NHK俳句 題「悴(かじか)む」 2015.01.11


朝の体操はこの辺で。
どうぞ良い日曜日をお過ごし下さい。
「NHK俳句」新年第2週の選者は小澤實さんでいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
今日の兼題は「悴む」。
冒頭の句は小澤さんの句。
そうですね。
指先だけじゃなくていろんな部位で感じる季語ですよね。
そうなんですね。
口の周りとか。
僕は顔で顔全体が悴んでいるという事で詠んでみました。
気が付いたんですけども動詞が多くて…。
「あらず」「悴める」「閉ぢず」…。
4つ動詞を使っちゃいましたね。
「笑う」。
こういう事もあっていいんじゃないでしょうか。
これやっぱりご自身が長野の松本のご出身…。
そうですね。
松本の冬の朝は零下10度を超える寒さになる事があってそんな時は顔もこんなふうになりますね。
今日もそういうふうに悴んでる方もいらっしゃるかもしれませんけどどうぞよろしくお願い致します。
さあゲストをご紹介致します。
今日のゲストは…まずこの曲をお聴きになって下さい。

(「仮面ライダーアギト」の主題歌)ご紹介致します。
脚本家の井上敏樹さんにお越し頂きました。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
井上さんはアニメですとか特撮物特に近年は「仮面ライダー」の作品などで脚本家として活躍中でいらっしゃいます。
「ジェットマン」などの作品に非常に励まされてきまして今日は出て頂いて大変うれしい。
いえとんでもないです。
よろしくお願いします。
「仮面ライダー」もなんですけど昔のものと変わってるんですね。
昔の「仮面ライダー」よりもずっと設定が複雑になっていてそして謎が深まっていて現代という非常に複雑な悩みの深い時代というものを表現する作品ですね。
子ども向けの作品っていうんじゃなくて私たちがこの時代をこの世界を考えるヒントを与えてくれる作品になっています。
ちょっと大げさですけどね。
でも励まされるとおっしゃいましたけどもね。
最近は小説も…。
そうですね。
昨年「海の底のピアノ」という作品を書き下ろしで刊行されましてとてもすばらしい作品で今までの小説という概念を変えてしまうような巨大な作品だったと思って…。
お目が高い。
大変愛読しております。
この中に実は俳句も出てくるんですよね?そうですね。
ストーリーには関係ないんですけどホームレスでありながら風流を解するっていうちょっと特異な人物がおりましてそのキャラクターを表現するためにその彼が俳句を詠むと。
あともう一つのシーンが…恋愛小説なんですけど最後の方でその2人の男女がエンディングにさしかかってちょっと悲しいような雰囲気の中で老人ホームの前を通ると。
お正月なんですけどね。
その掲示板に入居者のご老人たちが詠んだ句が貼ってあると。
その句を2人で読むっていうシーンがちょっと悲しいだけどちょっと温かいようなイメージのシーンですかね。
そのうちの一つがこちらですね。
そうですね。
「正月のトイレットペーパーは花模様」。
これ実際にあった句ですごい名句だなと思いましてねこれ読んだのが10年以上前なんですけどずっと残ってまして心に。
それで今回ちょっと…出してもらいました。
いい句ですよね。
「トイレットペーパー」を詠むっていう事が…。
それも花模様。
驚きますね。
美しいですね。
忘れ難い。
実はもう一つの句はご自身が…。
それはいいです。
いやいや。
お作りになったんで…。
そのお作りになった句も含めてまた後ほどご紹介下さい。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
それでは入選句ご紹介してまいります。
まず1番です。
丁寧な描写ですね。
指に絞り込んでそしてまた息をかけてというところでしっかりと描写してメールがきっと大事なメールだったんじゃないかなという事も思わせるこの丁寧な描写によってメールの内容の重さを感じさせています。
打ち間違いのないようにという事でしょうかしらね。
しっかりとっていう事でしょうね。
では2番です。
面白い句ですね。
指が使えなくなって指の代わりに顎で本のページをめくっているっていうのは。
めくれるんですかね?これね僕は子どもの頃よくやりましたね。
(桜井小澤)あそうですか!正月に餅食って指が餅だらけだったりするとよく顎でページめくって読んでましたね。
ただ本が駄目になりますね。
やっぱりページがクシャクシャになって。
あんまりいい本ではやらない方がいいですね。
お酒とか召し上がる…甘いものもお好きなんですか?大っ嫌いですね。
子どもの頃は好きだったと。
甘いものが。
お餅でベタベタ…。
餅だのあんこだので。
ちゃんと手を洗ってから本を読まないといけないですよね。
そうですね。
今思えばそうでした。
できるんですね。
へえ〜。
さあ今度は3番ですね。
3番です。
俳句を俳句の素材にするっての僕あんまり好きじゃなくて採らないんですけどもこれはいいなと思いましたね。
今記さなければ忘れる句ってのが確かにあるんですよね。
その記すという事の大事さという事も強調しております。
「悴めど」っていうのもうまく働いている。
なかなかいい句で皆さんも是非いい句を思い浮かべたらどんな状況にあっても書き記してご投句頂きたいと思います。
小澤さんもそうでらっしゃる?そうですね。
今度は4番です。
悴みながらバスは来るのか来ないのか悩んでるという訳ですね。
周りには人はいないんでしょう。
ですから山の中なんでしょうかね?道もはるかまで見えない。
近くの所まで見えない。
そんな所ですね。
山の中で非常に寒い中にこの作者はいるんじゃないかなっていう気がします。
バスは来たんですかね?う〜ん…来てないんでしょうね。
歩って帰ったんですかね?そのうち来るんじゃないですかね。
何か楽しいですねお二方。
いやいや…。
失礼しました。
いつも楽しくやってます。
5番です。
これはまた面白い句で。
そうですね。
悴んでるんですけれども震えてるんじゃないですよね。
貧乏揺すりしてるっていう。
そしてその状況は二浪中だという事なんでかなり苦しい状況にあるという事なんですけど。
三浪するんですかね?できたら二浪でとどまってもらいたいですけどね。
でもユーモラスですよね。
ご本人は切ないんでしょうけどでもいいものですよね。
そうですね。
明るい春を迎えてもらいたいですね。
今度は6番です。
美空ひばりの歌が作者にとって元気の出る歌なんでしょうね。
それなんで口笛で美空ひばりの歌を吹いて寒さを吹き飛ばしているという楽しい句です。
これどんな歌なんでしょうね?美空ひばりの。
いろいろありますけどね。
明るいのもあれば暗いのもありますからね。
そうですよね。
僕はこういう時には「ジェットマン」の主題歌を。
明るいですね。
希望がありますからね。
うそっぽいですね。
そんな事ないですよ。
本当です。
今度は7番ですね。
7番です。
なかなかしっかりした句でこれ釣りの餌をつけてるんですね。
その時に悴む指を「叱りつつ」っていうのがすごいなと思って。
叱るって分かるんですか?叱るっていうのは自由にならない指をなでたりさすったりするんじゃなくて叱って励まして行っているという。
この「叱りつつ」の飛躍が僕はすばらしいと思いました。
これはヘラブナ釣りじゃないですかね?昔やってたんですけどすごい朝早くからやるもんで特に練り餌なんで餌を丸めるんですけどすごく冬だとできないんですよ。
指が悴んでると。
それでもうたたいたりかんだりもう本当に叱るっていうかいじめるぐらいの勢いでやらないと指が動かないっていうようなそんな経験ありますね。
たださすったりとかハアハア息をかけても駄目なんですねもうね。
そういう段階じゃないっていう。
なるほど。
実感が籠もってますね。
実感籠もってますね。
今度は8番です。
口語で作られていてそしてリフレインですよね。
「悴んだ」が2度出てきて「手」が2度出てきて。
この「悴んだ手が悴んだ」っていうところで悴むという事を言い訳のようにしてそして恋人の手を握っていると。
あそうなんですかこれ。
大胆ですね。
現代の青年の感情をふだん使ってる言葉で俳句にして生かしてるというところが驚かされました。
これ僕なんか何か年老いた男女だと読みましたけどね。
全然違う。
いたわり合うような2人みたいなイメージで読みましたけどね。
でも作者が若い人なんでしょ?作者23歳の方で僕はそこからそれの情報をちょっと補って読んでしまったところあるかもしれませんけど。
そういう若い青春っていうだけじゃなくて人間と人間の普遍的な関係を書いてるかもしれない深い句って言えるんじゃないでしょうかね。
気持ちのつながりがそうですよね。
それは感じますよね。
今度は9番ですね。
年賀状の版画彫ってるんだと思うんですけれどもその準備をしながら悴んでる指を揉みほぐしていると。
揉みほぐすという行為が非常に丁寧でこの版画も細かな所まで彫られた細やかな作品じゃないかなというそんなところまで想像できます。
これは叱らなくて揉みほぐすでいい?「叱る」と「揉みほぐす」と内容の違いによって表現を変えてるところですよね。
なるほど。
以上が入選句でした。
では特選三句をご紹介する前に「俳人のことば」をご覧下さい。
俳句の本質とは何か。
それを気付かせてくれたのが2人の先生でした。
練馬の三宝寺池にまだ寒い早春に出かけていってじっと薄氷を見ていたんです。
そうしましたらほんの偶然にその2枚が重なったんです。
こういうふうに客観写生っていうのはじっと眺めてそのうちに季題と一つになった時にその季題が動いて偶然が起こるんです。
それを言い留めるというのが客観写生の虚子先生から伺った極意なんです。
山口青先生はこの句について「これは俳句でなくてはできない表現なんだ」。
俳句というものはこういうほんの一瞬トリビアルともいえるものの中で人間をそして宇宙を表現するそういう詩なのです。
では特選句です。
まず第三席はどちらでしょう?清水けん一さんの句です。
二席の句です。
伊勢丈太郎さんの句です。
そして一席です。
小笠原啓太さんの句です。
小笠原啓太さんは去年の夏「俳句さく咲く!」の入選の方で「さく咲く!」という入門の番組からこちらの番組にまた進出されてきたという成長ぶりが見られたっていう事もうれしい事でしたね。
以上が特選でした。
続きましてこちらですね。
ご覧頂きましょう。
ご紹介しました入選句とそのほかの佳作の作品はこちらの「NHK俳句」テキストに掲載されます。
俳句作りのためになる情報も参考になさって下さい。
では続きまして…ここを変えれば入選していたというあと一歩をクリアーするポイントを教えて頂きます。
今日は生活人事の季語は人間において使う。
動物においては使わないという事をお話ししてみたいと思います。
こちらの句ですね。
遊び暮らしの末に猫とわれが悴んでほうけているとそういうなかなか面白いイメージの句なんですけれども「悴める」という季語が「猫」に掛かっているのが私気になるんですよね。
それで「猫とわれ」を逆にして「われと猫」にして…。
そうすれば「悴む」という季語は「われ」に掛かって「猫」とは離れるんで問題ない句になりますね。
この人事の季語には「日向ぼこ」だとか「昼寝」だとかそんな季語があるんですけどもそういう季語にも猫だとか犬とくっつけたものが多いんですよ。
そういう句私はどうしても採れないんでご注意頂きたいと思います。
どうぞお気を付け下さい。
それでは投稿のご案内です。
それでは小澤さんの年間のテーマ「季語について考えておきたいこと」です。
今日は季重なりという事についてお話ししたいと思います。
季重なりは一句に季語が2つ以上入っているものですね。
初心者はタブーとされているんですけれども名句の中にも季重なりの句がたくさんありますので季語について考えるためには重要な点なんでお話ししてみたいと思います。
こちらの句ですね。
なかなか人生の味わいのある句ですね。
夜学生が寒さの中悴んでいる妻を同級生の好奇の目から背に隠していると。
そんなふうな意味じゃないかなと思います。
夜学生もかなりの年齢の夜学生でしょうね。
結婚してる訳ですから。
いろんな背景のある見えてくる句です。
この句季語の点から言いますと「夜学生」が秋の季語で「かじかむ」が冬の季語という事になります。
その2つの季語が入っている訳ですが季重なりという場合はその2つの季語に主と従ですねそれをつける事が必要です。
この場合は「かじかむ」は冬しかありえない季語。
それに対して「夜学生」は秋以外でも存在しますね。
春の夜学生夏の夜学生冬の夜学生存在します。
そういう点から「かじかむ」が主なる季語主季語であり「夜学生」が従う季語従季語であるという事が言えると思います。
この主季語…主従をつけて季語を処理する事ができる2つの季語は季重なりの句として認められるという事が言えるんではないでしょうか。
ただこの季語2つの主従をつけるという事は大変難しい事なんで初心者の方はまだ手を出さない方が…。
1つにした方がいいという事ですね。
ベテランになってから楽しんで頂く。
そういう句の形だと思います。
さあ今度はまた井上さんと小澤さん話をしていって頂きたいと思うんですけども井上さん俳句を小説脚本に参考といいましょうかそういうふうになさる事もあるんだそうですね。
というよりまだ始めて俳句の方は1年ちょっとなんでそこまで自分の中では学んでないんですけど俳句というのはこう…俳句の余白の部分にストーリーを見る事ができるという側面があるんでそういうところは興味があります。
だから書かないで書いてるもの以上のものを想像させるというようなところを勉強してるつもりですけどまだまだこれからですね。
例えばこちらの句などは…。
何か僕が見ると絶対男性には書けない句で多分想像されるイメージとしては4050以上の女性が…。
年齢も。
そこまで絞られるんですか。
絶対そうです。
バツイチですねバツイチ。
子ども1人2人育て上げてちょっと台所でピーマン切ったっていうようなイメージで。
それなりに苦労もしてささやかな幸せもいっぱいあった中今ピーマンを切ってそのピーマンにも幸せをあげてあげてると。
そんなようなイメージですね。
「明るくしてあげた」ってところで。
「あげた」っていうのはおかしなもんでピーマンはそれを望んでる訳じゃないんですけどこの人はそれがありがたい行為だろうとピーマンも喜ぶだろうっていうところに彼女のユーモアとちょっとしたかわいらしさを感じますね。
多分どんなに年を取っても少女のイメージの感じですね。
そこまで鑑賞というか広げられる訳ですね。
それは脚本を書くっていう事と通じてますよね。
まあどうなんですかね?妄想癖もありますしね。
妄想癖って。
昔から暇な時だと人間見たりあの人は何であんな真っ赤なセーター着てるんだろうとか。
そんなような事を考えたりする癖がちょっと俳句読む時も出ちゃうのかもしれませんね。
それは脚本家っていうものの性格なのかもしれませんね。
そうですね。
ちょっとした…。
向いてる訳ですね妄想癖が。
僕も妄想癖はありますけどねそういうふうにはうまく反応しないですね。
小澤さん女性専門の妄想が多いです。
いや井上さんだってそうじゃないですか。
まあまあ。
句をね…まず井上さんの句からご紹介頂けますか?井上さんお願いします。
井上さんの句から。
未熟な…。
これはもう読んでそのままなんですけど紅葉狩りしていたら女の子が足元の空薬莢を拾ったという事であって地冷えるような時期ですからね多分猟師さんが散弾銃の薬莢を落としていったと。
赤い散弾銃の薬莢を拾ったんであって多分この2人は関係がうまくいかないんじゃないかと。
そうなんですか。
それを予感させるようなつもりですね。
ちょっと気が散ってるんですよね。
そうなんですか。
せん越なんですけどもちょっと添削させて頂いて…。
この敏樹さんの句は上五下五が名詞になっていて左右対称になってるのが僕形がちょっと悪いんじゃないかなと思って。
それから「狩り」という言葉が入ってますよね。
狩猟の「狩」という字です。
それと「空薬莢」っていうのがちょっと関連づいてしまってるんじゃないかと思って。
それでこの「狩り」は消したいなと思って…。
なるほど。
添削してみました。
「女がひろい空薬莢や紅葉山」というふうな形にしてみました。
確かに雄大な感じが出ますよね。
句が大きくなった感じがします。
さすがです。
恐れ入ります。
一句から連想を広げるっていうところ面白いんですけれども俳句というものを主人公にして脚本を書くみたいな試みはいかがですかね?昔短歌ならやった事あるんですよ。
そうですか。
セリフを全部短歌で書きましたね。
まあでも難しいですね。
でもいつか…。
そうですね。
いつか小澤さんの監修で是非。
でも本当に今日は妄想という事が脚本にも俳句にもあるっていう入ってくるの分かりました。
妄想大事ですね読みにとって。
ありがとうございました。
今日は井上敏樹さんにお越し頂きました。
本当に楽しい時間ありがとうございました。
では今日はこの辺で失礼致します。
ごめんください。
(きてき)2015/01/11(日) 06:35〜07:00
NHKEテレ1大阪
NHK俳句 題「悴(かじか)む」[字]

選者は小澤實さん。ゲストは脚本家の井上敏樹さん。平成仮面ライダーシリーズなどの特撮ものやアニメの脚本を手がける井上さん。人に勧められて最近俳句を始めたという。

詳細情報
番組内容
選者は小澤實さん。ゲストは脚本家の井上敏樹さん。平成仮面ライダーシリーズなどの特撮ものやアニメの脚本を手がける井上さん。人に勧められて最近俳句を始めたという。【司会】桜井洋子アナウンサー
出演者
【出演】井上敏樹,小澤實,【アナウンサー】桜井洋子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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