花燃ゆ(2)「波乱の恋文」 2015.01.11


(文)こら!敏!そっちは危ないってば!敏!あ〜きれい…。
(鈴の音)「江戸」?そう。
江戸はあっちの方角。
寅兄!江戸は楽しゅうございますか〜?今からおよそ160年前。
今の山口県萩市に一つの小さな私塾があった。
塾の名は松下村塾。
この名もなき若者たちが後に明治維新と呼ばれる大変革を成し遂げる事になる。
これは吉田松陰の妹文とその家族仲間たちが生きた激動の時代の物語である。

(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「燃ゆ」
(内藤一馬)先日は祖母に花をありがとうございます。
(寿)具合が悪いと伺ったんで。
あっ姉上。
あの…お礼にこれを。
何?心の声寿姉様のあんな顔初めて見た。
寿に縁談?うわ〜そりゃめでたい!もう。
内藤様ったらお気がお早いんだから。
せっかくのお話やけどお断りせんとねえ。
はい?
(百合之助)おい!寅次郎から手紙じゃ。
寅兄様?何で?何で断るん!?うちが先!敏お願いやから…。
読まして!「草履13文経書1冊80文」。
何じゃ…買い物の記録じゃな。
(百合之助)「江戸にて小田村伊之助殿と共に新しき事を学び議論致し候」。
小田村…伊之助…。
(寅次郎)「小田村殿は文武両道は言うに及ばず。
気力詩力酒力は我が及ぶところにあらず」。
えろう読書家で寅もかなわんと。
そうなん。
小田村伊之助…。
(百合之助)ん?これは…。
「風呂銭4月分100文」!
(一同)お風呂入っとる!寅兄のお風呂なんかどうでもええ!納得できません。
何で縁談をお断りせんとならんのですか?家の格というもんがあるんですよ。
内藤家は200石の大組。
杉家は26石ばかり。
釣り合わん。
(畳をたたく音)
(百合之助)ちゅう事で今回のお話は…。
(新山)いえいえ吉田寅次郎殿の妹御とあらば家格の違いなど。
(滝)寅次郎の?さようでございます。
江戸での寅次郎殿の暮らしぶり評判でございます。
故郷の金銭を江戸の浜にまくべきではないと倹約に努めみずからを律するそのありさまは仙人とあだ名を付けられるほどやと。
仙人?寅次郎がですか?フフッ!
(新山)何とぞお願いつかまつる!ですがうちの娘に大組の妻が務まるとは…。
(小声で)つとまる。
あっうちので…よろしければ。
まことでございますか!いや〜内藤家もさぞ喜びましょう。
熱っ!もう嫌!
(亀)ふだんから文さんみたいにお手伝いしとればねえ。
だしはとれました。
次は?
(滝)寿にお嫁さんが務まるんかしらねえ。
大組の奥方って何をするもんなんですか?奥方というても一番大事な事は一緒ですよ。
旦那様を大切に思うていっつもそばにいて心から尽くしてさしあげればええんです。
はい。
(志乃)あの…杉様でいらっしゃいますか?はい。
息子の伊之助が江戸でお世話になっております。
あの…小田村伊之助様の?こちらこそ寅次郎がお世話に。
(志乃)このたびはお嬢様ご婚礼との事おめでとう存じ上げます。
先を越されてしまいましたわ。
伊之助と来たら跡取りの事も考えず学問ばかり。
先の事が心配で心配で…。
(滝)親の心配事は尽きませんわね。
さっ敏ごはん。
ごはん!小田村伊之助…。

(来原良蔵)伊之助!国元のお母上から手紙じゃ。
(伊之助)すまん。
(志乃)「近頃体調がすぐれません。
一度萩に帰ってきて下さい」。
(ため息)
(寅次郎)伊之助。
おお!ようやく佐久間象山先生に入門を許されたぞ。
おお〜!お前の着物のおかげじゃ。
ひどい身なりで行くけぇ門前払いを食ろうたんじゃ。
学ぶんに身なりが関係あるとはの…。
何をするにしてもそれなりのやり方ちゅうもんがあるんじゃ。
着物はやる。
持っておけ。
じゃがそれは…。
母が暇さえあれば縫ってよこすんじゃ。
象山先生はどうじゃった?あのようなお方にお会いしたのは初めてじゃ。
すこぶる豪傑で学問見識は群を抜いておられた。
ようやくまことの師に巡り会えたかもしれん。
それはよかった。
・佐久間象山先生ですか。
ああ…椋梨様。
吉田氏も象山先生から入門を許されたとはさすがな事で。
ああいえ…。
これからは西洋の知識も身につけねばならぬからな。
古い学問に縛られていては長州は世間から孤立するばかりです。
これから「韓非子」の読書会に参るが同行せぬか?いえ。
私は小田村殿と…。
吉田殿。
我らも読書会に参りませぬか?はてそなたは?はっ。
小田村伊之助と…。
ああ松島瑞蟠の息子か。
吉田氏には長州の兵学師範としてますます精進するよう頼みますぞ。
(荒い息遣い)
(荒い息遣い)うっ!
(荒い息遣い)・
(寅次郎)伊之助!起きちょるか?ああ。
(寅次郎)次は宮部江と共に東北沿岸を巡ってロシア船の様子を確かめる。
そねな長旅が許されるんか?旅のお許しはすでに出た。
通行手形もじきに届くはずじゃ。
まことか!うん!その前祝いで大福餅か?いや…その…じゃが一度だけじゃ。
甘いもんには目がのうて。
仙人様の弱点は菓子でござったか。
ええから食うてみい。
ほぉべたがほろけるぞ。
うん。
ん!うまいだろ?久しぶりに家の味を思い出した。
萩の節句餅を。
節句餅?ひなの節句の時に食べるあのよもぎの。
知らんのか?いや…俺は知らん。
そうか…家の味か。
伊之助は小田村家の養子であったな。
12の時じゃ。
養子にもろうてもらうためにただひたすら学問した。
それが今の伊之助を作った訳か。
じゃから遊びもうまいもんも何も知らん。
本気で思うか?この国を守れると。
この国を変えられると。
「至誠にして動かざるはいまだこれあらざるなり」。
孟子の言葉じゃな。
まことを尽くせば動かされんもんなんぞない。
違うか?
(鈴の音)寅兄?
(寅次郎)「寿は賢く候えば学問好きの伊之助とは必ず似合いの夫婦に相成り候」。
心の声小田村伊之助…。

(滝)文!畑で大根とってきてちょうだい。
はい!足元気を付けり。
姉上きれい…。

(滝)どういう事でございますか?取りやめとは一体…?娘もすっかり身支度を整えて…。
(新山)訳はお分かりでは?さっぱり分かりません。
(梅太郎)父上!父上!どねぇした?寅次郎が…寅次郎が…。
(文之進)落ち着け。
どうした?寅次郎が…脱藩しました。
えっ!?
(滝)脱藩!?脱藩…。
(梅太郎)「もし許されなければ私は脱藩してでも必ず旅へ出ます。
こたびの旅はたとえ主君や親に背いてでも行かねばなりません」。
なんちゅう事を…。
(たたく音)そら見ろ!だからわしは言うたんじゃ。
江戸へ行ったらこういう事になると。
脱藩。
それは主君を持つ武士にとって許されざる裏切り行為であった。
寅次郎はロシアに対する防備が手薄であるとの危機感に突き動かされ藩からの通行手形を待てず東北への視察の旅を強行したのだった。
寅次郎に主君を裏切るつもりはつゆほどもございません。
寅次郎を止められんかった私にもとががございます。
どんな処罰も受ける覚悟にございます。
ですからどうか!
(椋梨)全く愚かな男じゃ。
お主は親にそっくりじゃな。
(佐世元定)親とは?小田村の実の父の事だ。
医者の分際で殿様に建白書を奉りおった。
年貢が厳しすぎると。
お聞き届けられぬとなって当てつけのように自害しおった。
吉田寅次郎は今や長州藩に背いた大罪人。
そもそも寅次郎の事でお主が腹を切ってもどうもならんわ。
(来原)伊之助!寅次郎から返事は?ない。
そもそもどこにいるのかも分からん。
萩の周布政之助様に会いに行く。
周布様ならご家老にも話が通じる。
萩へ帰るんか?寅次郎の行く末をこんな事で潰されてなるものか。
脱藩したそうじゃ。
あの吉田様が。
考えられんよね。
主君に背くなんて。
息子がそねぇな事やらかしてよう平気な顔で…。
長州切っての俊才も地に落ちたもんじゃ。
あの吉田寅次郎も今となりゃ罪人じゃ。
罪人…。
せわぁない。
寅から手紙が届いておりました。
寅は無事なんですね?ええ。
路銀が足りんようになったから送ってほしいと。
送っておやり。
じゃが…なっ。
食事を減らせばなんとかなりますよ。
ねえ。
せわぁない。
何でそうなるんですか?何で?何で寅兄を助けねばならんのですか?寅には寅の大義があっての旅じゃろう。
では私の婚礼は?寅兄に言ってやってつかぁさい。
「戻ってお殿様におわびしろ」と。
お願いです。
内藤様との婚礼の事もう一度お考え下さい。
手紙?また寅兄から?「こたびの寅次郎殿の脱藩の件ご家族様どうぞご心配なされぬよう」。
どうか寛大なご処分を。
「ご家族様が決して恥ずべき事ではございません。
寅次郎殿は藩を裏切った罪人などではございませぬ。
すべてはその至誠の心ゆえ」。
この国を…この国の人々を守りたいというただひたすらに純粋な思いゆえ。
世の中を変えるんは寅次郎のような男でございます。
お前は江戸に行ってだいぶん変わったのう。
…ええ。
かぶれました。
洋学でも政でもない。
吉田寅次郎という男に大いにかぶれました。
ハハハハハハハ!処分については掛け合ってみる。
じゃが寛大なお殿様でも脱藩した者を許すかどうか分からんのう。
何とぞ!出かけてきます。
えっ…どこへ?このたびは兄が…。
杉家の皆さん大変ですね。
ではごめん。
あの!あの…。
(内藤)まだ何か?お家の方が許さないのであれば諦めます。
でも…でも内藤様のお気持ちは?あなたは大組の嫁になりたかっただけなのでは?
(内藤)そのあなたが「気持ち」など…。
ごめん。
あの…ごめんなさい。
あの…。
姉上。
待って!姉上!姉…あっ!
(寿)ええの!でも!ええって言うてるでしょ!もういらんの。
あねぇなもん。
もともと大組の奥方なら楽できると思うただけ。
せいせいした。
私をいらんていう男なんてこっちからお断り!寿姉…。
私はねあんたと違うて精いっぱいやってきた。
好かれるために選ばれるためにいつだって精いっぱいやってきたの。
また探せばええんです。
家格の高い家とよい縁組みを。
嫌いです。
あんたも寅兄も。
寅兄を責めようとしないあの家も。
あの家から早う出るためにも私をもろうてくれる家をまた探すだけ!伊之助ただいま戻りました!
(松島剛蔵)久しぶりじゃな伊之助。
兄上いらしてたんですか。
ああ。
一足遅かったぞ。
ここのところお体悪くされていたようじゃな。
大丈夫か?はい。
これが残されていた。
(剛蔵)最後まで家の事お前の事気遣っておられたんじゃな。
(剛蔵)うわさを聞いたぞ。
お前が吉田寅次郎のやっかい事に首を突っ込んでると。
兄上は物心付いた初めの事を覚えていますか?初めの事?私はにおいです。
さびた鉄のにおい。
それから目。
あれはきっと父の最期だったのでしょう。
(剛蔵)まっすぐな人じゃった。
フフフ。
じゃがお役を免ぜられ世間からも爪はじきにされ次第に変わってしまわれた。
もし父に一人でも友がいたら…味方がいたら何か変わったと思いますか?姉上お野菜。
(亀)ありがとう。
そこ置いとって。
はい。
これ…。
(亀)ああ寿さんのね。
お漬物も煮物も私の知っとる料理皆教えてって…。
(滝)ただいま帰りました。
お帰りんさい。
お帰りんさい。
お線香のにおい。
お葬式。
小田村様もお母様がお亡くなりになってとんだ事でした。
小田村様は?ちょうど江戸からお帰りになって。
どんなご様子でした?涙も見せず凜としてらして。
でもお悲しみでしょう。
小田村様!おお何じゃお前か。
文というたな。
江戸ではお前の兄上に世話になっとる。
何じゃ。
知っとるんか?手紙に…。
悪口じゃないとええが。
これ。
これは?おお節句餅。
うちの寅兄も大好きで寿姉様も大好きでいっつも怖い文之進叔父様も食べれば笑顔になるから…。
俺にくれるのか?うんうまい。
家の味か。
母上様とんだ事でございました。
手紙ではずっと具合が悪いと。
また俺を呼び返すためのうそだと思うていた。
素直に親子と呼べるような間柄ではなかったが…。
母は母なりに…俺を思うてくれていたんかもしれん。
これでまた一人になった。
帰りを待つ人はもうおらん。
まあ気楽にやるわ。
おい。
どうした?その手は。
どれ手を出せ。
あの…。
ん?落ちんな…。
おっ…!お嫁さんにしてつかぁさい!何?うちの寿姉様をお嫁さんにしてつかぁさい!お前の姉上を?書いてあるから…。
「寿は賢く候えば学問好きの小田村とは必ず似合いの夫婦に相成り候」。
うれしかったんです。
寅兄の手紙友となった寅兄と小田村様が目に浮かぶようでうれしかったんです。
友が欲しい人と欲しい人が出会うたら…何かをしたい人としたい人が出会うたら寂しい人と寂しい人が出会うたらきっといい事があるんやって。
寿姉様は泣けんの。
えろうつらい事があっても。
小田村様は優しい人やから小田村様の前でなら泣けるかもしれん。
寿姉様は強い人です。
しっかり者です。
やから旦那様を大切に思うていっつもそばにいて心から尽くします!小田村様が笑ったりうれしかったり元気になるように。
そうなると俺は寅次郎と兄弟になる訳か。
切っても切れん家族になるちゅう訳か。
一つ聞いてもええか?来年も作ってくれるか?節句餅。
ならば乗った!その話。
嘉永5年4月5日。
旅を終えた寅次郎は再び江戸の地に立った。
吉田寅次郎。
萩にて蟄居謹慎を申しつける。
直ちに帰国が命じられ処分が下るまで萩で謹慎する事となった。
寅兄?いや…ちょっと待て…。
寅兄様帰ってきた!お帰りんさい。
ただいま帰りました。
(百合之助)風呂じゃ。
ともかく風呂に入れ。
なっ。
(文之進)この大バカ者!寅次郎!腹を切れ!
(寅次郎)お〜い伊之助が来たぞ。
さあ。
小田村伊之助と申します。
よろしくお願い致します。
ふつつか者ですがよろしくお願い致します。
(滝)さあさあこちらへ。
亀さんお酒を。

(亀)は〜い。
(亀)失礼致します。
ようおいでました。
(百合之助)さあさあさあまずは一献。
小田村様。
もう帰るんですか?ああ。
にぎやかなんはどうも性に合わん。
ありがとうあんした。
礼を言うんはこっちじゃ。
おかげで腹が決まった。
えっ?俺は乗ったんじゃ。
お前の兄の人生に。
よろしくな。
お前は俺の妹じゃ。
妹?妹…。
腰抜けどもが!神様に愛想尽かされとるんじゃ。
次回文に運命の出会いが。
一方寅次郎は黒船に乗り込みます。
死罪…。
(梅太郎)どうか…どうか弟の命だけは!
(寅次郎)死など構わん。
思いが届くなら。
やられる前にやらねば。
異人を倒すんじゃ!ご期待下さい。
東北への旅に出た寅次郎は友人の宮部鼎蔵と共に弘前に到着しました。
弘前藩の儒学者で兵学にも詳しい伊東広之進を訪ね津軽半島の海防について細かく尋ねたといいます
弘前から北上し小泊の港で津軽海峡を望み膝まで雪に埋もれる道なき道を更に進み寅次郎は津軽半島の旅を続けました。
そして海岸にある砲台を見て回り住民からはたびたび外国船が出没している事を聞いたのです。
寅次郎の日記には我が物顔で往来する外国船への怒りがつづられています。
およそ5か月に及んだ東北への旅は寅次郎にとって日本の危機を改めて痛感する旅となったのです
2015/01/11(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(2)「波乱の恋文」[解][字][デ]

文(井上真央)は兄・寅次郎(伊勢谷友介)の親友・小田村伊之助(大沢たかお)に憧れる。しかし寅次郎が脱藩。姉の寿(優香)の縁談が破談になるなど、杉家は窮地に至る。

詳細情報
番組内容
伊之助(大沢たかお)と兄・寅次郎(伊勢谷友介)は親友となり、熱く議論を交わしていた。文(井上真央)はひそかに伊之助に憧れる。一方、姉の寿(ひさ)(優香)には、寅次郎の人望により、格上の家との縁談が持ち上がる。しかしその頃、東北視察の許可が得られないことに業を煮やした寅次郎が脱藩。杉家は窮地に至り、寿の縁談も破談に。沈む家族を見た文は、自身の想いを胸に秘めたまま、伊之助と寿を結婚させようとするが…。
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,伊勢谷友介,原田泰造,優香,久保田磨希,ビビる大木,かたせ梨乃,内藤剛志,檀ふみ,奥田瑛二,長塚京三,石丸幹二,津田寛治,【語り】池田秀一
原作・脚本
【脚本】大島里美

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:14647(0x3937)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: