富士山は今も日本人の心の原風景です。
さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれの「イッピン」。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
今日はどんな技が飛び出すのか?寒波襲来。
こんな時には何といっても鍋料理ですね〜。
安くてヘルシー。
とってもありがたい冬の定番メニュー。
う〜んあったまるなぁ。
今回の主人公は皆さんおなじみの土鍋。
実はこれある地方の特産品なんです。
店に並んだ土鍋を見るとあっ萬古焼?一大工業地帯として知られる三重県四日市。
全国の土鍋のおよそ8割が四日市の萬古焼と言われています。
この土鍋にはある秘密が隠されていました。
それがこちら。
怪しく光るこの石の正体とは?リサーチするのは白鳥久美子さん。
う〜ん!そして今新しいタイプの土鍋が次々と誕生しようとしています。
今回のイッピンは四日市の土鍋のあったか〜い魅力解き明かしますよ。
石油コンビナートが建ち並ぶ工業の町四日市。
ここが全国有数の土鍋の生産地です。
土鍋はどのようにして作られているのか早速見てみましょう。
土鍋の製造はろくろを回して形づくる陶芸品とは異なります。
まず原料である陶土を棒状に固めていきます。
それを輪切りにして石こうの型枠に入れます。
あっという間に土鍋の形が出来上がりました。
このように土鍋作りの大半は機械が行っています。
巨大な窯に入れ一日かけて焼き上げます。
温度はおよそ1200℃。
こうした工程を経て土鍋は完成します。
でもなぜ四日市は全国有数の土鍋の産地になったのでしょうか?やっぱりね寒い時はお鍋とかが食べたくなりますけれども。
私は月に4〜5回は女芸人と鍋をしてます。
年末も女芸人同士で鍋をやりまして。
まあ女だらけで寂しいもんなんですけれども。
白鳥さんが最初に訪れたのは土鍋一筋45年年間およそ12万個を生産している工場です。
すごいいっぱいありますけども。
あっおはようございます。
おはようございます。
すごいいっぱい並んでますね〜。
そうですね。
何ですか?あそこ。
土鍋…まあ200個ぐらいじゃないですか?すごい量ですねこれは。
7年前父親からこの工場を任された2代目の経営者です。
四日市の土鍋が全国的に売れるようになった理由。
それはある土鍋が四日市で開発されたからだといいます。
四日市の萬古焼で50年前にあの〜割れない土鍋っていう…。
火にかけても割れない土鍋っていうのが開発されて当初皆さんびっくりしたのですごい売れ行きだったそうです。
お母さんとかがよくねお鍋のあとに熱々のお鍋を洗おうと思って水かけたらパキパキパキみたいな。
私ちっちゃいころ何回かお母さんがそれで「あ〜!」って言ってるのを見てるんですけど。
それがない土鍋なんですか?はい。
そうなんですか。
熊本さんに特別に2つの土鍋を作ってもらいました。
昔作っていた土鍋と現在の割れないという土鍋です。
うん?う〜ん?これ違うんですよね?
(熊本)違います。
え〜?見た目まるっきり一緒ですけどね。
(熊本)分かりますか?いや分かんないな〜。
うん?ちなみにこれどっちが…?こちらが火にかけたら割れる。
こっちが割れちゃうやつ。
そうですね。
こっちは割れない。
今の土鍋は基本的にこっちで作られています。
2つの土鍋見た目はほとんど変わりません。
割れない理由っていうんですか?はい。
それは何でなんですか?えっ?ペタ…?ペタライト。
ペタライト。
鉱物って事は石ですか?まあ石みたいなもんですね。
これがペタライトの原石。
ガラス質の美しい輝きから「天使の石」とも呼ばれパワーストーンとしても人気を集めています。
実験をしてみたいと思います。
行ってきます。
ペタライト入りの土鍋はなぜ火にかけても割れないのでしょうか?白鳥さんが向かったのは三重県の窯業研究室。
どうもこんにちは〜。
こんにちは。
えっとですねこっちがペタライトなし。
あっごめんなさい。
こっちがペタライト入り。
こっちがペタライトなしの土鍋になるんですけれども。
私見た目的には全く違いが分からなくてですねこちらで実験をして頂けるという事なんですがよろしいでしょうか?はい早速実験してみましょう。
よろしくお願いします!まずはペタライトなしの土鍋を直接火にかけます。
火がつきました。
土鍋は空だきの状態です。
火をつけて40秒後。
(土鍋にひびが入る音)おっ!
(伊藤)割れましたね。
なんか音鳴った!その直後にも。
(土鍋にひびが入る音)うっ!土鍋には数本の亀裂が入っています。
水を入れるとご覧のとおり。
続いてペタライトが入っている土鍋。
お願いします。
5分たっても…。
10分たっても…。
そして20分たっても土鍋には一向に変化が見られません。
水を入れてもこのとおりびくともしません。
ペタライトを入れるとなぜ割れないのか。
2つの土鍋の破片に摂氏800℃まで熱を加えその変化を測定します。
これは熱膨張率と申しましてね膨張した量を示していますね。
この赤い曲線がありますけどこれがペタライトが入っている土鍋の熱膨張曲線。
この緑の曲線はペタライトが入っていない土鍋の熱膨張曲線を表していまして。
明らかに分かりますのは赤いのに比べますと緑は高い所行ってますね。
ペタライトなしの土鍋は温度が上がるにつれ原料の土が膨張を続けその圧力に耐えきれなくなり割れてしまいます。
一方ペタライトは熱を加えてもほとんど膨張しないため原料の土にある一定の量を加えると割れを防ぐ事ができるのです。
わぁ〜重そうですね!ドシンと。
これがペタライト?はいペタライトです。
ペタライトは日本では採れない貴重な鉱物です。
これはアフリカのジンバブエという国から持ってきたものなんですね。
ジンバブエ。
はい。
日本からはるかかなた離れた所から。
地球の反対側みたいな所から持ってきた。
使おうと思った経緯みたいな…何なんですか?ちょうど昭和34年ごろにですね四日市の方の企業の方がですねこの鉱物を使うと非常にいい土鍋が出来る可能性があるという事を考えられて。
もともとはアメリカの方の論文を参考にされたんですけれども。
それがきっかけでですね…。
熱に強い土鍋を作るペタライト。
瞬く間に四日市中の陶器工場で使われるようになったのです。
そして昭和40年ごろ四日市の土鍋は全国に普及していきます。
世は高度経済成長の真っただ中。
温かい鍋を囲んでの家族の団らん。
割れる事もひびが入る事もない四日市の土鍋は爆発的なヒットとなり冬の食卓には欠かせないものとなったのです。
土鍋のふるさと四日市。
この地は古くから焼き物の産地でした。
「萬古焼」と言われています。
創業120年になる萬古焼の老舗を訪ねました。
今年5代目社長に就任した竹内理さん。
この工場では昔ながらの方法で萬古焼を作っています。
いや半端ないですねここの量。
すごい!デパートじゃないですか。
コップもあるしなんかちょっとお釜的なやつもあるし。
花瓶もありますよね。
通常でも何百種類っていう種類作ってますので。
何百種類!萬古焼の特徴の1つはその種類の多さにあります。
…と言われるほど大きくの陶器が作られてきました。
しかし四日市には陶器の産地としてある致命的な弱点がありました。
やっぱその土とかっていうのは地元のものというか…。
違うんですね。
この辺四日市はそういう土がとれないので。
とれないんですか?はい。
一部とれるんですけどほとんどとれない。
へぇ〜。
とれないのに焼き物が盛んっていうの面白いですね。
そうですね。
大体どこの産地に行っても粘土がとれてそういう所で皆さん集まってやられるんですけど四日市の場合少し特殊で粘土が無いのでいい粘土をいろんな所から集めて混ぜて作ったんです。
そうです。
四日市には土が無いんです。
陶器の原料である陶土はほとんどが四日市以外のもの。
輸入している土も少なくありません。
先代の社長竹内達さん。
陶器に色や光沢を与える釉薬がけの職人です。
この道44年。
萬古焼の歴史を見つめてきました。
四日市の土が無いと。
そうです。
地元には土が無いって言われてるにもかかわらずこれだけ焼き物が広がったっていうのは何でなんですかね?やっぱりね先人の人がねいろいろ努力されて。
でこの産地は…あの〜普通でしたらその技術をみんな隠されるんですよね。
自分とこで独占されるんですけどこの産地は皆さんに「お前もやるか?」っていうのでそういう形でねものすごいオープンにした産地なんですよ。
へぇ〜。
萬古焼がこの地方の産業として発展したのは20世紀の初頭。
急須や輸出用の食器花瓶などさまざまな焼き物を作ってきました。
新しい商品が作られるとその技術は他の工場にも伝えられました。
良いものはみんなで共有する。
それが萬古焼発展の原動力となったのです。
そして現代。
原料の土に何%のペタライトを加えれば土鍋が割れないのか。
試行錯誤を重ねた末に誕生した割れない土鍋。
その技術もまた萬古焼職人の知恵の結晶として共有されているのです。
登場して頂くのは地元四日市の居酒屋の店長。
おいしい鍋の食べ方のコツ教えてもらいました。
お客様の中でも火をつけて食べられる方が大体多いと思うんですけどもこちらの土鍋では火を止めても30分以上は保温力が保ちおいしく味も一定に食べれます。
土鍋の最大の魅力は保温効果。
原料である陶土は金属に比べ一度温めると冷めにくい性質を持っています。
このため火を止めても余熱だけで素材に味をじっくりと染み込ませる事ができるのです。
火のつけっぱなしはせっかくの風味を台なしに。
鍋奉行の皆さんご注意あれ。
四日市のカフェレストラン。
ちゅう房をのぞくとそこにはペタライトを利用したおしゃれなチーズフォンデュの鍋。
頂かせて頂きます。
はいどうぞ。
お〜お〜とろけてますね〜。
う〜ん!おいしい!あったまるわ〜。
おいしいわ〜。
デザイン性も良くてシンプルでそのまま火にかけられてで持ってきてそのままお出しできるというので喜んでもらってます。
土鍋は今進化しようとしています。
釉薬がけの職人竹内さん。
息子に社長業を譲ったあとも萬古焼に懸ける情熱は衰える事はありません。
今取り組んでいるのはオールシーズン使える土鍋の開発です。
じゃこれがあの〜お鍋なんですけれども。
なんかとってもポップでかわいらしいですね〜。
普通お鍋というと冬場っていう感じですけどまあこの鍋は四季を通じて使って頂けるようにという事で。
これはねあの〜この鍋は水をほとんど入れなくて素材の水分でもって煮炊きするっていう鍋なんです。
まあ先々代もっと前から「一生一品」って言われまして一生のうちに皆さんに喜ばれる商品を一品作れという家訓がありますもんで。
だから伝統っちゅうものはやっぱり守らないかんけどそこにやっぱり革新性を持たさんとやっぱり続いていかないという感じしますけどね。
「一生一品」。
いや〜何ともいい言葉ですね。
お邪魔します。
すみませんお忙しいところ。
初めまして。
たんぽぽの白鳥でございます。
新たな時代の萬古焼に取り組むグループがあります。
世界の一流ブランドが集まるパリのテーブルアート展にも招待されました。
あっこちらですか?手のひらに心地よい底がつるつるのマグカップ。
こうしたくなりますね確かに。
「今日こっちで飲んでみようかな」なんて。
「今日彼氏もいないし」みたいな。
「今日はね人恋しいからこっちの肌になじむ方にして」。
暮らしになじむシンプルで親しみやすいデザイン。
鍋だけではなくさまざまな料理に対応できる商品を作ろうとしています。
流行の商品が一堂に集う国際見本市東京ギフトショーにも毎年出品。
若い女性から多くの支持を集めています。
メンバーは白鳥さんが訪ねた竹内さんや熊本さんをはじめ主力商品が異なる4つの窯元の若社長たち。
それぞれの仕事を終えたあとデザイナーを交え新商品の企画開発に取り組んでいます。
去年の暮れに完成したばかりの土鍋を見せてもらいました。
こちらですか?メチャクチャかわいくないですか?これ。
えっ?何?この丸み。
モダンな感じもするし今までの土鍋の良さも残ってる感じもするし。
普通土鍋は一色で作られています。
この土鍋は本体の部分をあえて2色に色分けし若々しくあか抜けたデザインにしました。
制作を任されたのは土鍋作りのプロ熊本さん。
しかし…。
この境目は2色をどうやって色を付け分けるかっていうのが。
まあこれ見た時に「無理なんちゃう?」って言いました。
土鍋に色付けする釉薬をどう塗り分けるのか。
熊本さんの工場では通常スプレーを使って釉薬を吹きつけます。
その方法でやってみたところ…上の部分がむらになり液だれを起こしてしまいました。
何度やっても同じ。
これでは商品になりません。
スプレーでは繊細な色分けが難しい事が分かりました。
自分なりにやってみたんですけどあまり上手にできなかったので無理だよって言ったんですけど。
無理だよってなったそのあとは…?「やめましょうか」にはならない?ならないですよ。
できなかったから「じゃダメだね」って言ってたら新しいものとか喜んで頂けるものはできません。
完全に不可能だという事が確実に立証できなければそこまでやりきる。
うわ〜すごい!厳しいんですよ。
できないと分かるまでやる!誰が助け船というかアイデアを出してくれたんですか?あっちの2人ですね。
あっ救世主が!アドバイスをしたのは食器作りが専門の山口さんと急須専門の荒木さんでした。
うちらは食器屋なんで色のかけわける作業っていうのは基本的にある仕事なんです。
具体的にはかけわけっていうテクニックなんですけど。
2色使うので…。
「かけわけ」。
それは先代から伝わる技術の1つでした。
作る商品が違うとその手法もおのずと異なってきます。
土鍋が専門の熊本さんは2人が言うかけわけをこれまで必要としていなかったのです。
2人のアドバイスを手がかりに熊本さんは底の部分はスプレーで釉薬をかけ色違いの部分を直接釉薬に浸しました。
2つの方法で釉薬を塗るかけわけの技術で土鍋を2色に色付けする事ができたのです。
今までのうちの考え方では難しいっていうものでも他の方の他のメンバーの「うちはこうやってる」とかっていう話が出てくるとあちらの会社ではこういうふうに考えてこうするんだとか新しい発見って非常に多い。
四日市に根づく「技術を共有する」という精神。
それが新しい商品の完成へとつながっていきます。
みんなの知恵が凝縮した新しいスタイルの土鍋です。
こんだけいつも作ってるんですけどやっぱり一番初めに出てくるサンプルっていうのは行くまで楽しみにして。
それがうまくいってるとすごくうれしい。
今回の場合は特にすごい心配だったしやってみて問題の所がちゃんとできるかどうかもあったし。
ましてちゃんと土鍋として見た時に自分なりにもすごく気に入った土鍋だったのでうれしかったですよね。
伝わってきます。
ずっとしゃべってる間にこにこされてるんで。
独自の歩みを続けてきた四日市の土鍋。
一生で一品人に喜ばれるものを作りたい。
そのたゆみない努力は今もこの町で続けられています。
2015/01/04(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン・選「アツアツ!しあわせの土鍋〜三重 四日市萬古焼(ばんこやき)〜」[字]
冬に大活躍する土鍋。三重県四日市で「割れない土鍋」が開発されたことで全国に広がった。白鳥久美子が秘密をリサーチ。また最近開発されたおしゃれな土鍋を紹介する。
詳細情報
番組内容
家族で鍋料理を囲む、日本の冬の典型的な風景。三重県四日市市で生まれた「萬古焼(ばんこやき)」の土鍋が、こうした風景を作ったという。昭和30年代に「ペタライト」という貴重な鉱石を土に配合することで、火にかけても「割れない土鍋」が開発・大量生産され、日本中に浸透したのだ。白鳥久美子さんが同市を訪れ、土鍋の秘密を徹底リサーチ。また、新しいデザインに取り組む人々に出会い、地場産業を支える思いに触れる。
出演者
【リポーター】白鳥久美子,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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