BS1スペシャル「“エース”の責任〜密着1年 田中将大の挑戦〜」 2015.01.11


今シーズンニューヨークヤンキースに入団した田中将大投手。
大リーグに挑んだ一年にカメラが密着しました。
(場内アナウンス)「ナンバー19マサヒロタナカ」。
(拍手と歓声)並みいる強打者たちに立ち向かった田中投手。
決め球の…三振の山を築きました。
(歓声)スプリットの秘密を田中投手自らが明かします。
そしてシーズン途中に襲った…チームメートの戦いをテレビで見る事しかできない苦悩の日々が続きました。
先の見えない長く地道なリハビリ。
同じように投げられるかという不安。
次に投げ始めた時にどうなるのかっていうのが。
支えとなったのはマウンドに立ちチームを勝利に導くという強い責任感でした。
俺がやらなきゃと思ってしまう部分ですかね。
チームの勝利のためにマウンドに立ち続ける。
「エース」の責任と向き合い続けた「知られざる戦い」の記録です。
田中投手がヤンキースの入団会見に臨みました。
ハロー。
マイネームイズマサヒロタナカ。
(拍手)
(取材者)一番の目標は何ですか?ヤンキースはまだ大リーグで1球も投げていない田中投手と7年間年俸20億円以上の大型契約を結びました。
そこには大きな理由がありました。
数々の名選手が所属した…
(実況)どうか〜?ワールドシリーズの優勝は大リーグ最多の27回。
常に優勝を求められてきました。
しかしここ数年は栄冠から遠ざかっています。
昨シーズンは先発ピッチャーが安定感を欠きプレーオフに進出する事すらできませんでした。
今シーズンこそワールドチャンピオン奪回へそれがチームの至上命題でした。
そこで獲得に動いたのが田中投手でした。
昨シーズン日本のプロ野球で負けなしの24連勝。
史上初の大記録を達成した田中投手にチーム浮上の命運を託したのです。
ファンも田中投手に大きな期待を寄せていました。
サイン会では長蛇の列が出来ました。
田中投手を紹介する文章です。
そこには「未来のエース」の文字が刻まれていました。
入団会見から4日後キャンプが始まりました。
オハヨウゴザイマス!キャプテンのジーター選手が注目のルーキーに歩み寄ってきます。
タナカ!キャンプ初日練習の最後に行われたのは1マイル走。
1.6キロを走ります。
次第に遅れ始めた田中投手。
頑張れ!マー君頑張れ!最下位争いでしたが何とか走り切りました。
多分走り込んでも足の遅さはなかなか改善されないので。
もともと足が遅いので頑張りました。
ワールドシリーズ制覇の鍵を握る田中投手。
自分の役割とは何か問い続けてきました。
出した結論は1年間先発ローテーションを守る事。
それが先発ピッチャーとしての責任だと考えていました。
自分が投げ続けていく事で1年間投げる事でそれがチームの助けになればいいかなと思ってるんで。
チームの勝ちに1つでも多く貢献できるように投げるだけかなとは思ってます。
マウンドに上がらなければピッチャーとして意味がないのでチームに勝利をとか言っているのも全く意味がないので。
マウンドに上がり続ける事がやはり目標ですね。
シーズンを通してマウンドに立ち続ける。
しかしそこには克服しなくてはならない課題がありました。
それは日米で異なる登板間隔です。
日本では登板と登板の間が6日間ある中6日のローテーションでした。
しかし大リーグは登板の間が2日短い中4日です。
登板の回数も増え体力的に負担の大きいローテーションをどう投げ抜くのか。
更に調整方法も大きく異なります。
大リーグでは体の負担を考慮して一日に投げる球の数を厳しく制限しています。
キャンプではブルペンでの投球練習が日本の半分にも満たない30球程度。
常にコーチが横に付き添い球数をチェックします。
少ない球数でどうやってシーズンに向けて仕上げていくのか。
田中投手はキャッチボールで工夫しました。
ふだんから投球練習に近い力で投げました。
そして遠投。
肩周りの筋肉を鍛えていきました。
この新たな調整方法で中4日のローテーションは守っていけると自信をのぞかせていました。
徐々に慣らしていってるんでその間隔ローテーションの間隔っていうのにはだいぶ違和感というのは感じてないですね。
体への負担というのも違うと思うんですけどそれはまた経験していけば大丈夫なのかなとは思ってるんですけど。
田中の大リーグ初登板の日がやって来た。

(アメリカ国歌)
(拍手)初めて上がる大リーグのマウンド。
田中はいつもとは違う精神状態だった。
1回。
先頭バッターを迎える。
(実況)高めに来た!イチローの上越えた〜!最初のバッターはなんとホームラン!変化球が高めに浮く失投だった。
続く2回満塁のピンチ。
(歓声)更に2点を奪われる。
不安定な投球を続ける田中。
助けたのはチームメートだった。
キャッチャーのマッキャンが田中のもとへ駆け寄る。
そしてバックも。
(実況)一塁線どうだ?飛び込んだ!捕った!ジョンソンナイスプレー。
ファインプレーでもり立てる。
田中は徐々に本来のピッチングを取り戻していった。
味方が逆転して2点リードの5回。
迎えたのはボティースタ。
ホームラン王2回の強打者だ。
もう1点もやりたくない。
集中力を高める。

(実況)三振!あ〜悔しそうなボティースタ。
田中は7回を投げ3失点。
大リーグ初登板で勝ち星を挙げ先発の責任を果たした。
(取材者)まずはメジャー初勝利今のお気持ち。
いやうれしいですはい。
(取材者)どんな感じでうれしいでしょうか。
いやうれしいです。
どんな感じって…まあうれしいです!試合後球場近くのレストランで話を聞く事ができました。
うん!そこで田中投手は初登板に大きなプレッシャーがあったと打ち明けました。
ビール下さい。
(笑い声)
(「MyDearFellow」)初登板で勝利を挙げた田中。
そこから波に乗る。
三振の山を築いた。
ツーストライクまで追い込むと…。
ファンからは三振を求める声援が起こるようになった。
(拍手と歓声)その三振の大半を奪ったボールがある。
それは…バッターの手元で鋭く落ちる変化球だ。
田中が日本時代から最も得意としているボール。
大リーグの強打者を手玉に取った。
なぜ田中投手のスプリットは打てないのか。
ボールの軌道を研究している早稲田大学の永見智行さんです。
1秒を1,000コマで撮影したハイスピードカメラの映像をもとにボールの軌道を分析しました。
分析の結果です。
青がストレートの軌道。
そして赤がスプリットの軌道です。
永見さんが注目したのはバッターが球種を見分けるポイントです。
通常バッターはピッチャーの手からボールが離れた0.2秒後およそ10m付近で球種を見極めなくてはなりません。
田中投手のスプリットはその時点ではストレートとほとんど同じ軌道です。
その差は僅か6cm。
ボール1個分もありません。
そのためバッターはストレートだと思ってスイング。
しかしホームベース上では27cmもの落差がありバットが空を切ってしまうのです。
という点でバッターを打ち取るのに有利だと考えられます。
更に投げ方にも大きな特徴がありました。
多くのピッチャーが「指の間からボールを抜くように投げる」と言うのに対して田中投手は全く違う投げ方をしていると言います。
僕抜いているイメージじゃないです。
このまま…何て言うんですかね。
ストレートはこうじゃないですか。
スプリットは…こうこのまま…押す押すじゃないですけどイメージはこの手より上にこうこういうふうに投げているイメージじゃないです。
このままこう投げてるイメージです。
イメージとしては。
(取材者)押し込んでるというか。
はい。
こうじゃなくて手首は寝かせない。
イメージはこのまま投げるって感じですね。
ストレートだとこうなるじゃないですか。
スプリットはこのままこう…投げてますね。
スプリットを武器に開幕から2連勝を挙げた田中。
4戦目にその真価が問われる試合を迎えた。
相手はボストンレッドソックス。
昨シーズンのワールドチャンピオンだ。
ヤンキースとは同じ地区で長年優勝を争ってきた一番のライバル。
レッドソックスファンはヤンキースの選手に容赦なくヤジを飛ばす。
(歓声)両チームの試合は常に緊張感と熱気にあふれていた。
舞台はレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク。
1回ワンナウト二塁のピンチを迎える。
打席には3番オルティーズ。
昨シーズンのワールドシリーズMVPだ。
初球。
いきなりスプリットを投げ込んだ。
2球目もスプリット。
更に4球目。
ワンボールツーストライクからの6球目。
地面すれすれに落とした。
続く4番はナポリ。
昨シーズンは92打点を挙げている。
ここも決め球はスプリットだった。
その後もスプリットがさえ次々と三振を奪った田中。
8回途中まで投げ2失点。
3勝目を挙げた。
マウンドを降りる時の事だった。
レッドソックスのファンからも拍手が送られたのだ。
ライバルチームも田中の実力を認めた瞬間だった。
開幕から田中投手は勝ち星を挙げ先発ピッチャーとしての役割を果たしてきました。
チームの勝利のために投げ続ける。
それはピッチャーを始めてからずっと変わらぬ信念でした。
(サイレン)8年前。
田中投手は駒大苫小牧のエースとして夏の甲子園3連覇を目指していました。
早稲田実業との決勝は延長へ。
15回165球の力投。
決着がつかず再試合になります。
翌日田中投手の疲労はピークに達していました。
それでもマウンドに上がります。
チームの勝利のために。
敗れたもののエースの責任を全うしました。
プロ野球でもその姿勢は変わりませんでした。
昨シーズンの日本シリーズ第7戦。
田中投手は前の試合で160球を投げていたにもかかわらず9回にリリーフでマウンドに立ちます。
(実況)決まった!東北楽天日本一!チームを初の日本一に導きました。
田中投手のグローブには一つの言葉が刻まれています。
「氣持ち」。
別にどこにいようが全部試合やっぱ勝ちたいですしそこの思いっていうのは変わらないです。
チームに1つでも多くその…勝ちを持ってこられるこれるようなっていう思いはそこもずっと変わんないですね。
開幕から1か月。
田中は先発ローテーションを一度も飛ばす事なく守り続けていた。
このころヤンキースの先発ピッチャーに危機が訪れていた。
4月後半。
2人の先発ピッチャーが戦線離脱。
更に5月に入るとエースのサバシアまでもが右ひざのケガでマウンドを去る。
ヤンキースは5人の先発のうち3人を失った。
5勝0敗とチームトップの勝ち星を挙げる田中には更なる期待が集まった。
サバシアが戦列を離れた3日後のメッツ戦。
ここまでチームは4連敗。
田中は連敗ストップというエースの役割を託された。
序盤から飛ばす。
ストレートに威力があった。
(実況)まっすぐ!三振!力もあります。
決め球のスプリットも切れがあった。
(実況)三振!すばらしい!8回を無失点に抑えた田中。
チームは4点リード。
誰もがピッチャー交代だと思っていた。
しかし…。
9回のマウンドに立っていたのは田中だった。
自ら志願した。
(実況)ピッチャーゴロだ!アウト1つであ〜っと落とした!アウト1つだけ。
ジーターのまずいプレー。
それでも動じない。
(実況)バットの先はジーターつかんだ!試合終了。
田中将大メジャー初完封勝利!自己最多の114球。
今シーズンチーム初の完投で連敗をストップさせた。
新しいエースの誕生を印象づけた。
まあ1年目という事でまあそういうふうに見られてなかったと思うんですね。
投げる前までは特に。
柱だとか中心だとかそういうふうな事は全く今まで言われてなかったので。
今はこれからも結果を残してそうやってずっと言ってもらえるように頑張ります。
翌日の現地の新聞。
田中は絶大な信頼を寄せられるようになった。
6月。
ここまで8勝1敗と勝ち星を重ねる田中に対策を練ってきたチームがあった。
オークランドアスレティックス。
徹底したデータ分析をもとに作戦を練り上げるのが特徴のチームだ。
1回。
追い込んでからの4球目。
スプリットに手を出さない。
更に他のバッターも。
低めのスプリットに手を出さない事が徹底されていた。
更に…。
ファウルで粘る。
球数を増やし早い回でマウンドから降ろす事がねらいだった。
4回にも。
5球ファウルで粘る。
しかし田中は冷静だった。
ツーボールツーストライクからの9球目。
決め球は横に曲がるスライダー。
決め球をスプリットからスライダーに変更した田中。
粘る相手をねじ伏せ適応能力の高さを見せつけた。
向こうも我慢強くというか粘り強く球数をこっちは投げさせられてしまいましたけれどもでもその中でも自分で最後までバッターをしとめるという気持ちはずっと持ってましたし我慢比べなら負けないぞというぐらいの感じで投げてました。
その後も勝ち続けた田中。
6月17日には両リーグ単独トップの11勝目。
シーズンで最も優れたピッチャーに贈られるサイ・ヤング賞の有力候補だと騒がれるまでになった。
レッツゴータナカ!タナカイエーイ!ナンバー1!ところが…。
このころから田中の体には異変が起きていた。
番組後半では苦難に立ち向かう田中投手の姿に密着します。
投手生命を脅かす右ひじのケガ。
大きな不安を抱えながらのリハビリ。
体に負担の少ない新しいフォームも模索しました。
およそ2か月半ぶりの復帰登板直前。
カメラの前で語った本音とは。
それはやはり…エースの責任を背負い戦い続けた復帰までの舞台裏に迫ります。
今シーズンから大リーグに挑戦したニューヨークヤンキース田中将大投手。
開幕から2か月半快進撃を続けていました。
(歓声)決め球スプリットで並み居る強打者を翻弄。
6月17日には両リーグ単独トップの11勝を挙げエースと呼ばれるまでに成長しました。
「ローテーションを守りチームを勝利に導く」。
開幕前に誓った責任を果たしていました。
(拍手)試合前ヤンキースのOBが集結。
(アナウンス)ゴジラ!ヒデキマツイ!スタジアムは和やかな雰囲気に包まれた。
首位ブルージェイズを1.5ゲーム差で追うヤンキース。
田中は首位に迫る大事な試合を任された。
しかし…。
初回からコントロールが定まらない。
(解説)ちょっとまだバランスがこうととのっていない状況ですよね。
いつもの狙いどおりにビシッといくような感じではまだないですよね。
(実況)狙った所よりはちょっと甘いという…。
(解説)そうですねかなり甘いとこですね。
コース高さとも田中本人は全く納得していないと思います。
更にスプリットも。
(解説)恐らく本来の変化ではない球筋ではないですねまだ。
今のボールを見てマッキャンとしては使えるという判断はなかなかできなかったと思うんですね。
2回に入っても立ち直る気配がない。
(実況)おっ?レフト?レフトレフト入った〜!変化球が真ん中に入った。
(解説)思いどおりに体が動いてくれないようなねそんな雰囲気に見えますね。
私の中では今シーズン一番悪かったかなというぐらいの感じなんですけれども。
この試合田中の投球フォームに異変が起きていた。
好調な時のフォーム。
右膝に土がつきそうなほど体が深く沈み込んでいた。
しっかりと体重がのっていた。
しかしこの試合では沈み込みが小さくなっていた。
下半身に力が入らず腕だけで投げるいわゆる「手投げ」になっていた。
更に投げ終わったあと体が一塁側に流れてしまう。
下半身が支えきれないのだ。
田中はおよそ1か月ぶりの敗戦。
エースの責任を果たす事ができなかった。
下半身の不安定さが招くコントロールの乱れ。
田中はトレーニングを見直した。
始めたのは階段を使ったダッシュ。
太ももや股関節など下半身を鍛えフォームを安定させようとした。
更にブルペンでも。
通訳に一塁側に立ってもらう。
体が流れないように意識するためだ。
トレーニングを積んで臨んだツインズ戦。
しかし…。
この日もコントロールが定まらない。
(実況)投球フォームとして何かこうお気付きになってるところありますか?
(解説)何かこう…目いっぱいいってないんですよね。
今フォーシームでかなり本人は力入れてると思うんですがちょっとなんかこう緩いかなと全体的にね。
そういう感じはちょっと受けるんですけども…。
スプリットもきれが戻らない。
(実況)低め。
落としてきたか…?
(解説)あの〜…いつもよりですね「今のボール何かな?」という感じの変化のしかたなんですよね。
明らかにスプリットと言えるようなボールではなくてですねちょっとなんかこうぼやけてる感じがするので…。
7回4失点。
勝ちはしたものの復調の兆しは見えなかった。
なぜ不調から抜け出す事ができないのか。
その最大の原因が登板間隔だった。
中6日で調整してきた楽天時代。
登板の2日後には一日体を休めるオフの日があった。
しかし大リーグの中4日の登板ではその日にブルペンでの投球練習が組まれていた。
休みなく調整を続けなくてはならなかったのだ。
シーズン前中4日は乗り越えられると自信を見せていた田中。
しかし実際は体に大きな負担がかかっていた。
日本時代みたいにごまかしがきかないですしローテーションも短いですから。
日本の時ではごまかしながら投げてても1週間のうち1回でよかった登板なので1か月4試合でよかった登板。
その1週間長いスパンの中で治療とかもできましたし回復に充てる時間というのは長かったですけどその間隔がやっぱ短いのできついなと思いましたねそういう意味でも。
開幕から3か月。
田中の体は限界に近づいていた。
中4日で迎えた7月8日のインディアンズ戦。
登板直前田中はこれまでになかった行動をとった。
右腕には白いタオルが巻かれていた。
試合でまだ一球も投げていないのにアイシングをしていたのだ。
実はこの時右ひじに違和感を覚えていた。
それでもマウンドへ上がった田中。
チームを勝利に導きたいというエースの責任感だった。
しかし…。
(実況)いい当たり!ライト線フェアになりました。
(実況)高く上がった。
伸びはどうか?センター。
下がって下がって見送った。
ツーランホームラン。
(歓声)
(実況)打ち上げて伸びて…イチロー見送る。
ホームラン!
(歓声と拍手)今シーズン最悪の5失点。
7回途中で降板し4敗目を喫した。
(歓声と拍手)え〜まあやはり大きく…その大きな理由の一つとしてはコントロール。
え〜まあ抑えられなくてやはり悔しいですね。
翌日田中は球場に姿を見せなかった。
これまで一回もなかった事だった。
その次の日球団広報から報道陣が集められた。
そこで衝撃の事実が明らかになった。
右ひじじん帯の部分断裂。
少なくとも6週間のリハビリが必要という診断だった。
フォームのバランスが崩れた事でひじに大きな負担がかかっていった。
田中は戦線離脱を余儀なくされた。
ひじのじん帯は3センチほどの小さな組織でできている。
骨と骨を結び腕を振る動作を可能にしている。
ボールを投げる瞬間じん帯は大きな負荷を受けながら伸縮する。
田中は十分に疲労を回復させないまま投げた事で知らず知らずのうちに悪化させていた。
これまで大リーグに渡った多くの日本のピッチャーがひじのじん帯のケガに苦しんできた。
手術をすれば1年以上の長期離脱を強いられる。
その一人和田毅。
2年前に大リーグに挑戦したがキャンプでひじのじん帯を損傷し手術を受けた。
和田は大リーグの過酷な環境がケガの大きな要因であると指摘する。
ケガの発覚から3週間後田中投手が取材に応じました。
今回の診断結果は予期せぬものだったと打ち明けました。
う〜ん…その〜…。
まあう〜ん…。
もともと…もともとというかその…なんでびっくりはしましたねやっぱり。
はい。
自分としては…田中投手は手術を回避する決断をしました。
それは今シーズン中に何とかチームに戻りたいという思いからでした。
しかし復帰に向けて大きな不安を抱えていました。
田中投手が離脱したヤンキースは勝ち星を伸ばせず首位との差は最大6ゲームに広がりました。
プレーオフ進出には瀬戸際の状況でした。
チームメートからは田中投手の復帰を熱望する声が高まります。
チームが苦しい状況の中戦列を離れざるを得なかった田中投手。
仲間の試合をテレビで見守る日々。
エースとしてチームの勝利に貢献できないもどかしさを感じていました。
結果的に…ケガから1か月後ようやく復帰に向けたリハビリがスタートしました。
この日は初めてのキャッチボール。
たった5mからの再開です。
ひじの状態を入念にチェックします。
ジラルディ監督もわざわざ様子を確認しにやって来ました。
徐々に距離を伸ばし50球。
ひじに痛みを感じる事はありませんでした。
今日投げる前まではやはりわくわくしてましたし実際に久しぶりにボールも投げられたのでえ〜いい時間が過ごせたなとは思ってます。
これからどんどん投げる距離投げる強度というのも上がっていくと思いますけどまずは第一歩今日…え〜あの…あの…第一歩かなと思います今日が。
その後田中投手はリハビリのペースを上げていきます。
雨の日には球場内の空いたスペースを探し連日キャッチボールを繰り返しました。
少しでもいい状態でいいものでマウンドに上がれるようにとは毎回毎回調整していたので…。
自分の中でもやってやるぞという気持ちはあったので…。
キャッチボール再開から12日後。
田中投手は初めてブルペンに入りました。
そこで見せたのはこれまでとは全く違うフォームでした。
投球動作に入る時の構え。
ケガする前のフォームはホームベースに向かって体が正面を向いています。
しかしこの日のフォームは体が三塁側を向いていました。
変えたのは左足の位置です。
ケガをする前左足はプレートの後ろにありました。
そこから左足を大きく上げて勢いをつけていました。
一方この日のフォームでは左足はプレートの前にあります。
左足を上げる勢いは小さくなっていました。
コンパクトなフォームにする事で体の負担を減らそうと考えたのです。
腕の使い方も変えました。
画面上。
ケガの前は大きく円を描くように回していました。
画面下の新しいフォームでは小さく腕を回しています。
ひじにかかる負担を少しでも減らす事が狙いでした。
その新しいフォームを試す実戦形式の練習。
内容がよければ復帰が大きく近づきます。
しかしなかなかストライクが入りません。
投げた49球のうち半分がボール。
ケガする前の投球からは程遠い内容でした。
今日は全てのボールに関してよかったなと思うボールもなかったですし全然何もよくなかったので収穫はそんなになかったですね。
「いつぐらい復帰自分では考えてるんですか」という事も聞かれる事も多くなってきてますけどまだまだとてもじゃないけど投げれるとは思っていませんしこんな状態で。
このあと田中投手は首脳陣に調整を1週間延長したいと申し出ました。
一日でも早くチームに戻りたい。
しかし万全な状態でないと再び迷惑をかける。
苦渋の決断でした。
チームもプレーオフどうなんだというほんとにすごく微妙な時期でしたけどでもそんな中で投げてまた僕自身駄目それでチームも負けてしまうのは一番また駄目だと思ったので自分のためでもありますけどそれもチームのためでもあると思ってしっかりといい形で投げて勝つ事が…と思ったので。
調整を延長した1週間田中投手は思い悩んでいました。
新しいフォームで本来の投球を取り戻す事はできるのか。
そしてチームの勝利に貢献する事はできるのか。
前回の実戦形式の練習から12日後。
田中投手は再びバッターを相手に投げました。
この時一つの決断をしていました。
フォームを元に戻していたのです。
正面を向いた構え。
左足はプレートの後ろにありました。
そこから勢いよく上げています。
腕も大きく回していました。
ケガのリスクを背負ってもチームを勝利に導く。
強い覚悟でした。
9月田中投手の大リーグ復帰が迫っていました。
登板前日に取材に応じた田中投手。
口にしたのはエースとしての責任でした。
9月21日田中がヤンキースタジアムに戻ってきた。
チームはプレーオフ進出へぎりぎりの戦いが続いていた。
GOTANAKA!試合前田中がグラウンドに姿を見せた時の事だった。
(歓声と拍手)75日ぶりの復帰をニューヨークのファンは温かく迎えた。
久しぶりの本拠地のマウンド。
ある思いが頭をよぎっていた。
手探りの状態の中臨んだ初回。
(実況)とらえられた〜!
(実況)これまたヒットになった。
(解説)何かこう恐る恐るというかねしっかりと腕が振れてない状態になりましたね。
(実況)レイエスは帰って…くる。
アウトは?あ〜2つ取れましたがただ1点は先にトロントブルージェイズ取っています。
あっさりと先制される。
続く2回。
(実況)川いい当たり!初球を打ってイチローの横に。
再びピンチを迎える。
もう点は与えられない。
田中は気持ちを入れ直した。
1ボールからの2球目。
(実況)しっかり振った。
今腕をしっかり振ったように見えたんですがね。
(解説)今のボールはしっかりと振ってますね。
投げたのは勝負球のスプリット。
続く3球目もスプリット。
4球目。
(実況)これまた。
(解説)3球続きできましたね。
(実況)そうですね。
ですから徐々に本人の中でリミッターを解除し始めているのかというそんな感じがあります。
(解説)もう1点絶対やらないというそういう気持ちが出ててますよね闘争心というんですかね。
バッターに向かっていく気持ち。
(拍手)そして…。
(実況)落とした〜!
(歓声と拍手)4球続けてのスプリット。
最後はこん身の一球だった。
チームを勝利に導いた田中。
復帰戦でエースの責任を果たした。
自分のひじの状態だったりそういうのを確認しながらもしっかりとチームの勝利を引き寄せられるようなピッチングをしたいっていうふうに。
それがこの復帰登板でしっかりと貢献できたという事はよかったなと思います。
田中の大リーグ挑戦1年目が終わった。
チームトップの13勝5敗。
しかしワールドシリーズはおろかプレーオフ進出すら果たす事ができなかった。
さまざまな壁にぶつかった大リーグ1年目。
シーズン後に田中投手が改めて語ったのは途中で戦列を離れた事への思いでした。
ローテーションを守ってワールドチャンピオンになるという事を目標に掲げて1年目過ごしたと思うんですがちょっと悔しさが残るシーズン…?ちょっとどころかもうだいぶ悔しいですねはい。
自分自身でもチームからは期待してもらっていたポジションにはいたと思うのでまた自分で言うのもなんですけど投げてれば状況は変わっていた可能性はあったというふうに思いますしこのような結果になってしまった責任も感じてます。
大リーグ1年目振り返ってみると大きな意味のある月日になりましたか?うん。
それはもう自分の今後の野球人生をもって証明していかないといけない。
自分自身自分に対して意味のあるものだったんだなというのを振り返る時に言えるようになってないと駄目だと思います。
ただ無駄…無駄足と言ったらあれですけど無駄になってしまう事が一番駄目なのかなと思うので…。
今年で言えば言ってたように1年間ローテーション守ってワールドチャンピオンになるんだと。
何一つ達成してないので来年もそういう事を目標にしながらシーズン戦えればなと思います。
チームの勝利のためにマウンドに立ち続けたい。
その思いを胸に日々格闘を続けた1年でした。
悔しさをばねに。
ニューヨークヤンキース田中将大投手。
エースの責任は来シーズンこそ全うする。
2015/01/11(日) 02:30〜04:10
NHK総合1・神戸
BS1スペシャル「“エース”の責任〜密着1年 田中将大の挑戦〜」[字]

去年ヤンキースに移籍した田中将大。NHKはシーズンを通して密着。右ひじのケガを抱え、心の葛藤と向き合った日々。大リーグ挑戦1年目の“知られざる戦い”を見つめる。

詳細情報
番組内容
昨シーズン、ヤンキースに移籍した田中将大投手。日米で大きな注目が集まる中、NHKはシーズンを通して密着してきた。大リーグ初登板初勝利を飾った直後、独占取材で吐露した心情。さらに右ひじを痛めた直後には、これまで明かされていない衝撃の事実も。前半戦、勝利を重ねながら、忍び寄る疲労と闘った日々。そして右ひじのケガを抱え、心の葛藤と向き合った日々。大リーグ挑戦1年目の“知られざる戦い”を見つめる。
出演者
【出演】田中将大,【語り】杉浦友紀,鈴木省吾

ジャンル :
スポーツ – 野球
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ

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