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三春に子会社アニメ聖地に エヴァンゲリオン制作のガイナックス

 人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を制作したガイナックス(東京都)が子会社を設け、4月に三春町の旧桜中校舎で作品作りを始める。社長に就く浅尾芳宣さん(46)は福島市出身。「古里の復興に役立ちたい」との思いから、県内に拠点を設ける。地元から社員を採用する計画だ。アニメの制作工程を学ぶミュージアムを併設する予定で、春の「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、新名所が誕生する。
 アニメやゲームソフトの作品を幅広く企画・制作しているガイナックスが設立する子会社は「福島ガイナックス」。ガイナックスのプロデューサーを務める浅尾さんが社長を務め、三春町鷹巣字瀬山にある旧桜中校舎を借り受けて業務を始める。
 ガイナックス本体からの出向者や新規採用者ら約30人が勤務する。郡山市や仙台市などの専門学校でアニメを学ぶ学生の雇用も検討する。旧校舎1、2階の一部で、アニメーターやコンピューターグラフィックス(CG)の技術者を養成しながら映像作品を制作する予定だ。
 アニメの制作工程を学ぶミュージアムも旧校舎内に設ける。常設展や企画展を開き、県内外から教育旅行などを受け入れる。本県では4月、JRグループのふくしまDCが始まる。町はミュージアムを県中地方の新名所として売り出す。旧校舎は国指定天然記念物の三春滝桜近くにあるため、周遊ルートを設ける案も浮上しそうだ。
 ガイナックスは数年前から業務拡張に向け地方への進出を検討していた。浅尾さんが中心となり候補地を探したが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した古里の復興に貢献したいとの思いが強くなり、三春に新たな拠点を設ける。
 桜中は平成25年3月、少子化に伴う中学校再編で閉校した。旧校舎は平成3年に完成し、鉄筋コンクリート造り2階建て。滝桜や三春ダムに近いため、町民から利活用を望む声が上がっていた。現在は、町の第3セクター三春まちづくり公社を指定管理者とする交流施設になっている。

■19日、町と立地協定
 三春町とガイナックスは19日、郡山市内で企業立地協定を締結する。終了後、浅尾さんらが記者会見する予定だ。

■福島ガイナックス社長に就く 浅尾芳宣さん(福島市出身) 古里復興役に立ちたい
 福島ガイナックスの社長に就く浅尾芳宣さんは福島民報社のインタビューに応じ、本県に新たな拠点を置く意義などを語った。
 -三春町への進出を決めた経緯は。
 「震災と原発事故以前から、ガイナックスは地方でのアニメ制作を構想していた。福島県は県内外に子どもが避難している状況にあり、復興の役に立ちたかった。候補地を探す過程で地元の理解があり、交通の便の良い郡山市に隣接する三春が適当と判断した。観光地として知名度があり、校舎の状態が良い点も魅力だった」
 -事業開始に向けた意気込みは。
 「アニメの制作技術はすぐには身に付かないが、将来的には福島県から国内外に向けて魅力ある作品を発信したい。福島の子どもたちにアニメの世界に親しみ夢を持ってほしい」

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福島ガイナックスが入居する三春町の旧桜中校舎
福島ガイナックスが入居する三春町の旧桜中校舎

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