NHK高校講座 家庭総合「安心できる社会って?」 2015.01.05


(パパイヤ鈴木)こんにちは「家庭総合」です。
今日のテーマは…今回のお悩み漫画ですがコウちゃんの立場になったらどうするか?千瑛ちゃん。
国の制度でどんなものがあるのかまだ分からないので…。
でも「国の制度で」って出てくるって事はやっぱり「家庭総合」何回かやってるとそういう制度が国にあるかもしれないって事が分かってきたのかな。
成君。
とりあえずけがを治す事から始めたいと思います。
とりあえず元気にならないと…。
まずね。
(青木)でも漫画になってるぐらいだからこういう事って結構あるんだろうなぁと…。
こういうふうに思いがけない成り行きって事があるんですがそんな時どういう制度が利用できるのか実例を見てみたいと思います。
東京近郊に住む59歳の男性。
今自宅で病気療養中です。
男性は二十歳で就職。
結婚して2人の子どもにも恵まれ人生は順風満帆に思えました。
しかし会社に勤めて30年目突然男性に思いもかけない事態が襲いました。
不景気の波に押され会社が倒産。
失業してしまったのです。
もう大体年齢がね50歳過ぎてましたんで果たして次の職に就けるだろうかとかそういう事まず頭に浮かびましたね。
そこで生活を守ったのは雇用保険。
一般に失業保険といわれるものです。
雇用保険は働く人たちから保険料を集め失業などをした人に保険金を給付する仕組みです。
男性は家のローンや子どもの学費を払い続け再就職先も決まりました。
しかしほっとしたのもつかの間再び困難に直面します。
新しい会社に勤めて3年目手足がしびれろれつが回らない事が増えてきたのです。
病院の診断結果は脳梗塞でした。
原因は過労。
3か月の自宅療養が必要になりまたしても働く事ができなくなってしまいました。
…いうのが一番の印象ですかね。
男性は労働災害補償保険いわゆる労災の申請をする事にしました。
仕事が原因でけがや病気をした人に働けなくなった分の収入を保障する仕組みです。
それに応じて…雇用保険や労災保険のような制度を社会保障といいます。
人生において予期せぬトラブルに遭った時何度でも再スタートできるようにするためのものです。
社会保障にはさまざまな仕組みがあります。
人生のすごろくを進みながら見ていきましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは弱い存在です。
病気から守るため健康診断や予防接種が無料で受けられます。
子ども時代も社会保障と関わりがあります。
保育所や地域の子育て支援などが子どもの成長を支えています。
大人になって子どもができると妊娠中の検診を無料で受ける事ができます。
児童手当など子育ての費用を援助する制度もあります。
失業した時には失業給付があります。
また再就職のための職業訓練を受ける事もできます。
年を取り働けなくなると収入が途絶えます。
そこで年金制度によって老後の生活が保障されます。
改めてこうして見ますと僕たちの生活っていろんな制度に守られてるのが分かりますよね。
病気の時とか失業しても保険っていうそういう制度がちゃんとしっかり国であるんだなって。
そういえばこういう話に詳しい常連さんがいましたよね。
いらっしゃいましたね。
(岩崎)こんにちは。
こんにちはお待ちしておりました。
社会保障制度を研究するエキスパートです。
先生社会保障制度って何かいろいろあってよく分からないんですけど。
そうですね。
社会保障制度に大きく分けると社会保険というのと社会福祉というふうに分ける事ができます。
社会保障には雇用保険などみんなでお金を出し合う社会保険と保育所など税金を使って行う社会福祉があります。
社会福祉っていうのはどういう事なんですか?さてこの社会保障制度なんですがなぜ今の制度になったのかその歴史をひもとく事で分かってくるそうです。
日本の社会保障の起源は戦前まで遡る事ができます。
当時の…軍人が退職したり死亡した時給付金が支払われる法律が出来ました。
20世紀に入ると貧しい人を救うための救護法などが制定されました。
…が公布。
社会保障を受ける権利が国民にあると初めて記されました。
社会保障が民主主義社会を支えるものとされたのです。
日本が豊かになるに従って社会保障は次々に充実していきました。
医療費を保障する健康保険と老後の生活を保障する年金が全国民の参加になりました。
社会保障制度の基盤が出来たのです。
その後も社会保障は変化し続けています。
例えば1973年高齢者の医療費が無料になりましたがオイルショック後また一部負担になりました。
現在は少子高齢化が進む中高齢者を支える若者たちの負担感が増大するなど社会保障の制度そのものの信頼が揺らぎ始めているといわれています。
随分昔から社会保障ってあったんですね。
時代ごとに形を変えていってるなって…思いました。
もう一回戻ってみると特に戦前とか戦後にかけてのところの社会保障というのがかなり国益というのをすごく重視している。
やはり国益に結び付いている問題にはすごく手厚く保障するんですけれども国益には直接結び付かないかなっていうものに対しては結構ほとんど保障してこなかったんですね。
でもそれが戦後になってやはり人々が持っているみんなそれぞれ持っている生活上の困難とかリスクっていうのをみんなで共有しましょう。
そういう仕組みとして社会保障というのが出てきました。
ですからこの社会連帯という考え方がものすごく重要な考え方になっています。
でも先ほどパパイヤさんや青木さんがおっしゃられたようにちょっと制度に対しての信頼感だったりとか不安が出てきたりとかして最近空洞化というのが少し心配になってきてるんですが。
みんなでリスクを分かち合いましょうという制度があるにもかかわらずでも何ですか自己責任論というかこれはあなたの問題だから私は知りませんみたいなふうになってきちゃってるんですかね?そうですね。
やっぱり1つには昔であれば総中流という言葉もありましたけれども大体みんな同じような暮らしをしているみんな大体似たような生活だよねっていうふうな一体感っていうのが多分あったと思うんですね。
でもそれがやっぱり近年すごく格差社会なんていう事が出てきたりとか。
例えば貧困問題がまたクローズアップされてきたりとか。
社会の一体感が少し失われてきてる。
そういった事も自己責任論が出てきてる背景にあると思います。
自己責任を追求したらどうなるのか?海外の事例を見てみましょう。
アメリカ・ジョージア州北部のフルトン郡。
2005年新しい市が独立しました。
きっかけは高収入を得ている富裕層の不満でした。
独立の背景には住民たちの不公平感がありました。
高収入の人たちは自治体に税金を多く納めます。
しかし行政サービスは均等に割りふられます。
富裕層の人たちはその事に不満を感じていたのです。
アメリカでは住民投票によって新しい市をつくる事ができます。
この独立は富裕層自身の選択だったのです。
貧困層に使われていた税金を含めてさまざまなコストカットが可能になりサンディ・スプリングス市の財政支出は半分以下になりました。
余った税金は市民の安全を守るサービスに使われています。
警察に連絡すれば市内どこでも2分以内にパトカーが来るようになりました。
この例に倣いアメリカ全土で新しい30の市が生まれようとしています。
問題は切り離された貧困層が住む地域です。
財政が悪化しフルトン郡の歳出は歳入を上回ってしまいました。
行政サービスが悪化してゴミの回収が2週間に1回程度だといいます。
図書館は時間を短縮。
公立病院は予算を削減。
難病に苦しむ息子を持つアブラハムさんは現状を憂いています。
こうした動きに対してアメリカでは世論を二分する大論争が起こっています。
これ実際にアメリカで起こっている事なんですけども。
全然知らなかった。
ではここで…カードに書き込んだものを表に貼り出しました。
利点には納得感や安心など独立した富裕層の立場での意見が挙げられました。
何ていうんですかね…自分が使ってないお金に対して多く払い過ぎてるっていう実感を持つ人が多い訳じゃないですか。
ここリンクしてくるんですけどサービスの質が向上するかもしれないですし実際お金が…支払うお金が減ったりするかもしれない…って考えました。
問題点にはゴミ問題などフルトン郡に残された貧困層の状況が挙げられています。
そういう市が増えると貧困層の人が不満が増えて両方で対立してしまうんじゃないかっていうのが問題じゃないかなって思いました。
一番の問題は社会保障とかもあるんだけど生きてくのが楽しくない気がするんですよ。
だからそうまでして自分たちだけいい思いしていいのか…っていうふうに僕は思っちゃうなっていうので利点がまずないっていう事ですかね。
すごくいろんな意見が出てて面白かったんですけれども行政サービスが向上する事自体は住んでる人たちにとってはすごくいい事だし求めてる事ではあると思うんですね。
やっぱり問題となってくるのはすごく重要な事だと思うんですけれどもやっぱり生活への希望がなくなってしまう事。
例えば…
(岩崎)これものすごく大きな問題ですよね。
やっぱり住んでる人たちが…富裕と貧困市民の対立と書いてくれましたがまさにこういった社会に後戻りしてしまう。
さっきのVTRのようなサンディ・スプリングス市みたいにね日本もこれからなっていくんですかね?私たちにできる事としては自分たちと同じ仲間というか同じ感覚を持ってるしゃべらなくても分かるでしょうみたいなツーカーのようなそういった友達だけとしかつきあわなくなってしまうとそれは先ほどの…ここで先生は社会福祉法の条文を取り出しました。
社会福祉の理念についてこう書かれています。
やっぱり一人一人が自立する。
その自立をするためには支えがいるっていう事。
いろんな人たちと支え合いをしないと私たちは自立はできないんですね。
だからもう一回自分から自立しようと思うと何度もやり直しができる社会。
そのためにやはり支え支援というものが必要だ。
これが社会保障の基本的な考え方になる訳です。
さあ今日は…成君どうでした?やっぱり人と人との助け合いが大事だなって思いました。
自分が困った時将来困った時のために備えるだけじゃなくて今困ってる人のために税金を払って将来自分が困った時のために周りから助けてもらうっていうギブアンドテークの関係がいいなと思いました。
まさに保険だよね。
私も勉強になりました。
とても心が清らかで頭のいい人がいい国にしてくれたらいいなと思います。
絶対に将来必要な話ですもんね。
そう思わなかったでしょ?この話。
そうでしょう?絶対に自分たちがお世話になる話。
もう今お世話になってる話だからうまく利用してくというのは当然の権利なんですね?先生。
(岩崎)そうですね。
本当よく分かりました。
ありがとうございました。
さあ皆さんはどう考えたでしょうか?それではまたお会いしましょう。
さよなら〜。
社会保障制度には将来の困難のためにあらかじめみんなでお金を出し合う社会保険とそこから取りこぼされる人たちを税金を使って救済する社会福祉があります。
初期の社会保障制度は国のために生まれました。
戦後の民主化に伴って社会連帯の考え方が広がり社会保障は全ての国民のためのものになりました。
人生の困難は個人が解決するべきだという自己責任論があります。
しかしそうした社会は人々の間に対立を生むおそれがあります。
個々の自立を支え合うための社会の仕組みについて考える必要があります。

(テーマ音楽)2015/01/05(月) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 家庭総合「安心できる社会って?」[字]

人生には予測がつかないリスクがいっぱい。それをみんなで支えあうのが社会保障です。制度とその歴史について学びます。【出演】パパイヤ鈴木・青木さやか・岩崎晋也ほか

詳細情報
番組内容
「社会保障」には、将来のリスクに備えてみんなでお金を出し合う「社会保険」と、困難を抱えた人を税金を使って支える「社会福祉」があります。具体的にどんな制度があるのか学び、こうした仕組みが発達してきた歴史を振り返ります。また、制度が揺らぐ中で出てきた「自己責任論」について、アメリカの例を取り上げて検討します。【出演】パパイヤ鈴木、青木さやか、足立成、尾崎千瑛、岩崎晋也【声】沖田愛【マンガ】和田フミ江
出演者
【ゲスト】法政大学教授…岩崎晋也,【出演】尾崎千瑛,足立成,【司会】パパイヤ鈴木,青木さやか,【語り】沖田愛

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趣味/教育 – 中学生・高校生
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バラエティ – その他

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