(円城寺りつ子)竜子おばちゃんちょっと待って。
(久坂竜子)ほら急がんと遅れるえ。
着物なんて着慣れてないから何か歩きづらくって。
お茶会のお手伝いをするのに洋装ってわけにいかへんやろ。
それはそうだけど…。
よう似合うてるやん。
えっそう?焼き物やったら京都でも5本の指に入る平安窯当主の結婚のお披露目やさかいな名士がたくさん来はるんやさかい。
はいはい。
粗相のないようにでしょ。
任せなさいって。
ほんまに大丈夫かいな?・すいません。
はい。
はいどうぞ。
・そう言っていただけるのは大したもんやで。
はっはっはっ…。
(八坂暁子)本日はようこそ。
よう来てくれはりました。
ねえねえ…あの人国会議員でしょ。
それに商工会の会長。
あっちは大企業の社長さんだし。
言うたやろ平安窯は有名やの。
当主の八坂紅仙は人間国宝間違いなしって言われてるんやさかい。
奥さんの菊乃さんもそこに惹かれたのかな。
まあ確かにちょっと歳は離れ過ぎやけど愛し合うてんのやったらええんと違う?でもさ私と主任が結婚するみたいなもんでしょ。
考えられないなぁ。
菊乃さんのお父様がうちが習うてる茶道の大文字流家元千頭柳安なんえ。
へえ〜。
ねえあの隣にいる3人の女性は誰?ご当主の娘さん達。
きれいやろ。
(竜子)平安窯の美人三姉妹いうたらちょっと有名え。
あっ家元が来はったみたい…。
・
(八坂菊乃)お父様。
(八坂紅仙)ああ。
(千頭柳安)おめでとうございます。
家元わざわざどうもありがとうございます。
家元。
お久しぶりでございます。
相変わらずお3人はお美しいですな。
あら…。
(八坂白水)家元お待ちしておりました。
そうそう白水さんあなたは海外で賞をいただいたそうやないですか。
恐れ入ります。
お父様これを見て。
白水さんの作品なの。
ステキやと思わへん?ほおこの白色の具合が何ともいえない品格を醸し出しておりますな。
世界的に有名な国際コンクールなのよ。
ねえ白水さん。
大した事はありませんよ。
いいお弟子さんがいて平安窯も安泰ですな。
はあ…。
まあどうぞ。
私もこれで身が落ち着いた事やし近々後継者を決めようと思っているんです。
(千頭)ほお四代目八坂紅仙という事ですか。
ええ。
一子相伝の上薬平安釉を継ぐにふさわしい人物を選ぶつもりです。
菊乃紅龍を持ってきなさい。
紅龍?そうや。
皆様これから今日という日にふさわしい器をお目にかけます。
平安窯の至宝紅龍でございます。
(ざわめき)紅龍ってそんなにすごい器なの?うちも写真でしか見た事あらへんのやけどな。
平安窯の当主だけが受け継ぐ事のできる平安釉っていう上薬の赤がものすごう印象的な茶碗やったわ。
赤って事は成分に酸化銅が含まれてるのかな。
もうしょうもない事言わんときぃな。
りつ子ちゃんもお茶でも習いよし。
わびさびのよさがわかるさかい。
どうせ習うなら鑑識の新しい技術のほうがいいなぁ。
じゃあ私これ下げてくるね。
さすが鑑識の神様の娘やわ。
・
(八坂凪子)暁子姉さん父さんが取材は嫌だって言ってるの。
凪子あんた父さんのマネージャーにでもなったつもり?
(凪子)そんな…。
あんたは平安窯の裏方をちゃんとやってたらええの。
どないして平安窯を発展させるかは長女のうちが考えるさかい。
私だって窯の事はちゃんと考えてるわ。
(八坂薫)そうよ。
凪子姉さんはよくやってるわ。
薫。
あんたは父さんの弟子やねんさかいええ器を作りよし。
はっ!すいません。
何なのかしら?
(薫)それは平安釉を伝える一子相伝の巻物です。
平安釉は赤くなる上薬でその調合は平安窯の当主から跡継ぎに伝えられる一子相伝の秘密なんです。
たとえ弟子だろうとその秘密は明かされません。
えっ!?そんな大切なものをこんなところに?それはレプリカですから。
あっ…ああそうですよね。
当然ですよね。
もう嫌だなぁ私ったら。
本物は父がどこかにしまってあります。
ご当主の娘さんでいらっしゃいますよね?三女の八坂薫です。
薫さんも陶芸を?父の一番下っ端の弟子ですけど。
陶芸って難しそうですよね。
一度やってみませんか?私陶芸教室で教えてるんです。
薫さんが教えてくれるならやってみようかなぁ。
私円城寺りつ子です。
薫。
菊乃さんを見なかった?いいえ。
どうかしたんですか?彼女紅龍を取りに行ったまま戻ってこないんだ。
ええっ!?きゃあー!菊乃…菊乃!
(白水)師匠!
(パトカーのサイレン)
(玉木ケイ子)こらこら一般の方は下がって!現場のものに手を触れないで!あっ!?円城寺?屋上から落ちたようです。
玉木刑事。
亡くなったのは平安窯の当主八坂紅仙の妻八坂菊乃さんです。
あんたそんな格好で何やってんの?
(志賀隆造)ああそうか…。
今日竜子さんと行くって言ってたお茶会はこの平安窯だったな。
はい。
(カメラのシャッター音)ちょっと!
(常盤康介)着物案外似合ってますよ。
ちゃんと仕事しなさい。
仕事だぞ着替えなさい。
あっはい!
(カメラのシャッター音)
(康介)建物から離れて落ちてますね。
っていう事は突き落とされたんじゃなくて自分で飛んだっていう事ですかね。
確かに自殺する人間は建物から遠いところに落ちる事が多いが100パーセントとはいえないな。
はい。
それにこの陶器の破片も気になるな。
(康介)陶器を持って飛び降りたんですかね?これ紅龍かもしれません。
紅龍ってあの有名な平安釉の茶碗かね?はい。
菊乃さんが取りに行ってたんです。
もったいないもったいない。
・
(ノック)
(薫)父さんの様子どう?少しは落ち着いたみたい。
(ため息)よかった…。
あのもう一度伺いますけれども菊乃さんは紅龍という器を取りに行ってそのまま戻らなかったんですね。
はい。
それでみんなで探したんですがどこにもいなくて。
ええ迷惑やわ。
暁子姉さん!言葉を慎んでください!平安窯の名に傷が付くやない。
そやから再婚には反対やったんや。
どうしてですか?考えたらわかるでしょ。
(海老原太)ああ歳が離れ過ぎてるからですか?死んだ人を悪う言いとうはないけど父との結婚かてどこまで本気やったんか。
菊乃さんはいろいろと派手な方でしたから父との結婚に反対する方も多くて。
凪子姉さん。
凪子の言うとおりやない。
賛成してたのは薫あんたくらいやわ。
だけど父さんの気持ちを考えたら…。
菊乃さんは最近何か思い悩んでいるというような事はありませんでしたかね?
(八坂緑風)自殺なんですか?いえそれはまだ…。
遺書も見つかってませんし。
・
(ノック)はい。
失礼します。
りつ子さん!?これを確認していただきたいんです。
これは…!?紅龍だ!やっぱりそうですか。
これどうしたんですか?菊乃さんの周りに焼き物の割れた破片が散らばっていました。
一緒に落ちたんだと思います。
何て事するんだ。
死ぬなら1人で死ねばいいだろ。
あなた!緑風よしなさい!だってそうだろ。
平安窯にとってこの紅龍がどれだけ大切な器か!そうや!初代紅仙から伝わるうちの宝なんえ!
(薫)暁子姉さん。
(ため息)何だか器のほうが大切みたいな雰囲気でしたよね。
ふふふ…。
いくら義理の母親だからっていったってみんな自分より年下なのよ。
まあよく思ってなくても当然かもしれないわね。
そんなもんなのかな…。
それに相続の事だってあるし。
考えてもごらんなさいよ。
こんな大きな家屋敷の半分も持っていかれんのよ。
死んでくれてホッとしてる人間だっているかもしれないし。
あっでもあなたさこれ自殺だと思う?建物から離れて落ちてたし屋上にも争った形跡はありませんでした。
うん。
って事は自殺の可能性が高いって事か…。
まあ事実を1つ1つ確かめて真実につなげていくのが我々刑事の仕事。
そっちはそっちの仕事をちゃんとやってよね。
わかってます!
(カメラのシャッター音)
(曽我部元春)死亡原因は全身打撲と頭部挫傷だね。
典型的な飛び降り自殺って事だな。
突き落とされたって可能性は?うーんそこまではわかんないよ。
やっぱり自殺って事か…。
でもだったらどうして道連れにしたんだろうなぁ。
道連れ?うん。
だってこの人妊娠してるよ。
ええっ!?妊娠してた…。
うん。
4か月だからね本人も気づいてたはずだよ。
そうよねやっぱり変よね。
何が?だって赤ちゃんがお腹にいるのに普通自殺する?何かおかしいでしょ?私ちょっと署に戻らなきゃ。
おいまた約束すっぽかすのかよ。
次は必ず食事に付き合うから。
そればっかりじゃん。
ああ〜あ…。
妊娠してたやなんて…!?あの…ご存じなかったんですか?やっぱり浮気してたんや。
暁子姉さん。
ええっ?私には子ができないんです。
えっ?事故に遭ってからそういう体になってしもて…。
だから私の子であるはずがない。
菊乃さんもその事をご存じだったんですか?子供はいらない。
でも結婚しよう言うたんは菊乃のほうやったんです。
一体誰が菊乃と…。
父さん…。
そやからうちは反対やったんや。
こんなスキャンダルが世間に知れたら平安窯は一体どないなんの。
死亡した八坂菊乃のお腹の子供は夫八坂紅仙の子供でなかった事がわかっています。
えー娘の八坂暁子凪子薫の3人それに弟子である白水緑風の2人も妊娠の事は知らなかったと言っています。
このままでは不貞行為が明るみに出てしまうとそう思い悩んでいたんではないでしょうか。
ええまた屋上には争ったような跡はなく遺体は建物から離れた場所にありました。
鑑識これはどういう事ですか?私から。
えー自分の意思に反して落下した場合建物の近くに。
自分の意思で飛び降りる場合建物から離れた場所に落ちるというケースが多いです。
以上の事から八坂菊乃の死は自殺であったというのが我々の結論です。
ちょっと待ってください。
たとえ不倫相手の子供でもお腹に赤ん坊がいるのに自殺するでしょうか?する人間だっているでしょう。
でも産まないっていう選択肢もあったはずですよね。
だからって他殺だとは限らないわよ。
大体遺体の位置の事は鑑識から出てきた話でしょ。
見落としているのかもしれません。
何を?それは…。
りつ子君。
お話にならないわね。
とにかく今ある物証の中から我々が導き出した答えは自殺なの。
結論の出た事にかかわってる暇はないわ。
ああ…。
普通死ぬ前に考えると思わない?何を?赤ちゃんの事。
えっ!?かわいそうでさ死ねないと思わない?まさかりつ子ちゃん!?あっ違う違う。
私じゃないってば。
平安窯の若い奥さんの事だよ。
ああ菊乃さんの事…。
まあうちの家元もすっかり元気なくしはってな。
気の毒に…。
で結局自殺やったんやて?うん。
あんな立派な平安窯当主の奥さんにならはる人にも何か悩みがあったんやろうかなぁ。
内情は外見からはわからんさ。
これで一件落着って事なんですけどね。
1人を除いてはね。
ああ。
私やっぱり納得できない!もう一度調べてみる。
でもりつ子さん自殺って断定されたのに蒸し返すような事は…。
納得するまでやってみなさい。
それで真実が出てくるんなら何を躊躇する事があるんだ。
我々の答えはいつも現場にある。
現場は我々に真実を語りかける…ですね。
それをちゃんと聞いてやるのが我々の仕事だろ。
(2人)はい。
みなに伝えたい事がある。
私は四代目紅仙の名を譲る者を決めるつもりだ。
相続の件も含めて弁護士の熊田に相談して遺言として残す事にした。
四代目を譲る者にはこの平安窯のすべてを譲るつもりだ。
四代目がこの平安窯のすべてを取り仕切るべきだと思うからだ。
(緑風)それはいつですか?3日後だ。
みないいな。
私は師匠のご意見に従います。
父さんちょっと待ってぇな。
そりゃ紅仙の名を継ぐ者はよろしい。
けどうちらはどないなるん?うちは法律で決められた分はちゃんともらうえ。
(紅仙)お前達には遺産相続放棄の手続きをしてもらう。
そんなん嫌や!
(紅仙)わしの言う事が聞けないのか!聞けません!そうやろ薫。
私は父さんの言うとおりでいいわ。
それが窯のためだから。
薫…何言うてんの!凪子は嫌やな?私は…。
凪子にはこれからもこの窯の裏方をやってもらう。
今まで同様平安窯を支えるんだ。
いいな。
信じられへんわ!うちは絶対に嫌やさかいな!不服な者はこの八坂家から出てってもらって結構だ。
従えない者は平安窯から出て行け!いきますよ!いいわよ!やっぱり円形に広がってるわ。
それがどうしたんです?教えてくださいよ。
普通破片はこういうふうに落ちた地点を中心に円形に広がるはずよね。
でもこの写真を見て。
ここのところが切れているでしょ。
この向こうにも破片が飛び散ってないし。
確かに…。
器の落ちた地点と遺体との間に何かあったのよ。
この幅…車かも!?いきまーす!しっかりここに落とすのよ!車に当てたら始末書だからね。
そんなもう…だったら自分でやればいいじゃないすか。
何か言った?何にも言ってません!いきまーす!ほら写真と同じよ。
間違いないわ。
ここに車があったのよ。
って事はもしかしたら…。
いきまーす!うまく屋根に落とすのよ!わかってますよ。
でもそしたらその車へこむじゃないですか。
そしたら始末書でしょ!?つべこべ言わない!まったく言い出したら聞かないんだからホントにもう…。
ごめんな。
よし。
せぇのー!よいしょ!やっぱり!ああ〜!あっ!?ぺこぺこに…。
康介君見て!ええっ。
あっ。
遺体とほぼ同じ場所に落ちてる。
菊乃さんはやっぱり突き落とされて本当は壁の近くに落ちた。
でも車でバウンドしたから壁から離れたところに遺体があった…。
遺体が見つかった時に車がなかったって事は菊乃さんが落ちてから車出たって事ですよね。
遺体見てるはずなのに通報もしないなんて。
車の持ち主が菊乃さんの死にかかわってる可能性もあるわね。
そういえば…。
はっ!すいません。
あの男…。
とにかくもう一度紅龍の破片を調べてみましょう。
えっ!?いやもう返却しちゃいましたよ。
じゃあもう一度借りて帰ろうよ。
もういいのかなぁそれ。
どうですか?終わりました?はい。
でももうひとつ紅仙さんにお願いがあるんです。
返却した紅龍の破片をもう一度お借りしたいんです。
父は今こっちにいると思います。
どうぞ。
(りつ子・康介)はい。
もう一度あの破片を調べるという事は何かあるんですか?いえちょっと確認です。
菊乃さんは自殺なんですよね?今のところは…。
今のところ?お父様はあれからどうですか?ええかなりショックだったようです。
親子みたいな夫婦でしたけど父は菊乃さんの事を本当に愛してたみたいで…。
ああどうぞ。
・
(茶碗の割れる音)何かしら?急ぎましょう。
お父さんやめてよ!何考えてるのよ!離せ!お父さん!師匠!?
(緑風)ご自分が何をやっているかわかってるんですか?きゃあー!お父さん!壊した器がいくらするかわかってんの!これは偽物だ!へえっ!?
(紅仙)すべて偽物だ!これも。
これも!おおっ!?
(緑風)本当なんですか?お前達割れた紅龍を見たんだろ。
あれが偽物やとわからへんかったんか?偽物…!?すり替えられたって事?そうだ。
それはいつからなんですか?あなたは?京都南署の円城寺です。
他に盗まれたものとかありませんか?
(緑風)一子相伝の巻物は?平安釉の巻物は大丈夫なんでしょうね!?師匠!なくなってる…。
盗まれたようだ。
冗談でしょ!?盗まれたのはいつか心当たりはありませんか?恐らく菊乃が死んだ日やと思う。
なぜでしょう?前の日は確かにあった。
父さんどうするの?たとえ巻物を盗んだとしてもあの平安釉の赤は出せん。
恐らくそんな事もわからんばか者が家捜しでもしたんやろ!これといったものは出ませんねぇ。
2日も経ってるんでしょ?掃除もしてるしこれ無理ですよ。
真実は時間と共に消えたりはしない。
必ずどこかに何かが残ってるはずだ。
物証が犯行を語ってくれる。
髪の毛1本見逃すなですね。
そういう事だ。
割れてなければこれ1ついくらぐらいするんですかね?うん?割れてしまったらおしまいだが茶碗が何百万で売れるのは平安釉を使った紅仙の作品だけだ。
だから弟子にとっては平安釉と紅仙の名を受け継ぐ事が一生を大きく左右する。
だからその秘密が欲しくて盗む人間がいても不思議じゃないな。
もし菊乃さんが車の屋根でバウンドして建物から離れた場所に落ちたのなら車の持ち主が窃盗にかかわってたって事もありえますよね。
その証拠を探すんだ。
はい。
はい。
さあ見つけるのは車の持ち主の痕跡よ。
見つかりますかねぇ?見つけるの!さあやるわよ。
姉さん。
凪子…。
蔵の鍵を持ってるのは父さんと凪子だけやなぁ?そうだけど。
陶器のすり替えに気ぃつかへんかったん?ええ…。
まさか緑風って事はあらへんやろなぁ?何が?すり替えや。
うちの人はそんな事しません。
何だ?言っておくぞ。
紅仙の名は俺が継ぐ。
それは師匠が決める事だ。
あんた国際陶芸展でグランプリ取ったから四代目は自分だと思ってるんだろ。
だがなあんたは紅仙の名にふさわしくない!私はお前の兄弟子だろう。
兄弟子だろうが関係ない。
あんたが紅仙の名を継ぐのにふさわしくない人間だからそう言ってるんだ。
お前が師匠の娘の凪子さんと結婚しててもそんな事で跡継ぎ決めるような師匠じゃない。
そんな事じゃないさ。
俺には切り札があるんだよ。
切り札?そうさ。
見てるがいいさ。
・
(ドアの開く音)あっ…あっ!ビンゴ!ノー…天守閣が…。
見つかったか?はい。
破片に触った紅仙さんのものでも菊乃さんのものでもない鮮明な指紋がありました。
照合した結果がこれです。
大久保浩二34歳。
美術ブローカーで盗品売買の前科がありました。
調べてみると平安窯にもちょくちょく出入りしているそうです。
私があの日見た男ととてもよく似ています。
こいつが巻物を盗んだ犯人か?大久保が八坂菊乃の死にかかわってる可能性もありますよね。
よし捜査課に連絡だ。
(大久保浩二)こっちはやばい事やったんや。
もっと上乗せしてもらわんとな。
平安窯の未来がかかってんのやろ?・あっ。
こんなに朝早く何なんですか?大久保は逃げて行方がわかんないんだけど大久保の車が修理に出されてるの。
これがそれ。
ちょっと…。
うん。
やっぱりへこんでる。
どういう事?菊乃さんが死んだ時現場にあったのはこの車だったんです。
菊乃さんはこの車にバウンドして建物から離れた場所に落ちた。
だから屋根にへこみがあるし大久保は車を出す時に破片に触ったんです。
大久保が菊乃さんの愛人だとしたら子供の事でもめて突き落としたって事も考えられるわよね。
ええ。
やっぱり菊乃さんは自殺じゃなかったんですね。
(立石勝彦)府警本部の立石や。
ここからは先は私が指揮を執る。
所轄は我々の指示に従って動いてくれ。
(久保井洋介)で事件の経緯は?はい。
平安窯の当主八坂紅仙と妻菊乃の結婚披露の茶会の席で妻菊乃が展示館の屋上から墜落して死亡しました。
当初我々は自殺と断定しましたが新たな証拠が発見されました。
よう調べんままに自殺と断定するなど話にならん!せやから我々が出張って来てるんやないか。
わかってんのんか?はい。
何よ偉そうに。
りつ子君。
新しく見つかった証拠は確かなんだろうな。
あっはい。
円城寺君。
はい。
ええ…修理工場で発見された車の屋根から被害者の血液が検出されました。
車の屋根にバウンドしたため建物から離れた場所に遺体があったと思われます。
よって八坂菊乃が自ら飛び降り自殺をしたという可能性はかなり低いと思われます。
車の持ち主は美術ブローカーの大久保浩二。
盗品売買の前科があります。
今回の件について何かしらの事情を知っていると思われますが現在逃走中で全力で行方を追っています。
また一子相伝の平安釉の巻物が盗まれ高価な器が偽物にすり替えられていた事にもこの大久保が関係している可能性があります。
こちらも捜査中です。
それから被害者八坂菊乃は妊娠していました。
夫紅仙の子供でない事ははっきりわかっています。
この大久保がその相手である可能性もあります。
大久保が相手やとは限らんやろう。
…はい。
あの…平安窯には白水緑風という2人の弟子がいます。
当日は茶会だったため出入りが多く白水緑風をはじめ他の家族のアリバイもはっきりしません。
みなそれぞれ戻ってこない被害者を捜していたようです。
という事は関係者みんなアリバイがないっちゅう事か。
まあはい…。
紅仙には先妻との間に3人の娘がいます。
長女の八坂暁子42歳。
美術商としてよくマスコミにも取り上げられています。
今は若い女性向けの陶芸のアンテナショップなども展開してるようですが保守的な父親の紅仙とは意見が合わないようです。
次女の八坂凪子36歳。
平安窯の裏方的な事は彼女が仕切っているようで事務全般を担当しています。
紅仙の弟子の緑風は凪子の夫で2人は高雄にアトリエを持っています。
三女の八坂薫。
3人の娘の中で唯一陶芸家としてまた父親の弟子として修業もしています。
一般の人を対象にした陶芸教室で講師もやっています。
みんな父親との結婚を快く思っていなかったようでその点では動機はあります。
あの…。
薫さんはあの時屋敷の中で私と話をしていました。
ですから薫さんにはアリバイがあると…。
それは遺体が発見される直前でしょ?そうですがとても誰かを殺害した後とは思えませんでした。
おい所轄の鑑識!私は鑑識という名前じゃありません。
りつ子君。
お前確か円城寺とかいうたな。
それはお前の印象やろ。
証拠やない。
とにかく関係者全員洗い直しや。
(一同)はい。
あんたが捕まるとうちかて危ないんや。
ふふ…。
お金を手に入れたんやさかいとっととどっかに消えてや。
そうはいかへんのやなぁ。
逃げるには何かと物入りなんや。
まだ金の当てかてあるしな。
ふふふ…。
ここだ…。
あっりつ子さん。
薫さん。
やっぱりやってみようかなって。
どうぞ。
歓迎するわ。
よっ…うん…。
思ったより力がいるでしょ?ああ…。
でもね気持ちも大切なの。
いい器になろうねって言ってその気持ちを一緒に練り込んでいくの。
気持ちですね。
わかりました。
うん…はあ…。
あっ…。
ふふふ…。
ははは…。
あっここですね。
あっそうね。
あっ刑事さん…。
ああ器を焼くんですか?はい。
今日から明日にかけて焼くんです。
あの…美術商の大久保の事でちょっとお伺いしたいんですけれども。
大久保は平安窯にもよく出入りしていたそうですね。
ええ。
父の作品を扱わせてほしいと。
あの…大久保が特に懇意にしてた方とかいらっしゃいますか?いいえ。
あまり信用できない方でしたから。
うちに何か?大久保さんの事を訊きにいらしたの。
お前があんな怪しい奴を家に出入りさせるからいけないんだ。
出かける。
火の番頼んだからな。
あなた…!薫さんがお父さんの跡を継ぐんですね。
う〜んどうでしょう。
そうなればいいと思うけど一番優れた弟子が継ぐべきだと思ってます。
それが平安窯のためだし父も娘だからという理由で私を選ぶとは思えないし。
厳しいんですね。
跡は継げなくても陶芸はやめられないな。
好きなんですよ。
そうなんですよね…。
好きなんですよね。
えっ?私も父の跡を継ごうと同じ仕事を選んだんです。
りつ子さんのお父さんも警察官だったんですか?ええ。
もう亡くなってるんですけどね。
同じ鑑識を選んだんだけど未だに足元にも及ばなくて。
そうですか…。
でもやめようとは思わない。
だって好きだから。
同じですね。
ねっ!ふふふ…。
明日なんです…。
明日?父が後継者を決めてそれを書いた遺言書を弁護士に渡すんです。
(緑風)白水が国際陶芸展でグランプリをとったあの器に使った白い上薬。
実はあれは薫さんが考案した上薬だったんです。
それを白水が奪ったんです。
もしかすると菊乃さんの相手だって白水だったのかも…。
(紅仙)何?・
(紅仙)ああー!
(熊田)紅仙さん!紅仙さん!紅仙さん…。
誰か…。
誰か!
(パトカーのサイレン)遺言書はたぶん書斎ではないかと思われますが…。
じゃあちょっと拝見します。
今度は当主が亡くなるなんて…。
事故なんですかね?先入観は持つな!事故かどうかは現場が教えてくれる。
(りつ子・康介)はい。
(カメラのシャッター音)土…?うん?これは陶芸に使う土だな。
この状態じゃ指紋採取できませんね。
もし誰かに押されたのならその時に付着した可能性があるな。
はい。
・
(康介)りつ子さん。
こっちからはバッチリ指紋採取できました。
やはり誰かと会っていたのか。
これが他殺なら指紋の主が犯人という可能性もありますよね。
遺言書紅仙さんの部屋にもなかったわよ。
1階にもありませんでしたよ。
おかしいわね。
今日渡すはずなんだから絶対どっかにあるはずなんだけどな。
やはり他殺か。
えっ!?ここにあるものだけが証拠とは限らない。
ないという事もまた証拠となる。
ですよね?そうだ。
何で何でこんな事になるん!?暁子姉さん落ち着いて。
あんたらわかってんの!?これでもう平安窯はおしまいなんえ!そんな事ないわ。
白水さんだってうちの緑風だって一生懸命守り立てていくわ。
薫だってねっ。
もちろん。
平安釉はどないすんの?父さんが死んでしもうたらもう誰にもあの赤は出されへんのよ!巻物が見つかればそれを基にしてまた…。
凪子に何がわかんの?何にもできひんくせに!言い過ぎよ暁子姉さん!父さんが死んだのよ。
あんたがもっとしっかりして早う父さんの跡を継いでたらこんな事にならへんかったのに…。
(白水)何の話だ?あんたが師匠殺ったんじゃないのか?何言ってるんだ!?あんたがグランプリを取った白の上薬あれは薫の作ったものだった。
俺がその事を師匠に話したのを知ってたんだろ?お前昨日師匠にその事話したのか?本当の事だからな。
これであんたはこの窯を継げない。
だから殺したんだ。
緑風!言っていい事と悪い事があるぞ!私が師匠を手にかけるはずがないだろ!どうだかな…。
菊乃を殺したのもあんたじゃないのか?紅仙さんの背中にあった土の分析結果が出たんですけど平安窯で使われているものとは違いました。
となると他から持ち込まれた土か。
ますます犯人が付けた可能性が強いな。
あっ一致一致しました。
現場にあったグラスの指紋?はい。
誰のだったの?それが…薫さんの指紋なんです。
えっ!?それじゃああの日お父様のところにいらしたんですね?ええ。
父に呼ばれて。
でも頼まれたものを渡してすぐに帰りました。
どうして最初からそう言わなかったんですか?父を訪ねたのは午前中の事でしたし…。
遺言書の事はご存じだったんですよね?みんな知ってます。
父がみんなの前で言いましたから。
でも私遺言書がどこにあるかなんて知りません。
本当です。
それじゃお父様が亡くなった時間あなたどちらに?
(店内の音楽)うちの事疑ごうてはるんですか?いえいえ。
一応皆さんにお伺いしてるんですよ。
うちは午前中から展示館の事務所にいました。
今度やる平安窯の展示会の出席者の名簿を作ってました。
誰かそれを証明できる方は?1人でやってたんやさかいいません!・薫さん!お父様の事本当に残念でした。
父は殺されたって本当なんですか?間違いないと思います。
菊乃さんも?ええ。
そうですか…。
りつ子さんも私の事を疑ってるんですか?そうじゃありません。
さっきも刑事さんに言ったけど白水さんと一緒にいたんです。
今度の展示会に並べる作品を選んでたんです。
本当です。
わかってます。
私は薫さんの事を信じてますから。
父が亡くなった日は夫に頼まれて前の日からそこの穴窯に火を入れていました。
穴窯は焼き上がるまで火のそばを離れる事ができません。
これは誰にも任せられない事なんです。
誰かそれを裏付けてくれる人はいますか?いいえ。
ずっと私1人でしたから。
ああでも焼き上げた陶器もあります。
お父さん誰に四代目を譲るつもりだったんでしょうね?白水さんが継ぐべきなんです。
えっ?白水さんが四代目にふさわしいって私は思ってます。
八坂紅仙は自宅の階段から何者かに突き落とされて死亡しました。
当日遺言状を弁護士に渡す事になっていましたがその遺言状も発見されておりません。
紅仙が亡くなる数時間前に娘で弟子の八坂薫が呼ばれて訪ねて来ていますがすぐに帰ったそうです。
本人がそう言うてるだけやろ?はい。
これが平安窯の財産を狙うたものやとしたら八坂薫には大いに動機がある。
彼女は弟子の中でも一番下っ端なんやろ。
はあ…。
他の弟子はどないや?周りでは海外で賞を取った白水が四代目になるだろうと思っていたそうです。
はい。
となると遺言書に自分の名前が書かれてないとわかったら殺害の動機となりうるな。
白水は八坂薫と平安窯にいたと証言していますが裏は取れていません。
もう1人の弟子緑風のアリバイは?アトリエから八坂家まで向かう途中だったそうですがアリバイを立証できる人間はいません。
犯人が八坂菊乃のお腹の子供の父親やという可能性もあるな。
はい。
よしDNA鑑定してみよう。
それではっきりするやろ。
白水緑風2人の中におらんかったら美術商の大久保の可能性もあるな。
それで大久保は?未だに…。
何をしてんねや!ちゃんと捜査してんのか!?すいません。
他の娘らのアリバイは?長女の暁子は1人で事務所にいたそうです。
次女の凪子は?緑風のアトリエで窯に火を入れていたそうです。
ただしそれを証明できる人間はいないのですが高雄の緑風のアトリエから伏見の平安窯八坂家まで車で約1時間。
時間と距離を考えると焼き上がってから八坂家まで行って父親を殺すのには無理があります。
何なんやそれは?全員に動機があるっちゅう事がわかってても犯人を絞り込む手掛かりが何ひとつあらへんやないか!それができれば苦労しないわよね。
はい。
ああ。
あの…見つかるかもしれません。
(立石)ほんまか?被害者の背中に付いていた土ですがこれで絞り込む事ができるはずです。
焼き物に使う土には産地があります。
その土を使う窯も決まってきます。
それを特定できれば何かがわかるかもしれません。
はいはい…。
ありがとうございます。
窯によって使う土が違うから犯人につながる有力な手掛かりになるって事ですね。
(及川エミリ)一致したわ。
わかりました!1か所だけ一致しました。
10番の土が一致しました。
青葉。
青葉の大門採掘所ですね。
よーし。
眺めてるだけじゃダメだぞ。
証拠にはこちらから問いかけなければならないですよね。
いってきます。
もう…ちょっと待ってくださいよ!
(康介)いってきまーす。
すみません。
はい。
ここの土って陶芸にも使われているんですよね。
そうやで。
どこの窯ですか?そりゃぎょうさんあるわ。
じゃあ平安窯は?あそこは違うな。
そうですか…。
あっでも平安窯の人も個人的には使うてはるわ。
いろいろ試行錯誤してみたい言うてな。
それ誰ですか?あっ!?何やってるんですか?見りゃわかるでしょ。
もったいねぇ。
おおっ!こんなのクズだ。
じゃあ1個もらってもいいですか?好きにしろ。
ありがとうございます。
緑風さんは青葉の土を使ってるんですか?ああ。
それもそうだよ。
平安窯では使いませんよね。
窯で使っているような高い土は自分じゃもったいなくて使えないからな。
それより…昨日髪の毛を採りに来たと思ったら今日は土かよいい加減にしてくれ!紅仙さんを殺した犯人はこの土を使っている人間かもしれないんです。
そんな人間京都中にいるさ。
白水さんは青葉の土を使っているんですか?ええ。
ああもちろん平安窯の作品としてじゃありませんよ。
個人的な研究で作ってるんです。
研究?自分らしい作品を模索しているんです。
もし私が平安釉を受け継ぐ事になったとしてもそこに安住してはいけないと思うんです。
ダメだった時はなおさらです。
自分の陶芸を追究しなければいけない。
薫さんも青葉の土を使ってるんですか?薫は使ってません。
私だけです。
どうだった?いやぁ〜もうあの緑風ってのはふてぶてしい奴ですね。
あいつが犯人に間違いないですよ。
でも白水さんもあの土を使ってるの。
それじゃ絞り込めないじゃないですか。
でもね何か見落としてるような気がするの。
私もう一度紅仙さんの現場を見てくる。
えっ?迷った時は現場に戻れ。
うちの父がよく言ってた。
鑑識の神様が?うん。
さあ行くわよ。
えっ!?僕もですか?そうよ。
早く!わかりました。
主任に報告お願いね。
1人で大丈夫ですか?そっちこそ1人で報告できる?できますよ。
ああそう。
じゃあよろしくね。
1人かぁ…。
どうぞ。
すみません。
急に押しかけてしまって。
いいえ。
犯人の手掛かりは何か見つかったんですか?いえ…まだ。
そうですか…。
じゃあ終わったら知らせてくださいね。
はい。
さてと。
迷った時は現場に戻れ。
まあ鑑識の神様の言葉だもんな。
よしっ。
(ため息)うっ!大丈夫か?りつ子さん!あっ痛っイタタ…。
うわぁーもうよかった。
もうね起きないんじゃないかと思って心配しちゃいましたよ。
私…。
君は誰かに鈍器で後頭部を殴られたんだ。
はっ!?康介が現場に戻って倒れてる君を見つけたんだ。
恐らく何者かが捜査を妨害するために君を襲ったんだろう。
あとは任せなさい。
そうそう…。
いいえ。
真犯人がいる事が間違いない以上こんなところでおとなしく寝てられません!イタタタ…。
ほらほら。
今日は家でおとなしくしてなさい。
いいね!
(康介)そうですよ。
はい。
私が付いていながら…。
(竜子)志賀さんのせいやあらへんえ。
悪いの犯人なんやさかい。
だがこれじゃあ円城寺さんに申し訳が立たんよ。
何言うてはんの。
約束どおりりつ子ちゃん一人前に育ててはるやないの。
けど襲われたっていう事はりつ子ちゃん何か核心に迫ったからやないん?たぶんな…。
すごい事やないの。
ふふふ…。
確かに。
じゃあ帰るよ。
円城寺さん正義感の強さはあなたそっくりだ。
言い出したら聞かない石頭のところまでね。
ふふふ…。
大久保浩二。
死んでから随分時間が経ってるみたいね。
(カメラのシャッター音)どうやら殺されたのは昨日のようだな。
(康介)昨日は休みだったので出入りはなかったそうですよ。
今朝ここを開けた薫さんが発見したそうです。
でも大久保がどうしてこんなところに?ここで殺されたって事は平安窯の誰かと会っていたのかもしれないな。
陶器で後ろから殴ったようですね。
ええ?また破片の指紋かぁ。
これ大変だなぁ。
弱音を吐くな。
(カメラのシャッター音)はあ…。
終わったぁ…。
こっちもです。
どう?検出されたのは八坂暁子凪子薫緑風紅仙そして白水の指紋です。
ああ…指紋が付いててもおかしくない人間ばっかりだわね。
でも逆に考えると犯人はこの中にいる。
うん。
そういう事になるわね。
大久保は平安窯に出入りしていたから全員と面識がある。
紅仙殺しにしたって三姉妹には財産相続のためという動機はあるものね。
でもそのために父親を殺したりするでしょうか?あくまでも可能性よ。
動機はあるって事。
もちろん弟子の2人にだって動機はあるわよ。
平安窯を手に入れようとして紅仙を殺し何かをつかまれたんで大久保を殺したって事はありうるでしょう。
まあ一番怪しいのはこの白水と緑風ですよ。
紅仙さんの背中に付いていた土は白水と緑風が使っていたものなんですから。
そうね。
でも紅仙さんが亡くなった時白水さんは薫さんと会ってたのよ。
薫さんもそう証言してるし…。
薫は白水をかばってるんじゃないかしら。
白水の白の上薬っていうのは薫が考え出したものなんでしょ?せっかくのその上薬を白水に使わせてるぐらいだもの。
私ちょっと行ってくる。
どこ行くんすか?平安窯。
この前の続き。
ああ。
どこに行くのかと思ったら。
あれ?玉木さんは報告しに行かなくていいんですか?いや今はあんまり行きたくない気分なのね。
触らないでください。
(立石)また殺人とはどういう事やお前!!何でいつも一歩遅いねん!所轄は何やってんねん所轄は!!何で報告に来いへん!!久保井!あっ…すみません!
(携帯電話)びっくりしたぁ…。
もしもし?あの…大久保の傷口に付着した陶器の破片マイクロアナライザーで調べてもらったんですよ。
そしたらやっぱりありました。
平安釉ですね。
平安釉?そうです。
あの作業場には平安釉を使った高価な器は置いてなかったですよね?そっか…そういう事か。
康介君よく調べたわね。
まあ僕もやるだけの事はやってみようと思いましてね。
ええ…。
あのそれで…。
(電話の不通音)りつ子さん?なくなってる…。
ここにあった平安釉を使った花瓶が…。
平安窯は俺が継ぐ。
お前には平安窯を任せられない。
薫さんから白の上薬を盗むような男がよくそんな事が言えるな。
盗んだんじゃないわ!どっちにしても当主の資格はない!焼き物ときちんと向き合えないお前にも資格はない!何だと!やめて!もうやめてください!戻って来てから5時間ずっとああですよ。
朝まで付き合うしかないだろ。
ええっ!?じゃああの主任は?徹夜は若者の特権だな。
えっ…ええ〜!?やっぱり土はいいな…。
嫌な事も雑念もすべて消し去ってくれる…。
ええ。
私白水さんに平安窯を継いでもらいたい。
おっ!あっ…。
朝だぞ。
おはようございます…。
いいですよねそれ。
いくらぐらいすると思います?気泡が入ってるから値打ちがないな。
何だ〜。
緑風でもそんなの作るんですね。
緑風?それ緑風んとこでもらってきたんですよ。
康介この茶碗もしかしたら金には換えられないほど価値があるものかもしれないぞ。
ホントですか!?わかった!うん?何が!?連続殺人の犯人よ。
この花瓶に残された指紋が教えてくれました。
陶器を楽しみにいらしてくださったみたいじゃないようですね。
いやぁ見事な平安窯。
毎年恒例の行事だそうですね。
あんな事件があったのに中止にはなさらなかったんですね。
こんな時だからこそ世間に平安窯は大丈夫だという事を示すべきだと考えたんです。
私達このために作品を作ってきましたから。
誰が平安窯を継ぐのかもう決まったんですか?決まったようなもんですよ。
いえ!まだ決まってはいません。
ちょっと待ってください。
誰が窯を継ぐかを決めるのは私達の話を聞いた後でも遅くはないと思いますよ。
菊乃さんが亡くなった時も紅仙さんの時も我々は当初自殺や事故と判断しました。
しかし実際は違っていた。
犯人は大久保を殺したのと同じ人物。
つまりこれは連続殺人なんです。
犯人は誰え?この中にいるて言うの?結婚披露の茶会の日犯人は展示館の屋上に菊乃さんを呼び出しました。
そして故意か偶然か菊乃さんを突き落としてしまった。
菊乃さんは大久保の車でバウンドしビルから離れたところに落ちた。
でも遺体を見た大久保はそれを通報しなかった。
あの日大久保はある人物の依頼で紅仙さんの部屋から平安釉の一子相伝の巻物を盗んでいたんです。
平安釉の一子相伝の巻物を大久保に盗ませたのは…。
暁子さんあなたですね。
ああ…。
あっ何を言うてんの?大久保の口座に何度も金を振り込みましたよね?暁子姉さん!?どういうつもりなの?暁子さん。
あなたのお店を調べさせてもらったら…。
こんなものが出てきました。
うちは平安釉がこのまま埋もれてしまうのを食い止めようとしただけや。
(緑風)あんた達まさか中を見たんじゃないだろうな?ふふふふ…見ても同じよ。
あなた達が欲しがっていた一子相伝の巻物は…。
白紙だったの!噂は本当だったのか!そうや。
巻物はうちみたいな人間を騙すためのカモフラージュやったの。
平安釉の秘密は当主から次の代の当主に言葉で受け継がれていくものやったんや。
じゃあ平安釉の秘密は?そやから…平安窯はもうおしまいなんや。
平安釉はもう誰にも作れへんのや。
殺人犯もお前だろ!違うわ!あんたこそ犯人やないの?まあまあ落ち着きなさい!ほな犯人は誰なん?菊乃さんを殺した犯人は紅仙さんが弁護士に遺言書を預ける前に紅仙さんに会いにここに来ました。
そしてたぶん口論となり…。
紅仙さんの持っていた遺言を読んだ犯人は自分に都合の悪い事が書かれているためその遺言書を処分しようとした。
でも弁護士が訪ねてきたので慌ててそれをどこかに隠そうとした。
ここにあった平安釉の花瓶に隠したんだと思います。
そして隙をみて部屋から逃げ出した。
どうしてそんな事がわかるんですか?後で犯人はその花瓶を持ち出そうとしました。
だけどここで私がその花瓶を調べそうになっているのを見て私を襲ったんです。
うっ!という事はその花瓶に何かが隠してあったという事です。
考えられるのは遺言書です。
そして犯人は花瓶を持ち出しその花瓶で大久保を殺したんです。
花瓶で?そうです。
大久保の傷口には平安釉の陶器の破片が付いていたんです。
でもあの作業場には平安釉を使ったものは置いていない。
犯人は外から持ち込んだ平安釉の花瓶で大久保を殴りさらに近くにあった陶器でとどめを刺した。
だから現場の破片には作業場に出入りする皆さん全員の指紋が残ってました。
そのせいで最初は犯人を特定する事ができませんでした。
でもようやくわかりました。
その指紋が真実を教えてくれたんです。
菊乃さん紅仙さんそして大久保を殺した連続殺人の犯人は…。
犯人は…。
犯人は…。
凪子さんあなたですね。
何を言うの?そうだ。
いい加減な事を言うんじゃない!第一父が亡くなった時私は高雄のアトリエで穴窯に火を入れていたの。
ここに来る事なんて無理です。
それができるんです。
凪子さん。
あなたは窯から離れてここへ来て紅仙さんを突き落とした。
そして戻ってから急いで温度を上げて焼き上がりの時間を調整した。
だから焼き物には気泡ができて失敗作になった。
僕がアトリエに行った時に緑風さんが割っていたのは凪子さんが焼いた失敗作だったんでしょ?彼がもらって帰った茶碗で気づきましたよ。
あの茶碗は温度を急激に上げるとできる気泡がありました。
あなたは慌てて仕上げようとして焦ってしまったんですね。
それに紅仙さんの着物に緑風さんが使う土が付いていたのはあなたの手や服にその土が付いていたからです。
お願い!あなたが故意にお父さんを殺したとは思えない。
きっと事故だったんだと思います。
あれはあなたがその時に付けた土だった。
凪子さん。
あなたのアリバイは崩れました。
これを見てください。
これは復元した大久保の殺害に使用された平安釉の花瓶です。
そして凪子さん。
あなたの指紋が…。
ここに付いていたんです!花瓶を復元するまでわからなかったんですがこれは口が細くて長いからここに指紋を付けるのは割らない限り無理です。
うっ!
(うめき声)
(花瓶が割れる音)割った後に指紋が付いた。
という事はあなたがこれで大久保を殺害したという事です。
そうなんですね?菊乃さんを殺したのもあなたですね?緑風との事は知っていました。
浮気は許せた。
でも子供ができたって知って…。
許せなかった。
(菊乃)何よ?こんなとこに呼び出して。
2人だけで話がしたかったの。
私早く戻らないと。
菊乃さん。
妊娠してるんでしょ?緑風の子よね。
だったらどうしたのよ。
堕ろして。
お願いします!それが平安窯のためなの。
嫌よ!私緑風さんの子供が欲しいんだもん。
父に知られてもいいの?いいわよ。
別に。
離婚して緑風さんと一緒になってもいいし。
何言ってるの?あの人だって喜んであなたと別れると思うわ。
やめて!キャー!!どうしてお父さんまで?私が捕まれば緑風が平安窯を継げなくなる。
私はどうしても緑風に継いでほしかった。
だからあの日父に直談判に行ったんです。
でも父は私の言う事なんて聞こうとしなかった。
さっさと帰れ!どうして緑風じゃダメなの?跡継ぎはもう決めてある!熊田が来る頃だ。
どけ!ねえ父さん。
話聞いて!もう決まった事だ。
ねえ父さん!あかんて。
お願いよ!帰れ!お願い!帰らんかい!!ああー!父さん。
父さん…。
・
(足音)紅仙さん。
誰か!誰か!!四代目は誰やった?薫よ。
そんな!凪子さん。
りつ子君を襲ったのもあなたで間違いありませんね。
はい。
りつ子さんが花瓶を調べようとしていたから。
申し訳ありません。
うっ!
(凪子)その後中の遺言書を取り出すために作業場へ行ったんです。
でもそこへ大久保がやって来ました。
大久保はあなたをゆすっていたんですね?はい。
あの日菊乃さんを屋上から突き落とすのを見ていたんです。
キャー!!ああっ!
(凪子)それから何度か電話がかかってきてお金をよこせと脅されたんです。
私が犯人だとバレれば夫は平安窯を継げなくなる。
だから…。
(大久保)凪子さん!考えてくれました?こんなところまで来ないでください。
俺は警察に追われてんのや!時間がないんや。
1000万。
すぐに用意してくれるな?そやないとあんたが菊乃さん突き落とした事バラすで。
そうなったら…あんたもあんたの旦那もおしまいや。
平安窯かておしまいやな。
うっ!夫に平安窯を継がせてあげたかった。
(凪子)覚えてるでしょ。
私は父の反対を押し切って夫と結婚した。
でもなかなか父さん認めてくれなかった。
逆に私や夫にはいつも冷たかった。
そんな事ない!薫にはわからない!父さんうちの人にはいつも厳しかった。
私からは陶芸を取り上げておいて裏方を押し付けた。
そやけどそれは…。
凪子にはそのほうが向いてたからやろ。
わかってるわ。
私は姉さんのような才覚もないし薫のような才能もない。
だから一生懸命やった。
でもダメだった。
どんなに頑張っても父さんは私達が日の当たる場所に出る事を許してはくれなかった。
私達は…いつも日の当たらない裏方だった。
お前のせいじゃないか。
俺の陶芸家としての道もおしまいだ。
お前のせいで俺の人生は台無しになってしまったんだよ!私はあなたの事を思って。
うるさい!いい加減にしなさい!
(ため息)緑風さん。
もとはといえばあなた自身が原因なんだ。
それを他人のせいにしちゃいけませんよ。
紅仙さんだって自分の娘の夫だからこそあなたに厳しくしたんだ。
あなたを鍛えようとしたんだ。
なぜ周りの人達の気持ちがわからんのですか?わからないね。
俺は俺で頑張ったんだ。
何が頑張ったよ!菊乃さんを妊娠させたのはあなただって事はDNA鑑定の結果わかっているのよ。
紅龍を偽物にすり替えたのもあなた。
ほかの器も全てあなたがすり替えて売りさばいていたんじゃないの!逮捕したバイヤーが白状して本物の紅龍もすでに取り戻しましたよ。
あなた…。
本当なの?俺は…俺はこんな貧乏な陶芸家で終わるような人間じゃないんだ!俺はもっとすごい才能があるんだよ!どうしてみんなわかってくれないんだ!凪子…。
その頬の痛みを一生忘れるんじゃない!日の当たる場所にいる人だけで世の中が成り立ってるわけじゃないわ。
凪子さんあなたは平安窯の縁の下の力持ちだった。
あなたがいないとこの窯は成り立たない。
違いますか?八坂凪子。
殺人容疑で逮捕します。
おしまいやわ。
平安窯は今日で終わりや。
そんな事はありません。
あんたに何がわかるの。
平安釉の秘密は受け継がれなかったんですよ。
いいえ立派に受け継がれています。
この平安釉の花瓶を作ったのは薫さんですね?本当なのか?嘘を言わんといて。
本当です。
この復元した花瓶の内側の底上薬の下に薫さんの指紋が残っていました。
という事は薫さんが作ったものだという事です。
何で薫が!?父さんに上薬の調合を教えられてそれで作品を作って何度も持ってったけどうまく色が出なくて最初は何の上薬がわからなかったけど。
あの日…。
父さんのところに持っていったその花瓶は…。
(薫)初めてきれいな赤が出たの。
薫…。
あんたが平安釉を受け継いだんえ。
何で早うそれを言わへんかった?跡なんて継ぎたくない。
えっ!?薫ちゃんが四代目紅仙を継ぐべきだ。
白水さん。
おこがましいが私も平安窯を守り立てるよう君を助けて頑張るよ。
大体あの白の上薬を薫ちゃんからもらった事からして間違いなんだ。
君のほうが才能がある。
その事をわかってたはずなのにどうかしてたな。
薫さん。
私あなたがうらやましい。
私も父から俺の跡を継げって言ってほしかった。
私…。
やってみます。
平安窯が救われたわ。
父さんもきっと喜んでくれはる。
暁子姉さん。
薫…。
今まで勝手な事ばっかり言って堪忍え。
平安窯きっと守っていけますよね?みんな本当に大切なものを見失っていたのかもしれないな。
本当に伝えなきゃいけないもの守らなきゃいけないものをさ。
ええ。
ほらあの堂々とした振る舞い。
薫さん立派な当主じゃないか。
これが薫さんのいるべき場所だったんですよ。
凪子さんだって。
きっと紅仙さんは凪子さんを信頼してたからこそ裏の事を任せたんですよ。
そういう事だ。
どんな人にもちゃんと役割がある。
私達鑑識もそうですよね。
ああ。
捜査を裏で支える我々を信頼してくれるからこそ刑事は犯人を逮捕する事ができるんだぞ。
(携帯電話)もしもし。
円城寺何やってんの。
殺人事件よ。
早く来なさい!すぐ出動します。
主任。
事件です事件!よし出動だ!はい。
主任!ちょっと来てください!
(康介)主任!主任!2015/01/05(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
京都南署鑑識ファイル[再][字]
名門陶芸窯元〜茶会連続殺人!!跡目を狙う美人三姉妹の華やかな闘い!?秘伝の器に花嫁の指紋が…
詳細情報
◇番組内容
名門陶芸窯元〜茶会連続殺人!!跡目を狙う美人三姉妹の華やかな闘い!?秘伝の器に花嫁の指紋が…好評シリーズ第3弾!!窯元の三姉妹に一色彩子、芳本美代子、国分佐智子の文字通り美人三人のキャスト!!
◇出演者
田中美里、小林稔侍、黒田福美、茅嶋成美、一色彩子、芳本美代子、国分佐智子、羽場裕一、近江谷太朗、小沢象
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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