(口笛)
(口笛)
(口笛)
(口笛)
(口笛)
(葛城貫太郎)異常はないね?
(杉下右京)ええ。
それじゃ行こうか。
(設楽聡子)ちゃんと捜していただいてるんですか?そりゃあね捜索願を受理してますから。
ただねぇこう度々いらっしゃられてもねぇ。
なんか収穫があったらこちらからご連絡しますから。
わかってますけど…。
(刑事)家出とか失踪とか多いんすよね今。
ちわーす。
お疲れ様でしたー。
お疲れ様でした。
お疲れ様でしたよろしく。
お疲れ様でした。
こたえるだろう?夜勤は。
…そうですねぇ。
まそのうち慣れるさ。
でもねぇ人間も光合成してるから夜中起きて昼間寝るのは体に悪いんだ。
ええ。
明るい所で働きたいなぁ…。
無性に光が恋しくなる時があるよ。
(運転手)おはようございます。
(北潟誠吾)はいおはよう。
うらやましいねぇ…俺もあんなふうに肩で風切って歩いてみたいよ。
(口笛)おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
おはよう。
(社員たち)おはようございます。
(北潟)はいおはよう。
はいおはよう。
(社員たち)おはようございます。
おはようございます。
おはよう。
(設備管理員)はいわかりました。
すぐ伺います。
(亀山薫)俺行きます。
あそう。
20階の「DR@GON」さんね電源が入らないんだって。
はいはい〜。
(機械の音)儲かってます?ん?そりゃあ儲かってますよねぇ〜。
こんな立派なオフィス構えてらっしゃるんですからねぇ。
どうですかぁ?え?何が?いやだから…それ。
あ〜間もなくです!なんかねぇ接触がどうも悪かったみたい…。
よろしくどうぞ。
はいはい〜!
(小野田公顕)社長の名前は北潟誠吾42歳この男。
(小野田)40そこそこで個人資産数十億だって。
はぁ〜やり手ですね。
ITベンチャーの勝ち組みって事か。
(小野田)ま青年実業家として成功している事は間違いないですよ。
もちろん彼がいくら金儲けしてくれても構わないんですけどね。
けど?どうも…極左勢力と繋がりがあるみたいでね。
え?活動資金を援助してるみたいで。
過激派を金銭面で支援してるわけですか。
…とするとこれは公安が盗み撮りした写真ですか。
そういう人物ならば当然公安当局がマークしているはずですからねぇ。
そういう事。
…で俺らになんすか?実は彼の会社にね公安当局が刑事を1人投入してたんですよ。
投入?潜入させてたの。
スパイ…。
情報収集のためにね。
「してた」というと?ん?なぜ過去形なのですか?いなくなったから。
は?去年株式会社DR@GONの社員として正式採用されて以後細々と情報をあげてきてたらしいんだけどひと月ほど前から突然連絡が取れなくなって。
まぁどうぞ。
ああ…。
調べたら元麻布署に捜索願が出されてるそうです。
これがその男ね。
捜索願と一緒に提出された写真の写し。
履歴書か何かの写真ですかね?そうみたいだねぇ…。
名前は一応森本達也。
一応って…。
当然偽名だからね。
本名は?さあ知らない。
公安当局に訊いても教えてくれないだろうしまぁ彼らにとって名前は記号みたいなもんだから。
…で?だから公安の刑事が忽然と姿を消しちゃったの。
いやそれはわかりましたけど。
気になるでしょ?はい?一体彼の身に何が起こったのか?気になるなら探ってみない?君たちも先方に潜入して。
潜入?公安当局でまいた種ですから公安当局で処理なさったらよろしいんじゃありませんか?公安は公安で動いてるでしょう。
まぁ事がスパイ活動だから…表立って騒ぐわけにはいかないと思うけど。
だからそれとは別ですよ。
そもそも僕がお前に頼むんだから非公式に決まってるじゃないの。
つまり官房長の個人的興味というわけですか?急な事だから会社に潜り込むのは無理だけど一応2人の潜入用の身分は準備しといたから。
ちょっと待ってくださいよ…。
この森本くんだって1年近く準備してやっと社員として潜入出来たらしいからね。
でも近くをウロチョロは出来ると思うよ。
あとは2人で工夫して探ってみてよ。
いや…あのですねぇ!やってくれるよね?
(小野田の声)お前はちっとも借りとは思ってないだろうけど僕は随分お前に貸したつもりなんだ。
少しぐらい返してくれたってバチは当たらないと思うよ。
どうもありがとうございました!ご苦労様です。
あ…。
あっとと…あ〜あ〜!…ごめんなさい。
いえ大丈夫ですか?はい…。
すいません…。
なんなんだあいつ…ね。
(男性社員)失礼します。
ん?社長…。
ああ荷物どっから?ここ置いといて。
森本さんからなんですけど…。
森本くんから…?ああ…わかった。
君もういいやありがとね。
あ…はい。
森本さんから社長に…。
うわっ!すいませんドライバー忘れてないっすかね?あ…どうかしました?え?失礼します。
うわっ!行方不明の社員!?
(北潟)えぇ…。
捜索願は出てるんですか?うちの社員が出したはずですが…。
ならば受理してんのはうちかな…?あとで担当に訊いてみろ。
はい。
大丈夫ですか?コーヒーお代わりします?いえ…もう結構です。
行方不明の社員が腕を送ってきたってわけか…?
(捜査員)誰の腕でしょうね?おやあなたでしたか。
帰ったんじゃなかったの?近くで食事をしてましたらビルの前にパトカーが集まり出したものですから何があったのかと思いまして。
…で何事なの?さぁわかりません。
ご覧のとおりの状態です。
あなたこそお帰りになったんじゃなかったんですか?忘れ物。
そうですか。
帰って寝ないともたないよ。
何があったのかわからないと帰っても気になって眠れませんよ。
いいねぇ〜!はい?あんたのそういう小市民的なとこ好きだよ。
僕はとても付き合いきれないから今夜詳しく教えてよ。
じゃあね。
じゃあ。
寝てないんでしょ?帰って休もうと思っていた矢先にとんでもない届け物があったと連絡をもらったら寝られるわけないじゃありませんか。
すいませんね徹夜明けなのに。
それよりどんな状況ですか?ひょっとすると…行方不明になってる森本達也の腕かもしれませんよ。
なるほど。
指紋を照合してみるそうですから結果が出るのにそれほど時間はかからないと思います。
設楽聡子さんの方はどうですか?どうって?うまく接触出来ましたか?まぁほどほどに…接触しましたけどね。
そうですか…。
彼女美人ですよ。
まあそんな事はどうでもいいんすけどね。
何しろこっちは身分を偽ってますから慎重に接触しないと…。
ええ。
任せといてください。
もうしばらくしたら仲良くなっちゃいますよ。
…頼もしいですねぇ。
(笑い)シールを貼っときましたからそれを目印にしてください。
やっぱり恋仲ですか森本達也と設楽聡子は。
まあねよほど特別な関係でもなけりゃあ捜索願はまだしも足しげく警察に通ったりしませんよね?ほとんど毎日様子を訊きに行ってたわけでしょ?君は女性に指輪を贈った事がありますか?は?愛の証としての指輪を女性に。
そりゃまあなくはないですけどね。
ならば…せっかく贈った指輪を会社の引き出しに無造作に入れておかれたらどういう気がしますか?え?愛する人からその証として贈られた指輪ならば常に身につけておくかあるいはしまっておくにしても自宅ではありませんかねぇ?少なくとも会社に置いておくようなまねはしないんじゃありませんか?そっか…そりゃあ確かに変か…。
それに指輪には「T.M」という刻印がありました。
だから…森本達也でしょ?イニシャルはT.M。
「森本達也」は偽名ですよ?真実の愛のしるしとして贈るのに偽名のイニシャルを刻むのはどうかと思いますねぇ。
なるほどね…。
って事は2人は単なる恋仲じゃない。
現段階で簡単に恋人同士と決めつけるのは危険かもしれませんね。
(伊丹憲一)すみませんねぇ運転手みたいなまねさせて。
よく言いますよ家の前で待ち伏せしておいて。
会社にも行かなきゃいけないし家の前で事情聴取はごめんですから。
ええかえってこの方が話しやすいですよ。
(芹沢慶二)いい車ですね。
…どうも。
我々がお訊きしたいのはどうしてあなたにあんなものが送られてきたのか。
わかりませんよ。
わからない?まったくわかりません。
青天の霹靂です。
昨日の刑事さんにもそう伝えましたけど?ええ聞いてますよ。
だったら…。
何事も自分の目と耳で判断するのがモットーでして。
そうなんですか。
すいません…急にヨロッとしちゃって。
(芹沢)すいませんお忙しいところを。
いえ…。
図々しくオフィスへお邪魔するよりここの方がいいかと思いまして…。
あの…なんでしょうか?森本達也さんとはどのようなご関係でした?かなり親しいご関係だったんでしょ?ずばり恋人ですか?…そうです。
近々に公になる事ですから言いますがまだ黙っててください。
昨日の腕…森本達也さんのものです。
やっぱりそうですか…。
(芹沢)やっぱりって?昨日彼の私物から指紋をとってましたから。
彼は生きてるんですか?それとも…。
(伊丹)まだわかりません。
(伊丹)ところでどうして森本さんの腕が北潟社長のところに送られてきたんですかね?何か心当たりはありませんか?ありません。
わかりません。
今の刑事でしょ?ねぇ顔つきでわかりますよねぇ。
意地の悪そうな顔してっから。
どうしたんすか?かゆい。
は?誰かが俺の噂をしている。
噂されるとかゆくなるんですか?悪いかよ!人生いろいろ体質もいろいろだ。
あっ…かゆい。
まあ向こうも仕事なんでしょうけどねえ。
デリカシーってもんがないっすよねえああいう連中にはね。
失礼します。
ご苦労様です。
恋人だと言っていたわけですか?「ええ。
伊丹たちにはっきりと」そうですか。
「嘘とは思えないんですけどねえ」なぜですか?なぜって…彼女本当にショックを受けてたみたいですから。
いや誰かいる前だったら芝居って事も考えられますけど誰もいない場所で本当もう立ってられないって感じで。
恋人の安否を気遣う女以外の何者でもありませんでしたからね。
「なるほど。
女性を見る目は僕より君の方が確かですから特に異論は唱えませんが」それってイヤミですか?「イヤミに聞こえましたか?」まあいずれにしてもそのあたりしっかり探ってみますよ。
ええそうしてみてください。
「右京さんはとっとと帰って寝てください」「途中でぶっ倒れられたら困りますから」お気遣いどうも。
あ!また会いましたね。
亀田創です。
お1人っすか?いいっすか?失礼しまーす。
もう済みました?はい?お昼。
あ…いいえ。
早く食べないと昼休み終わっちゃうでしょう。
失礼します。
あ〜ちょっと待ってくださいよ。
実はね偶然じゃないんですよ。
え?あなたとお話したくて。
どういう事ですか?んな怖い顔…ぶっちゃけナンパです。
は?ナンパ。
よくされるでしょあなた美人だからね。
とにかくほら座って。
こんなとこにさ弁当広げた中年男置き去りにしないでよ。
よ!ちなみに今晩ヒマ?ハナ金だし明日休みでしょ?今晩ダメだったらいつが都合いい?あの…。
いつ?いつ?行きがかり上お弁当が済むまでは付き合いますけどもそれ以上は…。
付き合ってる人とかいる?私の話わかってます?そりゃいるよねえいないわけないよね。
いい歳して…。
え?ナンパなんて恥ずかしくないんですか?恥ずかしくない。
いやね…うちはね「美人を見たら声をかける」が家系なの。
ね。
うちはねひいおじいちゃんがナポリの人でね美人を見て声をかけない男は犯罪者だって代々教えられてきてっから。
顔見たらわかるでしょ?どことなくこう…ラテン系でしょ?俺って。
ペペロンチーノ!ボンゴレビアーンコ!ね?あ笑った笑った。
変な人。
亀田創でーす。
いつにする?何が?デートでしょ!何聞いてたのよ。
俺は今夜がいいんだけどさ。
諦めないよ俺は。
ナンパは粘りと頑張りジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリパチンコに通じる部分があります。
ちなみにパチンコはお好き?やった事ないです。
だったら今度ぜひ一度。
結構おもしろいよ。
なんなら今晩は?遠慮します。
だよね〜。
今の失敗。
聞かなかった事にして。
ナンパでパチンコ誘ってどうする!ねえ。
だったらねえ…う〜ん…。
カラオケにしない?
(カラオケ)イェーイ!聡子〜!LOVE!昔やってた…。
(カラオケ)
(携帯電話)行きましょうよまだ飲めますよね。
イェーイ!やんややんややんや〜。
あ〜気持ちいい!あ〜よかったよかった。
さっきね何か電話鳴ってたよ。
本当?誰だろ?誰から?彼氏?もう無視無視!そんなの〜。
違うってば。
ちょっとごめんね。
いってらっしゃい。
はいはいどうぞ〜。
(呼び出し音)
(男の声)「もしもし」無事なの?「君に会いたいんだ」
(角田六郎)きたきたきた!きたきた!
(角田)おいこりゃすげぇよ!
(大木刑事)デカイぞ!
(小松刑事)巻いて巻いて巻いて!重い!あっおはようございます。
ていうかお疲れ様でした。
でどうでしたか?とりあえずあとをつけてみました。
ねえそろそろさお開きにしない?え?これから盛り上がる時間じゃない。
まだ夜は長いよ。
ちょっと飛ばし過ぎて疲れちゃった。
そんな〜。
ごめんね。
ごめんなさい。
じゃあ私こっちだから。
また今度ね。
うん。
おやすみなさい。
はいバイバイ!気をつけて。
またね!どっかで会うんじゃないかと思ったんすけどね…。
現れませんでしたか。
ええ。
まっすぐ部屋に帰っちゃいました。
部屋で待っていた可能性もありますねえ。
ありますよ。
だけどまさか部屋まで押しかけるわけにいかないでしょ。
状況がまだはっきり掴めてないんですから。
不用意に動いたら台無しですよ。
間違いなく森本達也からの着信でしたか?それは間違いありません。
この目ではっきりと…。
あ〜もちろん本人からかどうかは定かじゃありませんよ。
誰かが森本達也の携帯を使って電話をしてきたのかもしれない。
ええ。
ただ行方不明になってる森本達也の携帯から設楽聡子の携帯に着信があった事だけは確かです。
はい。
森本達也は生きてるんすかねえ。
可能性はあるでしょ?腕を失ったって必ず死ぬわけじゃない。
ええ。
おう。
ヒマか?おはようございます。
また悪だくみか?おはようございます。
何やってんだよえ?ここんとこちっとも顔見せねぇじゃねぇか。
こっそり何かしてんだろ?釣りですか?ああ釣りだ。
その様子じゃ坊主ですね?バカ言え!釣ったさ。
釣れたんすか?ああ釣ったよ!へぇ〜。
大物だ。
魚じゃないけどね…。
え?何をお釣りになったんですか?死体だ。
死体?きたきたきたきた!よし!
(3人の叫び声)それも左腕のない真っ黒焦げの死体だ。
(角田)何の因果かねえ…。
ご苦労様です。
さて…。
男だな。
(米沢守)確かにそうですね。
腕がねぇな。
左腕ですね。
ひょっとするとひょっとするな。
はい。
先輩。
特命係の亀山先輩。
まったく鼻が利くというか何というか…。
お2人は警察犬も顔負けですね。
誉め言葉だと受け取っておきましょう。
おい何しに来た?身元は?あ?遺体の身元はわかったのかよ!ご覧のとおりの状態ですからね。
すぐにはわかりませんね。
しかし手掛かりがないわけではないんですよね。
失われている左腕ですね?はい。
森本達也でしょうか?さあどうでしょうねえ。
検視解剖の結果を待ちましょう。
仮に森本達也が死んでたとしたら昨夜の電話は…。
昨夜までは生きていたのかもしれませんよ。
え?もちろん死後経過時間が判明しないと何とも言えませんが今はまだその可能性もあります。
つまり設楽聡子が殺したって事ですか?もしもあの遺体が森本達也でありかつまた死亡推定時刻が昨夜から今朝までの間であったならば当然彼女に疑いをかけるべきでしょう。
そりゃあそうっすけどねえ…。
君の証言どおりならば昨夜彼女は森本達也と会った可能性があるわけですから。
俺は…確かですよ。
森本達也の携帯から着信があったのは間違いないです。
ええ。
だったら昨夜部屋まで行っときゃよかったのかなあ…。
まあくまで可能性を論じているわけですから。
それに殺して焼いて捨てるとなると女性1人にはいささか骨の折れる仕事のような気もします。
共犯?その可能性も当然ありますねえ。
設楽聡子さんのマンションへ案内してもらえませんか?おいおい!何だあんたたち。
(芹沢)公安部…!右京さん。
すいません。
着きましたか?ここです。
部屋は何階ですか?3階です。
ちゃんと確認しましたから。
ほら。
あれ…?どうしました?いや…おかしいな。
いや間違いなくね…確認したんすよ昨夜。
あれ?ちゃんとここに設楽聡子って…。
どうやら一杯食わされましたかねえ。
いやあ…。
これを設楽聡子さんの名前に入れ替えておく事でさもこのマンションに彼女の部屋があるように偽装したのでしょう。
君の尾行を撒くためにそうしたのだと思いますよ。
俺の尾行が気づかれてたって事ですか?そう考えざるを得ませんねえ。
君の見間違いでないとするならば。
見間違えるわけないじゃないすか!確かにここにね…。
尾行の途中設楽さんは携帯で話したりしていませんでしたか?え?思い出してみてください。
あ…そういえば一度…。
してましたか?はい。
おそらく君は設楽さんと一緒にカラオケ店を出たところから監視されていたと思いますよ。
設楽さんが君の目を盗んで名札を準備したり入れ替えたりは不可能ですから設楽さんに電話をしてきた人物が工作したと考えるのが妥当でしょう。
森本達也ですか?本当に本当に帰っちゃうの?うん。
まっすぐ家に帰る。
つまんねぇなあ。
おやすみなさい。
はいバイバイ!気をつけて。
またね!君が設楽さんを尾行するのを確認した森本達也がここに先回りして名札を入れ替えた。
君の見た名札はフルネームでしたね?ええ。
設楽聡子とはっきりと書いてあった。
はい。
1人暮らしの若い女性がフルネームの名札を入れますかねえ。
尾行者がこの名札を確認して引き上げるにせよ図々しく上まで部屋を確認しに上がってくるにせよ彼らはまんまとこの名札によって尾行者から逃れる事が出来るわけです。
くそ…!
(伊丹)うちは手を引くって事ですか?
(内村警視長)そうだ。
あとの捜査は公安部が引き継ぐ。
どういう事ですか!部長!
(電話)
(中園警視正)うん…ちょっと待て。
部長は今手が離せない。
うん…わかった。
遺体の身元が森本達也だと断定されたそうです。
ふん…森本達也なんて奴は存在しないんだ。
え?正体は公安の刑事だそうだ。
名前も偽名会社員という身分も架空のものだ。
くっ…潜入捜査ですか。
多分な。
それ以上の詳しい事は知らん。
知りたくもない。
多分チヨダの人間だ。
聞いた事あるだろ?チヨダ。
(奥寺美和子)ええ。
公安警察の秘密部隊。
非合法活動もお手のものの精鋭部隊だ。
だからさっき公式に記者発表された森本達也なんて人間は実は存在しないんだ。
名前も経歴も全部でたらめ。
な特ダネだろ?それが本当なら…。
嘘なんか言わねぇよ。
どうして私に?疑り深いねえ。
てまあ…仕方ねぇか。
俺があんたに特ダネ持ってくるなんて何か魂胆があるに決まってるよな。
ええ。
おい!否定しろよ。
だって…。
魂胆なんかねぇよ。
理由は単純だ。
いきなり横から公安がしゃしゃり出てきやがって頭にきた。
それだけだ。
ま信じるも信じないもあんたの勝手だ。
あ…嘘だと思うなら亀山に訊いてみろよ。
奴らもこの一件に噛んでるはずだ。
俺なんかより詳しい事情を知ってるかもしれねぇ。
くそっ!公安が!?マジかよ?刑事部から捜査を横取りしたらしいのよ。
そうか…。
ねえどうなの?伊丹さんの情報って本当なの?
(美和子)おい。
ん?ああそうそう森本達也は偽名。
正体は公安刑事?そんな事よりさもっと特ダネ欲しいか?え?驚くなよ。
森本達也は死んでないかもしれない。
生きてる可能性がある。
少しは驚けよ。
だって意味わかんないよ。
だからさ東京湾であがった遺体は森本達也じゃない可能性があるの。
可能性もなにも森本達也じゃないでしょ偽名なんだから。
いやそうじゃなくてさ考えてみろよ遺体は丸焦げだぞ?こんな状況でそんな遺体が出れば普通は偽装だろう。
死んだと見せかけるための。
う〜ん…それは要するにだ切断されて送られてきた腕と東京湾からあがったボディとは別人だって事?そういう事。
まさか。
いやあり得るね。
だって相手は公安だぞ?いくら公安っつったってさ…。
パソコンの電源入れて待ってろ。
は?記事書く準備して待ってろっつーの。
シッポ掴んでやっから。
スクープだぞ〜朝刊に間に合うようにしてやる。
ありがたく思え。
ちょっと待って待って!ここのコーヒー代は?おごれそんぐらい!安いもんだろう。
え〜。
(口笛)おはよう。
おはようございます。
クマ。
目の下クマ。
ちゃんと寝てる?ええ。
やっぱり殺されちゃってたんだね。
はい?20階の社員さ。
今ニュースでやってたよ。
そのようですねえ。
物騒な世の中だよねえまったく。
あの念のため…。
どうなのよ!?いやいやいやあの特に不審な点はないようですねはい。
言いがかりにも程がある!あのね私にもプライドってもんがあんの。
わかる!?はい。
プライド!プライドはい。
頼まれようが脅されようが事実をねじ曲げて報告したりしないわよ!あのご気分を害されたのならお詫びします。
ですから念のための確認なもんで…。
(扉の開く音)あここ置いて。
はい。
ご苦労様です。
ね遺体まだここにあるから疑うんだったら自分たちで調べなさい。
いやいやいやまだそこまでは…。
遺体は間違いなくこの腕の持ち主。
別人なわけないだろ!一昨日来やがれこのすっとこどっこいが!江戸っ子ですかね?えーっ?森本達也の遺体に間違いないようですな。
大体遺体の腕が別人ってのは乱暴な想像ですよ。
じゃあ遺体はなんで黒焦げだったんですか?そんな事私が知ってると思いますか?焼かなきゃならない理由があったわけでしょ?たまたま焼けちゃうはずないんですから。
ただ1つ言える事はですね。
ええ。
死んだと見せかけるための偽装工作ではなかったという事ですね。
(携帯電話)出ないんですか?ん?ふっ出ますよ。
ああ俺だ。
どう調子は?ん?ああ調子は…。
早刷りの締め切りまであと2時間なんだけどシッポ捕まりそう?あちなみにね仰せのとおりパソコンに電源入れて待ってますよ。
今度会った時コーヒー代返します。
それじゃ。
(笑い)多少なりともあんたに期待した私がおバカでしたわ。
(ため息)遺体は間違いなく森本達也でした。
そうですか。
しかも死後2日は経過してるそうですから昨夜の電話は本人じゃなかったって事ですね。
ええ。
あくどいようですけど森本達也の携帯から彼女に電話があった事は間違いありませんからね。
その人物と彼女が会った事も状況から判断して間違いないでしょう。
いずれにしても設楽聡子さんを訪ねてみる必要がありますね。
びっくりした。
こちらもです。
どうかなさいましたか?今夜中に済ませておきたい仕事があってね。
そうですか。
休日の真夜中に大変ですね。
巡回?ええ。
ご苦労様。
確かここの巡回は午前0時と3時と5時…だったよね?今何時?1時47分です。
中途半端な時間ですよね。
それに確か巡回は2人1組だったはず。
相棒はどこに行った?何を黙ってるんだ?いやー何度もごめんね。
どうやら原因は晩飯だな。
あこりゃ社長。
どうしましたこんな真夜中に。
お仕事だそうです。
あそれはそれは大変ですね。
じゃあ僕らはよそを回ろうか。
ええ。
お帰りになる時にひと声かけてください。
あぁわかりました。
じゃあ行こうか。
また途中で便所行きたくなったらよろしくね。
えぇ。
時間ばっかくって悪いね。
いえ。
もうケツがヒリヒリ参ったよ。
何者だいあんた?なんかおかしいと思ったんだよね。
この間も1人でこっそり抜け出してたよね。
あとつけて来てよかったよ。
おかしな真似されたらうちの信用に関わる。
窃盗団の一味かい?下見かなんか…。
白状しろよ。
そしたら見逃してやるからさ。
悪さはよそでしてくれ。
うちが管理してるビル以外なら何してくれたって構わないからさ。
だんまり決め込むんなら警察だよ。
いいのかい?強情だねあんた。
どうやら僕の手には負えなさそうだ。
妙な真似すんなよ!
(大音量の音楽)名前は?名前ぐらい聞かせてくれたっていいだろう!?今夜はゆっくり眠れそうですねえ。
やあ君でしたか。
警視庁の亀山。
あとはよろしくどうぞ。
お勤めご苦労様です。
ハハハ…。
いや警察に捕まっちゃうなんてね右京さんともあろう人が…。
ああそうだ小野田さん誉めてましたよ。
捕まっても黙秘を貫くなんてスパイの素質があるって。
ま最も捕まっちゃうようじゃスパイとしては失格なんでしょうけどね。
ハハハハ…。
おしゃべりも結構ですが道は合ってますか?合ってますよ。
あそうだ。
朝飯まだでしょ?後ろにおにぎりあります。
はい?取ってみてください。
あるでしょ?たまきさんからです。
迎えに行く前にちょっと寄ってって言われて…。
(宮部たまき)ごめんなさいね。
すぐ作りますからね。
ああ全然。
別に急ぎませんし。
梅干のは握んないんすか?右京さんね梅干ダメなの。
すっぱいのが嫌いなんですって。
子供みたいでしょ。
(笑い)梅干入ってませんから。
1ついいですか?はいどうぞ。
なぜたまきさんに知らせる必要があったのでしょうか?だって…。
えぇ。
知らせたいじゃないですか。
右京さんが警察に捕まったなんてね。
食べないんですか?くどいようですけど梅干入ってませんよ。
わかってます。
この辺りですかね。
えぇ。
僕の記憶に間違いがなければこの辺りですね。
ここですか?間違いありません。
あオートロックだ。
えぇ。
こんにちは。
(2人)行ってらっしゃい。
(チャイム)
(チャイム)留守ですかね?部屋に電話してみます。
電話番号も覚えてたんですか。
一度見れば忘れませんよ。
出ませんか?えぇ。
ん!?
(電話)ちゃんと鳴ってます。
かけてますから。
鳴り止みました。
あぁ切ったからね。
無駄ですよ出ませんよ。
今度は彼女の携帯です。
携帯番号もありましたか。
一体一瞬で何桁ぐらい覚えられるんですか?
(携帯電話)ん!?
(携帯電話)鳴ってます!携帯置いたまま外出ですかね?違いますよね。
えぇ。
管理人に鍵借りてきます!あぁ…。
設楽聡子さんに間違いありませんか?えぇ。
扼殺ですね。
刺し傷はありませんか?え?一見したとこないみたいですけど特に出血も見当たりませんし…。
室内の感じでは激しく争ったようですね。
えぇ。
とにかく鑑識呼びます。
そうしてください。
同じですね。
え?この指輪です。
僕が彼女のデスクの引き出しで発見した指輪とまったく同じ形です。
あいやちょっと鑑識待った方が…。
ちゃんと戻しておきます。
いやそういう問題じゃないでしょ。
2人は本当に深く愛し合っていたのかもしれませんね。
ん?Y.S。
森本達也の本名のイニシャルではありませんかね?どういう事ですか?同じ形の指輪同じ形式の刻印違うのはイニシャルだけ。
おそらく彼は指輪を二度設楽さんに贈ったのではありませんかね?二度。
一度目は僕が会社で見つけたあの指輪。
イニシャルはT.M。
つまり偽名のまま贈った指輪です。
その頃の彼はまだ任務の一環として設楽さんに接触していたのでしょう。
ところが森本達也は途中から彼女に本気になってしまった。
えぇ。
だから指輪を贈りなおした。
そう考えればイニシャル以外はまったく同じ指輪を贈る意味が見えてくるじゃありませんか。
当然その時点で彼は自分の素性を打ち明けた。
騙されていた事は大いにショックだったでしょうがすでに彼女は彼を深く愛していたのでしょう。
その証拠が彼女のはめていたこの指輪ですよ。
でもそうやって恋が成就したならなんでこんな事になっちゃうんですか?森本達也が殺されたうえに彼女までこんな…。
誰がこんな事を…!それにしても豪華な部屋ですね。
は?分譲でしょうか?それとも賃貸。
はぁそんな事…。
いずれにしても若いOLにふさわしい部屋ではありませんね。
ところで鑑識は呼びましたか?あいや。
何グズグズしてるんですか。
なるほど北潟社長とね。
森本達也は北潟社長の情報が欲しいのになぜあえて設楽聡子に接触したのか?北潟社長と設楽聡子は親しい関係にあったからですね。
そういう事です。
で北潟社長と仲良しだったから設楽聡子はこんなマンションに住めちゃってたって事ですね。
えぇ。
こんにちは!あぁどうも。
警視庁の亀山です。
こちらは杉下。
少しお時間を頂戴出来ませんか?君たちも警察だったのか。
よくやるよまったく。
設楽聡子さんが亡くなりましたよ。
殺されました。
僕と設楽くんが?えぇ違ってたら謝りますけどね。
まどうも考えると社長んとこに落ち着いちゃうんですよ。
だったらどうだっていうの?設楽聡子さんはあなたの愛人だった。
間違いありませんね。
だからどうだっていうのさ。
おたくの社員だった森本達也が彼女にちょっかい出してたのはご存知ですよね?愛人が別の男んとこいっちゃったら腹立ちますよね。
何が言いたいんだ君は?おまけにその男が当局のスパイだと知ったらそれこそ腸が煮えくり返る思いだったのではありませんか?見抜いていたはずですよあなたは。
森本達也が公安から送り込まれた刑事だった事を。
さっきあなたはこうおっしゃいました。
「君たちも警察だったのか」。
君たちも警察だったのか。
君たちもつまり我々以外にも我々のように身分を偽ってあなたに近づいていた警察の人間がいたという事ではありませんか?森本達也がスパイだった事ご存知だったはずですね。
違いますか?愛人を寝取ったうえに正体はスパイだった男。
そんな男にあなたはどんな仕打ちをなさるんですかね?おいちょっと待てよ。
まさか俺が森本を殺したとでも?もっと言えば自分を裏切った女も相当憎いですよね。
聡子まで殺したって言うのか俺が!あんたたちはいつもそうやって俺を犯罪者扱いだな。
はい?警察だよ。
確かに俺は公安にマークされてる。
だからって犯罪者じゃないんだぞ!思想も信条もこの国は自由だろ!俺をテロリストだと思ってんのか!?ふざけんな!儲けた金を俺がどう使おうが勝手だろう!そんなふうに森本達也を罵倒したんですか?あいつらにはそんな正論は通用しないよ。
ならば…。
知りたきゃ教えてやろうか。
あいつらがよく使う手口を真似て会社から追い出しただけだ。
夜中に悪いね。
(森本)いえなんでしょうか?うん。
驚く事ないだろう。
あんたたちがよく使う手を真似しただけだ。
こんなのもあるぞ。
聞いてみるか?あんたの間の抜けた喘ぎ声が笑える。
うちのスパイにならないか?何!?当局の情報流してくれよ。
それなりの礼はするよ。
あんたたちが協力者に支払っている謝礼金とは一桁違う額を約束する。
どうだ?これもあんたたちの手だよな。
弱みを握ってスパイに仕立て上げる。
そうやって追いつめられて自殺しちまう奴もいるんだ気の毒に…。
あんたそうやって今まで何人殺してきた?逮捕するぞ。
ハハハ…出た出た伝家の宝刀。
にっちもさっちもいかなくなるとすぐしょっ引いちまうんだよな。
ご立派なこった。
脅迫罪だ!逮捕したけりゃすりゃあいいじゃねぇかよ!だけどな俺をしょっ引いてもディスクも写真もなくならねぇぞ。
近いうちに必ず世の中に出る事になる。
どうする?逆スパイやってみるか?俺にもプライドがある。
ふーん。
それならそれでいいや。
まやるって言われても困るが茶番じみたスパイごっこなんてごめんだ。
ばら撒きたければそうしろ。
やめとくよ。
大っぴらに当局と事を構えたくないからな。
まあんたが尻尾まいて逃げ出すっていうんならそれで十分だ。
とっとと消えろよ。
あんたの諜報活動は失敗に終わったんだからな。
森本達也は会社から姿を消すのと同時に彼女の前からも姿を消してしまったようですね。
だから彼女は捜索願を出した。
それでもじっとしていられず足しげく警察へ通った。
あなたが森本達也の正体に気づいたのは愛人に新しい男の影がちらついたからですか?やはり気になるでしょうからね。
つまり森本達也がスパイだとわかったのは嫉妬の副産物だったのではないでしょうか。
なあもういいだろう。
全て話したよ!そんな目で見んなよ。
俺犯罪者じゃないんだから!まだ未練がありそうでしたね設楽聡子に…。
そう思いませんでした?つまり動機もある。
森本達也がスパイだった事もさることながら彼と設楽聡子が恋仲になっちゃった事が許せなかったんじゃありませんかね。
2人の秘め事の写真を撮って森本達也を会社から追い出してみたもののそれだけじゃ気が済まなかった。
北潟社長が2人を殺害したという事ですか。
あり得なくはないでしょ。
となると送られてきた森本達也の腕は北潟社長の自作自演ですか。
えぇ。
可能性がまったくないとは言えませんがただでさえ公安当局から睨まれている北潟社長がわざわざそんな真似をしますかね?いたずらに公安を刺激するだけじゃありませんか。
僕はこう思います。
今回の事件を解く鍵は設楽聡子の殺意にあるのではないかと…。
設楽聡子の殺意。
北潟社長も確かに今回の一件では殺意を持った事があったかもしれません。
しかしそれを実行に移すかというと疑問です。
むしろ設楽さんの殺意を検証する事で事件の真相が見えてくるのではないかと思いますよ。
設楽聡子の殺意ってなんですか?ナイフですよ。
ナイフ。
部屋に落ちていたナイフです。
あれは設楽聡子を殺害した犯人の凶器でしょうか?いや違います。
彼女の死因は扼殺です。
ナイフは設楽聡子の凶器ではないでしょうかね?つまりあの現場で殺意を持っていたのは彼女を殺害した犯人ではなく彼女だったんですよ。
設楽聡子は返り討ちにあったって事ですか?えぇ。
部屋には激しく争った形跡がありましたね。
はい。
さてそうなると設楽聡子は一体なぜ誰に殺意を感じたのでしょうか?彼女は森本達也が姿を消したわけを知りませんでした。
忽然と姿を消してしまった恋人の安否をただ気遣うしかなかったんです。
ところが…。
あ!森本達也の携帯で連絡をしてきた人物から森本が姿を消したわけを聞いた。
そう考えると設楽聡子が誰に殺意を感じたか明白ですね。
北潟社長。
おそらく設楽聡子は北潟社長を殺そうとしたんですよ。
しかし逆に殺されてしまった。
やっぱり北潟社長が設楽聡子殺害の犯人ですね。
間違いないと思いますよ。
しかしその前提となる電話の人物を特定して確かめる必要はありますがね。
特定するったってなんか当てあるんですか?えぇ約1名。
(口笛)
(口笛)おや?お待ちしてました。
もう自由の身かい?ええ…なんとか。
お話聞かせてもらえますか?なるほどただ者じゃないとは思ってたけどそっちの人か。
ええおそらくあなたと同業ですよ。
あなたもただ者じゃない。
ふっ…僕が警察官だって!?公安部に所属なさってるんじゃありませんか?ははっ…あなた冗談を…。
残念ながらお名前から調べるのは困難なので首実検をさせていただく事にしました。
おいおいどっかに連行しようってのかい?いいえそれには及びませんよ。
(小野田)久し振りだね。
元気そうじゃない?今は葛城貫太郎なんだって?名前じゃ調べられないから写真でも撮って来てよって言ったら一緒に来れば話は早いって引っ張って来られちゃってさ。
僕これでも官房長だよ。
官房長はかつてチヨダの管理官をなさってました。
ひょっとしてあなたと面識があるんじゃないかと思いましてあなたに無駄足を踏ませる事にならずほっとしました。
ご無沙汰してます。
森本達也の腕は君の仕業?杉下がねそうだって言うもんだから。
無論たんなる彼の想像だけど。
いや推理か。
まっどっちでもいいや。
どうなの?あなたが森本達也を殺したとは思っていませんよ。
彼は自殺だったのではありませんか?どうしてそう思う?わざわざ遺体が焼かれていたからですよ。
遺体にははっきりと自殺の痕跡があったのではありませんか?つまりそれを隠したかったわけです。
正体を見破られるという大失態を演じたばかりかひどい屈辱を味わわされて森本達也は自ら命を絶った。
そうではありませんか?そんな彼の不名誉な痕跡を消してやりたかった。
違いますか?あいつは殺されたんだよ。
北潟社長にですか?ああ。
(葛城)森本どこだ!?返事しろ!森本…。
森本!森…おい…お前…。
バカ野郎!なんでこんな早まった真似したんだよ…えっ!森本…起きろよ森本。
俺がなんとかしてやるって言っただろ。
森本…。
森本ー!敵でも討とうっていうの?
(葛城)うちで敵をとってくれるはずもありませんから。
それはそうさ。
潜入先の女性と恋に落ちるだけでも相当問題なのにそれで足元すくわれて自滅しちゃうんじゃ話にならないでしょ。
(葛城)ええそのとおりですよ。
うちの連中ははなも引っ掛けないでしょう。
同情もしない。
バカな奴だとせせら笑うだけ。
結局奴は行き場をなくしたんですよ。
だけど僕たちも人間なんですよ。
恋もすれば失敗もする。
いつあいつみたいになるかわからないんです。
絶対そうならないとは限らない。
あいつの姿は俺の姿なんです。
わかんないでしょうね。
闇の中にいる人間の気持ちなんて。
(小野田)だから君が?せめて敵はとってやらないと気が済みませんから。
ジワジワ追い込んでいくつもりだったんですけど…。
とんだ邪魔が入った。
設楽聡子に連絡したのはあなたですね。
もう少し尾行の仕方勉強した方がいいよ。
まああんただけじゃないけどさ。
刑事部の連中はみんな尾行も張り込みも下手くそだ。
手紙を届けたんだよ。
手紙?ああ。
(電話)
(葛城)「もしもし」無事なの?君に会いたいんだ。
森本の手紙を預かってる。
僕は葛城といいます。
彼の仲間です。
(聡子)「公安の人ですか?」ええ。
(泣き声)その手紙に今回の顛末が記されていたわけですね。
ああ。
彼女は恋人がどんな屈辱を味わわされたかその時知った。
ああ。
設楽聡子は殺されましたよ。
そうみたいだね。
おそらく犯人は北潟社長です。
彼は法によって裁かれなければなりません。
つまりあなたに勝手に敵討ちさせるわけにはいかないんですよ。
僕を止めようって言うの?ええ。
力ずくでも?もちろん。
3対1か…。
フッ…ちょっと分が悪いかな。
僕も数に入ってるのね。
了解。
後はあんたらに任せるよ。
僕は引き上げよう。
ちょーっと待ってくださいよ。
何?あなたも死体損壊と遺棄帰ってもらっちゃ困ります。
どうすりゃいいの?ご同行願います。
堅い事言うなよ。
コラッ。
イテテテテ…あー…。
待てこの野郎!亀山くん!ごめんなさい。
すみません。
くっそー!おー…。
彼の行き先はわかってます。
(北潟)へえ…あんた公安だったんだ。
で取り引きって何?
(葛城)おーい!出て来いよ。
どっかにいんだろ?
(葛城)こいつをマークしてりゃ確かだもんな。
あなたの目的地は北潟社長ですからねぇ。
おいお前ら一体これ…。
(北潟)おい。
設楽聡子を殺したんだって?あっ?素直に認めろよ。
そしたら逃がしてやる。
これが取り引きだ。
フッお前ふざけた事言ってんな外せよ!騒ぐな!気をつけないとはずみで爆発しちまうぞ。
おっ…。
マジかよ。
マジだよ。
白状しろよ。
正当防衛だよ。
あ?俺は殺されそうになったんだ。
泣いて詫びてももう遅いぞ。
お前は俺を裏切った。
たった一度の過ちも許さない。
それが俺の主義だ。
(聡子)彼は死んだわ。
あ?あなたが殺したのよ!
(北潟)何やってんだよ…。
(聡子)うー!
(聡子)うー!ん…。
お前…何やってんだよ。
(聡子の苦しむ声)
(葛城)正当防衛とは言えないな。
過剰防衛だ。
いや違う。
(葛城)ん?あんたにだって殺意はあっただろう。
彼女を殺してやりたいと思ってたはずだ違うか?きっかけは彼女だったにしろあんたがやった事は正当防衛でも過剰防衛でもない。
殺人だ!
(北潟)あんたとここで裁判ごっこするつもりはねえよ。
何!?白状したんだ逃がしてくれんだろ。
ああ。
どこへ?絶対に捕まらない場所だ。
あはっ…あんたと一緒にか?ああ。
だそうだ。
どうやらこの人本気らしいぞ。
バカな真似はよせ!あんたも早く逃げた方がいいよ。
巻き添え食うぞ。
そんなわけにいくかよ!だったらここで一緒に死のうか。
一緒に行きたいってよ。
来たけりゃ勝手について来い。
考え直せよ。
こんな事してなんになる!なんにもなんないさ。
自己完結。
ただそれだけの事だよ。
落とし前は自分でつけないとな。
覚悟なさってるようですね。
あ?潔くここで死ぬおつもりとお見受けしました。
(北潟)理由はどうあれ聡子に手をかけた事は事実だ。
どうせただじゃ済まないんだろ。
ここで死ぬのも悪くない。
恥をさらしたまま生きてくのはまっぴらだ。
確かにあなたはこの際ここで木っ端微塵になるべきかもしれませんね。
右京さん。
だってそうじゃありませんか?設楽聡子さん殺害の容疑で逮捕され今後の人生のかなりの時間を犯罪者として生きていかなければならない事はおそらく北潟社長にとって相当の苦痛だと思いますよ。
そうですよね。
それもかなりの屈辱です。
(北潟)おしゃべりはそのぐらいにしろ。
そんな屈辱を味わうぐらいならここで一瞬のうちに終わりたい。
そう思って当然ですよ。
おい早く押せよ。
そこで1つ提案ですがどうでしょう。
どうせ敵を討つならば一瞬のうちに終わらせてしまうのはもったいなくはありませんかね?死ぬ覚悟をしている人間を殺したところで思う壺ですよ。
むしろご本人がどうやら死ぬよりも嫌がってる屈辱を味わわせてやる方が敵討ちにふさわしいと思うのですがいかがですか?お前なあ。
長い時間屈辱を味わわせてやりませんか?黙れって言ってるだろ。
簡単に死ねると思ったら大間違いですよ。
はっははは…。
おもしろいねあんた。
そうですか。
(北潟)おい!こんな奴の口車にのんなよ!お前だって死ぬ気で来たんだろ早く押せよ!
(葛城)気が変わった。
お前ふざけんなよ!
(北潟)お前。
やめろやめろ。
覚えとけお前!おとなしくしろ。
あなたも一緒に来ませんか?遠慮する。
止めろ!
(北潟)押せ!どうしてもダメですか?
(葛城)早く遠くへ行ってくれないかな。
腕が疲れる。
僕は一緒に死ぬのはごめんですがかといってみすみすあなたを死なせる気にはなれない。
困りましたねぇ。
あんたの言う事聞いたんだから俺の言う事も聞いてくれよ。
ホントに押すよ。
押せよ。
あっその前に1つだけ。
ダメ。
下手な引き延ばしは通用しない。
そうですか。
右京さん。
君は北潟社長を連れて遠くへ行ってください。
これが最後通牒。
いいね。
5つ数えるから全力で走ってください。
万が一巻き込まれても自己責任という事で。
ひとーつ。
ふたーつ。
みっつ。
押せ。
よっつ。
(葛城)はは…見上げた根性だね2人共。
でもこんなとこで巻き添え食って死んでも誰も誉めてくれないよ。
バカな奴って笑われるだけ。
いい加減にしろよお前ら!そんなに死にたきゃ…望みどおりにしてやるよ!うわぁー!
(銃声)目標射殺しました。
(無線)「了解」おいちょっと待てよおい。
邪魔するな。
何するんだこの野郎…。
亀山くん。
僕は狙撃なんて指示してませんよ。
するわけないでしょ。
ただね公安の刑事が敵討ちを企てている事は知らせました。
止めないわけにはいかないもんねえ。
僕が殺してしまえなんて言うと思う?いいえ。
他に質問は?あ…1つだけ。
どうぞ。
彼の本名はなんていうんですか?さあ…。
知らない。
僕が奪ったんでしょうかねぇ。
え?自己完結のチャンスを…。
自己完結。
ただそれだけの事だよ。
落とし前は自分でつけないとな。
もっと彼の気持ちを汲んであげるべきでしたかねぇ。
説得を諦めて逃げれば良かったって事ですか?ええ。
そんな事ないと思いますよ。
お疲れ様。
はぁ…ざっとこんな感じだけど。
うん…。
記事に出来そうか?するよ。
是非してくれ。
2015/01/11(日) 13:55〜15:55
ABCテレビ1
相棒 season3 #9[再][字]
「潜入捜査〜私の彼を捜して!婚約指輪のイニシャルに隠された殺人メッセージ」
詳細情報
◇番組内容
新進気鋭のIT会社社長、北潟(保阪尚輝)の闇の資金援助ルートを探るためにある公安刑事が潜入捜査をしていたのだが、突如、行方不明に! 密かに右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は警備員に扮して潜入捜査を開始した。刑事失踪の謎とは!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文・鈴木砂羽・岸部一徳 ほか
ゲスト・・・保坂尚輝・温水洋一・吉野きみか ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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