(テーマ音楽)「きょうの健康」です。
今回は月に1回最新の医療情報をお伝えする「メディカルジャーナル」です。
さあ今日のテーマは…まずは2012年に厚生労働省の研究班が行った調査をご覧下さい。
平日学業以外に一日5時間以上ネットを使用している中学生は9%。
高校生は14%から15%もいる事が分かりました。
更にその中でネット依存が強く疑われるのは中高生全体の8%。
その数は推計52万人にも上ります。
夏休みを迎えてこれからは子どもたちがネットに触れる時間が増える時期です。
親は子どもにどう対応したらよいのか専門家に詳しくお伺いしていきます。
今日お迎え致しましたのは…精神科でアルコール依存症など依存症全般の治療がご専門ですが2011年には日本で初めてとなるネット依存症の専門外来を開設され治療を行っていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
この樋口さんのネット依存症の専門外来ですが患者はどんな年齢の方が多いんでしょうか?大人から子どもまでさまざまなんですが大体半分近くは中高生です。
大学生まで加えると8割ぐらいになります。
つまり若い人が圧倒的に多いという事です。
昨今は低年齢化が進んできまして私が今拝見している中で一番若い患者さんは小学校5年生です。
まさに子どものネット依存が増えているという事なんですね。
ではそもそもこのネット依存症とはどういう状態なのかケースを見てみましょう。
こちらです。
A君17歳高校生です。
A君が好きなのはパソコンのオンラインゲーム。
インターネットで多くの人が参加して行うゲームです。
高1の時は親のパソコンを借りて行っていて遊びの範ちゅうにとどまっていました。
ところが高校2年生になる時自分のお小遣いでパソコンを買ってからは歯止めが利かなくなりました。
朝起きられなくなり登校しようとしても頭痛や吐き気を訴え引き返してしまう状態でした。
やがて学校に行けなくなり家でゲームをする時間が一日15時間にも増えてしまい昼夜の生活がすっかり逆転してしまったんです。
…というA君はオンラインゲームにはまったという例なんですが…。
去年の8月ぐらいまでは受診している方々の80%以上がこのようなオンラインゲームに依存している方々でした。
ほとんど男の子でしたがところがここに来て急にスマートフォンいわゆるスマホへの依存が急に増えてきました。
チャットとかSNSとか動画サイトに依存しているケースが多くて結構女性の方に多く見られます。
今の若い人は本当にゲームとかスマートフォンの時間が長いという事はよくある事なんですがそれが依存症と診断されるのはどういう基準なんですか?新しい依存形態なのでまだ診断ガイドラインが出来ていないんです。
しかし今作られつつあります。
我々は日常の臨床でどうしているかといいますとこのようなものを目安として使っています。
この1番と2番かあるいは1番と3番か明確にあるようだと治療の対象にしています。
まず使用時間をコントロールできないという事があって健康に問題が生じたり家庭や学校で問題が生じているという事が起きてくると。
実際さまざまな悪影響が出てくるという事なんですね。
何よりも重要な事はネット依存症は子どもたちの将来を大きく狂わす事です。
依存によって使用時間が増えてきますと勉強できなくなりますから成績が大幅に下がってくると。
場合によっては学校に行けなくなってしまって進学もできなくなってしまうという事があります。
ネット依存によって失われた時間は取り戻せない訳です。
是非ご両親の方はインターネットは依存するんだという事を是非理解頂きたいと思います。
そういう認識はまだ足りないかもしれないですね。
体や心の健康に問題が生じてくるという事ですが具体的にはどんな症状が出てくるんでしょうか?一番よく見られるのが睡眠障害です。
子どもたちは明け方までインターネットをやっている訳です。
そうすると朝起きられなくなったり場合によっては昼夜逆転してしまって学校に行けなくなってしまいます。
よしんば学校に行けても眠くて眠くてしょうがないという状況が続きますよね。
それから体力の低下。
これも患者さんの100%に見られます。
全然動かない訳ですから体力が著しく下がります。
それから栄養の問題ですよね。
一日1回ネットに夢中になり過ぎてしまって食べる事もおろそかになってしまう。
カップラーメンを一日1食ぐらいしか食べない方がいらっしゃる。
そうすると栄養失調になる訳です。
そうすると栄養が悪いのと同時に血糖も下がってきたりします。
家族と一緒に食事をする事はなくなるんですか?そういう子どもさんもいますが部屋に閉じ籠もって食べるようなケースが多いです。
あるいは家族の目を盗んで食べるとかです。
そんな状況です。
それから歩かないものですから足の骨密度が大幅に下がってくると。
場合によっては骨粗しょう症といわれる状況が見られる事があります。
本当に立ち上がらないずっと座ってゲームをしたりスマートフォンをしたりという事になるんですね。
こういったネット依存症にならないようにするためにはどんな注意が必要ですか?まずネット機器を購入する際の注意点ですがスマホの場合はスマホの所有権は親にある事をまず伝えて頂きたい。
子ども単独では買えないんだよという事ですね。
それから一番大事なのは決まりをつくる事です。
例えば夜9時以降は使わないとか親に返すとかあるいは充電器に置くとかそういう事です。
それから決まりを守れない場合には場合によっては親に返してもらう事を買う時にちゃんと伝える事が大事だと思います。
「決まりを守れない場合は取り上げるよ」という事はうちでもこういう決まりを作った事があるんですがそれでも守れない事がよく起きてくる訳ですよね。
そういう時に本当に取り上げてしまっていいものなんでしょうか?実は今スマホがないと子どもたちの生活も成り立たないような状況になっていますからスマホをいきなり取り上げるのはかなり難しい問題があります。
場合によっては切れてしまって暴言を吐いたり暴力をしたりそれで親子の関係がますます悪化するようなケースはいくらでもありますよね。
ですからよく話し合ってそれで最後の最後の手段と考えた方がいいと思います。
こういった機会になぜ長くなってしまうのかとかどうしたら短くできるのかとかそういった事をよく話し合う機会にする事が大切なんですね。
そしてネットに関してはトラブルに巻き込まれるのではないかと親は心配しているところもあると思うんですがそういう事も伝えた方がいいんでしょうか?大事だと思います。
ネットは非常に便利なんですがトラブルに巻き込まれる事もいくらでもありますよね。
例えばネットで交際を始めてそれで犯罪に巻き込まれる事もあるでしょうし自分の大事な個人情報が失われていくあるいは表に出てくるようなリスクもあるでしょうからその辺をしっかり伝えてほしいと思います。
購入前にそういった事を伝える事も大事なんですね。
既に依存が疑われるというケースに関してはどう対応していけばいいですか?まず使用時間について話し合う事です。
それでやっぱり減らすべきなのでどれだけ減らせるかという事を話し合うんですがその時に親が押しつけるのではなくて子どもたちの意見を聞く事が大事です。
このくらいなら減らせるよという事ですね。
子どもに決めさせるという事ですね。
でも子どもに決めさせると「じゃあ30分だけ減らそう」とか「1時間だけ減らそう」とかちょっと親が期待してたよりまだずっと長くするのかなという時間になってしまいますよね。
最初はそれでも結構なんです。
少しでも減らそうという姿勢があればそれを多いに褒めてやる事が大事だと思います。
じゃあ1時間でも30分でも短くなればいいという…。
まずそれから始めたらどうでしょう。
そして記録をつける。
目標を立てたらこの目標が守られているかどうかという事を記録につけてもらうように子どもに勧める事が大事です。
簡単なもので結構です。
目標が達成できれば○。
できなければ×。
それだけで結構だと思います。
そんなシンプルなものでもまず子どもにつけてもらうように勧めるという事なんですね。
そして楽しい時間を提案するネット以外でという事ですね。
これもすごく大事な事でしてネット以外の現実の世界の中で楽しいものってあるはずなんですよ。
それをする事によってネットの時間が自動的に減ると。
そういう事です。
例えばサイクリングでも結構ですしそれから運動でも結構ですしあるいはお父さんお母さんと一緒に料理を作る。
そんな事でも結構です。
学校によってはバイトをしてもいい所もあると思うんですがそういう場合にはアルバイトをするなんていうのも有効ですよね。
こういうネット以外の楽しみを見つける事の効果っていうのは大きいんですか?大きいですね。
時間を減らすという議論は不毛に終わる事が多いんですが楽しい時間を作れば自動的に減っていきますのでこれは是非考えて頂きたいと思います。
ご両親が一番知ってると思います。
何が楽しいのかという事をよく探る事が大切なんですね。
またこういった対応はやはり家族が同じ対応をしていく事が大切なんでしょうね。
例えばお母さんは「駄目だよ」と言ってお父さんは「少しぐらいいいじゃないか」と言うと子どもさんの方はどうしても「少しでもいいじゃないか」という方に行きますのでやっぱりお父さんお母さんで同じ対応をして頂きたいと思います。
それからもう一つ付け加えるとこういうふうな事は私どもの病院の治療の一環としてやっていますので有効だと思います。
治療としてもこういった事が行われているという事なんですね。
是非家庭でもこういった対応を心掛けていきたいと思います。
でも家族だけではなかなか対応し切れない場合もあると思うんですがどうしたらいいですか?是非その場合には第三者に力を貸して頂くといいと思います。
まずは学校の先生やスクールカウンセラーに相談する。
これがまず第一ですね。
それから昨今インターネットの依存を診るような医療機関も少しずつ増えてきてますから医療機関を受診するのも大事です。
場合によっては小児科の先生も診てくれる事もあります。
精神科または小児科で診てくれる所もあるんですね。
こういったネット依存症の専門的な治療を行っている所はどうやって探せばいいですか?都道府県政令指定都市に最低1つ精神保健福祉センターがございますがここに相談すると大体教えてくれると思います。
ではそういう所で探してみるという事ですね。
そのほかにできる事は何かあるでしょうか?現在ネット依存の対策は自治体とか学校なんかでも乗り出しています。
例えばある自治体では夜9時になったらスマートフォンをお父さんお母さんに返そうという事を子どもたちに申し合わせたりしています。
大事な事は地域全体学校全体で同じ取り組みをしていくのが大事ですね。
地域全体で取り組むといいですね。
それから韓国で成果を上げているプログラムにネット依存傾向にある子どもたちに対して自然体験とか宿泊体験をするようなキャンプがあるんです。
このキャンプを我が国でも今年の8月から試行的に始める事が分かっています。
そういった取り組みも始まっているという事ですね。
今日は子どものネット依存という事でいろいろお話をお伺いしてきましたがやはり親がきちんと対応していく事が子どものネット依存から脱していくための大きなカギになりそうですね。
ネット依存の子どもさんたちは自分の依存を隠そうとします。
しかしそこには大きな問題がある訳です。
やっぱりこういうふうな問題から引き出してあげられるのはご両親家族しかないんですね。
是非少しでもネット依存のサインがあるようであれば疑って家族は速やかに行動を起こして相談なり治療なりあるいは家族でできる事をスタートしたらいいと思います。
やはりネット依存は子どもの将来に関わる事だという事ですね。
とても大事な事だと思います。
早めの対応が大切なんですね。
今日はお話どうもありがとうございました。
2015/01/05(月) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 メディカルジャーナル「子どものネット依存症」[解][字]
ネット依存が強く疑われる中高生は推計52万人。子どもがネットに触れる時間が増える冬休み。日本初のネット依存症専門外来の医師を迎え、親はどう対処すべきか聞く。
詳細情報
番組内容
ネット依存が強く疑われる中高生は推計52万人。パソコン・スマホ・ゲーム機などでオンラインゲーム・チャット・SNSをやり続けて昼夜が逆転、学校に行けなくなったり、成績が落ちて進学できなくなったりする。しかも睡眠障害・著しい体力の低下・栄養不足など健康にも問題が生じている。子どもがネットに触れる時間が増える冬休み。日本初のネット依存症専門外来の担当医師を迎え、親はどう対処すべきか、詳しく聞く。
出演者
【講師】国立病院機構久里浜医療センター院長…樋口進,【キャスター】久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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