殺人逃亡者の妻 2015.01.06


キャー!いやー!いや…!てめー!キャー!
(村田健二)君…!君!大丈夫ですか?大丈夫ですか!?緊急緊急!
(杉本慎一)なるほど…。
(ノック)
(南一朗)班長やっぱりここでしたか。
課長が杉本さん呼んでいます。
うん…。
(課長)このヤマはもちろん知っているな?手口が段々エスカレートしてこのままじゃ殺しにまで発展しかねないと上のほうが心配して特命班に出動命令が下りた。
わかりました。
杉本殺しだけは何とか防げよ。
(南)貧乏くじですよね。
うん?しょせんひったくりでしょう。
ホシを挙げたとしてもたいした点数にはなりませんよ。
二丁目交番寄ってくれ。
はっ?はい…。
先に病院へ行ってくれ。
えっ?ちょっと班長!村田君だね?はい!城東二丁目勤務の村田であります!ひったくり犯の顔を見たという話だが…。
はい!これが例の犯人の似顔絵かな?あっはい。
しかし自分はあまり絵がうまくないもので…。
いやいやなかなかのものだよ。
続けてくれないか?いやしかし…。
チラッと見ただけでありますので…。
いいから描くんだ。
はい。
あっ…。
あっ…。
すみません。
すぐ削り直して…。
これで間に合うかな?お借りします。
すみません。
描き直します。
うん…?ああうまいもんじゃないか。
いやぁお恥ずかしい。
それにうろ覚えですから本当に似てるかどうか…。
(携帯電話)はい杉本。
何?被害者が意識を取り戻した?てめー!間違いありませんか?はい…。
課長に直接報告します。
じゃあこれを公開するんですか?ああすぐに手続きを取る。
あっあのお返しするのを忘れてました。
やるよ。
えっ…。
いただいてもよろしいんですか?ああ。
杉本さん!自分刑事になれるでしょうか?うん?どうしても刑事になりたいんです。
杉本さんのような…。
(アナウンサー)「連続ひったくり強盗事件の容疑者の似顔絵が警視庁から公開されました」。
「似顔絵の容疑者は夜帰宅途中の女性をオートバイで背後から襲いいきなりバッグをひったくり逃走する犯行を重ねていましたが今回相手の女性を殴打昏倒させ意識不明の状態に…」。

(パトカーのサイレン)
(南)班長!とうとうやられました。

(南)遺留品は見つからんのか!?班長ありました!ガイシャのバッグです。
現金はもちろん抜き取られていますが証明書が残っていました。
東和生命保険城東支店浅川美樹。
またOLですね。
第一発見者は?村田巡査です。
村田?申し訳ありません。
犯人を見かけて追ったんですが…。
犯人を見たのか?はい。
似顔絵そっくりの男でした…。
申し訳ありません。
本当に申し訳ありません!
(課長)一体何のために早めにお前たちを投入したと思っているんだ?あれだけ殺しだけは阻止するように言ったのにこのザマは何だ!しかも犯人逮捕のチャンスがありながらどこかのドジな巡査が取り逃がしたときた。
お陰でマスコミは非難ごうごうだぞ!村田巡査に落ち度はありません。
何だと!?現場には被害者が倒れていました。
その安否を確かめるのが先決です。
それはそうだが…。
殺しにまで発展させてしまった責任は私にあります。
ホシは必ず挙げます。
村田!あっ…。
どうしたんだ?しばらく顔を見なかったが具合でも悪いのか?いえ…。
じつはお話ししたいことが…。
うん?自分警察を辞めます。
今何て言った?自分には警官の資格はありません。
たった一度ホシを取り逃がしただけでもうへこんだのか?2回です。
あのな…。
知ってるんです!自分は…。
何を!?杉本さんが1人で責任を背負って自分をかばってくれたことです。
かばっちゃいないよ。
お前には責任はないんだ。
いえ自分の責任です。
だったらなぜ自分で取り戻そうとしない?刑事になりたいと言ったのは嘘だったのか?嘘じゃありません!自信がなくなったんです。
自分はどんなに頑張っても杉本さんのような刑事にはなれません。
村田!申し訳ありません。
なあ…。
思い直せ。
もう一度頑張れ。
できません。
もう辞表を出してしまったんです。
辞表!?明日郷里の鹿児島へ帰ります。
鹿児島…。
お世話になりました。
相沢さんそれじゃ行きます。
(相沢)気をつけて。
バカ…。

(電話)
(ファクス受信音)「1年前東京で起きたひったくり殺人事件の犯人を知っている」。
「16日土曜の午後3時に鹿児島福一ホテル301号室で待つ」。
明日郷里の鹿児島へ帰ります。
村田…。
村田…!?
(エレベーターの到着音)失礼。

(パトカーのサイレン)
(佐野武)おい加治屋!・
(加治屋亨)はい!通報者はどげんしたと?おりません。
(佐野)おらん?おらんてどういうなん!?おらんのです。
なあ?ええおらんとです。
おらん…?捜せ捜せ!
(チャイム)
(村田洋子)はい。
村田健二さんのお宅ですね?
(洋子)はい。
奥さんですか?どちら様ですか?杉本といいます。
杉本…。
杉本さん?ええ…。
あのもしかして警視庁の…?そうですが。
主人からかねがねお噂は伺っておりました。
東京におりましたときは大変お世話になりましたそうで私からもお礼を申し上げます。
いや別に何をしたわけでも…。
あの…村田君はご在宅ですか?いいえ。
ご主人たしか警備会社にお勤めでしたね。
ええ。
じゃあ土日は関係ないんだ?いいえ。
でも今日はお休みで釣りに出かけております。
釣り?大物を釣って来るからと朝から張り切って出て行きました。
杉本さん主人に何か?いえ所用があって鹿児島に来たんですが久しぶりに会いたいと思いまして…。
それじゃあ彼が帰って来ましたらこの携帯番号に連絡をするように伝えてもらえますか?そう申し伝えます。
杉本さん…。
(佐野)何?出頭して来たっちゃ!?電話ばしてきたとはお前か!?ええ。
何で逃げた?逃げるつもりなら最初から出てきやしませんよ。
何て?ほう…。
あの男横山というんですか。
何をとぼけたことを!お前が殺ったんじゃなかとか!?まあそう思われてもしょうがないですけどね。
じつは私もこの男を追っていたんですよ。
追っちょった!?
(加治屋)警察手帳…?ちょっと調べさせてもらいます。

(足音)ご苦労さんです。
どうやらこれは本物の警察手帳らしかね。
あの男ば追っちょったと言いましたな?ええ。
横山という男は1年ほど前都内で連続して発生したひったくり強盗の被疑者でしてね。
最後には殺人まで犯した男です。
これそっくりやなかですか。
この男が鹿児島におるという情報はどこから?タレ込みがあったんですよ。
タレ込みっちゃ?匿名で今日の午後3時に福一ホテルの301号室に来れば犯人を教えるという内容でした。
ガセネタとは思わんかったとや?確かめてみるだけの価値はあるでしょう。
いやまあ…。
で行ってみたら横山の死体が転がっとった…。
なるほど…。
じゃっと何で我々が行くまで待っとらんかったんとですか?いやちょっと他に用事がありましてね。
何やその用事って。
プライベートなことですよ。
プライベート?横山はここの土地の人間ですか?いやよそ者やっと。
独り者ですか?おなごがおります。
天文館近くのバーの恵美っておなごです。
恵美?恵美っていうんですね?恵美ちゃんの彼氏殺されたんだって?でもまあ彼女内心はほっとしちょっかも。
ほっとしてる?だって別れたがっちょったもん。
う〜ん新しい男でもできたのかな?彼よ。
俺は関係なかですよ。
大体あの恵美っておなごはただの遊び相手ですからね。
人殺してまで自分のものにしようとはこれっぽっちも思わないですよ。
今夜は彼女は来ないんですか?今さっき電話があって今日は店は休むって。
それも何だがご機嫌でね。
ありがとう。
南か?俺だ杉本だ…。
(南)班長どうしたんですか?急に休んだと思ったらいきなり鹿児島から身分照会なんか入ったりして…。
また勝手なことやってるなって課長カリカリしてますよ。
もう少し調べたいことがあるんでしばらくこっちにいる。
休暇の延長届俺の代わりに出しといてくれ。
いってらっしゃいませ。
(アナウンス)「次は天文館。
天文館通りでございます」おい!そんな尾行じゃすぐに気づかれるぞ。
いや自分は何も…。
ちょうどよかった。
ちょっと付き合ってくれ。
どこへ行くとですか?何て!?ホトケを引き取っとは嫌やっちゃ?
(杉本恵美)そうよ。
そりゃ横山とは一緒に暮らしてたけど女房でも何でもないもん。
じゃあ他に身よりがおっとか?知らないわよ!そんなの警察で捜せばいいじゃない。
薄情なおなごやっとねぇ。
だって私あいつに騙されてたようなものなのよ。
騙された?鹿児島でお金になる話があるって言うから東京から付いて来のに…。
一銭もならないうちに死んじゃってさ…。
(加治屋)金儲けの話って何や?知らない。
ところでこれ見たことあるかな?ハッハハ…覚えてる覚えてる。
この似顔絵のせいで私ひどい目に遭っちゃったんだから。
ひどい目?あんまり彼によく似てたものだからからかったらものすごい怒っちゃって…。
キャー!
(横山宗男)てめー!キャー!ふざけるなよ!俺はな人殺しなんかしてねえんだよ!もう1回言ってみろよ。
もう1回言ってみろよ!
(恵美)あんな怒った顔初めて見た。
本当に殺されるかと思った。
後ろ暗いところがあって怒ってみせたんじゃなかとや?ううん。
彼じゃないわ。
だってあの人殺しがあった日私たち温泉に行ってたんだもの。
温泉?そうよ。
あのとき撮った写真だってあるわ。
ちょっと待ってて。
あれ?おかしいな…。
はがされてる。
本当にここに貼ってあったとや?
(恵美)間違いないわよ!やだ…誰がはがしたんだろう?誰がってそれは横山の他にはなかろうが。
何のために?知らんがそんなこと…。
えっ?あのおなごの言うちょっと信じるとですか?1から10まで信じるわけじゃないけどな。
写真の話に嘘はなさそうだ。
じゃった横山は東京のひったくり殺人の犯人じゃなかということに…。
なるな。
ただしそれ以前のひったくりは横山の犯行だ。
いまいちようわからんがね。
横山の手口はな…。
バイクで女に近づいてこん棒で殴り倒して金を奪うという荒っぽい手口だったが最後になって奴はヘマをやった。
素顔を見られた横山は似顔絵が公開されたため危険を感じてひったくりをやめた。
ところがそのあと…。
また1人女が襲われてしかも死んでしまった。
当然誰もがそれまで一連のひったくり事件の犯人だと思いこんで…。
いけんしたとですか?いや何でもない…。
あっそれより恵美の行動を洗ってみてくれないか?何て!?金儲けの話を知らないととぼけたのは横山が死んだのをいいことに彼の代わりにうまい話にありつこうとしたからじゃないのか?なるほど。
あのおなごなら考えそうなことやっと…。
で杉本さんはいけんすっとですか?ああ俺はこれから他に用事があるからここで別れる。
いやそれはまずかですよ。
自分はもう杉本さんのことを疑っちょおりませんけど主任から絶対に目を離すなと言われちょるんで…。
大丈夫だよ。
逃げも隠れもしないから。
じゃあ俺の携帯の番号教えとくからほら。
なっ?はい…!《犯人を見た…?》犯人を見たのか?はい似顔絵そっくりの男でした。
《村田は思いこみから間違えたのか?》《それとも嘘をついたのか?》《もし彼が意図的に嘘をついたとすると…》《勤めていたのは綜合警備保障だったな…》じゃあ間違いなく昼過ぎには戻ったんですね?それは間違いないですよ。
何時ごろですか?12時半ぐらいだったかな。
「1年前東京で起きたひったくり殺人事件の犯人を知っている」。
「16日土曜の午後3時に鹿児島福一ホテル301号室で待つ」。
発信はコンビニ…。
《ファクスはこの店から送られたのは間違いなかった》杉本さん。
村田君は…?それが昨夜戻らなかったんです。
何か連絡はありましたか?
(鈴木利夫)失礼ですがこちらは?あの人が東京にいたころお世話になった警視庁の杉本さんです。
警視庁!?それはそれは…。
私この子の叔父にあたる鈴木と申します。
これが家内でして。
(鈴木亜季)東京の青山でブティックをやってますの。
どうぞ。
私共観光旅行で南九州をぐるっと回ってこの子の顔を見に来たら村田君が…。
彼堅い男ですし他に女がいるとは思えません。
変な事件に巻き込まれたんじゃないかと心配したんです。
こんなところで言うのも何ですが…。
刑事さんどうかこの子の力になってあげてください。
お願いします。
はあ…。
(亜季)あなた…。
私たち観光バスの予約をしてるものですから…。
これで失礼します。
じゃあね。
あのご夫婦この城山観光ホテルに泊まってるんですか?最初うちに訪ねて来たんですけどツアーの予定があるからそれまでホテルで話そうということになって…。
そうですか。
お金のトラブル?そんな話聞いてませんか?いいえ。
でも何でそんなことを?村田君の会社の同僚から聞いたんですよ。
彼仲間の残業を代わって引き受けたり休日を返上したり必死に働いていたそうじゃないですか。
そんな…。
私何も聞いてません。
杉本さん主人のこと何か疑ってらっしゃるんですか?いやそういうわけじゃ…。
ただちょっと気になることが。
気になること?昨日福一ホテルで殺人があったのは知ってますか?新聞で読みました。
じつはそのホテルで村田君らしい人物を見かけたんですよ。
そんな!だって昨日主人は釣りに…。
たしかに一度海には出てます。
しかし途中で気分が悪くなったと言って昼過ぎには陸に上がっているんです。
お調べになったのね。
なぜ?主人が人を殺したとでも思ってらっしゃるんですか?大体何で杉本さんがそんな場所に…?呼び出されたんですよ。
呼び出された?1年前東京で起きたひったくり殺人事件の容疑者を教えるという内容のファクスが届いたんです。
たしかにホテルで殺された横山という男は手配の似顔絵にそっくりでした。
でもその男の人と主人にどんな関係が?聞いてませんか?似顔絵を描いたのは村田君なんですよ。
しかも彼は逃走する似顔絵の男の顔を見たとはっきり証言しているんです。
でも主人はもう警察を辞めてますしそれにその犯人の男の人が似顔絵を描いた主人のことを逆恨みして襲うならわかりますけど追う立場だった主人が人を殺すなんて…。
私には信じられない。
私もそう信じたい。
しかし彼に身にやましいところがなかったらなぜ急に姿を消したかです。
本当に村田君から何の連絡もありませんか?ありましたね?いいでしょう。
でも今度は必ず私に連絡をするように伝えてください。
いいですね?ああ南か。
俺だ。
ちょっと調べてもらいたいことがある。
それとファクスを送ってくれ。

(チャイム)奥さん…。
どうぞ。
彼から連絡があったんですね?いいえ。
私不安で不安でいてもたってもいられなくて…。
ご迷惑だったでしょうか?いや別に…。
(携帯電話)失礼。
はい…ああ君か。
あれからすぐ恵美の部屋へ引き返したんですが一足違いで出かけたあとやっとでした。
出かけた?行き先は?それがなかなかわからんで…。
今日になって桜島行きのフェリーにそれらしかおなごが乗ったという情報をつかんだんですが…。
桜島?何時ごろだ?昨日の話ですよ。
しかもそれっきり戻って来ちょらんようで…。
わかった。
俺もすぐ行く。
待っててくれ。
桜島にいらっしゃるんですか?ええ。
私もご一緒します。
いやあなたは…。
お願いです。
私も一緒に連れてってください!じゃっとや自分は先に分署のほうに寄って行きますんで。
ああ。
そげな人は泊まらんかったなぁ。
すみません。
あっちょっと…。
ついでと言っては何なんですがこの写真の男に見覚えはないですか?もちろんこんな制服は着ていませんが。
ああこん人なら昨夜うちに泊まられたですよ。
しばらくこのままにしといてください。
知らない。
《伊藤恵美…》あのベルト…。

(パトカーのサイレン)ほんなごて…。
お前いつからあの男の部下になったとよ?すんません。
じゃっと杉本さんのおかげで恵美の死体が早めに見つかったことは事実ですけん…。
わかっちょる!やっと余計に腹が立つとよ。
どげんした?指紋が一致したとです。
一致した?村田健二の指紋が…!・
(足音)杉本さんベルトに残っちょった指紋はですね…。
元警視庁巡査村田健二のものと確認されました。
村田の女房の事情聴取は長うなりますぞ。
宿に戻られた方がよかっちょ思いますがの。
いや待たせてもらいます。
そうですか。
もうそろそろ本当のことば答えてくれませんかな。
ベルトの指紋が一致したというのはどげなことですか?この「Y」っちゅうアルファベットはあなたの…。
洋子の「Y」じゃなかですか?そうでしょう?どげんですか?わざわざ送っていただいてありがとうございました。
いやいいんですよ。
じゃあ…。
大丈夫ですか?奥さん!はい。
即席のホット・レモネード。
ありがとうございます。
お客様にこんなことまでさせてしまって…。
いや気にしないでください。
独り暮らしで慣れてますから。
奥様は?逃げられました。
本当に?本当ですよ。
もうずいぶん昔の話ですけどね。
村田君とはいつごろ知り合ったんですか?そろそろ1年になります。
1年前…鹿児島で?ええ。
そのころ私はお勤めをしていたんですけど残業で遅くなった帰り道変な男の人たちに絡まれたときちょうど通りかかった彼が助けてくれました。
カッコつけやがって!おらぁー!おりゃー!おねえちゃん行こうか。
(村田)女だけには手を出すな!俺だけで…。
調子こいてんじゃねえぞこら!こっち来いおら!俺を殴れ…!無抵抗で?しかし彼は柔道の有段者で逮捕術の成績も抜群だったはずなんですが…。
そのことはあとになって知りました。
でも彼はあのときこう言ったんです。
嫌い?ええ。
人を傷つけるのが嫌なんです。
こんなに痛めつけられたのに…?平気ですよ。
これくらいで死にはしません。
それにあの場合あなたが無事でさえあればよかったんですから。
あいつらしいな…。
話しているうちに彼が同じ高校の先輩だということがわかりました。
同じ高校?学年が少し離れていたのでそれまではわからなかったんです。
なるほど…。
杉本さん…人を傷つけることさえ嫌がった彼が殺人事件を起こすなんて私にはどうしても信じられない。
正直におっしゃってください。
彼はやっぱり人を殺したんでしょうか?奥さん…。
これ覚えてらっしゃいますか?彼があなたからいただいたペンです。
これで間に合うかな?お借りします。
あの人このペンをまるで宝物のように大切にしていました。
それだけあなたを尊敬していたんです。
そんな彼をどうしても疑うんですか!?罪を犯した者はたとえ親兄弟でも捕まえなきゃならないのが刑事という職業なんです。
村田君はおそらく横山に何か重大な秘密を握られて脅迫を受けていました。
彼が必死で働いて金を作ろうとしていたのはそのためだと思います。
しかし横山の要求額はそんなことで間に合うほど少なくはなかった。
そして交渉がこじれてついに…。
横山を殺しさらに秘密を知った横山の情婦も…。
やめてください!信じません!そんな話絶対に信じません。

(アナウンサー)「今日元警視庁警察官村田健二容疑者36歳を全国指名手配しました」。
「村田容疑者は鹿児島市内の…」。
そろそろ失礼します。
とにかく横になって少しでも体を休めたほうがいいですよ。
それじゃ…。
待ってください!帰らないで。
お願い…。
1人にさせないでください…。
お願いです…。
《村田は一体何をネタにゆすられていたんだ…?》《横山にしても村田をゆすったところで手に入る金額はたかが知れていることぐらいわかっていたはずだ》《なのになぜ…?》
(電話)出てください。
今どこにいるか聞き出すんです。
いいですね?もしもし…。
えっ…。
鈴木の?ええ…はい。
わかってます。
ええ…はい。
わかってます。
叔父の鈴木です。
心配してかけてきたんです。
おやすみなさい。

(ドアが開く音)じゃあ…。
杉本さんまさか昨夜あのおなごのところに泊まりよったと?いかんか?えっ!?ちょっと…。
一体どげなことになっちょっとよ!?どうぞ。
それと東京の南様からファクスが届いております。
ああありがとう。
おはようございます。
どこにおでかけでした?ええまあちょっと…。
奥さんは?はい。
あいつは風呂です。
3階の。
まったく1日に何回入れば気がすむんですか…。
あの分じゃ今にふやけてブヨブヨになってしまいますよ。
ハハハ…。
村田の出身地は鹿児島県開聞町。
父親は村田修造。
母親は久保田ミチ…?村田は正妻の子じゃないのか?村田修造の住所は鹿児島県指宿市…。
村田…。
あっちょっとすみません。
はい。
あのちょっとお尋ねしたいんですが…。
ガン?はい。
もう長くはないみたいですよ。
村田修造さんっていうのはどんな方なんですか?そうですね…。
ここあたりの大地主の旦那さんですが。
修造さんは若かころはそら〜よか男じゃった。
あっちこっちおなごもおって子供もできたらしか。
死なれたら遺産相続が大ごとじゃってそれは大変ですが。
彼が同じ高校の先輩だということがわかりました。

(合唱)《中江洋子…》
(合唱)《中江洋子就職先…》《東和生命保険…》《東和生命保険城東支店浅川美樹…》《東和生命保険浅川美樹。
中江洋子…》《東和生命保険…》南これが最後だ。
よく聞けよ…!あそこ…!村田…!
(加治屋)村田ー待て!
(加治屋)村田ー!おらんぞ!どこへ行ったとや…?どこへ行ったとや…?おい!
(ノック)奥さん!クソッ…!おらんぞ。
おらん?ああ〜っ!だめだよ。
それだけは絶対だめだよ!洋子!お願い。
これだけは私に任せて。
お願い…。
洋子!だめだ。
お願い。
ねっ?
(携帯電話)俺だ。
杉本さんどうも妙なことになってきましたよ。
東和生命の城東支社にはたしかに中江洋子という女性が働いていました。
ええ殺された浅川美樹の同僚なんですよ。
しかもその中江洋子が住んでいたのは浅川美樹の殺害現場の目と鼻の先なんですよ。
もしもし聞こえてます?ああ。
役に立ったよ。
ありがとう。
(携帯電話)何だ?何かいい忘れたか?どうした?
(村田)「村田です」村田…今どこにいる?「あなたの姿が見えてます」「来ないでください!」「申し訳ありません」「横山宗男と伊藤恵美を殺したのは自分です」お前が殺した?「そうです。
1年前東京でOLの浅川美樹を殺したのも自分です」「魔がさしたんです。
道を尋ねてきた女を案内するふりをしながら公園に引きずり込んで…」キャー!やめて…。
(村田)そのとき例のひったくり強盗のことが頭に浮かんだんです。
犯人を見たのか?はい。
似顔絵そっくりの男でした。
申し訳ありません。
本当に申し訳ありません!自分が横山を殺人犯に仕立てあげたんです。
横山はヘビのような奴でした。
執拗に自分のことを調べ上げ鹿児島まで追ってきたんです。
何度でもお見せしますよ。
このとおり俺にはれっきとした日付入りのアリバイがあるんだ。
おめえが偽証したことはわかってんだよ。
五千万でどうだ?五千万!?そう。
五千万。
お前の親父指宿の大地主だってな。
しかもガンで先は長くないそうじゃないか。
何でそんなこと…?お前正式に認知されてるんだって?だとしたら遺産をもらう権利はあるわけだな。
五千万くらい安いもんだろう。
(村田)「父親のことは母が死ぬ直前に話してくれたので知っていました」「しかし今さら会う気もないしまして頭を下げて金の無心に行く気など毛頭なかったんです」断ります。
断るだと?
(横山)じゃあどうしようってんだよ?こら!こうするんだよ…!横山の女も真相を知っているに違いないと思い桜島に呼び出して殺しました。
これがすべてです。
(村田)「今さら謝っても取り返しはつきませんが本当に申し訳ありませんでした」「下手な嘘はよせ」「嘘?」「お前横山の女を殺すのに自分のベルトを使ったのか?」「はい」バカヤロウ!どんな幼稚な犯人だって自分の指紋の付いた凶器を現場に残すような奴はいないんだよ!「あっあれは慌てていたので…」じゃあ横山殺しの現場からお前の指紋が出なかったのはなぜだ?最初の殺しでは落ち着いて指紋を消したお前がなぜ二度目にはそんなミスを犯したんだ?「動くなよ!」
(アナウンス)お前横山に脅迫されていることを奥さんに話したか?いいえ。
ファクスのことはどうだ?ファクス?福一ホテルに俺を呼び出すためのファクスを送ったのはお前か?いいえ。
そうか…。
奥さんだったのか。
一体何のことですか?奥さんはお前が横山に脅迫を受けているのを気づいていた。
それで横山を逮捕させようと俺にファクスを送ってきたんだ。
ホテルで横山に会う約束をしていたのは奥さんだな?お前はお前で奥さんの行動が気になっていた。
だからあの日釣りに行くと言って出かけて途中で引き返して奥さんを見張っていた。
違うか?だからホテルで横山の死体を見つけたときお前はてっきり奥さんが殺ったと思いこんだ。
そうだろう?だが奥さんは奥さんでお前が殺ったと思いこんだ…。
お前たちはお互いに誤解してかばい合っていたんだよ。
じゃあ一体誰が?失礼ですがこちらは?村田東京でブティックをやっている奥さんの親戚を知ってるか?ブティック?たしか鈴木という人だ。
鈴木…?そんな親戚がいるなんて聞いたことありませんが。
これに俺の言うとおりに似顔絵を描いてくれ。
はっ?はあ…。
うん…。
そうだ。
うんよく似ている。
この男が鈴木ですか?そうだ。
これに登山帽をかぶせてくれないか。
あっはい…。
こいつだ!本当だな?わかった…。
亜季亜季!お前の言うとおりだよ。
私の言うとおりにすれば間違いないの。
横山が死んでから鈴木は姿を消したお前の代わりに奥さんに接近してゆすりをかけお前が逃げまわっているのをいいことに恵美殺しの罪もお前に着せようとしたんだよ。
いってらっしゃいませ。
ありがとう。

(車のクラクション)加治屋さん!どうした?すみません。
すみません!奥さんがいなくなりました。
奥さんが行方不明になった。
何ですって!?城山観光ホテルですか?そちらに宿泊の鈴木さんをお願いします。
ええ奥さんのほうは亜季といいます。
夫婦で一緒に出かけた!?ありがとう。
杉本さん!まさか洋子と鈴木が!?どこかで会うはずだ。
心当たりあります。
代わってください。
自分が運転します!
(村田)彼女にプロポーズした場所があります。
結婚したあとも何度か行っています。
(鈴木)金は?何!?持ってこなかった?何で持ってこないのよ!こっちは切羽詰まってんだ!五千万がなけりゃ私の店はおしまいなのよ!わかってんの!?一緒に死んでください。
洋子…!洋子…。
洋子…。
(亜季)キャー!
(鈴木)わあー!そんなに死にたきゃあんた1人で死にな!・
(村田)洋子ー!貸せ!もうよせ!村田。
健ちゃん!健ちゃん!洋子…。
横山と奴の女を殺ったのはお前だな。
横山とはどこで知り合った?村田の行きつけの定食屋だ。
行こうか。
ごちそうさま。
お先に。
(店員)ありがとうございました。
どうも〜!心配しなさんな。
俺はデカじゃない。
あんたと同じであの村田を狙ってるんだよ。
村田からたっぷり搾り上げる手があるんだ。
どうだ?組まないか?搾り上げる?そこで俺は村田の父親の話をしてやった。
だが横山は横山でお前たちを出し抜く機会を狙っていた。
そうだな?そうとも。
あの野郎村田の女房のほうと交渉して1人で金をせしめようとしたんだよ。
この野郎!抜け駆けしようとしやがって…!
(チャイム)
(鈴木)そのときだよ。
村田の女房がやって来たのは。

(洋子)この写真を警察が見たら美樹さんが殺された日の横山のアリバイが成立してしまうと思いました。
こんな偶然はめったにない。
夫婦でお互いに横山を殺ったと思いこみ必死に夫のほうは証拠を消してくれた。
鈴木お前はすべてがうまくいったと思ったろう。
そして…。
横山の女伊藤恵美も村田のベルトで殺した…。
ご苦労さまです。
2人を連行してくれ。
はい。
ご苦労さん。
加治屋!はい。
車を1台置いちょくように言われました。
ありがとう。
あなたにはもう少し訊きたいことがあります。
あなたは村田とはこの鹿児島で知り合ったと言いましたがそれは東京に住んでいたことを知られたくなかったからですね?東京であなたは浅川美樹を殺した…。
違います!あれは…。
俺は奥さんに訊いている!おっしゃるとおり私が彼女を殺しました。
洋子!ごめんなさい。
私があなたをここまで追いつめてしまった…。
あなたは浅川美樹からゆすられていた。
そうですね?私の母は老人性の痴呆症でした。
介護費用は普通のOLだった私にはとても払えるような金額ではありませんでした。
私は夜もホステスになって一生懸命働きました。
でもそれでも足りずに…。
お客様からお預かりしたお金に手をつけてしまった…。
その事実を浅川美樹さんに知られてしまった。
(浅川美樹)大丈夫よ。
誰にも話しやしないから。
その代わりさお金貸してくれない?ねえ?
(洋子)私は黙って言いなりになるしかありませんでした。
でも彼女の要求はどんどんエスカレートしてきて…。
ふ〜ん…。
じゃあどうしても聞けないっていうのね?許してください。
もう無理です。
あっそう。
じゃあいいわよ。
横領バラしちゃうから。
誰に話そうかなぁ…?会社のお偉いさんでもいいけど…。
あっそうだ!あなたの彼氏ってこの近くの交番のお巡りさんなんだって?決めた。
その人に話そう!やめて!正義の味方のお巡りさんが恋人が横領犯だと知ったらどんな顔するか見ものよね!待って!待ってください。
待ってお願い!やめてよ…!待って待って!うるさいわねあんたって人は!うるさいんだよ!
(村田)彼女から連絡を受けて駆けつけたとき悪い夢を見ているんだと思いました。
自首するわ。
自首?だって…だって人を殺してしまったんだもの。
待ってくれ…。
あなたに迷惑はかけられない。
1人で警察へ行きます。
だめだ…。
行っちゃだめだ!洋子!健ちゃん…。
ここは俺に任せてくれ。
任せる?いいね。
君はここには来なかった。
もちろん人殺しなんかしていない。
そんな…。
頼む。
俺の言うとおりにしてくれ!頼む!早く…早く!
(村田)この人を失いたくない。
洋子を失いたくない。
ただそれだけの一心でした。
緊急緊急!2丁目5番地の岩淵公園で女性の死体を発見。
現在犯人らしき人物を追跡中。
(洋子)そして1年後鈴木たちが現れたんです。
聞いたわよ。
あんたの横領のこと。
美樹ちゃんが酔っ払って私に言ったのよ。
一度だけね。
あんたでしょう?うちの大事なお得意様殺したのは…。
とにかくお金!お金で解決しましょうよ。
五千万用意してくれればあんたのやったこと全部黙っててあげる。
ねえ?これがすべてです。
本当に申し訳ありませんでした。
洋子…。
俺のせいでかえってつらい思いをさせてしまった。
ごめんな…。
私こそあなたの夢を…。
杉本さんのような刑事になりたいって夢を壊してしまった…。
いいんだよもう…。
お前が…お前がどんな罪を犯そうとお前は俺の妻だ。
お前しかいないんだ…。
健ちゃん…。
そろそろ行きましょうか。
奥さん忘れないでください。
2人でやり直す時間はまだ十分に残ってるってことを。
ありがとうございます。
2015/01/06(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
殺人逃亡者の妻[再][字]

夫は無実です!OL殺人事件の裏にもう一つの完全犯罪!鹿児島桜島に燃える殺意の噴火!!

詳細情報
◇番組内容
三浦友和の警視庁特命刑事の妻シリーズ第2弾。通り魔連続殺人事件を追って鹿児島桜島へ…そして第二の殺人が!!
◇出演者
三浦友和、国生さゆり、甲本雅裕、鈴木ヒロミツ、栗田よう子、東根作寿英、大村波彦、山形恵介、棟里佳 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:18592(0x48A0)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: