朝の訪れが一年で最も遅いこの時期。
年の瀬を迎えた京都・大原。
冷えきった空気が川に霧を作り里に幻想的な風景が広がる。
枝に残ったカキもあと僅か。
落ちたカキは山からやって来る猿たちのごちそうになる。
大原の師走は静かな時を刻む。
築100年の古民家の庭は一休み。
雪が降り出すまでの彩りはハボタンやプリムラ。
友人からもらったカリンを使ってカリン酒を造るベニシアさん。
(ベニシア)毎年造ってるんですけど私よくせきが出るのね。
気管支がちょっと弱い。
カリン酒はホントにせきのためにすごくいい酒になる。
これがきれいでしょ?何かハートみたいでしょ?何か不思議やね。
種は小さなハートの形。
見ているだけで幸せな気持ちになる。
このままでも入れたらきれいやね。
刻んだカリンを氷砂糖と交互に瓶に入れていく。
あとお酒。
いっぱいになったらホワイトリカーを入れる。
仕上げにもう一手間。
今年ちょっとレモングラス入れようかなと思ったのね。
この中に入れたらこれ合うん違うかなと思って。
レモングラスも風邪薬ですから。
ちょうど…OK。
夏ぐらいこれピンクの色になってそれでだんだんちょっと茶色っぽくなるけどそんでそのフルーツを外して飲みます。
爽やかな香りのカリン酒は喉や風邪によい。
来年の出来上がりが待ち遠しい。
寒い冬は庭仕事も一休み。
でも日ざしのある時は春の準備に余念がないベニシアさん。
植木鉢を洗うのは庭が休みの時期の大切な仕事。
冬前にこういう事しないとばい菌が残るよね。
そのばい菌入ったら来年何か植えた時その根っこが駄目になる可能性あるから。
まあこのぐらいかな。
外はちょっと渋い感じがする。
今度これ。
この間見つけたんやけど日本で見つけた。
これ懐かしいなと思ってこれはちょうどこういうポンっと入れる大きさに出来てるのね。
ベニシアさん故郷のイギリスでよく使っていたという鉢にぴったりのハリネズミのようなタワシを手に入れた。
寒い冬の水仕事も楽しめるようにお気に入りの道具を用意する。
OK。
これがベニシア流。
煮込み料理に欠かせないベイリーフを使ってアイルランド風のシチューを作る。
ベニシア流のアイリッシュシチューを作ろうと思ってます。
私のお母さんが私が19歳の時アイルランドの方引っ越してその時初めてアイリッシュシチュー食べたんですけど何かすごいシンプルな味ですけどおいしいと思ってあれから作ってます。
冬の間に温かくなりたいっていうかおでんみたいなものですね。
一番最初は肉を切ります。
ブロックベーコンを大きめに切る。
肉入れて次はジャガイモ。
結構大きい塊の方がおいしい。
これは4つに。
ベーコンジャガイモタマネギを入れて20分ほど煮込む。
最後大原のニンジン。
フフフフッ。
勝手に入った。
じゃあちょっとアク取らないといけないね。
何かこのアクを水に入れるのは日本人の知恵ですね。
すごくやりやすい。
はいそしたらニンジン入れます。
そんで塩コショウ。
これは大麦。
大麦を入れる。
これベニシアさんのオリジナル。
でベイリーフ。
シチューとかスープに入れるハーブでどんな国の人でもハーブの事知らなくてもベイリーフぐらいは使ってると思うのね。
だけどあんまり古いベイリーフ使ったら香りがあまりないんだけどちょっとだけ干して入れる方が香りが出る。
で隠し味は砂糖。
キャベツは最後の5分ぐらいで入れます。
更に15分ほど煮込む。
あっいい感じ。
ちょっと味見。
塩が足りるかどうか。
ちょっとだけかな。
最後にギュウギュウになるけどキャベツ入れるのね。
あと閉めてもうちょっと5分か7分ぐらいキャベツが軟らかくなったらもう出来上がり。
仕上げにパセリを振ればベイリーフのスパイシーな香りが食欲をそそるアイリッシュシチューが完成。
これで大原の寒い冬を乗り切る。
もうすぐお正月。
新年を迎える準備をするベニシアさん。
部屋の飾りもクリスマスからお正月に模様替えをした。
長く使うためには手入れが大切。
漆の重箱をツバキ油で丁寧に磨く。
いや〜でもすごいね。
輝くんやね木が。
日本はホントにシンプルなもので木の箱の上に漆を何回も塗ってそしてホントに輝いてるのね。
誰が最初考えたのか分からないけどアジアの…中国でもみんなそのラッカー…漆を使ってこういういろんなものを作ってますね。
でも何か全部自然の材料でう〜んそれでこの描いた人がすごいねこれ。
これは細かいと思う。
いや〜何かホント宝物かもしれない。
ベニシアさんイギリスから日本に来て漆の器を使うようになるとあっという間に魅了された。
漆の深い色と滑らかな質感にほかにはない輝きを感じている。
お正月に使う漆器を買いに大阪に住む友人を訪ねたベニシアさん。
こんにちは〜。
(源太)あっベニシア。
源太さん久しぶり。
漆芸家の林源太さんはかつてベニシアさんの英会話学校の生徒だった。
ここに自宅兼工房を構えている。
ここ住んでるの?あっええ。
造ったっていうか自分でちょっと大工仕事で…。
自分でやったの?自分でやりました。
でも面白い。
ちょっと変わってるから…。
でも空間が上に高いから気持ちいい。
ここは何ですか?この…。
2階…展示場で1階…。
じゃあいろんな作品がある。
源太さんの工房を訪ねるのは初めて。
期待に胸が膨らむ。
ええ〜すごい。
これ全部源太さんの作品?はい。
ギャラリーには源太さんの作品が100点以上並ぶ。
朱や黒が美しい見慣れた器もあるが中には独特の色合いや特徴的な形をしたものもある。
これはすごい。
あれかな?おとそのためかな?それか酒のため。
いろんなパーツを組み合わして作ったやつです。
真ん中は木ですね。
真ん中は…はいこれは木でやってます。
これ「スワン」っていうタイトルにして…。
ああ〜「スワン」?はい。
白鳥をイメージして作った酒器。
こうした一点物は源太さんならではの作品だ。
木を削って形を作るところから繰り返し漆を塗るところまで通常は分業制の作業を全て一人で行う。
中には制作期間が数年に及ぶものもある。
三日月をかたどった酒器は構想から完成まで2年を要した力作だという。
1年間ずっと漆を塗ってる作品もあるらしいけどホント?やっぱり1年ぐらい塗ったり研いだり塗ったり…。
あるの?そういうのはありますね。
すごいな。
だからすごい忍耐あるでしょ?ああ〜もう好きじゃないと絶対できないです。
へえ〜。
やっぱりゆっくりしていい物が出るっていう感じかな。
地に足着けてゆっくりやらないと急ぐと失敗しますね。
これはすごい。
これはおわんとか…。
「手間ひまかけた漆の器を一人でも多くの人に使ってほしい」源太さんは言う。
源太さんの作品作りは木を削る事から始まる。
木工の技術は自己流だから職人さんに比べたらまだまだと謙遜する源太さん。
でもどうしても自分でやりたかった。
普通漆塗りの人は木工とかしないんですけど何か自分でこれが作りたいって思ったら木工できないと自分の思った事ができないなと思ったのが木工をやるきっかけになったんですけど時間を惜しまないっていうか割と作るんが好きなんですね。
昔から何でも自分で手作りしてしまう性分だという源太さん。
もともと実家の工場だったここも自分で改装して工房にした。
作業がはかどるように道具を改良するのは日常茶飯事。
自分の手で物を作る事は源太さんにとって特別な事ではなくごく自然な事だった。
大阪で生まれ育った源太さんは物心付いた頃からブロック遊びや工作が大好きな少年だった。
京都の芸術大学で大学院まで漆の技法を学んだ。
卒業後は独学で毎日漆と格闘する日々。
初めはちょっと奇をてらったものばかり作った。
その後朱や黒のシンプルな美しさを追い求めた。
今はそのどちらでもないという。
基本的な塗りをして器とかを基本に作ってきたんですけど何かやっぱり自分しかできないものをもっとやっていきたいなって思うと今ある自分の表現が派手さがちょっと無くなってきて枯れた味わいっていうかそういうのがちょっと出せるようになってきたというか。
自分なりのやり方で漆の魅力を伝えようと源太さんが今取り組んでいるのは漆に金属粉などを混ぜて塗る変塗という技法。
職人さんにしたら邪道かもしれないけど何か素材としてすごい面白いなと思ってそれでこういうやり方を発見したというかそうなってしまったというか。
混ぜるものや分量は試行錯誤を繰り返した。
スズの粉などで陶器のような質感を出した燻銀塗は自信作だ。
実は変塗は江戸時代から伝わる技。
金属で色を変え豆腐を混ぜて粘りを出すなど源太さんは古くから伝わる技を改良し新しい表現を模索してきた。
ただ朱とか黒とかじゃなくて表現手段としてもうすごい千も万もものすごいたくさんいろんなレパートリーが出来るなと思ったんでこれを研究したんですけど変塗を生かした全く見た事もない自分でも予期せぬものを作っていきたいなと思ってます。
これ微塵貝。
メキシコアワビの粉なんですけど細かい粉を撒いて特に水を入れた時とかお酒入れた時の輝きがすごくきれいです。
仕上げに貝殻の粉を撒く。
千変万化の漆塗りに命を吹き込む瞬間。
ただ派手なだけではない。
使う人の楽しみになる細工を施す。
塗り終わった漆器は特製の乾燥機で乾かす。
重力でムラが出来てしまう漆の特性に合わせて3分ごとに回転する源太さんお手製。
このまま5日間じっくりと乾燥させる。
源太さんが理想とする黒とも茶色ともいえない独特の色と質感のおちょこが完成した。
ベニシアさんもおちょこを買い足す事にした。
源太さんは毎日の暮らしの中で手になじむもののよさを感じてもらいたいという。
お酒とかを入れると浮き立ってきれいですね。
あっそう。
これも面白いですよ。
これを入れると…。
あっホントだ。
何か輝く。
はい。
金属の輝きと貝の輝き。
…が混ぜて?はい。
これ飲んでもいいですか?アハハハハッお水ですけど。
いいです。
う〜んホント輝いてるね。
へえ〜不思議な感じやね。
源太さん漆の器の意外な使い方を発見した。
毎日牛乳を加えて作る自家製のヨーグルトだ。
変な雑菌とかないから割とねず〜っと失敗する事なしに作れてるんですよ。
へえ〜。
是非ね漆のスプーンで食べてほしいと思って。
はい。
漆のスプーンでヨーグルトを食べてみる。
何て言うかな…スムーズに入るというか何か。
おいしい。
唇の感じもすごくスムーズよね。
そうそうそうそうそう。
漆のよさってね何かこうほかの塗料では出し切れない人のぬくもりと漆のぬくもりとが一緒っていうかね。
お酒とかでも口に触れたその瞬間とかそういうのがいいかなとは思いますね。
誰かが作ったものを買ったら何か全然違うね意識が。
何か友達が作ったものが一番いい。
それはまたその友達も思い出すでしょ?ああ〜はいはいはい。
あるでしょ?それはあります。
ねえ。
漆のある暮らしはぬくもりのある暮らし。
漆器は使ってこそよさが分かる。
冬の間ショウガやハチミツを加えたオリジナルのおとそをよく飲むというベニシアさん。
源太さんの作った漆の杯で頂く。
何か一年の始まりは昔からこういう飲み物飲んで元気になりますみたいな感じで…。
全部ハーブで作ってるから私はおとそが好きで何か元気になりたい。
これからも手作りの暮らしを続けていきたい。
新たな年に思いをはせる。
2015/01/04(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「新年を迎える」[字]
寒さが一段と増す年の瀬の京都・大原。ベニシアさん、この時期は春の庭の準備をする。特製カリン酒とアイリッシュシチュー作り。友人の漆芸家を訪ね、おとそ用の杯を買う。
詳細情報
番組内容
年の瀬が近づくにつれ、一段と寒さが増す京都の大原。ベニシアさんは、この時期、春に向けて庭の準備をする。素焼きの鉢を専用のタワシで入念に洗う。知り合いから分けてもらったカリンとレモングラスを使った特製カリン酒や、子どものころによく食べた思い出のアイリッシュシチューをつくる。友人の漆芸家・林源太さんの工房を訪ね、酒器を買う。静寂に包まれた古民家の朝、おとそを飲みながら、庭が華やぐ季節に思いをはせる。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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