日露戦争後日本は韓国を併合した事に加え満州にも進出し鉄道や都市の建設などを展開した。
歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!
(小日向)いらっしゃいバラカンさん。
(バラカン)こんにちは。
よろしくお願いします。
お久しぶりです。
は〜い。
2度目の登場。
イギリス出身のブロードキャスター…国境を超えたワールドミュージックのすばらしさを積極的に紹介しています。
今日はね中東の話なんですよ。
中東ですか。
今も中東はいろいろな問題があるんですけど今日の話はね現代の中東問題につながる時代の話です。
でもイギリス人のバラカンさんがどうして中東のお話…。
意外ですよね。
はい。
でも実はねイギリス人はこの中東の問題にかなり深く関わってます。
そうなんですか。
後ほど詳しく。
はい。
ところでトランクの中には何が入ってるんですか?お土産が入ってますよ。
今日は何でしょう?こちらです。
どうぞ。
ありがとうございます。
おお!世界地図ですね。
色で表示されている国がありますよね。
この国々国家というものの概念が今回の話にかなり大きな意味を持ってます。
今回はこの辺の国々ですね。
そうですね。
この辺も色分けされてます。
案内人はこの方です。
どなたですか?はい。
当時イギリス軍の情報部の将校だったT・E・ロレンス。
アラビアのロレンスと呼ばれた人です。
(ロレンス)映画「アラビアのロレンス」。
第一次世界大戦のさなかアラブ国家独立のためアラブ人とともに戦ったあるイギリス人を描いた歴史映画だ。
主人公のモデルがこの私…今日紹介するのは…現在も中東地域で続く紛争。
その発端は私の祖国イギリスが関わった20世紀初頭のある出来事だった。
いまだ絶える事のない中東の紛争を理解するため私の話を聞いてほしい。
中東の問題は非常に複雑なんですけど今日番組を見てる間にいろいろと多分はっきりしてくると思います。
難しいイメージがありますね。
うん確かに分かりづらいです。
映画「アラビアのロレンス」って有名ですよね名作として。
そうですね。
僕個人的には新作だった時に見たんですけどその時はまだ小学生ですから。
こういう複雑な問題は全く把握できてなかった訳です。
大人になってもう一度見たらやはり全然違って見えたものです。
ロレンスの歴史気になりますね。
そうなんですよ。
早速見てみましょうか。
1914年ヨーロッパの列強は第一次世界大戦に突入した。
産業の発展を競う帝国主義により植民地を巡って対立が激しくなったのだ。
イギリスフランスロシアなどの連合国に対して当時中東地域を支配していたオスマン帝国は同盟国側のドイツに援助を受け参戦を決めた。
こうして戦火はヨーロッパから中東地域へと広がったのだ。
この戦争でイギリスは3つの外交政策を展開する。
これらはイギリスが戦争を有利に展開するためのものであったがその結果今日まで残る中東の対立を生む原因となってしまった。
それは一体どのようなものであったかご覧頂こう。
1915年イギリスはアラビア半島に住むアラブ民族の有力者に近づいた。
当時のアラビア半島にはオスマン帝国の支配に不満を持つアラブ人がいた。
そこで彼らにオスマン帝国への反乱を起こさせ戦いを有利に進めようとしたのだ。
接触したのはアラブ民族の有力者…イギリスはフサインにアラブの人々がオスマン軍に勝利した暁にはアラブ独立国家の建設を支援しようと持ちかけた。
オスマン帝国からの独立を夢みていたフサインはこれに同意。
思惑が一致したイギリスとアラブはフサイン・マクマホン協定を結んだ。
これがイギリスの外交政策の一つだ。
この時イギリスの工作員としてアラブ人の元へ送り込まれたのが私…私の任務はアラブ人を支援してオスマン帝国を攻撃しイギリスを優位に立たせる事だった。
私はフサインの息子ファイサルの軍事顧問としてともにアラブ軍を率いた。
こうして1916年アラブの反乱は始まった。
だがアラブ軍は統率力に欠けていた。
このころのアラブではいくつかの部族が共存して暮らしており国という概念がなかったのだ。
そこで私はアラブの人々を束ねるため自ら軍の前線に立ち彼らを勝利へと導いた。
そして次第に彼らは私を信頼するようになった。
私も彼らの自由を求める純粋さに心を打たれた。
アラブ服を身にまといアラブ式の生活に徹した。
やがて私は祖国イギリスの勝利よりもアラブの人々に自由をもたらす事を望むようになっていった。
1917年オスマン帝国最大の補給港となっていたアカバを攻め落とす事に成功しアラブ軍は一気に優位に立った。
しかしこのあと祖国イギリスの予想外の振る舞いに私たちは衝撃を受ける事になるのだ。
アラブの人たちの自由を勝ち取るためにとっても尽力した人なんですね。
実際にそのとおりの人物だったかどうかはちょっと微妙なところもあるかもしれませんけど。
でも少なくても映画を見て大変面白い人物だと思うんですよ。
命令に従わずにどんどん自分の勝手な行動を取ったり。
で反骨精神があってね。
目上の人に対してちゃんとした挨拶をしなかったり。
へえ〜。
という事もあるんですね。
ある意味でねロックスター的なところがあるんです。
なるほど。
このあとどうなっていくんでしょうか。
続き見てみましょうか。
はい。
イギリスはアラブの人々を裏切るような外交を展開していた。
1916年の第2の外交政策サイクス・ピコ協定だ。
イギリスとフランスロシアでオスマン帝国の領土を分断しそれぞれが支配する事を定めていたのだ。
実は長引く戦争によってイギリスは戦費が不足していた。
戦争を早く終わらせたかったイギリスは味方同士や中立国との間で複雑な密約を交わすしかなかったのだ。
アラブと祖国イギリスのはざまで私の心は激しく葛藤した。
1918年10月アラブ軍とイギリス軍共同でオスマン帝国最大の軍事拠点ダマスカスを攻撃する事になった。
この時我々アラブ軍はイギリス軍よりも先にダマスカスに入る事ができたら町の支配権を認めると祖国イギリスに約束させた。
私たちはオスマン軍を倒してイギリス軍よりも早くダマスカスに入る事に成功しここにアラブ臨時政府を置いた。
1918年11月第一次世界大戦は休戦が成立。
戦後の国際秩序を決めるパリ講和会議に私はアラブ代表として出席しアラブ独立国家樹立を訴えた。
しかし…。
1年後に決定した中東の地図にアラブの独立国家はなかった。
現在のシリアレバノンはフランスが。
イラクとヨルダンパレスティナはイギリスが支配下に置く委任統治領となっていたのだ。
結局イギリスがアラブの人々の夢をかなえる事はなかった。
そこには大きな事態の変化があったのだ。
軍用機や戦車が初めて登場したこの時代燃料の石油の価値は急速に上がり各国が石油の利権を巡って争っていた。
この石油が大量に見つかったのが中東だったのだ。
こうしてヨーロッパが行った分割支配によって境界線が引かれ現在の中東地域の国々の国境線が誕生した。
私は失意の中祖国イギリスへ帰国。
私たちが抱いたアラブ独立の夢は2つの外交政策に振り回されたあげく石油資源の独占を目指すイギリスの前に消え去ってしまったのだった。
ロレンスちょっとかわいそうですね。
そうですね。
ロレンスは多分純粋にそれを望んでいたんだと思いますけど今思うとアラブの人たちにとって独立国家を持つ事が必要だったのかちょっと微妙なところですよね。
えっそうなんですか?独立国家を目指して頑張ってたんじゃないんですか?国家っていうものはねヨーロッパの国々はもうみんな持っててそれが当たり前だと思ってたんですね。
で自分たちの論理がほかでも当然当てはまると思い込んでたんだと思いますけど。
国家っていう意識はアラブの人たちには多分なくてね。
彼らはむしろ英語でいう……というそういう概念がまだまだ強いみたいですからね。
あ〜そうなんですね。
皆さんには第一次世界大戦後から現代の中東地域の歴史も知って頂きたい。
この地域の歴史には私の死後大きな展開があった。
現在のトルコではオスマン帝国の軍人だったムスタファ・ケマルがイギリスフランスギリシアなどに占領された地域の一部を奪い返し1923年トルコ共和国を誕生させた。
ケマルは国の発展のためにはイスラーム的な考えは捨て近代化を図るしかないと考えた。
そこでイスラーム色を公の場から排除する政教分離を定めた。
女性のベールの着用の禁止トルコ語のローマ字表記など西洋化を徹底し近代化を目指した。
第一次世界大戦後一旦ヨーロッパに分割支配された中東地域はその後それぞれの地域が独立し国家が成立していった。
しかしここには今なお多くの問題があり争いが続いている。
その問題の発端はイギリスが行ったもう一つの外交政策…1917年戦費不足だったイギリスがユダヤ人の財閥に資金援助を求め引き換えにパレスティナにユダヤ人のふるさとを建設する事を支援すると約束したのだ。
パレスティナの都市イェルサレムはイスラーム教キリスト教ユダヤ教の聖地。
ユダヤ人にとっても特別な土地だ。
19世紀のヨーロッパでは国民国家の意識が高まりマイノリティーのユダヤ人は差別されていた。
そのため自分たちの国家をつくろうという機運が徐々に高まっていった。
更に第二次世界大戦でナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺が起きた。
こうした流れの中で多くのユダヤ人がパレスティナを目指し入植を進めた。
だがパレスティナにはもともと多くのアラブ人が他民族と共存して暮らしていた。
そのパレスティナを自分たちの国にしようとするユダヤ人にアラブ人の不満が爆発しアラブの大蜂起が起きた。
イギリスは紛争を収める事ができず国連に助けを求める事となった。
国連はパレスティナをユダヤ人とアラブ人で分割し聖地イェルサレムは国際管理下に置く事を決議した。
迫害されてきたユダヤ人にとって悲願の独立国家となったがアラブ人には受け入れられなかった。
しかしアラブ人の同意がないままユダヤ人はユダヤ人国家イスラエルの建国を宣言してしまう。
その建国宣言の翌日アラブ人はイスラエルを攻撃。
第一次中東戦争へと突入した。
結果はイスラエルの圧勝だった。
イスラエルはパレスティナの80%を領土とし多くのアラブ人が土地を失い難民となった。
その後もアラブ人はパレスティナ解放を掲げて過激な行動でイスラエルを攻撃しイスラエルも武力で対抗するなど対立は続く。
周辺諸国を巻き込んだ紛争が繰り返されいまだ解決のめどは見えていない。
先生イギリスはあっちこっちでいろんな協定を結んでて何だか言ってる事が矛盾してるんじゃないかなって私は感じたんですけど…。
(羽田)どうしてもその単純化して話をすると矛盾してるように見えますよね。
でも外交ですからそんなに単純化して話はしていない。
一番問題になるのはアラブの独立国をつくるかどうかって話なんだけれどもそれもフランスの邪魔にならない限りは支援するとかあるいはすぐにではなくてできるだけどういう形の国家がいいかを相談した上でつくりましょうとか。
そういうふうに言ってんですね。
ですから世界史の教科書だとどうしてもそういうふうに単純に捉えてしまうんだけれども。
当時のイギリスの外交の責任者にとってみると自分たちは自分たちの考え。
もちろん国の利益を一番先に考えてはいますけれどもできる限りの事やってるという意識は強かったんじゃないかと思います。
当時のイギリスだけじゃなくて世界の中でいくつかの軍事力の非常に強い国があった訳ですけれども彼らには彼ら独自の考え方があってそれは時には文明化の使命っていうんですけれども。
自分たちの進んだ文明ってものをほかの地域にも広げていかないといけないと考える訳ですよね。
まあ今から見ればおせっかいな話なんだけれどもその時は彼らは本当に真剣にそういうふうに考えて。
よかれと思ってやったんですか。
よかれと思ってやってる部分もあったと思います。
でも民族自決とか主権国家を持つっていうのは近代ヨーロッパがつくり出した考え方だから。
現地の人たちはそんな事考えてないですよね。
現地の人たちにはまたもっと別の社会秩序とか政治のやり方があった訳だけれどもそれが結果としてこういうふうに変えられていったっていう面があった事は間違いないですよね。
多分現地の人たちにとってみると非常に問題が大きいというかなんだほっといてくれっていうふうに思う事だと思いますよ。
なるほど。
先生よく分かりました。
またお話聞かせて下さい。
今日のこの中東の話この歴史いかがでしたか?今まで中東の紛争って宗教の問題が大きいのかなと思ってたんですけど何かもっともっと事態って複雑なんだなっていうふうに思いましたね。
最近考えてるとね国というか国家というものについていろいろと悩む事があるんですよ。
悩むっていうか…。
なければよかったんじゃないかと思う事すらあります。
自分の国が自分にとってすごくこう…かわいくなるとほかが逆に憎たらしくなってしまう。
で国家主義が盛り上がってくると排他的な発想にもつながる事が結構あるんですね。
音楽でもねジャンルっていうものがありますよね。
ある意味国境線のようなものだと思うんですけど昔からジャンルなんてどうでもいいと思ってて…。
あ〜一緒だ。
全く排除したところで音楽を語るともっともっと楽しいんですよ。
第一次世界大戦中イギリスが戦争を優位に展開するために3つの矛盾した外交を行い後のパレスティナ問題の原因の一つになった。
第一次世界大戦後中東地域は独立し国家が成立していった。
しかしヨーロッパによって作られた国々であるためいまだにさまざまな問題を抱え争いが続いている。
2014/12/26(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「トルコ革命とパレスティナ分割」[字]
歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…第一次世界大戦後に変化した中東の勢力地図とパレスティナ問題
詳細情報
番組内容
▽アラビアのロレンスが語るアラブの独立とイギリスの外交交渉▽オスマン帝国崩壊後に誕生したトルコ共和国の近代化▽パレスティナ問題は20世紀初頭に行ったイギリスの外交交渉が発端?」。学習ポイントは「オスマン帝国からトルコ共和国へ…国民国家の誕生」「西アジア・中東の植民地化」「ユダヤ人国家とパレスティナ問題」【司会】小日向えり【ゲスト】ピーター・バラカン【講師】羽田正(東京大学教授)【語り】三木眞一郎
出演者
【講師】東京大学東洋文化研究所所長…羽田正,【ゲスト】ピーター・バラカン,【出演】小日向えり,【語り】三木眞一郎
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
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趣味/教育 – 大学生・受験
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