生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうは、こちらのテーマでお送りします。
担当は三輪誠司解説委員です。
個人情報保護というと昨年もいろいろ流出のことが問題になりましたね。
三輪⇒そうですね。
いちばん大きな問題になったのは、やはりベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件だと思います。
個人情報の保護をもっと厳格にしなければならないという社会的な機運を盛り上げた事件だと思います。
この事件では、内部関係者がおよそ4800万人分の個人情報を持ち出して売却していたんですね。
人口の半分近く、相当な人数ですよね。
そうでしたね。
そしてこの個人情報が、複数の名簿業者の間で繰り返し転売されていました。
おわびの文書が届いたというご家庭も多かったのではないでしょうか。
個人情報保護法がこうしたことにストップをかけることができなかったのかと思ってしまいますね。
そういうことで個人情報保護法をもっと厳しくするべきだという意見が出てきたんですね。
年末には、法律の改正案の骨子が公表されました。
しかしこの骨子の内容をめぐっても妥当かどうかという意見の対立が続いている状態なんです。
改正は、どのような形になるんでしょうか。
まず企業の社員が個人情報を不正に持ち出して例えば、名簿業者に売却しようとしたとします。
今回の改正ではこうした不正な持ち出し、そのものが禁止されまして処罰の対象になるんです。
逆に言うと、今まで個人情報保護法では処罰の対象ではなかったんですね。
こういったことは禁止されていなかったんですね。
買い取る側の名簿業者ですがこうしたデータが不正なものでないか。
もともとの出どころはどこだったのかを確認することが義務づけられます。
そして購入する場合には、購入記録などをつけて、一定期間、保存しなければならないということになります。
そしてこの個人情報を企業などに転売、売却する際にも売却記録をつけなければならない。
同じように一定期間、保存しなければならないというふうに改正される見通しです。
情報がどこに流れていったのかを後々、確認できるようにするということですね。
そしてこうした扱われている個人情報の中には例えば犯罪歴とか病歴など偏見や差別につながりかねない情報も含まれている可能性もあるわけなんですけれどもそうした情報の扱いについても本人の同意がないと、売却したりすることができないという形になる見通しです。
知られたくない情報ですからね。
こうして、いろいろな保護対策が取られようとしているわけですね。
保護対策としては、一歩前進だと言えると思います。
しかしこの改正案の骨子の中には今も妥当かどうか議論となっている意見の対立が続いている内容があるんです。
どういうことですか。
それはこちらです。
利用目的の変更が容易になるということです。
具体的にどういうことでしょうか。
インターネットを使って何かお店で買い物をしようとしたとします。
発送先などを伝えないといけませんので名前や住所などの個人情報をホームページなどに入力することになるわけです。
その情報が変なふうに扱われないか気になりますのでどうするのかということをホームページで確認すると思うんですが第三者に売ったりしませんと書いてあったりします。
安心して入力できますね。
しかし今回の改正案の中にはこれにあわせて利用方法は変更することがありますと書かれているんです。
と書かれていると、あとでこの情報を第三者に売ったりすることができるんです。
安心して入力したのに何を信じていいか分からなくなりますね。
こうした手続きをする際なんですけれども個人情報を売ることにしましたということなどをホームページでしっかり明記すること。
あとでその方針が変更された段階で明記するということ、そして売却先がどこなのか。
売却されるのが嫌だという方はこういった手続きを取ってください。
例えば電話をくださいなどということを記入することが条件となっていまして、新たに設けられる第三者機関にもこういったことを届ければいいとしています。
消費者は自分の情報が売られるかどうか、どうやって知ればいいんですか。
こうしたお店のホームページを見続けるとかお店から届くお知らせの電子メールに注意しておくということが求められるんですね。
今はインターネットで買い物するときも個人情報を入れるところがたくさんありますし全部チェックするのはなかなかできないですよね。
最初は売りませんと言っているのに、あとで売りますと言われるのは納得ができなくなるんですが、なぜこのようにしようとしているんでしょうか。
実は、この個人情報保護法については長年、企業側、消費者団体側から異なった方向で改正してほしいという要望が寄せられていたからということです。
どういうことですか。
まず企業側は、やはり個人情報の利用制限は緩和してほしいと言っていたんです。
どういうことかといいますと先ほどの利用目的の変更を簡単にできるようにするということは、産業革新をもたらす。
つまり、あらかじめ個人情報を集めた段階で想像もしなかったことを、あとで提供できるようになることが、産業革新、イノベーションだということだったんですね。
次にビッグデータの活用をさまざまな情報を集めて統計的に活用するということなんですが成長戦略で言われていますけれども、ビッグデータの活用を促すためには個人情報の利用制限はできるだけなくすようにしたほうがいいという意見です。
そして3つ目は個人情報の利活用は消費者のためつまり単にお金をもうけようとしているだけではないですよということです。
個人情報の利活用して新たなサービスを作っていくということが、結局は消費者が喜ぶサービスにつながっていくんだという説明なんですね。
一方で消費者団体は同意しているんですか。
やはり個人情報の管理は、もっと強化してほしいという要望があったんです。
どういうことかといいますと消費者は企業が思っているよりもプライバシーには敏感です。
今の個人情報保護法では緩すぎます。
もっと厳格にしてほしいというのが国民感情ですという意見だったんです。
そもそも個人情報というのは、その個人のものである。
売買するようなときには本人、一人一人が同意したものでないと行ってはいけないというのが原則だという主張です。
さらに、OECDガイドラインに反するのはおかしいということです。
これは、国際的なルールとして1980年に採択されたものなんですけれども利用目的の明確化の原則というのがあるんです。
これは個人情報を収集するときには、すでにその目的が明確になっていないといけない。
その利用についても目的に合致するべきだという原則なんですが、こうしたガイドラインに沿っていないのはおかしい。
むしろこうした新しい利用目的の変更など簡単にすると国際的にも例がないような規定になってしまうということで専門家も含めて反対しているんですね。
だからどっちつかずのことになってしまったということなんですかね。
今も、この骨子については意見の対立が続いていますしさまざまな反対運動が起きることも予想されます。
これから法案の審議はどうなっていくんですか。
今後、具体的な条文が検討されまして、来月、個人情報保護法の改正案として国会に提出される見通しです。
個人情報をどう扱うかというのは立場によっても、かなり意見が異なっています。
しかしだからといってあいまいな規定にしてしまいますと、やはり制度の乱用や過剰反応を引き起こすことになりかねません。
議論が期待外れに終わらないように納得できるような仕組みを検討してほしいと思います。
三輪誠司解説委員でした。
次回のテーマです。
担当は今井純子解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/01/07(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「個人情報保護法改正でプライバシーは守れるか」[字]
NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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