・安全保障の分野においても日本の姿はだんだん希薄になってきたのは事実であります。経済最優先というのは、先ずは国民の多くがこの経済の低迷から脱出をしてもらいたい。デフレから脱却して強い経済を取り戻してもらいたい。そして、景気回復の実感を1日も早く全国津々浦々に届けてもらいたい。この国民の声に応えていくためであり、強い経済を手に入れなければ、社会保障においてしっかりとした財政基盤をつくることはできません。
 そして、例えば、教育においても財源が必要であります。その財源を手に入れるためには強い経済が必要です。そして、強い経済があってこそはじめて、強力な外交を展開することができます。外交と安全保障というのは表裏一体であります。だからこそ私は先ず経済最優先でいくと、このようにお約束をしたところであります。もちろん経済以外にも今、申し上げました社会保障、教育あるいはまた復興。復興を進めていくためには強い経済を手に入れる必要があります。そうした様々な課題に取り組んでいきたいと思います。
 もちろん、最初に申し上げましたように憲法の改正。これは21世紀にふさわしい、どのような憲法をつくっていくか。国民みんなで考えていくことこそ新しい日本を切り開いていくことにつながっていく。こう信じるからでもあります。そうした様々な課題に取り組んでいくことは当然でありますが、先ず、その基礎となる強い経済を我々は取り戻さなければならない。今はまだその道半ばであると思っています。

(内閣広報官)
 それでは、もう一問だけ皆様からいただきます。
 それでは、中山さん。

(記者)
 日本経済新聞の中山と申します。
 衆院選に掲げられたアベノミクスについて御質問させていただきます。
 冒頭にも発言された規制改革ですけれども、労働や農業といった岩盤規制の見直しには、党内や関係業界からも非常に反対が強いと思われます。総理としましては、選挙の勝利を受けて、こうした反対派を抑え込んででも早期に実現するというおつもりなのか、今後どのように取り組んでいくかという姿勢をお聞かせください。

(安倍総理)
 この選挙戦を通じて、三本の矢の施策、アベノミクスを進めていくのか、後退させるのか、それを問う選挙であると訴え続けてまいりました。今回の選挙の結果は、正にしっかりとこの政策を進め、景気の実感を全国隅々まで届けていかなければならないということではなかったかと思います。
 農業やエネルギー、雇用、医療といった分野で大胆な規制改革を断行していきます。改革が後退したり骨抜きになることは決してありません。年明けの通常国会に農業やエネルギー、医療、雇用といった分野、規制改革について関連法案を提出してまいります。残念ながら先の臨時国会で廃案となった国家戦略特区法の改正案も一層大胆なメニューを加え、次期通常国会に提出をする考えであります。
 また、日本の企業の競争力を高め、雇用を確保し、国民生活の向上につながっていくという観点から、法人税を成長志向型に変える改革も行っていきます。財源を確保した上で、数年で実効税率を20%台に引き下げることを目指し、来年度から引下げを開始いたします。この方針に沿って、現在、与党の税制調査会において議論が行われておりますが、年内に改正案を取りまとめるよう指示をしております。改革の初年度にふさわしい改正にしたいと思います。

(内閣広報官)
 予定をしておりました時間を経過いたしましたので、以上をもちまして内閣総理大臣の記者会見を終了させていただきます。御協力どうもありがとうございした。

(安倍総理)
 ありがとうございました。

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