なるスラ blog

テレビ番組が教えてくれた「なるほど!」を引き出すプレゼンスライドの作り方

優れたスライドほど、SlideShareだけでは意味が汲み取れないジレンマ

 カテゴリ
プレゼン一般
 執筆者
しかた こうき
 投稿日
2013年4月16日

最終更新日:
2013/04/16

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プレゼンのスライドを広く一般に公開する時に便利なのがSlideShare。IT系の勉強会などに行かれた方にはお馴染みではないでしょうか。後日プレゼンターや主催者からスライドの内容が公開され、ネット上で話題になることも多いですね。

しかし、なるスラ的考え方では、SlideShareの利用は諸刃の刃ではないかと思っています。SlideShareで公開されたスライドのうち、「わかりやすい!」と思えるスライドほど、実はプレゼンで聞き手の集中力を奪う残念なスライドになっていないでしょうか

SlideShareは、スライドを共有するサービス

まず最初に述べておきますが、SlideShareは素晴らしいサービスです。この記事では、これを否定するものではありません。

しかし、よくよく考えてみれば、SlideShareは「スライド共有サービス」であり、それ以上でもそれ以下でもない、ということです。決して「プレゼン共有サービス」ではありません。

SlideShareに上げたスライドだけでは理解してもらえない

Death to the Cliché Landing Page from ion interactive

このスライドのタイトルは「ランディングページに死を」。Webのランディングページについて解説しているスライドです。英語のスライドですが、そもそも英語の文章もかなり少なく、ビジュアル要素でほとんど構成されています。

1枚1枚のスライドに何が掲載されているのかはわかりますが、その前後関係を把握するのは不可能でしょう

特に、6枚目と7枚目のスライド。面白い表現だと思いますが、これだけ見て意味がわかりますか?

6枚目

Death to the Cliché Landing Page from ion interactive

7枚目

Death to the Cliché Landing Page from ion interactive

なかなか印象的な写真の使い方ですが、女性にお酒をひっかけられることが、このスライドでは話の前後として見えてきません。

しかし、その答えはSlideShareの外にありました

今週、SMX Advancedカンファンレスで、私はプレゼン「ワンパターンのランディングページに死を」(リンクをクリックすると、スライドシェアでデックが開く)を行った。このスライドは、ほとんどがグラフィックで構成されているため、このサイトで詳しく説明させてもらう。

(引用者中略)

この点について深く考えてもらいたい。何も問題がないなら、広告をクリックした20人のうち19人が、いきなり戻るボタンをクリックしないはずである。バーでナンパしたところ、20人のうちの19人に拒絶されるなら、誘い文句を変えるだけでは不十分である。全く異なる – そして、より誠実な – アプローチを採用する必要がある。新しいデオドラントを試した方がいいかもしれない。冗談はさておき、この拒絶反応は、ブランドにとって死に等しい。(引用者強調)
ランディングページに死を – SEOJapan

このスライドを作った作者の記事を、SEOJapanさんが翻訳しています。その記事から抜粋してみました。作者は、スライドをSlideShareに載せただけでは自分の真意が伝わらないと考え、自分のスピーチした内容を改めてブログに掲載したのです。そして、おそらく6ページ目と7ページ目は、私が引用上で強調した部分ではないかと想像できます。

これが、なるスラの考えるSlideShareの欠点です。スライドをシェアするということは、そのプレゼンに立ち会った人たちには理解できても、立ち会っていなかった人には理解できない可能性があるということです。

SlideShareは「企画書Share」ではない

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もちろん、スライドにスピーチの内容を文字でびっしり書き詰めれば、SlideShareにアップしても、プレゼンに立ち会っていなかった人も後から理解できるでしょう。しかし、それがプレゼンで理解してもらうことを最優先に考えた場合、最適解でしょうか?

なるスラでは、以前にもスライドは企画書ではない。企画書をスクリーンに映すプレゼンは今すぐ中止!という記事を書きました。この記事ではSlideShareについて触れていませんが、どうもSlideShareを「企画書Share」と勘違いして使っている人が多いのではないかという思いがあります。

また、この記事を公開した直後に、似たような主張のブログ記事も見つけました。

スライドというのはあくまでその場でお話することの補助であり
主役になるべきものではないと思っています。

見ればわかるほど充実した資料を提示すると、
人はそれを目で追う方に注意力を使ってしまって
聞く方が少しお留守になりがち。

もちろん資料が完璧なら情報は漏れなく伝わるけど、
それならそもそも資料をお配りすれば済む話で
わざわざ時間をあわせて来てもらってお話しする必要はない。(引用者強調)

プレゼンというのは、相手に情報を提供するためではなく
それを相手の心まで届けるために行うものだと思っているので
ここにいる人間からのメッセージを受け取る方に注力してほしいんです。

(引用者中略)

発表で使ったスライドをそのままアップするというのは
これからもあまりやらないと思います。

(引用者中略)

そして公の場で発するプレゼンテーションについては
スライドをアップロードする代わりにブログに記事を書くようにします。(引用者強調)

後から見るということを考えたらたぶん文章の方がわかりやすいし
関連記事との連携もしやすいし
そのつもりでいればスライドももっとその場限りで気軽に作れるし。

後で見る人のためにスライドをまるごと作り直したこともあるけど、
そんなことをするならブログを書いた方が早い。

プレゼンで完璧な資料を作らず、SlideShareにもアップしない理 - 頭ん中

http://www.msng.info/archives/2013/04/reasons-not-to-upload-slides.php

なるスラの考える「優れた」スライドプレゼンテーションと同じ考え方の人がいて嬉しいです。なるスラの考えるスライド論と同じアプローチをされていらっしゃいます。プレゼン(ここでは、スライドを用いるスピーチのこと)の成功を第一に考えるなら、後でスライドを共有することは優先順位として2の次にすべきでしょう。しかも、それはプレゼンが終わった後からでも着手できることですから。

SlideShareは役立たずなのか?

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残念ながらプレゼンに立ち会えなかった人の救済措置としてはほぼ意味をなさないと思います。もっとも、SlideShareにも、Transcriptという、発表者メモをインポートして表示する機能もあります。しかし、スライドと同時に見比べようとするとスクロールが発生するというなんともダメなUIですので、現状ではやはり意味がないでしょう。

とはいえ、名前にShareがついている通り、SlideShareのスライドはシェアされやすい特長を持っています。ソーシャルへのシェアやブログ記事への埋め込みがしやすくなっている、ということですね。SlideShareでわかりやすいスライドを作ってシェアすれば、Web上でのコンテンツマーケティングはしやすいと思いますし、それはそれで意味のあることです。

しかし、それはスライドを用いたスピーチという意味でのプレゼンテーションではありません。スピーチを大切にするなら、やはりSlideShareでは全て意味を汲み取れないぐらいシンプルなスライドのほうが価値あると、なるスラでは信じています。

なるスラは、SlideShareよりもYoutubeへのアップをオススメ

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なるスラは、Keynoteスライド制作サービスです。Keynoteには「スライドを記録」という機能があります。スライドの再生時に、スライドを繰るタイミングと発表者の音声を同期して録音する機能です。これをオンにしておけば、後から音声とスライドが完全に同期した動画を書きだすことができるのです。

スライドショーを記録の設定箇所

スライドショーを記録するには、インスペクタから設定することができる

この方法のメリットは、Keynoteに埋め込んだ動画もそのまま再生でき、トランジションやビルドなどもそのまま再生されるなど、Keynoteのフル機能をそのまま再現できます。SlideShareでは、トランジションやビルドなども再現できませんね。もちろんYoutubeもシェアや埋め込みもやりやすく設計されていますから、シェアの点でSlideShareに劣ることは何一つありません

あえて一つ難点があるとすれば、ジョブズのようにMacの前を離れて歩きまわるスピーチをしたい場合は、Macの内蔵マイクで声を拾えない、ということでしょうか。これは、別途ピンマイクとICレコーダーなどで、声を別録りし、後から動画と同期して保存し直す必要があります。

まとめ

  • プレゼン(スライドを用いるスピーチ)時にベストなスライドは、グラフィカルで文字を多用しないシンプルなスライド
  • しかしSlideShareでそのようなスライドは、後から見る人には理解してもらえない可能性が高い
  • 後からスライドをアップするなら、SlideShare+ブログなど、ひと手間加える必要がある
  • Keynoteでは「スライドを記録」してYoutubeにアップするのがオススメ

もう一度言いますが、SlideShareは素晴らしいサービスです。しかし、プレゼンの時にベストなスライドと、後から観る人のためにベストなスライドは相反するものです。深く考えて利用しないと、優れたサービスでも意味のないコンテンツをアップしてしまうことにつながります。

あなたが大切にしたいのは、あなたのプレゼンに足を運んでくれた人ですか? それとも後からスライドだけ見る人ですか? スライドを作り始める前に、いちど深く考えてみてください。