(テーマ音楽)
(武兵衛)若!お待ち下さい!若!また叱られますよ!若!お待ち下さい!若!若!遅いぞ武兵衛!若が早すぎるのです!若!道を空けい!万吉の父職隆は姫路城の城主である。
主君である小寺家から領地の西の守りを任されていた。
兄者備え万端相整いました。
いつでも。
(職隆)出陣じゃ!
(一同)オ〜!万吉…。
乱世は混迷を極め播磨でも豪族たちの小競り合いが続いていた。
かつて他国から姫路に流れ着いた黒田はその勇猛さで主君の信頼を得ていた。
退け〜!退け〜!
(友氏)待て〜!友氏!深追いは無用じゃ!
(職隆)引き揚げるぞ!
(一同)オ〜!
(善右衛門)こうやって見ていると思い出しますな昔の事を。
(重隆)諸国を転々とし姫路の地に流れ着いてあの折お主に会わなんだら今日の黒田家はなかった。
いやまことに世話になったのう。
いやいやいや。
ご隠居様のお知恵のたまものでございます。
(善右衛門)ご隠居様は村の者たちに慕われていなさったからあっという間に人が集まってきた。
それが御着の殿のお目に留まり仕官する事と相なった。
これが我が家の由緒だ。
はい!うむ。
ハハハハハ。
(小兵衛)若!若!万吉の母いわは病で明日をも知れぬ命であった。
万吉は母のため敵対する赤松の領地に薬草を採りに行った。
母上!薬草です。
これをおじじ様に煎じて頂きおのみになれば母上もきっと…。
万吉何故母がたたいたか分かりますか?お前の軽はずみな行いがどれだけ皆に迷惑をかけたと思っているのです!今日お前は無断で龍野に行きました。
あそこは敵の領内。
父上はお前を迎えにその敵の領内へ入るしかなかった。
これがどれだけ危うい事か分かりますか?親子ともども殺されてもおかしくないのですよ!万吉。
お前はこの家の嫡男なのです。
お前の振る舞い次第で人が命を落とす事にもなるのです。
お前は一人で生きているのではないのですよ!分かりますか?だったら母と約束しておくれ。
これからは武家の嫡男としての覚悟を持つと。
約束できますか?はい。
今尾張では一人の男が新たな時代をつくろうとしていた。
狙うは今川義元の首ただ一つ!天は我らの味方ぞ!命を捨てよ!この先に天下が待っておるぞ!続け〜!今川義元軍2万5,000の軍勢は僅か2,500の織田信長の兵の前に敗れ去った。
義元の首を取れ!は〜っ!万吉は元服し名を官兵衛と改めた。
(おたつ)官兵衛様!後でお寄り下さい!おいしい栃餅がございます!
(官兵衛)父上!ここから姫路一円がよく見える。
向こうが御着。
赤松の龍野。
その中間に我が姫路がある。
我らの役目は西の赤松から御着を守る事。
(官兵衛)はい。
(職隆)御着の小寺の殿がお前を近習にしたいとの仰せだ。
…はい。
どういう事か分かるか?黒田家は小寺の姓を賜ったとはいえ所詮外様だ。
殿は我らを心の底から信用している訳ではない。
私は人質。
覚悟は出来ております。
先走るでない。
皆まで聞け。
お前の悪い癖だ。
よいか。
我ら外様が生き残るには人一倍働く事だ。
はい。
言っておくが出過ぎたまねはするな。
「出る杭は打たれる」。
はい。
職隆が一子官兵衛孝高にございます。
(政職)父に似て賢そうな面構えじゃ。
のう左京亮。
御意。
櫛橋左京亮だ。
お主がまだよちよち歩きの頃会うた事がある。
立派になったのう。
未熟者ゆえ諸事ご指南下さりませ。
案ずるな。
櫛橋がせがれ左京進も近習としてそこに控えておる。
左京進頼むぞ。
はっ。
翌年赤松政秀が兵を挙げた。
官兵衛は初陣の時を迎えた。
(武兵衛)若!いよいよでございますな。
ああ。
俺は黒田の名に恥じぬ働きをすると父に誓った!よ〜し!よ〜し!よし武兵衛!若!行くぞ!はい!よ〜し!よ〜し!左京進殿!
(石川)官兵衛か。
(職隆)官兵衛下がれ!押せ押せ〜!官兵衛俺から離れるな!はい!や〜っ!
(小兵衛)殿!敵が逃げていきます。
我らの勝ちじゃ!
(一同)オ〜!オ〜!オ〜!オ〜!お〜久しぶりだな。
(おたつ)このところなかなか姫路へ戻ってこられませんね。
ああ。
近習のお勤めは大変ではございませぬか?殿のおそばに仕えるお役目だ。
大変なものか。
むしろ誇りに思っておる。
でも姫路の若君がわざわざ御着に出仕なさるのは要は官兵衛様は人質という事でしょうか?武家に生まれた者の定めだ。
だが人質といってもいろいろある。
亡くなった母上も人質として嫁いできたが決して不幸ではなかった。
父上には優しくされ皆にも慕われ短い生涯であったがきっと幸せだったと思う。
ええ。
あっ。
お〜。
(雷鳴)キャッ!あ…。
あ…ご無礼を。
寒いのか?
(雷鳴)しかしおたつは人質として小寺と同盟を結ぶ室津城へ嫁いでいった。
・
(武兵衛)若!若〜!赤松が兵を挙げて室津城に向かったそうです。
かかれ〜!赤松が攻め寄せてまいりました!
(政宗)何!?
(清宗)案ずるな。
たつ殿を頼む!
(家臣)はっ!さこちらへ。
ハッ!おたつ!おたつ!あ〜っ!おたつ!おたつ…おたつ!おたつ…おたつ!官兵衛お主評定で赤松を討つべきだと申したそうだな。
…はい。
やめておけ。
何故ですか?大切なお味方が討たれたのです。
御着の小寺のため我が黒田家のためにも赤松を討つべきです。
それでこそ武士の面目と申すもの。
もっともらしい事を申しおって。
要はおたつの仇討ちではないか。
仇討ちのどこがいけませぬか!?今のお前は怒りに任せているだけだ。
そんなざまで赤松に勝てると思うか?やってみなければ分かりませぬ。
負ける。
負けたら死ぬまで!戦って命を落とすなら本望です。
たわけ!命を無駄に使うものではない。
お前は命の使い方が分かっておらん!おたつは私の腕の中で死んだのです!仇を討ってやらねば…おたつが…。
おたつ…。
(すすり泣き)頭を冷やせ。
官兵衛…。
こんな小さな播磨が世の全てではないぞ。
世界は広い。
己が何をなすべきか世の中を見てよ〜く考えるんじゃ。
官兵衛は父職隆の計らいにより旅に出る事となった。
堺で鉄砲を買い付けるためであった。
では父上母上行ってまいります。
うむ。
(一同)行ってらっしゃいませ。
官兵衛殿お務めつつがなく果たされますよう念じております。
はい。
おとなしく有り金を置いていけ。
ヘヘヘヘヘヘ。
おりゃ〜!あ痛っ!善助立て!あ〜っ!
(荒木)何だ!昼寝の邪魔をしおって!物取りか。
引っ込んでろ!邪魔立てすると容赦しねえぞ!やってみろ!俺を敵に回すと怖いぞ。
やれ!えい!まだやるか?おい!ヒヤ〜ッ!ありがとうございます。
助かりました。
いや〜。
お名前をお聞かせ願えますか?それがし播州御着の小寺官兵衛と申します。
拙者摂州牢人荒木村重。
ハッハハハハハハ。
ここが堺だ。
(武兵衛)着いた。
(善助)オホホッ。
(荒木)今井宗久殿に用がある。
開けてくれ。
(一同)お〜っ!
(外国語)
(善助)あ〜びっくりした。
(足音)あっ。
(宗久)お待たせして申し訳ございませぬ。
鉄砲にござります。
重い。
一撃で人は死にます。
先日尾張の織田信長様がぎょうさんお買い求めになられました。
織田様が?堺にお見えになられたのはご家来の木下藤吉郎様というお方でしたが。
木下藤吉郎?その木下様が面白い事をおっしゃっておられました。
(藤吉郎)今のこの堺の栄華が戦の道具を売る事によって成り立っているのは何とも因果なものですな。
(宗久)お武家様にはお分かり頂けないでしょうがこれが堺の商人の戦なのでございます。
(荒木)愚かしい。
何のための争いだ。
民百姓だけが苦しむ。
(鐘の音)
(修道士)隣人を許し自分のように慈しむのです。
そうすればこの世から争いはなくなるでしょう。
回想
(重隆)今のお前は怒りに任せているだけだ。
あのおたつが仇討ちを望んでいると思うか?
(職隆)一時の怒りや憤りで戦を起こしてはならぬ。
死んだ者が再び生き返る事もない。
たつはきっと幸せになります。
(武兵衛)若!
(善助)若!若どこにいらしたのですか?世界は広い…。
え?とてつもなく広い。
俺には分からない事ばかりだ。
そのころ美濃攻略を果たした信長は天下に新しき道を示した。
天下布武。
天下に武を布く。
乱世は終わりじゃ!この信長が天下を統一する。
天下布武…。
天下布武じゃ!天下布武じゃ!天下布武じゃ!天下布武じゃ!・「や〜れ面白や〜」精が出るな小兵衛!
(小兵衛)若!手伝いに参った。
ありがたき幸せ。
若様じきじきにおいでだぞ!お前たちのためにお手をお貸し下さるそうだ!
(一同)お〜。
よし!励め!
(一同)オ〜!官兵衛には新たな出会いが待ち受けていた。
(せきばらい)ああ…。
あっ。
あ…。
回想とんだ跳ねっ返りだ。
あなたこそ男のくせに…。
あっひょっとして怖いのですか?さようではない。
危ないと言っているだけだ!あっ!あっ!あっ!
(政職)左京亮この美しい娘たちじゃがどこの者か?
(左京亮)恥ずかしながら我が娘にございまする。
姉の力と妹の光にございます。
(力)お初にお目もじ致しまする。
オホホホホ!父親に似ず美しゅう育ったのう。
ん!ハハハ!先日は…失礼を致しました。
いえこちらこそ。
まさか櫛橋様のご息女とは知らず大変無礼を申しました。
跳ねっ返りでございます。
いや…申し訳ございませぬ。
山桃…ありがとう存じます。
はい。
では…。
官兵衛は櫛橋家の次女光と祝言を挙げた。
・「トウトウタラリタ〜ラリラ〜」・「タ〜ラリアガリ〜ラ〜ラリド〜」・「トウトウタラリタ〜ラリラ〜」・「タ〜ラリアガリ〜ラ〜ラリド〜」光…でかした!永禄12年宿敵赤松が姫路に攻め寄せてきた。
姫路を守る!ここから先赤松の兵は一人たりとも通してはならぬ!よいな!
(一同)オ〜!赤松は目の前だ!逃すな!戦は激烈を極めた。
叔父の井手友氏古参の母里小兵衛が討ち死に。
石川!死ね!あ〜っ!そして官兵衛の身代わりとなり幼なじみの武兵衛も。
エイエイ…。
(一同)オ〜!エイエイ…。
オ〜!エイエイ…。
オ〜!苦い勝利であった。
信長は将軍足利義昭を追い落とし上洛。
信長のもとには味方する諸将が相次いで参陣した。
面を上げい。
荒木村重。
義昭ではなくわしに味方するか?はっ。
義昭公ではこの乱れた世は治まらぬと存じます。
摂津の国はどのような形勢じゃ?はっ。
摂津におきましては各地で大小名が城を構え小競り合いを続けております。
恐れながら…。
よく回る口じゃ。
食え!ハッハハハハハハハハ!アッハハハハハハハ!村重!摂津一国切り取り次第好きにするがよい。
ははっ!
(読経)
(お濃)母上お喜び下さい。
天下は間もなく信長様のもとに治まります。
まだ足りぬのか。
あとどれほどの血を流せば済むのじゃ。
(読経)木下藤吉郎にございます。
主の命により上様を河内若江城にお連れ致します。
ここに200年以上続いた室町幕府は終わりの時を迎えた。
(隆景)兄上。
信長が将軍を追放したようでございます。
織田信長まことに運の強い男。
叔父上信長は西に攻めてくると思われますか?いずれそうなりましょう。
その時は我ら毛利の力思い知らせてくれる!東の織田か西の毛利か…。
はざまにある播磨は生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた。
一同出仕大儀である。
(一同)はっ。
(政職)天下の形勢ただならぬ今当家の行く末を決めようと思う。
毛利につくか織田につくかどちらがよいか皆の存念を聞きたい。
(小河)恐れながらそれがしは毛利につくべきと存じます。
(江田)織田は危のうございまする。
それがしも毛利がよろしいかと。
毛利につくほか道はござらん。
官兵衛もそれがしと同じ所存でございます。
それがしは…織田につくのが最善の道と心得ます。
官兵衛…何を言いだすのだ!
(家臣たちの怒号)しばらくお聞き願いたい!
(怒号)官兵衛!しばらく!しばらくお聞き願いたい!まずは毛利について申し述べます。
毛利は確かに大国ではございますが家督を継いだのはまだ若い輝元殿。
毛利の結束は固い!さよう!吉川と小早川が補佐しておるではないか!いかにも!毛利輝元殿は叔父の元春殿隆景殿の助けなくば采配も振るえぬ若輩者という事でございます。
一方織田信長は僅か尾張半国から身を起こし今川義元浅井朝倉を滅ぼしついには武田をも打ち破る事ができたのでございます。
武勇知謀ともに備わった織田信長こそが天下人となるに相違ありませぬ!何をたわけた事を!殿!小寺家百年の大計にございます!天下の潮流に乗り遅れてはなりませぬ。
ここを見誤っては当家は間違いなく滅びます。
全ては生き残るため。
我らが生き残るにはこの道しかございませぬ!相分かった!
(3人)殿!控えよ!当家は…織田につく事とする。
はっ!
(戸が開く音)
(足音)
(信長)面を上げい。
信長に対し官兵衛は毛利攻略のため姫路を拠点に播磨平定を行うよう進言した。
播磨を手に入れさえすれば毛利を倒す事など容易にございます。
そちに取らせる。
はっ!
(信長)遅いぞ猿!
(秀吉)申し訳ございませぬ。
(秀吉)貴殿が黒田官兵衛殿にござるか?…はい。
荒木村重殿から聞いております。
よう来てくれた!それがし羽柴筑前守秀吉にござる。
猿。
(秀吉)はっ。
播磨にはそちが行け。
それがしがでございまするか!官兵衛。
はっ。
そちの申すとおり播磨を手に入れねば毛利を倒す事はできぬ。
毛利を倒さねば天下布武はかなわぬ。
この秀吉とよろしく相談せよ。
はっ!官兵衛殿ここは去年までは荒れ地だったんじゃ。
1年でここまで…。
(秀吉)いずれここも岐阜に負けない大きな町にしてみせる。
おい幸吉どうした?殿!ぬすっとを捕らえました。
新しい町をつくろうと皆が懸命に働いておるのにこういうやからがどうしても出てくる。
見せしめに首をはねてやりまする。
うむ。
それはもったいのうございます。
もったいないと?見れば年も若く体も頑健。
罰として昼間は働かせるのです。
人間生きておれば使いみちもあると存じます。
命の使いみちでございます。
命の使いみちと申したか。
ハハハハハ。
官兵衛殿。
お主の言うとおりにしよう。
連れていけ。
ははっ。
(政職)官兵衛に任せておけば万事うまくいく。
のうお紺。
はい。
まことに頼りになります。
これであとは織田の軍勢が播磨に入ってくれば安泰じゃのう。
いつ来るのじゃ?書状を出し確かめておきまする。
待ち遠しいのう。
うん?
(斎)父上。
絵を描きました。
(政職)おうそうか。
おっ。
強そうじゃのう。
これはわしか…。
え?…はい。
そうかそうか。
どうじゃ?ほれ。
大層お上手で。
わしにそっくりじゃのう。
どれわしも一緒に描こうかのう。
はい。
うん。
強い武者をのう。
はい。
これはきっと官兵衛じゃ。
斎は体が弱いゆえおことのような強い武者に憧れているのじゃ。
(政職)斎は上手じゃのう。
(斎)はい。
ところが天正4年7月。
木津川で織田の水軍が毛利に大敗を喫した。
これにより播磨への織田軍の派遣は大いに遅れる事となった。
播磨にいくらか軍勢をお出し頂けませぬか?
(荒木)何じゃ?かしこまって。
戦をする訳ではございませぬ。
織田が来たと知らしめたいのでございます。
さすれば播磨も落ち着きましょう。
ほかならぬ官兵衛の頼みじゃ。
なんとかしてやりたいのだが今は本願寺に掛かりきりで播磨に差し向ける余分な兵がおらんのだ。
さようではございましょうが…。
(荒木)木津川で敗れたせいもある。
出城を造ってじっくり攻める事になってな。
本願寺攻めは気がめいる。
あやつらは恐れるどころか喜んで死んでいく。
切りがない。
さすがに疲れてのう。
・
(だし)失礼致します。
これはお方様…。
官兵衛殿お久しゅうございます。
(荒木)高槻城主高山右近じゃ。
先日…棺を担いでおられた。
(右近)ご覧になられていましたか。
(荒木)右近はキリシタンでのう。
しかしよもやだしまでもがキリシタンになるとは…。
右近殿のお導きで信徒となりました。
(荒木)フフッ人が変わったかのようじゃ。
わしは着飾っただしが好きだったんじゃがのう。
(右近)私はキリシタンの国を造りたいのです。
キリシタンの国?デウスを信じ裏切りや憎しみのない国でございます。
そこでは人と人とが信じ合い誰もが心の安らぎを得るのです。
私の夢でございます。
天正5年大和の国主松永久秀は突如信長を裏切った。
まず人質じゃ。
播磨のおもだった者から人質を取れ。
久秀の二の舞は許さぬ。
(3人)はっ。
秀吉様から人質を早く出すようにとのお叱りの書状が届きました。
別所赤松も既に出しております。
そうは申しても斎の容体がよくならぬのじゃ。
されど既に2度も日延べを致しました。
このままでは…。
熱にうなされておるのじゃ!小さな体で息も絶え絶えなのだぞ。
光…人質の事だが…。
・
(松寿丸)父上母上失礼致します。
いかがした?
(松寿丸)私が人質に参ります。
お前は控えておれ。
されど…。
控えておれと言うに!待て。
松寿何だ?はい。
昔父上が子どもの頃黒田の家を救った事があるとおじじ様からお聞きしました。
松寿も黒田の家を救いとうございます。
何を偉そうに。
こんなものもほどけたままで…。
お前はまだ子ども。
父上をお支えしたいのです。
黒田は小さな家なのでみんなで支え合わねば生き残れませぬ。
私もお役に立ちたいのです。
松寿お前は人質というものが何か分かっておるまい。
分かっています。
分かっておるまい!分かっています!謀反を起こさぬ証しとしてよその家へ行く事です。
周りは誰も知らない人ばかりなのですよ。
そのような所で年端も行かぬ身で一人で暮らしてゆける訳がない。
私は男です。
一人でも平気です。
何年もの間父や母に会えなくなるのですよ。
こらえます。
意地の悪い者にいじめられるかもしれぬのですよ。
負けません!何かあったら殺されてしまうかもしれぬのですよ!死ぬ事など怖くありませぬ!知ったふうな口をきくでない!松寿…。
お前に何かあったら母は…生きてゆけぬ。
母上…。
泣かないで下さい。
松寿はきっと無事に帰ってまいります。
約束します。
母上を悲しませたりは致しませぬ。
松寿!黒田官兵衛が一子松寿丸にございます。
(おね)いい子じゃ。
官兵衛殿安心しなされ。
松寿丸はこの私がしかと育てます。
はっ。
官兵衛殿。
光殿にもくれぐれもご安心なさるようお伝え下さい。
はっ。
羽柴様ご到着!官兵衛!天正5年10月秀吉がついに播磨へやって来た。
秀吉軍は西播磨へ出兵。
国境の上月城を攻めた。
上月には光の姉力が嫁いでいた。
官兵衛は上月勢に対し苦戦を強いられた。
(善助)殿を守れ!押せ〜!押せ〜!押し返せ!
(鹿介)や〜っ!や〜っ!や〜っ!や〜っ!や〜っ!お家再興に燃える山中鹿介ら尼子勢の奮戦により秀吉軍は一気に優勢となった。
(太兵衛)力様!姉上!どけ!
(九郎右衛門)力様!
(善助)なりませぬ!なりませぬ!
(力)離しなさい!もはや戦は終わりました!終わりなものか!せめて私だけでも殿のお供を!姉上!姉上!生きるのです。
生きよ!
(九郎右衛門)力様!
(泣き声)
(泣き声)
(泣き声)播磨は平定された。
間近に迫った毛利との決戦を前に秀吉は播磨の諸将を集め評定を開いたが…。
羽柴殿の言いなりになれというのでございますな?
(秀吉)そうではない。
それがしの采配に従って頂きたいと…。
同じ事でござる。
(領主)そうじゃ!やはりあの話はまことであったか。
何の話じゃ?織田殿は毛利を倒した暁にはこの播磨の地を丸ごと羽柴殿の領地にすると聞き及びました。
(領主)何!?どういう事じゃ!
(怒号)それはまことでござるか?まことの話だ。
お静かに!お静かに!お静かに!兄上根も葉もない話はおやめ下さい。
(広秀)官兵衛お主も知っておったのか!?知りませぬ!
(左京進)織田は信用できぬ!
(領主たち)そうじゃ!それがしは今決め申した。
毛利につく!
(領主たち)毛利じゃ!
(賀相)毛利は本領安堵。
毛利につかせてもらう!それがしも毛利につく!そうじゃ!わしも織田は信用できぬ!兄上待たれよ!待たれよ!播磨は再び分断した。
そして毛利が動いた。
毛利5万の大軍は尼子勢が籠もる上月城を包囲した。
(鹿介)大事ない。
さあ水じゃ。
しっかりせい!官兵衛!必ず援軍は来る。
それまでなんとか持ちこたえてくれ。
(秀吉)上様にお願いの儀があって参りました。
何とぞ上月をお救い下さい!今上月を見捨てれば播磨の者は皆織田を見限るおそれがあります。
何とぞお願い申し上げます!猿。
はっ。
上月は見捨てよ。
今何と…。
上月を見捨てよと言うた。
所詮は使い捨てか…。
(半兵衛)上月城の事でござるか?助けが来る事を信じ命懸けで籠城を続けた大事な味方をあのように無残に見捨てるとは…。
上様のなされようはあまりにも非情。
お主の目はくらんでおる。
お主は鹿介殿を救えなかった事で己を恥じているのであろう。
上月における上様のご決断は正しかった。
秀吉様とてほかに策などない事が分かっておったから従ったのでござる。
さような事は分かっておりまする。
ただ最良の策を考え実行する。
そのため嫌われ憎まれ命を落とす事があってもそれこそが軍師というもの。
情に溺れ泣き言を言っているだけでは鹿介殿も浮かばれまい。
今大事なのは毛利の大軍を食い止める事。
織田への裏切りをこれ以上広がらぬようにするためにも今やれる事をする。
それが軍師としてのお主の使命でござる。
私なりのやり方でやるべき事はやります。
鹿介殿や勝久様の死を無駄にしないためにも。
謀反じゃと?どうやら織田の調略の手が伸びているようで…。
調略?誰だ動いているのは?恐らく黒田官兵衛。
(舌打ち)
(元春)今西で謀反など起こったら我らは挟み撃ちになるな。
それだけならまだしも最も気になるのが宇喜多です。
相変わらず敵か味方かはっきりしませぬ。
これでは動けぬではないか!備前美作の国主宇喜多直家は病を装い旗色を鮮明にしなかった。
退屈じゃったぞお鮮。
(お鮮)病ではないのですか?お前を抱けば治る。
ハハハ。
ハハハハハハハハハ…。
宇喜多軍1万5,000の動向を計りかね毛利は播磨から兵を退いた。
(左京進)織田は上月を見捨て毛利は我らを見捨てた!乱世の盟約とははかないものよ。
だが…我らは播磨武士!意地を貫け。
よいか!
(家臣たち)はっ!官兵衛。
お前の勝ちだ。
うっ!宇喜多様のおかげで毛利は兵を退きました。
羽柴様も大層喜んでおられまする。
ふん。
それで酒を持ってまいったか。
ハハハ。
わしは何もしておらぬ。
礼を言われる筋合いはない。
そもそもお主の手柄ではないのか?調略をもって毛利の背後をかき乱した。
見事な働きじゃ。
いえ毛利が最も恐れておるのはやはり宇喜多様のお力でございます。
ハハハハハハ…。
ハハハハハ…。
官兵衛。
この世のあらゆる謀略と裏切りは全てわしの耳に入る事になっておる。
わしの知る限りそう織田の勢いが勝っているとは思えんがな。
どういう事でしょうか?西の方ばかり気にしておると背後を突かれるやもしれぬぞ。
安国寺恵瓊殿からの書状じゃ。
そのお方は確か毛利の…。
(荒木)わしが毛利につくというのなら大いに歓迎すると。
毛利には天下を取る野心はない。
織田を倒した暁にはどうぞ荒木殿が天下人におなりになるがよい。
毛利が支えるとある。
ハハハハハハハ…。
(右近)謀反など決してなりませぬ!殿には義がございませぬ。
それでは世の人々には受け入れられませぬ。
(清秀)お主はキリシタンに甘い上様に心酔しておるようじゃからのう。
せんだってもバテレンを連れて安土へ行ったそうではないか。
(右近)あれはお供をしたまで。
今はキリシタンの事は関わりありませぬ。
当家の行く末をのみ案じて言っているのです!かつてわしは本願寺の顕如に和睦を申し入れたが上様を信じられぬと断られた事がある。
その時顕如はわしに聞いてきたのだ。
お前は信長様を信じているのかと。
あの時からわしの心は決まっていたのかもしれぬ。
わしは…信長を信じる事はできぬ!殿!天下布武などまやかしだ!わしは信長がつくる世など見とうない!これより我らは織田信長を討つ!村重謀反を機に播磨の情勢は一変した。
それがしが有岡城へ行き荒木殿を説き伏せてまいります。
よくぞ言った!さすが官兵衛じゃ!よかろう。
村重を説き伏せる事ができればわしも考え直す。
一人で来たか官兵衛。
むちゃなやつだ。
本日は腹を割って話がしたいと参上つかまつりました。
(荒木)おことの用向きは聞かずとも分かっておる。
もはや手遅れじゃ。
まだ間に合います!小寺の殿と約束をしてまいりました。
荒木殿が翻意なされば我が殿も考え直すと。
(荒木)御着の政職殿からだ。
(荒木)それを読んでわしは背筋が寒くなった。
官兵衛がそちらに行くので殺してくれとはな。
(荒木)主に裏切られたのじゃよ。
殿が…政職様が…それがしを…裏切った!
(政職)官兵衛は邪魔だ。
あやつにあちこち動き回られたら面倒な事になる。
小寺が播磨一国の国主になるためにも消えてもらうほかあるまい。
わしはおことを殺しはせぬ。
それよりも手を組みたい。
のう官兵衛織田を見限りわしに味方せぬか?我らが手を組めば天下も夢ではないぞ!お断り致す。
それがし断じて裏切りは致しませぬ。
おことこそ裏切られたのだぞ!そのように人のよい事でこの乱世生き残れぬわ!あがいてみせまする。
ならば致し方ない。
道を空けよ!殺すぞ!殺すな!殺してはならぬ!どけ〜!どけ!どけ!あ〜っ!官兵衛は捕らえられその消息が途絶えた。
あ〜っ!信長は有岡城を攻めたてたが思わぬ苦戦を強いられた。
(使番)申し上げます!お味方城内へ攻め込むも苦戦。
万見殿お討ち死に!
(秀吉)何!?
(使番)敵の罠にはまり城内へおびき寄せられました。
ごめん。
(長秀)おのれ村重め!悪知恵を働かせおって!
(一益)我らの攻める手順が読まれておる。
何故じゃ!?
(光秀)よもや村重がここまで戦上手とは…。
村重ではない。
官兵衛だ。
官兵衛が裏切った。
官兵衛に限って裏切るなど断じてございませぬ!人質に取った息子松寿丸の首をはねよ。
本日は信長様の命により参上つかまつりました。
それがしが首をはねる事と相なりました。
松寿丸はいずこに?本気でお言いか!?あのような年端も行かぬ童をまことに殺すおつもりか!?はい。
(荒木)官兵衛。
信長はやはり鬼だ!
(荒木)おことの息子を殺したそうだ。
ばかな…。
嘘ではない。
たばかるつもりか?信長様は…そこまで愚かではない。
官兵衛息子の仇を討て。
わしと共に信長を討つのだ!秀吉様。
官兵衛の事で何か分かった事が…?
(秀吉)職隆殿…。
光殿…。
松寿が…上様のお下知により成敗と相なった。
何故…?
(秀吉)上様は官兵衛が荒木村重に寝返ったと決めつけられた。
それゆえにござる。
すまん。
羽柴様…。
松寿を人質に出した時からこのような日が来る事は覚悟しておりました。
これも武家に生まれた者の定め…。
されど!殿が裏切るはずがございませぬ!それなのに…何故…何故松寿は…。
羽柴様松寿をお返し下さいませ!
(職隆)光!光!お福おゆう!松寿を…。
取り乱しておるゆえ下がらせまする。
(お福)お方様…。
(おゆう)お方様!お方様参りましょう!秀吉様…。
…うむ。
それがしは…跡継ぎを…2人とも…。
2人とも失ってしまいました。
松寿は成敗され官兵衛は敵に捕らわれいつ死ぬやもしれませぬ。
もはや生きる望みさえ失いかけております。
職隆殿…。
こたびの事は全てこの秀吉の力不足が招いた事…。
されどあえて言わせて頂く。
織田家と共に歩む事…。
それこそが…黒田の生き残る道!
(だし)官兵衛様…。
官兵衛様死んではなりませぬ。
官兵衛様…。
官兵衛様…。
有岡城は長引く籠城戦で孤立していた。
村重は毛利に援軍を頼むと称し城を抜け出した。
・
(銃声)
(文四郎)織田の総攻めが始まりました!行くぞ!
(太兵衛)はい!
(だし)和泉殿!
(和泉)お先に!ごめん!
(銃声)
(侍女たち)キャ〜!
(九郎右衛門)急げ!敵じゃ!
(九郎右衛門)こっちだ!殿殿!
(善助太兵衛)殿!はっ!ううう…。
殿!殿!あ〜っ!殿…。
善助…。
九郎右衛門…。
太兵衛…。
待っておったぞ…。
あ〜あ…あ…。
(太兵衛)殿いかがなされましたか?生きておる…。
はい!殿は…殿は生きておいでにござります!行くぞ!
(太兵衛)はい!何用じゃ?猿。
はっ。
有岡城にて思わぬ拾い物を致しました。
拾い物?はっ。
黒田官兵衛にございます!
(秀吉)この姿をご覧になればお分かり頂けたと思います。
黒田官兵衛決して裏切ってはおりませぬ!上様何とぞ官兵衛の事をお許し願いとう存じまする!許す。
ありがたき幸せ!官兵衛。
わしはそちにわびねばならぬ事がある。
恐れながら!実はいま一人お目通りを願っておる者がおります。
小六!父上!私松寿です!松寿…。
父上!松寿…。
松寿…。
父上…。
(泣き声)父上!松寿!ご覧のとおり松寿丸は生きております。
殺さずに匿ったのは今は亡き竹中半兵衛にございます!回想
(おね)松寿を匿う?秀吉様には内密にします。
知っていたとなれば上様に背いた事になりますゆえ。
しかし…それでは半兵衛殿が…。
それがしはもう長くはありませぬ。
この事はそれがしとお方様2人限りの秘密でございます。
半兵衛殿…。
歩かれますか?光…。
殿…。
よくぞ…ご無事で…。
何故…?矢も楯もたまらず…来てしまいました。
(松寿丸)母上!松寿!母上…。
松寿…。
松寿!母上!松寿…。
播磨では三木城の別所長治がいまだ織田に抵抗していた。
その降伏を促すために送られたのは官兵衛だった。
(賀相)久しぶりだな官兵衛。
地獄から舞い戻ったか。
いかにも。
本日は地獄からの使者として参上つかまつりました。
(重棟)長治。
2年の長きにわたってよくぞ戦った。
長治様とご一族がお命を差し出せば残る家臣は助けると羽柴様は仰せでございます。
長治早まるな!援軍は必ず来る。
それまでこらえるのだ。
毛利は動かぬ!摂津の有岡城の末路はご承知のはず。
長治様…。
家臣を守るのも城主の務め!その務めを果たさねば荒木一族の二の舞になりまするぞ。
(泣き叫ぶ声)
(賀相)皆殺しにすると言うのか?刃向かう者は容赦はせぬ。
それゆえ…。
地獄からの使者と申したのでございます。
そうか!承知したか!ハハハハハハハハハハハ。
つきましては城内に酒肴をお贈り下さるのがよろしゅうございます。
(蜂須賀)酒と肴?城兵を救った上酒肴を贈る事で我らの恩情を世間に知らしめるのでございます。
さすればお味方の評判も上がり今後播磨を治めるにあたって何事もやりやすくなるに相違ございませぬ。
(秀吉)さすがは官兵衛じゃ。
早速手配せよ。
はっ。
(ため息)
(蜂須賀)官兵衛は何やら変わったのではあるまいか?
(小一郎)ああ。
以前にも増してよう切れる。
怖いくらいじゃ。
・
(善助)殿!殿!御着の小寺政職殿を捕らえました。
政職は三木城陥落の報せを聞くや城から逃げ出していた。
(政職)官兵衛…。
堪忍してくれ。
わしが悪かった。
全ては小河や江田に唆されての事。
わしの本意じゃなかったのじゃ。
官兵衛。
縄を解いてさしあげよ。
はっ。
皆下がれ。
(一同)はっ。
(斎)官兵衛官兵衛!父上を…父上を助けてくれ!官兵衛!官兵衛!武士らしく腹を召されよ。
(泣き声)できぬ!嫌じゃ!嫌じゃ!嫌じゃ!官兵衛…。
許してくれ…許してくれ。
できぬ…わしにはできぬ。
官兵衛!堪忍してくれ官兵衛…官兵衛!かくなる上は…。
致し方ございませぬ。
(政職)官兵衛許してくれ…。
官兵衛!官兵衛頼む…堪忍してくれ官兵衛。
城主としての務めを果たされよ。
官兵衛…許してくれ官兵衛!殿!官兵衛…。
(斎)職隆殿!父上を…父上を助けて下さい。
頼む!
(政職)官兵衛!あ〜!小寺…。
覚悟!あ〜っ!ハァハァハァ。
ハァ…ハァ…。
ハァハァハ〜。
ハァ…ハ〜。
官兵衛…。
すまぬ…。
斎…斎!藤の花か?はい。
この藤を黒田家の新たな紋所として定めようと存じまする。
何故藤の花じゃ?それがし1年にわたり有岡城の土牢に幽閉をされておりました。
その時牢の中から見えたのがこの藤の花。
藤の花を見るとあの時のつらい思いが今でもよみがえる。
それと同時に生きようという思いもわいてくる。
我らは多くの死を見てきた。
身内…家臣…そして恩人…。
その思いをこの家紋に込める。
天正9年毛利勢を山陰から攻めるにあたり官兵衛は明智光秀の助力を仰ぐため坂本城に行った。
・
(侍女)姫様お待ち下さい。
姫様!
(倫)ご無礼致します。
黒田様がお越しとお聞きし是非ともご挨拶をとまかり越しました。
明智日向守が娘倫にございます。
もしや…。
はい…。
荒木村重様の嫡男村次の嫁でございました。
今はこうして里に戻っております…。
(泣き声)
(倫)あの時城に残った者はことごとく上様のご成敗と相なりました。
まだほんの幼い童や着飾った若い娘たちの笑いさざめく姿が思い出されます。
(光秀)お倫!何を致しておる?
(光秀)下がりなさい。
(光秀)有岡城より連れ帰ってからというものずっとふさぎ込んでおってのう。
時に聞いたか?荒木村重の事を。
毛利を頼って安芸におるという噂だ。
(光秀)わしは村重と親しかったゆえあの男の気持ちが分かるような気がする。
(雷鳴)
(雨音)恐ろしかったのだ…上様が。
わしとて上様は恐ろしい。
だがそれゆえ懸命に働くのだ。
信長は6万の大軍で東へ向かい甲斐の武田をついに滅ぼした。
信忠大儀であった。
(信忠)はっ。
(信長)徳川家康には駿河河尻秀隆と穴山梅雪には甲斐を分かち与える。
そう申し伝えよ。
(信忠)かしこまりました。
・
(蘭丸)上様!
(蘭丸)武田に身を寄せていた六角次郎の行方がようやく分かりました。
何!見つけたか!どこにいた?甲斐の恵林寺に潜んでおります。
今度こそ首をはねてやる。
(蘭丸)されど恵林寺の快川和尚が引き渡しを拒んでおります。
それですごすご引き下がってきたのか!はっ。
引き渡さぬなら寺ごと焼き払え。
(蘭丸)はっ。
お待ち下さい!恵林寺の快川和尚は帝に仏法をお教えする国師にございます。
六角をかばうなら同罪。
国師などという称号に意味はない。
快川和尚は光秀にとって学問の師であった。
しかし信長は容赦なかった。
(せきこみ)
(快川)「心頭滅却すれば火もまた自ずから涼し」。
(読経)
(光秀)なぜだ…なぜここまで…。
(兼孝)信長様はこのまま捨て置いてはならんなあ。
どないしますか?松寿丸は元服して長政と名を改め岡山で初陣に備えていた。
(長政)今度こそ戦かと思ったら別の城に移っただけではないか。
一体いつになったら初陣がかなうのだ。
長政何をそう焦っておる?
(長政)誓いを立てているゆえ…。
ほ〜う何の誓いだ?それは言えませぬ。
若心配せずとも戦は近いですぞ。
においがします。
におい?戦にはにおいがあるのです。
ここへ来てぷんぷんにおいます。
(においをかぐ音)何のにおいもせぬぞ。
官兵衛は毛利の守りの要備中高松城の清水宗治を調略しようとしていた。
(宗治)それがしがたやすく心を変えるとでもお思いか?思いませぬ。
ならばなぜ参られた?無益な戦を避けるため…。
清水殿を死なせぬためでございます。
あなたのようなお方が勝ち目がないと分かっている戦で命を落とすのはもったいのうございます。
フフフフフ…。
もったいないとは面白い事を申される。
命には使いみちがございます。
昔我が祖父に教わりました。
命を無駄に使ってはなりませぬ。
そのお言葉のとおり今がまさにそれがしの命を使う時でござる。
毛利家のご恩に報いるためにはただ死あるのみ。
官兵衛は高松城攻略の策を練った。
お〜。
(蜂須賀)お〜何じゃこれは?高松城とその周辺にございます。
三方を山に囲まれこちらには足守川…城を真ん中にこの辺りはすり鉢のようになっておりまする。
(秀吉)ここが開いておるのう。
はい。
堤を築き山との間を塞ぎます。
(蜂須賀)お〜!次は川じゃな。
はい。
川の流れを変え上流から水を流し込む。
時期は梅雨時。
雨も手伝い高松城は水の中へ。
(三成)なるほど。
(小一郎)一円を湖にするのか!水攻めか…ハハハハハハハハ。
敵は城から出る事がかないませぬ。
兵糧は水浸し。
これぞ戦わずして勝つ策の最たるもの!面白い!このような奇抜な策官兵衛にしか思いつかん!早速取りかかれ!高松城水攻めじゃ!
(一同)はっ!
(秀吉)ハハハハハハハハハ…。
5月15日。
この日信長から最も信頼された盟友徳川家康が安土城に入った。
(信長)徳川殿。
遠路はるばるようおいでになられた。
(家康)わざわざのお出迎えかたじけのう存じます。
駿河を賜ったお礼言上にまかり越しました。
信長から家康の接待役を命じられていたのは明智光秀であった。
(信長)光秀。
何だこれは?は?味が薄い。
それは京好みの味付けにござりますれば…。
(信長)徳川殿の好みに合わすのだ。
それがお主の役目であろう!申し訳ございませぬ。
直ちに別のものを。
それには及びませぬ。
それがし京の味気に入りました。
あともう少しか…。
(兵庫助)堤を造るだけの戦とはこんな事初めてだ。
ハハハ。
(善助)殿らしい戦でございます。
(太兵衛)うむ。
殿は御天道様まで味方につけておる。
すごいお方だ。
(九郎右衛門)太兵衛食い過ぎだ。
年を考えろ。
長政!長政!
(長政)はっ。
喜べ!又兵衛じゃ。
又兵衛が帰ってきよった。
又兵衛が!?
(善助)お〜ようございましたな若。
(長政)ああ。
一日でも早く会いたいものじゃ。
よしやるぞ皆!
(一同)オ〜!・「思いきらりょう」
(一同)・「やれ〜」
(一同)・「忘りょうやれ〜」
(太兵衛)もう少しじゃ。
(一同)・「忘りょうやれ〜」5月19日高松城を取り囲む堤が完成した。
工事に着手してから僅か12日という驚異的な速さであった。
(蜂須賀)ついに出来たか。
(小一郎)前代未聞じゃ。
(秀吉)皆の衆覚悟はいいか?
(一同)はっ!
(秀吉)佐吉。
(三成)はっ。
高松城を水に沈めよ!
(三成)はっ!鳴らせ。
(家臣)はっ。
(ほら貝の音)
(太鼓の音)
(ほら貝の音)
(太鼓の音)
(ほら貝の音)
(秀吉)お〜来た!水が来た官兵衛!
(一同)お〜!
(兵庫助)何だこれは…。
(長政)これが水攻めか…。
(騒ぐ声)
(宗治)皆落ち着け!玉薬も兵糧も上に上げるのじゃ!
(一同)はっ!これが黒田官兵衛の策か…。
(恵瓊)よもや水攻めとは…。
あのような事をされてはもはや戦にはなりませぬ。
(恵瓊)和睦したいと輝元公は仰せでございます。
和睦か…。
そちらの条件は?備中をお譲り致す。
そのかわり高松城の将兵をお救い願いたい。
間もなく信長公が出陣なされます。
御自ら采配を振るい毛利を滅ぼすおつもりです。
その信長公に得心をして頂くにはよほどの事がない限り難しゅうございます。
5か国…。
(恵瓊)以前官兵衛殿が言っておられた5か国織田に譲る。
それでいかがでござる?
(秀吉)それだけでは足りぬ。
領地ではない。
清水宗治の首でござるか?城主の首がなければ我が主は得心せぬ。
回想
(信長)天下布武がなった暁にはわしはこの国を造り替える。
(光秀)世の中を造り替えるとは一体どのようになさるおつもりで?日の本に王は2人も要らん。
(雷鳴)
(光秀)「ときは今雨が下知る五月かな」。
5月29日信長は上洛し僅かな手勢のみを連れて本能寺に入った。
信忠。
天下布武がなった暁には織田の全てをお前に任せる。
全て?うむ。
わしにはこの国が小さすぎる。
(信長)わしが欲しいのは世界だ。
世界でございますか?私はどこまでもついてまいります。
好きにせよ。
はい。
いつまでも仲むつまじいご様子。
何よりでございます。
父上母上私はそろそろおいとま致します。
うむ。
(お濃)お気を付けて。
信長は天下をつかみかけていた。
乱世は終わり新しき世が始まるはずであった。
(利三)止まれ〜!止まれ〜!我らはこれより京へ向かう。
敵は本能寺にあり!
(一同)オ〜!官兵衛は迫り来る嵐の事をまだ知らなかった。
殿のご運が開けたのですぞ。
ご運が開けました。
2014/12/27(土) 13:05〜15:00
NHK総合1・神戸
大河ドラマ「軍師官兵衛」総集編(前編)[解][字]
豊臣秀吉に天下を取らせた天才軍師の波乱の生涯を描いた大河ドラマの総集編・前編。黒田官兵衛(岡田准一)は播磨姫路の城主。織田信長(江口洋介)に認められ世に出る。
詳細情報
番組内容
黒田官兵衛(岡田准一)は播磨・姫路の城主の嫡男。父・職隆(柴田恭兵)の命で小寺政職(片岡鶴太郎)に近習として仕える。やがて、光(中谷美紀)と結婚し家督を継いだ官兵衛は織田信長(江口洋介)に味方するよう政職に進言。岐阜城で信長に認められ、秀吉(竹中直人)と出会い、共に播磨攻略を進める。しかし運命は暗転、政職のわなに落ち、兄と慕った荒木村重(田中哲司)に1年間幽閉され、官兵衛は異形の軍師へと変貌する。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,寺尾聰,江口洋介,竜雷太,片岡鶴太郎,黒木瞳,竹中直人,柴田恭兵,谷原章介,松坂桃李,内田有紀,生田斗真,春風亭小朝,高岡早紀,田中哲司,桐谷美玲,別所哲也,吹越満ほか
原作・脚本
【作】前川洋一
ジャンル :
ドラマ – 時代劇
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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