(車内アナウンス)「レディースアンドジェントルマンウェルカムトゥザシンカンセン。
ディスイズヒカリスーパーエクスプレスバウンドフォーヒロシマ。
ウィーウィルビーストッピングアットシンコウベオカヤマビフォーアライビングアットヒロシマターミナル」。
(車内アナウンス)「停車駅の到着時刻をご案内致します。
次の新神戸には14時12分に着きます。
岡山14時45分広島15時28分に到着致します」。
(到着メロディー)
(車内アナウンス)「間もなく新神戸です。
お出口は左側です。
地下鉄線をご利用の方は改札口を出て地下ホームへおいで下さい。
お降りの時は足元にご注意下さい」。
(沢村)ロシアン?フレンチ?それかブラジリアン?
(中田)日本人でしょ。
顔見た?チラッと。
ちょっと確かめてきて。
嫌っすよ。
だっていないよあんな脚長い日本人。
まあハーフかもしれないですね。
ハーフ?う〜わ知りてえ。
…っつうか顔見てえ〜。
(車内アナウンス)「間もなく新神戸です。
乗り換えのご案内を致します。
三宮へお越しのお客様地下鉄線をご利用下さい」。
新神戸か。
あと1時間半ぐらいだな。
広島着いたらチェックインすんだろ。
お前の言ってたかわいい子のいる店。
あそこ飯食えるの?もしそこで食えるんならそこで食っちゃうのも手だよな。
あっ。
(沢村)うん?やっぱ食えない?ちょっと…。
(沢村)どうした?すいません。
降ります。
降りる!?何それ?おい!
(沢村)意味分かんねえ。
あっ!あれ!もしもし。
(沢村)お前何降りてんだよ。
すいません。
女は?あの国籍不明の女だよ。
女?ああ降りてますね。
女の顔写メ撮って送って。
はあ?追っかけんだよ女を。
いいから。
えっマジで言ってるんすか?そんなの俺怪しすぎるじゃないですか。
うるせえよお前。
何だいきなり新神戸なんかで降りやがって。
広島の出張前乗りして遊ぼうって言いだしたのお前だろうがよ。
こっちにはこっちの理由があるんですよ。
また話しますからちゃんと。
ああいい話さなくて。
俺はお前の理由より女の顔が見てえの。
とにかく女の顔写メ撮って送って。
お前絶対送れよ。
いいな?すいません。
すいません。
あの神戸の方ですか?そうです。
はい。
新神戸から三宮って歩いたらどのぐらいかかりますか?そうですね…。
元町から三宮くらいですか?…っていうか関西の方じゃないんですか?え?私ですか?違いますよ。
でも関西弁出てはりますよ。
ほんまや。
あれ?知らん間に…。
三宮まで行かはるんですか?はい。
じゃあ一緒に行きましょうよ。
僕もちょうど三宮行こうと思ってたんで。
いえいいです。
いやでも…。
私逆ナンとかそういうんやないんで。
僕もそんな逆ナンとかナンパとかそんなんじゃないんですけど。
いやいや本当いいですから。
いやいやあの違うんですよ。
僕神戸の人間じゃないんですよ。
えっと…もともと神戸だったんですけど今は東京の人間で。
そのだからえっと…。
久しぶりに関西弁でしゃべりかけられたからうれしくなってしまって。
だからその何て言うんかな…?神戸15年ぶりやから逆ナンとかじゃなくてその…あの〜つまり写メ一発撮らせてもらえへんかなっていう。
そうなんですか。
…駄目ですかね?いや15年ぶりなんですか?ああ…まあはい。
そっか。
じゃあお願いします。
あ…はい。
何か街が新しい。
どうします?どっかでお茶とかします?あ…はい。
これ何書いてるんですか?こういう花びらに「あなたにとって震災とは」というメッセージを書いてもらっててこうして花にする事で街行く人に見てもらって震災と向き合ったり震災の事を伝えるっていうプロジェクトなんです。
そうなんや。
ええ事やな。
紙もらいに来て家で書いてこなあかんな。
是非お願いします。
お願いします。
若い人がやろうっていう…震災について向き合って。
知らん人やもんな。
そうですね。
私らは震災の真ん中におったでな。
私は13年ぶりの神戸なんですよね。
どこに住んではったんですか?うん?だからあの神戸の時は?ああ灘です。
へえ〜私は御影やったんですよ。
近いじゃないですか。
そうですね。
当時はおいくつやったんですか?当時って?あのだから…地震の時は。
ああえっと10歳ですね。
小4。
ああ。
私は中1やったんで3個上ですね。
じゃあ今28ですか。
はい。
へえ〜。
ちょっとすいません。
先輩からちょっとメールで。
それじゃあ…。
は…はい。
あれですか?地震があってすぐあとに引っ越ししはったんですか?そうですね。
僕はだから震災が起こってその年の冬にはもう東京に出ました。
私は中3の時に東京引っ越してから13年ぶりの神戸ででも同じような人がいてるんやな思たら何か安心しました。
あの〜。
(シャッター音)すいません。
よかったら晩ごはんとか食べ行きません?でも約束とかないんですか?はいないんです。
そうっすか。
はい。
何か三宮めっちゃ懐かしくて。
でも私来た時まだ中2とか中3なりたてぐらいやったんですけどブルーシートとかいっぱいあって…。
街がすごい煙かったというか壊れてるもんもまだあったような気もするし。
そうですね。
あの…。
あの〜!荷物入りますよ。
ああ。
でっかい方しか空いてなくて。
あそうっすか。
じゃあすいません。
どうぞどうぞ。
何かやっぱ神戸っていいっすね。
何かね。
800円って…。
うん?んんん…何?お前…お前何?一緒に飲んでるの?ひょっとして。
そうですね。
今一緒に飲んでるんです。
お前ふざけんなよ。
俺が一人で牛丼食ってるのに何自分だけいい夢見てんだよ。
いや全然いい夢見てないんですよ。
何かねとっつきづらいんですよ。
明るいんだか暗いんだかよく分かんねえし。
超酒飲むしその割に何も盛り上がんねえし。
それでスリーサイズいくつだって?聞いてないっすよ。
携帯番号は?聞いてないです。
どっちか聞いてよ。
嫌ですよ。
いいじゃんよお前。
即行帰りてえぐらいなんだろ?まあそうっすけど。
だったら女が怒って帰ったって別にお前に害ねえじゃん。
だって俺一人で牛丼なんだよ。
ねえ。
あ〜あ。
(ため息)…にしてもスタイルいいですよね。
いや全然。
すいませんあの…たばこ1本もらっていいですか?ああどうぞどうぞ。
すいません。
スリーサイズとか聞かれません?よく。
いや全然全然そんな聞かれないです。
電話番号とかもよく聞かれるでしょう?ありえへん。
どっちか聞かしてもらえへんかなと思うんですけどどっちでもいいんですけどどうでしょう。
090…。
はいはい。
入れて。
「090」はい。
自分で入れます。
酔ってます?何で?いやいやえらいあっさり教えてくれんのやなと思って。
ふだんは私こういうタイプなんですよ。
こういうタイプ?こういうタイプ。
そうそう。
ナンパ…いやもうむしろ逆ナン好きみたいなね。
酔ってます?どないやろね。
酔ってますよね多分。
いや酔ってないです。
けど何やもう新神戸降りてからずっと緊張しとって。
もう13年もたってるしええ大人やしもう大丈夫やろ思ってたんですけどね。
やっぱこんな緊張すんのやなって。
「ゆっち」っていう友達がいてたんですけど…。
まあええわ。
あの明日の東遊園地って行きはりますよね?東遊園地?うん三宮の。
遊園地あるんですか?いやいや遊園地とかじゃ全然ないんですけど1月17日にみんなでお祈りするやつ。
あ…いや一応予定はないすね。
え?行かないんですか?そのために神戸に来たんやないんですか?いやいやそうだ何となくですね。
何となく?そうなんや。
そんなんありなんや。
え?なし?いやいや。
なしですか?私はもうずっと行かなな〜思うててでも決心が全然つかんくて…で13年たってやっと明日行くんですよ。
けどめっちゃ嫌で。
じゃあ行かんかったらいいじゃないですか。
いや駄目なんです。
行かな駄目なんです。
身近に亡くなった人とかいてないんですか?そうですね。
僕はそういない…いないんですよ。
だからまあだからって訳じゃないですけど地震とか神戸とかそんな思い入れないっちゃないんかもしれないですね。
ないんですか?うん。
全然ない。
俺むしろ神戸嫌いですもん。
嫌いなんですか?めっちゃ嫌い。
え〜!アハハ。
じゃあ何でここにいてはるんですか?何でやろ。
ハハッ。
すいません。
すいませ〜ん!
(店員)お伺い致します。
これもう一杯同じの下さい。
でも分かるような気ぃしますよ。
何か地震が終わったあとって何や見たくないもんようけ見てしまいましたしね。
「このおばちゃん仏様みたいな顔してこんなせこい人やったんや」とか子ども心にいろいろ思たもん。
中1やったらまあ俺よりやっぱりいろいろ見えてた部分もあるんやろな。
小3?小4やったっけ。
小4です。
あ小4。
だから何やろ…。
地震…地震自体まあ怖かったなっていう記憶もありますけど何やろなそれよりも何かこう地震で学校無くなってラッキーやなぁみたいな。
そんなんもあったりして。
あ〜それは思た。
冬休みの宿題。
宿題。
やっぱやってませんでした?いやいや書き初めだけが残っててんけど学校行ったんですよ。
そしたら学校行く道にコンクリートがこうバーンなってたりとかして。
なってましたね。
なってましたね。
「ゴジラが通った跡か!」みたいな感じやって。
もう何か信号とか電信柱とかめっちゃ倒れてたりとか。
…で行ったんです。
そしたら先生に「ここはもう君たちが来る所じゃない。
避難所になってる」って言われて結局出さんかったかな。
俺は本当に全然宿題やってなかったから。
アハハ!それでもう地震で学校無くなったから漢字ドリルとか半分以上やってなくて「もうこれやらんでええんや」思ってごみ箱に投げ捨てましたもん。
え〜?それはよかったな。
2,000円の焼き芋屋って来んかった?どうや…そんなんおったんですか?いや来たんですよ。
焼き芋一本2,000円で売りつけにくる焼き芋屋。
私もう腹立って。
車に石ぶつけたった。
アハハ!あんなん冷やかしやと思いません?ね。
それとかあの…うちの近所に大根を一本1,000円で売ってもうそんなん値上げして売ったから「もう絶対あんな店ありえへんな」って言って「あんな店潰れたらええねん」て言うてたんですよ。
そしたらほんまに潰れてざまぁ見ろ思いましたね。
う〜んでも…別に悪くないんじゃないんですかそれ。
え?うん悪くないですよ。
そのスーパーも焼き芋屋も。
だって焼き芋一本2,000円ですよ。
それはだから需要が増えたから単価が上がったってだけの話やから。
でもみんなが困ってる時にな…。
買いたい人は買いたい。
買いたない人は買いたない。
それでいいんですよ。
最低やんその根性が。
人の弱みにつけ込んで…。
しょうがないんですよそれが相場やから。
俺のおやじはそれでもうけて東京で会社興したんです。
え?俺のおやじはね屋根屋やったんですよ。
やっぱり地震が起こってどんどんどんどんやっぱり仕事依頼される事も多くてまあそれで調子乗って10倍ぐらいまで値段をはね上げたんですよ。
吹っかけたんですよ。
それでもやっぱり払う人おったからボロもうけですよ。
フッ。
まあ俺はそれで「はみご」になりましたけどね。
やっぱ同級生のやつらの屋根とかも結構やってたからそれをみんな知ってどんどんどんどんどんどんどんどんみんなが口利かんようになってきてでもまあそうすね…それで俺は年末に東京に出たしごっつええマンションに住めたし事務所も開いたし賢かったんちゃうかなとは思ってるんですけどね。
自分の親ながら。
ハハッ。
悪いけど…私はそれ賢いか知らんけど偉いとは思わへん。
まあまあ自分がどうしようもないパニクってる状況になった時に一番早く頭を利かせて機転利かせて得をした人間っていうのに結局そういう人たちってやっぱり嫉妬するんですよ。
羨むんですよ。
私の分これで足りますかね。
足りるんちゃいますか?お先です。
もう会う事もないと思いますけど。
さよなら。
(店内のざわめき)
(店員)ありがとうございま〜す!
(自動音声)「番号をお確かめになって…」。
(舌打ち)そんなもんかい。
(店内のざわめき)すいません。
あのさっきの男の人…。
(店員)もう帰られました。
え?えっ!
(構内アナウンス)「0時33分発普通電車大阪行き本日最終電車となります。
0時33分発普通電車大阪行き本日最終電車となります」。
(靴音)はぁはぁ…。
どうも。
電話したんすけど。
え?携帯。
つながらなかったっすよ。
ああ。
あれ携帯番号やないんで。
は?スリーサイズなんで。
「09005609100」。
「0」取って下さい。
9…。
905691。
すごいっすね。
全然。
それ本当のスリーサイズやないんですけどでも逆ナンの時によう使う手なんですよ。
携帯番号やないって分かっても角立たへんでしょ?プロっすね。
いや全然。
(2人のため息)終電なくなってしまいました。
もうタクシーしかないっすね。
あっちタクシー乗り場ですよ。
いや歩きます。
私お金ないし。
どこまで?御影。
おばあちゃんちがあるんで。
はあ〜。
じゃあまあ僕はこの辺でビジネスホテルでも探します。
えっ!?何すか?送ってくれないんですか?どこまで?おばあちゃんち。
それ御影でしょ?冗談でしょ。
いや御影まで行って三宮まで戻ってくる。
戻ってくる?うん。
明日の朝東遊園地で5時46分からお祈りあるから。
いやいやなおさらムチャクチャじゃないですか。
いやいや大した事ないですって。
だったら別に御影まで行ってこっち戻ってくる必要ないじゃないですか。
こっちにおったらいいじゃないですか。
歩いてみたいっていうのもあるんですよね。
結構おもろいかもなって。
おなか減ったらコンビニの肉まん買うたりとかして。
じゃあ楽しんで。
いやいや。
一人でやってもつまらないやないですか。
知りませんよ。
いや〜ほんまにちょっと三宮に泊まりましょうよ。
俺も今からビジネスホテル探すんやし何やったら一緒に。
最低。
はあ?最低や。
いやいや全然そんな意味で言ったんじゃないですから。
さっきスリーサイズ聞いてたやないですか。
あれは別に俺が聞いた訳じゃ…。
歩くか。
じゃあよろしくお願いします。
いんじゃんで決めへん?何のですか?かばん。
はい?かばん。
かばんが何ですか?かばんを持つじゃんけん。
いんじゃんでほい!負けたもんが持つって言ったじゃないですか。
はい。
これいじめや。
うわハッハッハッハッハ…。
ひゃ〜寒〜い。
あ〜もう嫌や!ここ朝までライブとかやってないんですか?いやあかんてあかんて。
御影まで行かなあかんねん。
休憩していきます?ああ寒い。
何か楽しなってきたな。
重うないですか?大丈夫ですか?持ってくれるの?いや10分でしょう?はい。
あと10分。
ええよ。
荷物10分交代でええよ。
はいはい。
ねえこれどっからどう行く?線路沿い歩いても着くやんね。
それか国道沿いがいい?寒うない方で。
どっちがおもろい思う?どっちも面白くないと思う。
また〜。
チャリが何よ?チャリ。
だから何?借りていきましょうよこれ。
えっパクリやん。
ベコベコやし鍵も大丈夫ですよ。
絶対嫌。
だから帰りしにここにまた返しといたらいいんですよ。
嫌。
だって御影でしょ?ほんまに無理やと思いますよ。
私小さい頃乗り捨てされた事あってめっちゃかわいそうやったもん私の自転車。
だって…いやいや御影でしょ?御影でしょ?ほんまに無理やと思いますよ。
大丈夫。
歩くとか無理ですって。
これ絶対使われてないですもん。
警察捕まるよそんなん。
あたこ焼き屋や。
たこ焼き屋や。
見たら分かるわ。
何の会社やってん?建設会社。
やっぱそうなんや。
「やっぱ」って?さっきあんたんとこのお父さんもそうや言うてたでしょ?まあね…。
お二人さんカップル?えっ?いや〜違います。
どんな仕事?設計。
何かビルとかマンションとか…。
へえ〜。
(沢村)こちらは阪神・淡路大震災直後の神戸の街を記録したものです。
犠牲者の8割およそ5,000人の人々がですねこの家屋倒壊で亡くなられてます。
やっぱり出す映像も実際にリアルに倒壊した…神戸の街な訳だしさやっぱりその〜そこに住んでた人っちゅうのはひと事の映像ではない訳だよな。
映画のワンシーンとかじゃなくてリアルな記録映像…こういうのな。
それをちゃんと伝えられるかどうかというとこだと思うのよ。
…で今回再開発計画にあたってご提案させて頂くこちら。
100年に一度の大地震阪神・淡路大震災と同じ規模の地震。
悪い悪い言うの忘れてた。
これ要らないこれ。
君がさっきから作ってくれてるこれ。
これですか?
(沢村)予算ねえってクライアントが。
え〜っと…。
でもこれは今回のプロジェクトの売りですよね?エコと安全。
もし地震でガラスが割れてもこのルーフテラスがあれば…。
割れないって。
はい?ガラスは割れない絶対に。
お〜いお前何やってんだ!?地震が起きたら30階だったらガラス飛び出て人も落ちます。
割れないって事になってんの。
いいよ俺が取るから。
パキッ。
よしもう一回やろうか。
(沢村)もし本当にそんな大地震来たらこんなのあってもなくても全部おじゃんだよ。
それにそんなのさ100年に一度あるかないかじゃん。
80年後には俺もお前ももう死んでんだよ。
そうっすよね〜。
あのクライアントも言ってたよ。
「そういう震災って100年に一度じゃないですか。
今って100年に一度の不景気ですからね。
オッホッホッホ…」。
気持ち悪いっすよ。
うるせえよ。
時間ねえんだからやるぞ。
に〜し…西灘駅や。
あと御影まで4つ…。
なあなあ灘に住んでたんやっけ?うん。
この辺?う〜ん…う〜ん…。
小学校とか行ってみようよ。
あ〜あかん。
うん?あかん…。
トラウマ地帯や。
えっ?はぁ〜…はぁ〜…。
ちょっときつい。
えっ何?何があんのよ?おやじが修理した家が結構この辺多いんです。
友達んちも結構あって。
どの辺?多分この空き地もそうやしあの家とかも多分…。
ちょっと家が変わってるけど記憶が正しければ。
地震までは結構仲良かったんですけどだんだんしゃべらなくなってしまいには全く口利かなくなりましたね。
少年野球やってたんですよ。
地震で結構途切れたんですけど久しぶりの試合でサヨナラホームラン打ったんですよ。
シーンってなってて。
サヨナラ勝ちしたのに誰も喜ばれへんくて。
コーチとか監督も黙ったままで…悪夢やったなあれは。
なあここんち赤ちゃん生まれたんちゃう?バギー置いてあったよ。
ほんまや。
結婚してんのかな?兄弟とかかも。
い〜や多分一人っ子やったから多分結婚したんですね。
2世帯で暮らしてはんのかな?嫁姑問題とかあるかも。
けどな表札は一つやったしな。
あれや孫の顔見せに来たとか。
近くに住んでてみそ汁の冷めへん距離ってやつ。
ええなあ。
何か幸せそうやな。
もうちょっとやりようあったやろになあ。
舞い上がってもうたんやろなあ。
震災直後って資材の原価も上がって人手も足りないから県外から呼ぶような形になるからどうしても値段が上がるんですよ。
同業者の人も結構大変やったみたいで。
ん〜まあね値段が上がるのはしょうがないんですけど。
でも言っても相場は大体3倍ぐらいがまあ。
まあそんな感じやったんですけど10倍みたいに…おやじみたいにそんなムチャなもうけ方する人間っていうのはほんの一握りしかおらんかったみたいで。
そら神戸におられんようになるわ思いますよね。
10倍て…。
あっ猫猫!後の事考えたら普通そんな事しませんよね。
相当頭に血が上っとったんやろなあ。
それがどんどんエスカレートしていってしもうて。
腹立つな。
人の人間関係メチャメチャにしやがって!ええやん。
幸せそうやったやん。
何が?あんたの友達んち。
俺の友達は幸せやったかもしれへんけど俺は幸せやなかった。
東京出ていっておかんも出てったし。
ええやんか。
直したうちが幸せそうやってんから。
関係ないし。
関係あるある。
ない!あるってちょっと。
ちょっともう10分たった。
これ持って。
うわ〜っ重たっ!あ〜きれい!まあ…まあちょっとはあるかもしらんけど。
腕はよかったからなおやじは。
ゆっちっていう友達がおってさ…。
え?あっどっからどう行く?これ下りてもいいし…まっすぐ行こうか。
ありがとう。
(くしゃみ)大丈夫?寒いっちゅうねん。
(せきこみ)うまい。
うん。
豚まんめっちゃ好き。
もう豚まんで太るんはしゃあないね。
今日はもう別に大丈夫でしょ。
こんなん歩いてんねんから。
実はさ来週バイトでモーターショー行かなあかんねんけど…。
えっコンパニオンか何か?じゃあ。
そうそうそう。
こうやって。
もう衣装パッツパツやったから絶対太られんかってん。
今日歩けてよかった。
そうや今日俺始発で広島行かなあかんねやった。
えっ何しに行くん?地元説明会。
説明。
何の?だからその…俺らが建てるビルがいかによくて地震が来ても絶対安全ですよっていう事を地元の人たちに説明させて頂く。
絶対安全なんてないんちゃうの?まあそうやけど。
まあこっちは商売なんでうまくだませたらそれでいいんで。
何よ。
ほんまにそう思ってんの?え?じゃあ何で今ここにいてんのよ。
う〜んそれは…観光。
うそやん。
わざわざ新神戸で降りて?あれちゃうん?建築士として地震というものにもう一度向き合いたかったっていうかな。
うそ図星やろ?うるさいわ。
建築士としてこれからどういう建物を造っていくべきなのかをもう一度考え直したくて。
東京にいてるとついつい忘れてしまいがちになるけれど…。
うるさい。
そやろ?うるさい。
神戸で阪神・淡路大震災を経験してる僕にしか見えない事をもうちょっと考え直したいみたいな。
うるさい。
ハハハッおもろい!ちょっとさくっと折れる!今髪の毛挟まってる!髪の毛挟まってる!…ありがとう。
いつか罰当たるよこんな事してたら。
痛い。
自分が言ったけどこれ男の子が多く持ってもええんちゃうかな。
う〜ん重たい!あとどれくらい?あと5分ぐらい。
絶対やで。
う〜んじゃあ6分。
(ハミング)
(風の音)う〜っ緊張した!おばあちゃんは?おばあちゃんが起きるやん。
自分の方が声でかいやん。
いやいやいや。
おばあちゃんめっちゃ怖いねんから。
へえ〜マジで?マジで。
お花の先生やっとってさっきかて「終電なくなった」て電話したら「もう東遊園地なんか行かんでよろし。
はよ帰ってらっしゃい」って言われて。
大村さんが?え?大村さんが。
ああ私も大村。
あっそうなんや。
大村美夏です。
…って自分はよ?あっ私は中田勇治と申します。
中田勇治?そういう野球選手おらんかったっけ?おらんし。
こうして見るとちっちゃいな。
いやいや十分でかいやろ。
いやちっちゃい頃はもっと大きい思っててん。
東京引っ越すまではここに住んでてんけど。
うん。
おばあちゃんとお母さんがめちゃ仲悪うて。
嫁姑問題や。
そうそう。
けどもう実家の事はええねん。
それよかはよ結婚しよう思うてていろいろ努力してんねんけど…。
どんな努力?逆ナンしたりとか。
何か違う気がする。
そやねん。
何か間違ってんねんな私。
はあ〜。
ここに来るのも13年ぶりなの?うんそやね。
そっか。
おばあちゃんとお母さん仲悪いから別に行かんでいいって言われて。
ああそうか。
そういう事か。
別に大村さんはおばあちゃんの事嫌いな訳じゃないでしょ?うん嫌いじゃない。
うわ〜。
こっからそこまでが私の聖地。
聖地?変な宗教か何か?違います。
ちょっと入らんとって下さい。
何でよ。
聖地や言うてるでしょ。
汚れた大人の人は入らんとって下さい。
失礼やな。
ちっちゃい頃ようここにピクニックしに来てなここでお弁当食べんねん。
いとこが来た時とか。
いっつもあの木の下やった。
おばあちゃんとお母さんといとこ。
嫁姑バトルは?ああお客さんが来た時は休戦すんねやんか。
いっつもここだけは嫌な事が起こらへん。
ええ事しか起こらへん場所やった。
おばあちゃんとお母さんも一瞬仲良うなってみんなニコニコして。
嫌な事が起こらん場所。
多分この先どんだけ長生きしてもこんな場所ここだけやと思うわ。
地震のあとここ給水所になってんけどお母さんにどんだけ怒られてもここに水もらいに来んかった。
何で?だって…ここにも嫌な事が起こんねんなって思ってしまうやん。
ちょっとやめて。
はい。
はい。
ゆっちとも…ここでよう遊んだな。
3回目。
え?ゆっち話しかけてやめんの。
ああ。
はよ行こ。
はよ行かな東遊園地間に合わんくなる。
ゆっち死んじゃってん。
地震で?うん。
住んでたマンションが倒れてゆっちと妹とおばちゃんが生き埋めになっておっちゃんだけが助かってん。
その日たまたま玄関で寝ててんて。
玄関で?そう。
酔っ払って帰ってきてそのまんま。
そんでたまたま助かってんて。
おっちゃんだけ?うん。
それはつらいなあ。
おっちゃんは今どうしてんの?一人で暮らしてはるよ。
お母さんは年賀状のやり取りしてるみたい。
怖かってんなあ私。
おっちゃんが。
怖い?うん。
ゆっちほんまに親友やったし死んだんはほんま悲しくてお葬式も初七日も一周忌も全部行ってんけどそのたんびおっちゃんがめっちゃ怖かった。
何で怖いん?だってマジでボロボロになってたからおっちゃん。
何かもう壊れてもうたんかな思うぐらい。
泣いてたし荒れてたし顔もどんどんやつれてって別人みたいなって。
お母さんは「おっちゃんはほんま気の毒やねんから」言うてたけど私はもうおっちゃん見るのが怖すぎて嫌で。
「嫌」って。
一周忌終わってからは私が東京引っ越すって決まった時おっちゃんに挨拶しに行ってんけど玄関先で帰ろうとしたらおっちゃんが「中入ってお参りしてって」言うたけどきっと部屋の中グチャグチャやろしまた泣かれても困るわ思て逃げるようにして帰ったった。
ひどいなそら。
な〜。
ほんまひどいわな私。
けど大人になって分かってんけど私はおっちゃんが怖いんやなくてゆっちとおっちゃんの不幸が怖かったんやと思う。
どういう事?だってゆっちなんて私の100倍はええ子やってんで。
私なんかゆっちにめっちゃ威張ってて都合のええ時だけ甘えるような最低な友達やったのに何であんなええ子が先に死ななあかんの。
毎日ニコニコ笑てみんなに優しくするような子が先死ぬねん。
何であんなええおっちゃんがボロボロなるまで苦しまなあかんねん。
地震はほんまに訳が分からへん。
多分死ぬまで分からんと思うわ。
お父さんの仕事の関係で東京引っ越すって決まった時正直ほっとした。
やっとこの重すぎる謎から解放される思て。
それは…ちょっと分かるな。
東京行ったら地震の事なんて全然思い出さんで済んだし高校も遊びまくって楽しかったし「よっしゃ私はもうずっとこれから神戸の事なんか忘れたふりして生きてこ」そう思ててんけど。
じゃあ何で今ここにおんねん。
な〜。
けどな完全に忘れる事なんて絶対無理やて。
逆にもう前向きに生きてこうとか思う時ほどゆっちとおっちゃんの事思い出す。
真面目に一生懸命生きてる人が幸せになれるとかそんな法則どこにもないのに。
いやいやごめん。
その話やめようか。
何でよ?いや何か怖いわ。
あてどがなさすぎて。
だってそう思わへん?不幸って法則ないやん。
地震だけやなくてさ事故かて病気かていつ回ってくるか分からへんやん。
逃げられへんやん誰も。
ん〜…。
けどな忘れようとすればするほど心が冷えてくからな。
がっつり考えた方がええんかな〜って。
このごろはよう考えんねん。
そしたら分かってんけど工夫したらええんかな〜って。
工夫?うん。
つらい時になってもうた時どしたらちょっとはつらくなくなるんかを考えて工夫する。
誰が?みんながみんなで。
そうちゃう?それ俺とかも入ってんの?もちろん。
俺はちょっと無理やな。
え?任せるわ俺の分は。
何よ任すて?任すわマジで。
へなちょこ。
へなちょこですとも。
もう疲れてきた。
大概歩いたし。
いやいや…。
あタクシー。
ちょちょちょ…。
何でもないです。
え〜何でよ〜!歩く歩く!もうしんどいし〜!ええやんそんな靴で歩けてんねんから。
俺もこの革靴でどんだけ歩いた思ってんねん。
こっちから行ってみよ。
え〜!何でこんな公園通んのよ。
ショートカットやショートカット。
方向的には多分こっちぐらいやねん。
三宮は。
へえ〜。
ほらきれいな公園やんか。
タクシー乗りたいよタクシー。
タクシー通らへんかな〜。
ここは通らないねどう見てもね。
あ。
行くよ!ちょ…。
何よ?私何か言うたっけ?は?何でこの道通んのよ。
いやいや別に。
何で?後ろにマンションあるやん。
あの茶色いの。
うん。
1個だけ電気ついてるやん。
うん。
あそこがゆっちのおっちゃんち。
うそ。
起きてはんねんなあ。
やっぱり今日は。
挨拶してきたらええやん。
か簡単に言わんといてよ。
ひと事やと思て。
まあまあまあひと事やからな。
だってもう13年もたってるし私今日はまずは東遊園地だけ思てたし。
やっぱり嫌やんな。
いや違う!無理なだけ。
だってさっき自分言ってたやんな。
つらくなった時はどうやったらつらくなくなるんかをみんなで考えて工夫するって。
もううっさいうっさいで!もう言うんは簡単やけど難しねん!自分かてさっき無理や言うてたやろ!俺は別に無理やけど。
でも自分は…。
まあええか。
え?でも…。
せっかく来たのに13年ぶりに。
勇気出して。
私今ここ乗り越えんでいつ乗り越えんの。
じゃあ…ここにおってくれへん?え?こっからあっこ見といて。
何分ぐらい?せやなおっちゃん泣きだしたら2時間くらい?凍え死ぬし。
その辺のコンビニで立ち読みしとくわ。
おってよ!寒すぎるって。
薄情もん。
行ってらっしゃい。
おってな!
(チャイム)
(インターホン)「はいどちら様でしょう?」。
あ夜分遅くにすいません。
美夏です。
大村美夏です。
「…はい分かりました。
すぐ開けます」。
はい。
はい。
あの…。
(店員)いらっしゃいませ。
(すすり泣き)
(すすり泣き)なあ。
えっ?あれおっちゃんちゃうん?おっちゃん手振ってんで。
どうしよう…。
「どうしよう」やなくて。
振り返してあげえ。
だっておっちゃんにこんな顔見せられへんし。
大丈夫やって!こんな遠いし暗いし。
見えるわ。
嫌や!ちょっと何であんたが手ぇ振ってんのよ!おっちゃん私に手ぇ振ってくれてんの。
私が振る!もう中入って下さい。
寒いんで。
あっもう寒いんではよ中入って下さい。
話した?うん。
何?ずっと待っててくれたん?ずっと待ってたよ。
偉いなあ。
あっタクシー。
ほら。
ちょっともう〜!大丈夫大丈夫。
間に合う間に合う。
ちょっちょっと!うん?また?これも乗り捨てやって。
使われてへん。
ベコベコやし。
絶対嫌!絶対嫌!ちゃんと置いて。
はよ行くよ!ほんまに時間ないねんて。
ほんまに。
あっ私走れるようになったほら。
走れる!なあそのまま走るで。
分かった。
そのまま走るで!時間ないよ。
あれ?うん。
あっ大丈夫や。
間に合ったね。
ここなんや。
行かへん?チャイとか飲めるらしいよ。
へえ〜。
やめとくわ。
今年は。
ああ。
また来年。
じゃあ。
あっ。
ねちょってたやないか。
いやいや。
ありがとうね。
ありがとう。
ほなまた来年。
あ〜っ!・「いまぼくらが見上げた夜空は」・「まばたきするたびに星をこぼした」・「いつかできるだけ遠くへ旅をしよう」・「明日をそんなふうに夢見ていたい」間もなく5時46分を迎えます。
午前5時46分ちょうどをお知らせします。
・「街も風も」・黙とう!・「あなたを感じてるよ」2015/01/12(月) 00:05〜01:20
NHK総合1・神戸
阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ その街のこども[字][再]
震災15年目の朝を迎えるまでの一晩の神戸を舞台に、幼い頃に震災を体験した森山未來×佐藤江梨子が挑む!闇の中で、“語れずにいたおもい”が不器用に、今あふれだす。
詳細情報
番組内容
2010年1月16日、新神戸駅で偶然知り合った勇治(森山未來)と美夏(佐藤江梨子)。ふたりには、誰にも言えず、抱え続けてきた震災の記憶があった…。震災15年目の朝を迎えるまでの一晩の神戸を舞台に“語れずにいた想(おも)い”が不器用にあふれだす。脚本は映画「ジョゼと虎と魚たち」の渡辺あや。神戸で学生時代を過ごした渡辺、子どものころに震災を体験した森山未來と佐藤江梨子が、リアルな感情で挑む。
出演者
【出演】森山未來,佐藤江梨子,津田寛治
原作・脚本
【作】渡辺あや
音楽
【音楽】大友良英
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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