今夜の「プロフェッショナル」は特別企画。
番組最後の「プロフェッショナルとは」を今日の主人公が最新のテクノロジーで表現する。
前代未聞の挑戦が今始まる。
誰も見た事のないものを作ってほしい。
そんな依頼が殺到する男がいる。
おととしのフィギュアスケートエキシビション。
これは後で加工した映像ではない。
滑った軌跡がリアルタイムで描かれる。
(実況)浅田真央です。
最新のテクノロジーが観客を幻想の世界にいざなう。
(実況)そして最後に地元・宮城出身の羽生。
更に世界にも進出する人気テクノポップユニット。
(歓声)本人たちとバーチャル映像の共演に会場がどよめいた。
(歓声)熱狂を作り上げるのは眼光鋭いニット帽の37歳。
最先端を生み出す何かが常に頭の中にうごめいている。
従来の肩書に収まらないデジタル時代の申し子。
驚異の発想力とプログラミングの力で衝撃を生み出し続ける。
(靴からの音)あの世界的コンピューターメーカーも真鍋の才能に注目する。
(主題歌)真鍋と組めば新しい何かが生まれる。
名だたるアーティストが真鍋にアプローチする。
20代進むべき道を完全に見失った。
昨年暮れ全く新しい挑戦が始まった。
ラジコンヘリを使った未来のエンターテインメント。
成功への道は果てしない。
本当のクリエイティブとは何か。
何かが起こる。
真鍋大度の拠点は東京都心にある。
8年前に友人と共にクリエイティブ集団ライゾマティクスを立ち上げた。
ここにはとにかくものがあふれている。
置かれているのは真鍋の私物がほとんどだ。
子供の時に遊んだゲームだという。
真鍋は子供の頃からパソコンで遊びプログラミングもかじっていたという。
ここには所属メンバーであるなしにかかわらずクリエイターたちがいつも集っている。
他にもウェブデザイナーや映像のプロなど。
真鍋はそうした仲間と手を組み新たな表現を生み出し続けてきた。
例えば去年大きな話題を呼んだプロジェクションマッピングを使った演出。
一般的には動かない建物などに映像を映し出す。
だが真鍋は激しく動く人物に映像を投影。
ライブ演出の新たな可能性を示した。
(靴からの音)これはスポーツ用品メーカーの広告での真鍋の演出。
(靴からの音)曲げると音の出る靴で演奏する不思議な光景は世界中の広告賞で高い評価を得た。
こうした真鍋の独創的な仕事を生み出す3つの要素がある。
例えば先ほどのプロジェクションマッピングの場合衣装には再帰性反射材という特殊なテクノロジー素材が使われている。
この素材は光の反射率が高くもともとは交通標識などに使われるものだ。
これを真鍋は衣装に応用し全く新しい効果を生み出そうと発想した。
その効果を最大限に引き出すために行うのがプログラミングだ。
プログラミングとはコンピューターで望む効果を生むための指令を打ち込む事。
真鍋はこの分野で優れた才能を発揮する。
テクノロジー発想力そしてプログラミング。
それらを駆使して真鍋が目指すのは極めてシンプルなただ一つの事だ。
昨年末真鍋は仲間と共に埼玉の倉庫にいた。
新たな表現の道具として注目しているものがあった。
通常空中撮影や農薬散布などに使われる。
これをライブ会場などで使えば今までにない表現が生まれるはずだ。
さまざまな飾りを付けそれでも離着陸ができるか実験する。
この時点で具体的な仕事の依頼を受けているわけでは全くない。
だがそれは真鍋たちにとってさして重要な事ではない。
(衝撃音)あっ!仕事で頼まれたからやるのではなく自分たちにとって面白そうだからやる。
それが真鍋たちの流儀だ。
4日間試行錯誤が続いた。
それから間もなく…。
(取材者)おはようございます。
真鍋はNHKを訪れた。
2年前から関わっている「紅白歌合戦」の演出の打ち合わせだ。
あのヘリを使う事を提案した。
この段階では演出の完成形は全く見えていない。
だが結局今回は見送られる事になった。
だが真鍋は全く諦めていなかった。
真鍋のヘリへの挑戦はその後も続いた。
この日は加工した木材をヘリに取り付けLEDの光を拡散させる。
だが…。
道のりはまだ遠い。
しかし繰り返される失敗の中にこそ未来は眠っている。
真鍋はそう信じ進む。
この日真鍋さんは忙しい合間を縫い音響設備を扱う会社を訪れた。
お目当ては32個のマイクが付いた最新の音源可視化装置。
(口笛)真鍋さんがこだわるのは最新のテクノロジーの知識を吸収し続ける事。
どうぞどうぞ。
週に1度はメーカーや大学の研究室に行く事を心掛けているという。
そしてもう一つのこだわり。
それはテクノロジーや表現について過去にさかのぼって徹底的に調べる事だ。
これは真鍋さんが作ったウェブサイト。
ダンスなどがこれまでどのようなテクノロジーを使いどのように表現されてきたか。
その歴史がまとめられている。
例えば19世紀にはさまざまなパフォーマンスが動画で記録されていた事も分かる。
過去は未来を切り開く者にとっての大事な物差し。
そして発想の原点にもなりうると真鍋さんは考える。
(拍手)海外からも仕事のオファーが絶えない真鍋さん。
その合間によく立ち寄るのが中古レコード店だ。
真鍋さんはかつてDJとして腕を鳴らし海外に渡った事もある。
だがその挑戦は志半ばで終わる。
20代真鍋さんは自分の進むべき道を見失っていた。
真鍋さんの父親はジャズベーシスト。
母親はシンセサイザーの音色を作る仕事をしていた。
子供の頃から家にある楽器やパソコンをいじって自作のゲームを作り友達に遊んでもらうのが何より楽しかった。
真鍋さんにはもう一つ得意なものがあった。
それは数学。
全国模試で1位を取るほどの実力だったという。
これなら数学か音楽の道で食べていけるかもしれない。
大学は数学科に進学。
昼は数学を学び夜はクラブでDJという日々を送った。
だがしばらくすると真鍋さんは将来の夢が次第にしぼんでいくのを感じるようになる。
上には上がいる世界。
人生を懸けてその道を行く踏ん切りはとてもつかなかった。
真鍋さんは他の学生と同じように就職活動をして大手電気機器メーカーに就職した。
だが友人からITのベンチャー企業に誘われるとすぐに転職。
そしてそこも結局半年で辞めた。
一体自分は何がやりたいんだ。
もんもんとしながら職業安定所にも通う日々を過ごした。
そんな時真鍋さんに人生を変える出会いがあった。
表現者としての腕を磨こうと入った岐阜の芸術学校での事だ。
集っていたのはデザインやテクノロジーを融合した新時代のアートを生み出そうとする人たち。
そこには突拍子もない発想にこそ真剣に向き合おうとする自由な雰囲気があった。
いつも進む道を決める時中途半端な自分がいた。
そのもやもやが晴れていく気がした。
真鍋さんは卒業後仲間と一緒に創作に没頭した。
俺たちが面白いと信じるものを作ろう。
無名の真鍋さんの企画は企業に持っていっても全く相手にされない。
でももう迷いはなかった。
作っては実験し疲れれば会社で寝て起きればまた実験をする。
そんな日々が2年続いた。
ある日真鍋さんが投稿した動画が話題になった。
顔に着けたのは医療用の電極。
音が電気刺激に変換される。
テクノロジーが人の表情を強制的に変えていく。
見た事もない映像。
動画の再生回数はすぐに100万回を突破。
真鍋さんの名は一躍世界に広まった。
真鍋大度さんお願いいたします。
それから6年。
今世界中からコラボレーションのオファーが殺到する真鍋さん。
今も毎日深夜まで創作活動。
プライベートはほとんどない。
かつて進む道を決めきれない自分がいた。
だがその回り道の先にこそ今の自分がある。
真鍋さんはそう思えるようになった。
今年1月真鍋のもとに新たな仕事が舞い込んだ。
ダンスの振付家からの依頼だ。
2か月後に行うダンスのライブに力を貸してほしいという。
踊るのは振付家が率いる女性ダンスユニットだ。
真鍋はこれまでもこのグループのライブに新たな表現を提供してきた。
真鍋は即座に答えた。
試行錯誤を続けるあのラジコンヘリ。
ダンサーと絡ませれば見た事のない光景が生まれるのでないか。
だがダンサーの近くでヘリを飛ばすにはより精密な制御が必要だ。
そのため真鍋はより高度に制御できるヘリを購入した。
挑戦が再び始まった。
1月下旬作業が一つの山を迎えていた。
真鍋の仲間であるロボット工学やプログラミングのエキスパートたちがその作業を担ってきた。
真鍋たちが目指している事。
それはヘリをコントローラーからではなくコンピューターからの命令で精密に制御する事だ。
そのためにまず天井に赤外線カメラを設置し舞台上の空間に座標軸を設定する。
ヘリはその空間ではどこにいるのか常に捕捉できる。
そのためヘリに移動させたい位置情報をパソコンから命令すればそこに精密に動かせるのではないか。
出来上がったシステムのテストが始まった。
だが本番まで10日余りとなったこの日…。
真鍋はこの段になって全く新しい方法でヘリを動かしたいと言いだした。
今のままではヘリの動きは直線的で機械的なものになりがち。
それをダンサーと響き合って踊るような人間的なものに近づけられないか。
そこで真鍋はまずヘリをダンサーに動かしてもらいその軌跡をコンピューターでレコーディング。
そしてその軌跡を組み合わせてヘリを動かす事にした。
ダンサーとヘリが動きを合わせるのは翌日に迫っていた。
時間はない。
だが起こりうる状況を全て想定しシステムを作り上げていく。
翌日…。
真鍋はシステムを完成させていた。
ヘリがどこまで激しい動きに耐えられるか分からない。
すべては手探りだ。
ヘリの動きがコンピューターにレコーディングされていく。
いよいよデータをもとにヘリを動かす。
だが人間っぽさを感じるかどうか以前に動きに全く面白さがない。
真鍋はそれでもこの新しいシステムがベストだと即答した。
試行錯誤を繰り返す。
何か見えてきた。
実験を始めて12時間。
真鍋はまだ帰ろうとしない。
新しいアイデアを試したいという。
付けたパネルに映像を当てその軌跡を見せるアイデア。
更に面白さを感じられるものになった。
朝5時作業が終わった。
本番前日。
レコーディングした動きを組み合わせてヘリのダンスを披露する。
(拍手)思わず拍手が沸き起こった。
心臓に悪い。
だがヘリに取り組んで既に2か月の真鍋はある感覚に襲われていた。
時代の最先端を作る真鍋の仕事。
誰もやらなかった事がいつの間にか当たり前になりすぐに飽きられてしまう。
そんな運命とも背中合わせだ。
本番が始まった。
(拍手)誰も見た事のないものを作る。
真鍋はまたやり遂げてみせた。
(主題歌)ライブを全て終えた夜…。
2014/12/27(土) 02:00〜02:50
NHK総合1・神戸
プロフェッショナル 仕事の流儀「まず動け、未来はその先にある 真鍋大度」[解][字][再]
Perfumeのライブや、浅田真央や羽生結弦が滑るフィギュアスケート会場。ハイテク技術を駆使し、誰も見たことのない光景を作り上げる真鍋大度。最先端の闘いに密着!
詳細情報
番組内容
Perfumeのライブや、東京オリンピック招致のプレゼン、さらには浅田真央や羽生結弦が滑るフィギュアスケートエキシビション。大胆な発想とプログラミングを武器に、ハイテク技術を駆使して、幻想的で近未来的な「誰も見たことがない光景」を作り上げる男、真鍋大度。今、世界からオファーが殺到している。番組ではラジコンヘリを使った世界初の演出に挑む姿に長期密着。時代の最先端を生み出す闘いが、ここにある!
出演者
【出演】プログラマー/アーティスト…真鍋大度,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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日本語
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日本語(解説)
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