サイエンスZERO「実現するか?宇宙エレベーター」 2015.01.04


ここは未来の赤道直下。
海に浮かぶ施設に家族連れがやって来ました。
その目的はなんと…乗り込むのは変わった形をしたロケット。
…ではなくケーブルを伝って昇っていく宇宙エレベーターという未来の乗り物なんです!時速200キロで上昇。
目的地は…国際宇宙ステーションと同じくらいです。
眼下に雄大な地球の姿が広がります。
なんと2050年にはこんなに気軽に宇宙に行けるというのです。
構想では10年後には工事が始まり工期は25年。
総建設費10兆円の大事業です。
こんな壮大な構想を発表したのはこちらのタワーを造った日本の建設会社!本当にこんなものを造れるのか!?宇宙エレベーター実現の可能性に迫ります!いやエレベーターで宇宙に行けるとしたらすごいですよね。
これだったら訓練しなくても誰でも宇宙に行かれる。
気軽に行けるんですね。
いいですよね。
さあスタジオは2050年の赤道付近を再現しました。
あちらに見えるのがアース・ポート。
宇宙エレベーターの出発地点です。
2050年っていうと35年後ですよね。
私60歳ぐらいかな。
行けるかな。
もうちょっと僕の場合は早く造ってほしいなと思いますけどね。
そうですね。
ある試算によりますと…お〜!めっちゃ安いですね。
だいぶ安いですね。
この宇宙エレベーターの構想自体は結構昔からあったんですね。
SFの世界では有名だったんですよ。
最初にこれを言いだしたのはロシアの科学者…彼はこう言いました。
これが1889年ちょうどエッフェル塔が造られた頃ですよ。
だけどそんな事できるんですかね?でも宇宙エレベーター塔みたいな感じじゃなかったですよね?宇宙エレベーターっていうのは普通のエレベーターとはちょっと違うんです。
これ箱があってそこに車輪がついてます。
その車輪でケーブルを挟んで上に上がっていくんですよ。
だから言うなれば天空へ昇るモノレールみたいな感じなんですね。
なるほど。
だけど…実は地球と宇宙とをつなぐ目からウロコの方法があったんです。
では手始めにロケットを使う方法を考えましょう。
地上から見ると真上に上がっているように見えますが実はロケットは地球を回りながら上昇しているんです。
これではケーブルが地球に巻きついて大変です。
次にケーブルを上からおろす方法ならどうでしょうか?高度400キロを周回する国際宇宙ステーションからケーブルをおろしたとすると…。
実は国際宇宙ステーションは1秒間に8キロも移動しています。
ケーブルがそんな超高速で地面を走ったら大混乱!どうすればよいのでしょうか?その答えを出したのが…ソビエトの科学者です。
アルツターノフが目をつけたのが高度3万6,000キロの…実は衛星が周回するスピードは高度で決まります。
400キロでは秒速8キロ。
一日に地球を16周します。
高度が上がると遅くなり1万キロになると地球を一日4周。
3万6,000キロになると地球を一日1周。
これが静止軌道です。
地球の自転と同じ速さで回るため静止軌道では地上からはいつも同じ位置で止まっているように見えるのです。
アルツターノフはこの静止軌道からケーブルをおろせば地球と宇宙を安全に結ぶ事ができるはずだと考えその方法を1960年に発表しました。
そして1979年イギリスのSF作家アーサー・C・クラークはアルツターノフの考えを基に宇宙エレベーターをテーマにした小説を発表します。
宇宙エレベーターの建設に奮闘する技術者を描いた物語です。
これをきっかけに宇宙エレベーターは広く知られるようになりました。
そしてクラークはこう予言します。
この静止軌道からケーブルを張るっていう方法なら何か実現できそうな気がしてきました。
気象衛星とか衛星放送の衛星があるのが静止軌道なんですね。
地上から見ていつも同じ場所にありますので地球と宇宙とを安全に結ぶ事ができるという訳なんです。
さあここで専門家をお招きしましょう。
宇宙エレベーターの建設構想を発表された建設会社の石川洋二さんです。
すごい構想ですね。
はい。
今回の構想を発表したのが2012年なんです。
これは私たちの会社が東京スカイツリーを完成した年なんです。
我々これで終わるんじゃなくてこの先を目指すんだぞと。
そういう高みへの意気込みを示すためだったんです。
こんなに包括的なまとまった構想で具体的な工程を示したのは世界で初めてだと思っています。
だけど静止軌道の3万6,000キロからそんなに長くケーブルを張れるものなんですか?私たちの構想では3万6,000キロメートルではなくて…10万キロですか?すごい。
更に長くなるんですか?10万キロってちょっともう想像つかないですね。
ちょっとこちらを見て頂きたいんですが例えば地球の直径を1.3メートルとします。
すると国際宇宙ステーションまでの高さは4センチなんですが宇宙エレベーターまでの高さは…これ10メートルにもなるんですよ。
すごい長さですねこれは。
ねえどうなんでしょうか。
それでは石川さんたちの構想を基にどのように地球と宇宙とを結ぶのか見てみましょう。
工事ではまず建設用の宇宙船をロケットで静止軌道に送り込みます。
そしてケーブルを下に垂らしていきます。
ところが下に垂らすだけでは垂らしたケーブルに重力が作用し静止軌道から落ちてしまいます。
そこで反対側にもケーブルをのばします。
これでバランスがとれるのです。
ケーブルが地表に着いた時反対側は9万6,000キロ先になるのです。
しかし実際にケーブルを張るとなると簡単にはいきません。
静岡大学の山極芳樹さんのシミュレーションがその事を示しています。
地球を周回する速度の影響を受けてケーブルは素直にはおりていかないのです。
ケーブルは真下ではなく横に流されながら落ちていく事が分かったのです。
放出されたケーブルが横に流されると先端にある推進器がエンジンを吹かして軌道を修正。
時速15キロで地球を目指します。
大気の影響を受けるようになるとバルーンを開いて減速します。
100日ほどで地球に到達し地球表面と宇宙がケーブルで結ばれるのです。
最初に張るケーブルはロケットに積む事ができる重量の関係で十分な強度ではありません。
そこで登場するのが補強用のケーブルを積んだクライマーです。
このクライマーを何台も上昇させながら補強する事で宇宙エレベーターのケーブルが完成します。
ただ単純にケーブルをおろせばいいというだけじゃないんですね。
この最初のケーブルこれとっても薄いものなんです。
というのはロケットで打ち上げる重量限りがあって20トンなんです。
そこで私たちは…7,000トン!え〜!幅は数センチぐらいですけどね。
そんなテープみたいなものなんです。
このケーブルはどれくらいの期間をかけて張るんですか?私たちの構想では2030年から2050年までケーブルを建設するという工程になっています。
さあここまではケーブルを張る方法を見てきましたが実はケーブルを張る前に解決しなければいけない問題があるんです。
その問題とはエネルギー。
人が乗り込むこのクライマーは電気の力で上昇する想定なのですがどこにエネルギー源があるのでしょうか。
実はバッテリーを積むと重量が増えるので高く昇る事ができません。
そこでクライマーの外からエネルギーを送る必要があるんです。
一体どうやってエネルギーを送るのでしょうか。
NASAから支援を受けてクライマーを上昇させる技術を研究してきたベン・シェルフさんです。
シェルフさんが着目しているのは…光が広がりにくいので距離が離れてもクライマーにエネルギーを送れます。
まずクライマーに太陽光発電パネルを取り付けます。
そして地上からパネルにレーザー光線を当てます。
するとパネルでレーザーが電力に変換されてそれを動力にクライマーが上昇します。
シェルフさんは大学や企業に呼びかけてレーザー光線でクライマーを上昇させる実験を行いました。
ほらクライマーの下にレーザー光線が当たっていますよ。
この大会では1,000メートルも上昇させる事ができました。
しかしこのレーザー光線にも弱点があります。
厚い雲や雨によりレーザー光線が遮断されると電力が作れなくなってしまうんです。
確かに電力の問題って重要ですよね。
電力がないと工事用の機械も動きませんもんね。
あのレーザー光線も発電のパネルも既にかなり確立した技術なんですね。
これ天候に左右されるっていうレーザー光線の弱点ですがこれを克服できるんですか?まあ一つの方法は…晴れてる所から送ればいいじゃないかという考え方があります。
例えばですが…それはすごくいいアイデアですね。
だからクライマーの重量が重くなってしまうという弱点はあります。
ここら辺の技術は確立されたものというか既存のものですよね。
だからちょっとした技術革新があればなんとかね行きそうな感じじゃないですか?そうですね。
ここで一つお伝えしなければいけない問題があるんです。
それはケーブルを造る素材の事なんですね。
ケーブルの素材?はい。
へえ〜。
ああ!例えばつり橋をつっている…うわ〜まだまだ足りない!う〜んそうなんだ。
今宇宙エレベーターのケーブルの素材として期待されているものがこちら。
黒いですね。
そうそうそうそう。
ちょっと綿のような感じなんですけれどもとても軽いんですよね。
何物だ?正体は…1991年に日本人の科学者が発見したんですね。
炭素の原子が円柱状に結合しています。
ほう。
カーボンナノチューブっていうのは…へえ〜すごい!へえ〜!まだまだちょっとその先が…。
あっそうなんですか。
実はこれね…静岡大学で今この開発が行われているんでちょっとその写真をご覧下さい。
炭素の結晶を上の方にず〜っと成長させていくんですね。
現在この研究室では4.5ミリまで長くなりました。
あれ?4.5ミリ…。
それで世界でも大体ね2センチぐらいまでしか長くできないんですよ。
え〜!そうなんですね。
あ〜。
カーボンナノチューブというのは電気をよく通す軽いという事で材料としては非常に期待されていて現在携帯電話の電池とか液晶パネルなんかに使われ始めているんですよ。
でも4.5ミリを10万キロっていうのはやっぱり難しいんですかね。
ただ「必要は発明の母」っていうじゃないですか。
ああ。
例えば青色発光ダイオードは20世紀中には無理だっていわれてたんですよ。
え〜!あれも青色を作ってしまえば応用範囲が一気に広がるぞという事で実現できた。
だから必要だったらば誰か作ってくれるんじゃないかなと。
わあ!できるかもしれない。
ただやっぱり宇宙エレベーターを人類は造ろうと決めたら絶対これ何かします。
カーボンナノチューブのケーブルが出来たらほかの事にも使えそうですよね。
もちろんです。
例えばつり橋のワイヤーに使ったりあるいは将来航空機や宇宙機の機体にも使える材料だと思っています。
どんどん普及していけばコストも安くなっていくし宇宙エレベーターが出来る頃にはひょっとしたらもう身近にある材料になってるかもしれませんね。
では数々の技術的な困難を乗り越えたとして静止軌道まで上がってみましょう。
お〜!景色が変わって…着きましたね。
お〜地球が!ああやっぱ丸いんですね地球って。
全然イメージと違いますよね。
うん。
国際宇宙ステーションからだと地球にちょっとはりついた感じですけどもう完全に地球が球形になって見えるっていう。
感動的!これ見てみたいなあ。
見てみたい!ありがとうございます。
今は静止軌道まで一瞬で来ましたけど実際は何日ぐらいで来られるんですか?私たちが考えているのは時速200キロメートルで昇っていく事を考えています。
そうするとおよそ1週間ぐらいで静止軌道まで着きます。
何よりも宇宙エレベーター経済的なんですね。
静止軌道まで行くのにロケットを使うと1キログラム当たり輸送コストが…へえ〜。
更に宇宙エレベーターの可能性はこんなところにまで広がっています。
ロケットより経済的な乗り物として注目を集める宇宙エレベーター。
実現すれば宇宙開発が飛躍的に進むと期待されています。
宇宙エレベーター時代にその拠点となるのが静止軌道ステーション。
ここは重力と遠心力が釣り合うために無重力状態。
その無重力を生かしたさまざまな研究が行われるはずです。
巨大なソーラーパネルも設置されエネルギーを供給します。
では更に遠くに行ってみましょう。
高度5万7,000キロにあるのは火星連絡ゲート。
この位置から宇宙船を切り離すとそのまま火星までたどりつけます。
ここは地球から離れた分静止軌道の1.5倍の速度で回っています。
しかし本来この高度で衛星が回る時は静止軌道より遅くなります。
この速度差が鍵です。
ハンマー投げのように切り離すだけで宇宙船も遠くに行く事ができるのです。
高度9万6,000キロが宇宙エレベーターの終点です。
この位置は火星連絡ゲートよりも速い速度で回転しています。
そのためここから宇宙船を切り離すと火星よりも遠くに行く事ができるんです。
切り離された宇宙船はこのスピードを利用して木星や小惑星を目指します。
へえ〜。
あの回転のスピードを利用してるんですね。
つまりこういう事ですよね。
赤道上にある宇宙エレベーターというのはグルグル回ってると。
という事は…ねえ。
分かりやすい。
地上から見ていると止まっているように見えるけど実際は自転と一緒に回ってるんですもんね。
これ宇宙エレベーター1基造ると資材をたくさん宇宙に運べます。
そうすると…そして1基造ると次の2基目はそれを利用して造る事ができるので安い費用で造れるんですね。
そうやって恐らく宇宙エレベーター5基も6基も造られるようになると思っています。
更に地球だけに造るものではなくて…そっか。
そうすれば地球から月に行ったり地球から火星に行ったりするのに両方で簡単になるんです。
私たち地球の中の材料しか使ってないんですけれども…本当に人間の生活圏までも広がりそうな気がしますよね。
国際宇宙ステーションから衛星が放出されます。
1辺10センチの正方形の衛星が2つくっついているんですね。
まずは太陽光発電パネルが開きます。
そして2つが徐々に離れるとともにこのようにケーブルがのびていくという訳なんです。
静岡大学が提案してる実験なんですけど私たちも参加しています。
このケーブル強い合成繊維で出来ていて100メートルの長さなんですけれども…この成果を利用して…ケーブルの振る舞いっていうのは実際に実験してみないとやっぱり分かんないもんなんですか?宇宙空間にのびる10万キロのケーブルとてつもなく長いんですよ。
例えば…いきなり宇宙エレベーターの長さで実験する訳にいかないので。
そうですね。
まず短い100メートルからだんだん積み上げていこうという考えなんです。
今までなかったものですもんね。
そうですよね。
ずばり2050年に宇宙エレベーター完成しますか?はい。
できない可能性もないとは言えないんですけれどもこういう夢のある構想というのはやっぱり…私乗ってみたいなと思いました。
もうずっとワクワクして生きていけそうな気がします本当に。
楽しみです。
僕は個人的にもうちょっと開発期間を前倒しにしてもらってやっぱり20年ぐらいでなんとか造ってほしいなと。
そうすれば乗る事ができるんで。
そうですね。
乗りたい。
石川さんどうもありがとうございました。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに!2015/01/04(日) 23:30〜00:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「実現するか?宇宙エレベーター」[字]

高度3万6千キロの静止軌道から地表にケーブルを下ろす宇宙エレベーター。日本の建設会社が2050年に実現可能だと構想を発表しましたが、本当に実現可能なのか?

詳細情報
番組内容
2050年にはエレベーターで宇宙に行ける!?日本の建設会社が「宇宙エレベーター」建設の構想を発表しました。理論的には1960年に唱えられていたもので、高度3万6千キロの静止軌道からケーブルをおろすことで、宇宙と地球表面を結ぶことができるのです。しかし、その実現にはいくつもの技術的ブレイクスルーが必要だといいます。本当に実現可能なのか、実現したら宇宙がどれだけ身近になるのか、徹底的に解説します。
出演者
【ゲスト】宇宙エレベーター実用研究開発チーム…石川洋二,【司会】南沢奈央,竹内薫,【キャスター】江崎史恵,【語り】中山準之助

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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