新年明けましておめでとうございます。
「NHK短歌」本年もどうぞよろしくお願い致します。
第一週の選者小島ゆかりさんでございますがさて今日は冒頭の歌はどういう歌でしょう?まだ何も書かれていない予定の書いていない新品の手帳は白樺の木立ですがやがてやがて雑木林になってしまう。
それもまたいいかなという。
いろいろ予定書き込んだりしてね。
書き込むものが何もないというのもつらいですけどね。
う〜ん…いろんな事を考える歌でございます。
さて今日お迎えしましたゲストをご紹介致します。
書道家の武田双雲さんです。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願いします。
光栄でございます。
武田さんはご存じでしょう。
NHK大河ドラマ「天地人」の題字制作思い出す方いらっしゃるでしょう。
書でのご活躍はもちろんたくさんのご著書があるんですが最近はこちらです。
「書く力」ポジティブに生きるためのヒントとありますがどういう意味合いの歌でしょう?書道家として書いていると人類だけが書くという行為を覚えたと思うんですけど頭の中にあるものが書くと実現するというか世界を作ってる感じにまでなるというか幸せになりやすいと思って…。
だから幸せな言葉を書くとその幸福度というものがリアルに立ち上ってくるというかもっとみんな書いた方が…。
短歌をいっぱい書いた方が絶対人生は豊かになると思いますね。
そういう事をつらつらと書く力という事に関して書いていると。
もちろん拝見しましたけどびっくりしたのは書く力とか書く喜びとかというのを歌を作る詠む力とか歌を詠む喜びに変えるとそっくりそのままです。
やっぱり人生が何かそこを中心にして違ってくるんですね。
新しい喜びをたくさん見つけられる。
武田さんのブログを拝見してますと読者の方から短歌を募集しておられますよね。
書道っていうと字をうまく書く事ばかりに意識が行きすぎてもともと書道って水墨画もそうだし書道も歌も実は分かれてなかったんですね。
やっぱり書道の目的は字がうまくなるためとかではなく人生の喜びや感動や悲しさも含めて表現する事だからそういう意味で言うと書道家として短歌を募集する事で書と短歌を…短歌を活用して書の魅力が更にアップすると。
さあその武田さんが短歌にどんなイメージをお持ちなのか短い言葉にして頂きました。
お見せ頂きましょう。
もちろん武田双雲さんの書でございます。
ご紹介下さい。
短歌とは「新しめがね」である。
めがね…新しいめがね。
ハートがここに。
ここ重要ですね。
さあどういう意味合いなんでしょう?後ほどこのお話をどうぞゆっくりとお聞かせ下さい。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
さあ今週の入選歌にまいりましょう。
テーマは「形」または自由でございました。
小島ゆかり選入選九首です。
一首目。
画布は正方形であったり長方形であったりすると思うんですが方形という形がなぜかこの断崖を際立たせるんですね。
その事にこの歌気が付いているってすごいと思います。
それによって男と女も何だか非常に危ういエロスのところに立っている感じがするんですね。
クリムトの絵を見てみましょう。
これは「接吻」という有名な絵だと思いますがこれ断崖だってご存じでした?この足元ね…これは気が付かなかった。
断崖の上の男女なんだ。
危ないんですよ〜。
うわ〜怖いですね。
それでは次の歌にまいります。
二首目です。
さあ武田さん伺いましょう。
書道ワークショップとかで絵を描く授業をやるんですよ。
円とかって一番簡単なはずなのに最も難しいわけですよね。
体術も必要だししかもつなぎ目のない円描いてますからびん底先生…あっ違う違うコンパス先生の円にあまりにも感動したんでしょうねこの人は。
だから授業どころじゃなくなっちゃってそういう意味では僕と似てて感動屋だからなんて美しいんだこの円はって思ってるその感性に僕はぐっときました。
授業の内容は頭に入らなかったです。
だからこそ「コンパス先生」っていうあだ名が付いたんじゃないですか。
またその先生がびん底眼鏡をかけてらっしゃるというのが実に人間的な懐かしさを伝えてますよね。
では三首目にまいりましょう。
大変切ない歌ですね。
入院なさる時は多分靴を履いておられた。
あるいは持っていかれたと思うんですがその靴が必要なくなってしまったという事ですよね。
「靴」というものを通して1人の方の生と死というものを鮮やかに表現された。
しかも淡々と表現された。
それがいいと思いました。
四首目です。
武田さんどう読まれましたか?「やりすごしたきものは何」という言葉の響きがまずかっこいいなと思ったんですよね。
インパクトがボンときて。
「何」というわけで問うたわけでよく分からない句にしたわけです。
最後に「ゆく」という強い言葉があるのは僕「般若心経」が大好きなんですけれども「般若心経」って「無」とか「不」がいっぱい出てくるんですよね。
「無無明」とかね。
全てフワフワにしていくというかプラスとかマイナスも全てなくしていって「無」に変えていきながら最後は「羯締羯締」で「行くがよい」という言葉になるんですけどそういう意味ではやっぱり森羅万象あらゆるものには意味はないんだけども人間の感情としてやっぱり付けたくなるわけです。
そこで行けという決意があるところにいきなりフワフワきて最後にドンっていくところが「般若心経」的だなと。
すごい斬新な鑑賞で驚いちゃうんですが付け加えると「少年は」という言葉を中心にして上の句と下の句にリズムも流線型を成しているんですね。
少年の初々しい憂いの事をこの流線型のヘルメットで非常にうまく表現したと思います。
では次にまいりましょう。
五首目です。
初めてお化粧する時ご本人はうれしくてときめくんですね。
でも親御さんや大人たちというのはちょっと寂しくときめくんですね。
眉の形がカモメでそしてカモメだから飛び去る形なんですがそれはまたね大人の世界へちょっと飛び去るようなイメージもあるかと思います。
少し子供が飛び去る寂しさを感じる事もあるわけなんですね。
六首目です。
とってもゆったりした広々とした空間が見えてきますね。
ふるさとの思い出を詠もうとするとなぜかいつも夏の歌になってしまうというねいかにも神話時代からある紀ノ国らしい海も山も空もみんな青い濃い青さですよね。
大変いい歌だと思いました。
次が七首目です。
武田さんどう読まれましたか?これ勝手な僕の解釈なんですけれども小さな石というところがちっぽけな自分と思える。
僕も思春期の時って何回も自分てなんて小さい男だろうと思って体は大きいですよ。
かなり大きいですよね。
190近いがたいなんですけど肝っ玉がちっちゃいわけです。
自分のちっちゃさにうちひしがれがれる事があるんですけれどもこの歌は「小さな石」と言いつつそれを受け入れて前に進むぞという決意みたいのが見えるのですがすがしいですね。
いい鑑賞ですよね。
この作者は実は十代高校生の作者なんです。
自由題の歌として採りました。
いろんなふうに鑑賞できると思いますけれども石も自分も含めて何かこの世の存在に対する謎ですねこの世の謎に対するまなざしがとても魅力的であると思いました。
さあ次の歌です。
八首目です。
これも武田さん伺いましょう。
「船」とか「あまたの波形」と言ったら地球規模の大きさ。
大海原ですよね。
大海原かと思いきや突然出てくる「コインランドリー」と。
引いてアップみたいな何ていうかないきなり近づく感じが僕は好きですね。
ものの見方がとても新鮮ですよね。
多分「太陽」というのはコインランドリーのお店の名前ではないかと思うんですがお店自体を船に例えてそして中の洗濯機や乾燥機が回ってる。
そこにシュワ〜ッて回ってる。
あれを船窓に見立ててるんですね。
しぶきが上がってるの随分ありますから奔走の「奔る」という字を使っていてね。
すごい人ですね。
とっても面白いと思いますね。
コインランドリーを眺めてそんなふうな短歌が出てきたらなんて風流な…。
人生楽しみ上手!そうですね。
待ってたんでしょうねコインランドリーで。
通られてそこをのぞいたのかもしれないですね。
では次です。
九首目です。
これは雪の積もる日ですから体育館の中の空気がすがすがしくそして冷たい。
更に雪の香りがしたんじゃないかと思うんですね。
そんな静寂の中にちょっと床より高い位置中空に吊り輪の少年の姿がすっと見えてくるんですね。
本当に少年の形美しとそのもののように歌も形の美しい歌だと思いました。
以上入選九首でした。
ではこの中から小島さんの選んだ特選三首の発表です。
まず三席からです。
三席は板坂壽一さんの作品です。
では二席です。
二席は永井真穂さんの作品です。
では一席の発表です。
一席は金子重治さんの作品です。
「形」という題を最もシンプルに生かしてそしてまさに形の美しい歌を作った。
緊張感に満ちた静寂すばらしい一首だと思いました。
以上今週の特選でした。
今日ご紹介しました入選歌とその他佳作の作品はこちら「NHK短歌」テキストに掲載されます。
是非テキストもご覧下さい。
さあそれでは「うた人のことば」です。
いかにも襟足の清潔な美しい少女が僕の前に立って阿修羅に見入っている。
あの顔を見ていると特攻隊長で突っ込んでいって祭られている同級生がいるわけですね。
そういう人たちの顔がこう浮かんでくる。
彼らも生きていたかっただろうという思いで阿修羅を見ている。
その辺りに累々と横たわっている市民の死骸を片づける事に当たったんですけどねガソリンをかけて焼いていくわけですね。
その仕事を5日間やって僕の大隊本部のある茨城県の鉾田中学その校庭へ上がっていったんです。
そしたら桜が満開でその下に立った時にハラハラ桜が散りかかる。
そうすると死体の脂の臭いが死臭がプ〜とこう鼻につき上がってくるんです。
俺は修羅の世界から来たんだと思ってそして桜の花が非常に恐ろしくなってその時僕は直感的に俺は一生桜を美しいなんて思うまいというふうな気持ちになりましたけどね。
さあそれでは「入選への道」のコーナーです。
たくさん頂戴するご投稿歌の中から小島さんが一首取り上げて手を入れられます。
今日の歌はどんな歌でしょう?今日はこの作品です。
大変いい上司ですね。
具体的な場面があって魅力的な作品だと思いましたが着地がちょっと乱れた。
「部下に着衣を」の辺りですねこんなふうにしてみました。
整いましたね。
「着衣手伝ふ」ときましたね。
どうぞ皆さんも歌作りの参考になさって下さい。
さあでは投稿のご案内を致しましょう。
今年は「靴」から始まって最後は「鞄」になります。
そして私の2年の担当の最後のテーマですのでどうか皆さんたくさん投稿なさって下さい。
さて選者のお話「歌を読む楽しみ」今日は「不思議の時空」です。
良寛さんというと皆さん鞠をついて子供と遊ぶというのどかな姿を思い浮かべられると思うんですがなかなか謎の多いドラマチックな人生を送っていらっしゃいます。
とりわけ最晩年貞心尼という大変年の若い方と一緒に暮らしたという事もよく知られています。
その貞心尼との出会いの初めての贈答歌なんですがまず貞心尼の方からあなた様が鞠をつかれるそのついてもついても尽きせないような仏の道にあそばれる事なんですね。
それが尽きせぬ仏の教えなんですねという歌を詠みかけるんですね。
それに対して答えたのがこの歌なんですね。
この「はじまり」は最初のはじまりとはまた違うはじまりだと思います。
重なっていくはじまり。
良寛さんの不思議な時間が無限に循環するようなそして空間も無限に巡るようなそんな思想が見える不思議な魅力的な歌だと思いました。
今日の選者のお話でした。
それではゲストにお迎えしている書道家の武田双雲さんにもいろいろとお話をして頂きましょう。
さあ双雲さんまずはなんと言っても短歌のイメージする短い言葉をさっき書いて頂きました。
もう一度お見せ下さい。
それをご説明頂きましょう。
こちらですね。
短歌とは「新しめがね」。
そのハートは何て読むのかな?キュンで。
僕妄想がちょっと…癖がありまして結婚僕も10年目にして子供も3人いるんですけど。
いきなり何の話でしょう?10年たつと妻が薄くなっていくというか…。
妻が薄くなる?どういう意味?何ていうかな…。
空気のような存在になっていきがちな事に気付きまして…。
言葉に気をつけて下さいね。
言葉にね。
新妻めがねをかけようと思った事があって玄関入る時は新婚だと。
新婚の気持ちで妻を見るようになったら本当に妻が生き生きと新鮮みを帯びてドキドキするようにまたなったんですね。
それを含めて短歌っていうのは当たり前だと思っている机とかこのスタジオも含め日常をいきなり新しくしてくれるし新しい世界として感動を与えてくれるツールとしてはすごく有効なものじゃないかと思うんです。
短歌っていうのは。
10年だからいいですけどねうちなんか三十数年で新妻めがねができるかどうか?無理かな?そういう話じゃないでしょ。
すいませんでした。
多分新鮮な目で表現する短歌のすばらしさをおっしゃってるわけですね。
短歌をする事によって書もそうなんですけど新しい世界をつくり出せるわけですからやっぱりやった方がいいですよ。
30年であってもね。
30年でも!もういいです。
そこはとらなくて。
さて双雲さん短歌もお作りになるという事ですから今日は自作をご披露下さい。
お恥ずかしいです。
もちろん武田双雲書でございます。
さあご紹介下さい。
もう一度ちょっと拝読致します。
「江の島の夜を見守る光さえ受け止められぬ閉じた白」双雲。
さあどんな時に詠まれた歌でしょう?気付かれてないかもしれませんけど僕って根明で結構ポジティブに見える。
気付いてます。
みんな知ってます。
みんなそう思ってますけど何か?そんな前向きに見える明るい僕がですね胆石を患いまして…。
ご病気?結構きつかったんです。
胆のう摘出まで。
最近ですか?2年前ぐらいなんですけど。
最初はちょっと軽くみてたんですけど思ったよりも良くならなくてだんだん自信をなくして。
あらあら気持ちが落ち込んでいた?例えば90代の方が颯爽と歩いているだけで嫉妬する自分がいる。
健康である人に嫉妬してしまう自分も出てきてそんな時に僕の大好きな江ノ島近くに住んでるんですけど江ノ島に向かって歩いた時にいつもは光が大好きなのに夜の灯台の光なんですけど大好きなはずの江ノ島の光が厳しく見えたりとか映さないでくれとか。
そういう意味で人の優しさ生徒さんとかね身内から優しい言葉をかけられるんですけどそれがちょっと受け止められない自分にまた落ち込む。
最後の「白」というのは雪のイメージとかそういう事ですか?冬だったんですけど…。
そんな感じはしますね。
あと白い心じゃない自分黒い自分が…。
そういう時に…。
健康を害された時の気持ち何か心塞ぐ感じが。
これ私拝見して全く今のお話は知らなかったんですけどとても映像的にも鮮やかでシャープですけど心の心理の奥行きというんですかやっぱり何か屈折したものが感じられるんですよね。
感覚的に優れた作品だなと思いました。
もう一つハッとしたのは最後「閉じた白」というので本来ここは結句ですから七音になるところが五音になってるんですね。
あれ?五七五七…あっ五だ。
でもお若いなと思ったのは最近学生さんとか若い方がまず短歌を作ろうっていうと大抵ね結句五音になる方が多いんです。
「七」って知ってるけど思わず「五」で終わらせてしまうと。
それは多分例えば古典和歌は五・七調なんですね基本が。
ところが中世近代を経てだんだん七・五調になってくるんですね。
生活のスタイルとか私たちの日本語の感じが七・五調になってくるんです。
それがますます現代の短歌が「五七五七七」じゃなくて「七五」で作る若い人が増えています。
その若々しさ。
これはまた五音でぴったり何か形ができていて…。
こっちにいかなきゃいけないのにちょっと入らなくなっちゃった。
不思議な歌だなと思いましたね。
双雲さん冒頭書く力にも触れて頂きましたけど書として書くという事そしてまた短歌もこうして書き留める。
短い言葉ですが何か通じるところをお感じになりますか?やっぱり頭の中にあるものって表現されて初めて形になるという事があって結実されるというか。
人間書くという行為読むという行為言葉を紡ぐという行為をある意味書と短歌というのは切り離せないものなはずなんですよね。
昔からセットであったものですからね。
ほぼイコールといってもいいんじゃないかと思いますね。
私たちも歌を頭の中で考えてる時はモヤモヤするんですけど文字にする事によって空白の部分からも何かが伝わってくるって事はあるんですね。
僕前向きなんですけどなぜか短歌だとねすっとネガティブな言葉を美しく吐けるから大好きです。
これからも双雲さんの書でたくさんの歌を見たいですよね。
今日は楽しいお話ありがとうございました。
書道家の武田双雲さんをお迎え致しました。
ではまた次回もよろしくお願い致します。
ごきげんよう。
2015/01/04(日) 06:00〜06:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「形」[字]
選者は小島ゆかりさん。ゲストは書道家の武田双雲さん。書道には心をしずめる効用があるという武田さん。自身が大病を患ったときは、ポジティブな言葉を好んで書いたという
詳細情報
番組内容
選者は小島ゆかりさん。ゲストは書道家の武田双雲さん。書道には心をしずめる効用があるという武田さん。自身が大病を患ったときは、ポジティブな言葉を好んで書いたという。【司会】濱中博久アナウンサー
出演者
【出演】武田双雲,小島ゆかり,【司会】濱中博久
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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