今日の「ヒストリア」の主人公は「暴れ牛」と呼ばれた男。
暴走しながら我が道を行く。
そんな生き方の名ぜりふは…。
(牛の鳴き声)ようこそ「歴史秘話ヒストリア」へ。
今日ご紹介するのは「鼻輪のない暴れ牛」に例えられ幕末に革命を起こした英雄高杉晋作です。
高杉はやる事なす事型破りで走り始めたらもう止まらない。
「面白い事がない世の中面白く生きなきゃ」なんてうたうなどまるでやんちゃな子供。
近くにいたらかなり迷惑そう。
その一方で高杉はちょっと寂しがりやで甘えん坊。
周りがなぜか助けてあげたくなるという不思議な愛されキャラ。
そんな愛されやんちゃぶりが時代を動かす原動力になったのです。
というわけで今夜は思い切りやんちゃで仲間から愛されたすてきな若者の魅力をたっぷりお楽しみ下さい。
幕末江戸幕府の打倒へと突っ走った「暴れ牛」高杉晋作。
「幕府の重要人物を暗殺しよう」「藩に無断で軍艦を買うぞ」とまあ過激な行動ばかり。
でもその内面は意外とナイーブ。
青春の悩みにもだえる高杉の心の叫びとは?危なっかしくて放っておけないやんちゃでかわいい高杉を支えていたのは仲間たち。
高杉が窮地に陥ると人々は心配します。
身を犠牲にして高杉を立ち直らせた熱き絆とは?高杉が歴史に名を残した大きな賭け。
それは僅かな人数での…この無謀な決起周囲には迷惑そのもの。
後の明治の大物たちを巻き込みながら高杉はまっすぐ突き進みます。
やんちゃな行動で人々に愛され時代をひっくり返した高杉晋作。
その魅力的な暴れっぷりをご覧下さい。
高杉晋作の肖像写真。
28歳の時長崎の写真館で撮影したものです。
目を引くのがこの髪形。
今で言うベリーショート。
無造作に流した前髪とソフトな刈り上げがかっこいいですねえ。
武士の髪形といえばまげ。
でもおしゃれで遊び人の高杉はいち早く最新の流行を取り入れた…というわけではなくそのもとは丸坊主。
何か思い悩んでスッパリやってしまったようです。
高杉が頭を丸めた悩みとは?ザンギリ頭に秘められた暴走と挫折の青春ストーリーです。
日本海に面した山口県萩。
かつての長州藩の城下町です。
江戸時代の終盤…長男で跡取り息子の晋作は大事に育てられたといいます。
晋作が幼い頃剣術の稽古をした道場が今も残っています。
晋作は良家のお坊ちゃんながら気が強くやんちゃな子供だったといわれます。
10歳ごろのお正月。
年始回りで歩いていた武士が晋作の凧をうっかり踏みつけました。
そのまま去ろうとする武士に晋作は「謝れ!」と叫び泥を投げつけようとします。
年始回りの着物を汚されてはかなわない。
武士は晋作に謝りました。
相手が大人だろうとお構いなし。
負けん気の強さは超一流です。
高杉晋作19歳。
その後の生き方を決める運命的な出会いをします。
松陰が高杉たち若者に説いたのは志の大切さでした。
高杉の志は途方もなく大きく膨らみます。
希望を胸に江戸へ旅立ちます。
自分にふさわしい生き方を見つけようと手当たりしだいに挑戦を始めました。
まず幕府の学校に通い始めますが大昔の思想・哲学の本を読み続ける授業に嫌気がさします。
続いてこれからは船の時代だと洋式軍艦の訓練を受け始めますが航海で使う細かい計算が面倒くさい!やっぱり得意な分野にしようと…現在の栃木県壬生にあった道場でいざ勝負!でやあ〜!この時高杉と対戦した武士の家では代々その様子を伝えてきました。
こちらは松本五郎兵衛といって私から数えて5代昔の我々の先祖です。
高杉3連敗!コテンパンだったのでしょうか?高杉が武者修行につけていた日記です。
対戦前日までは旅の詳細を書き込んでいましたが戦った当日は真っ白。
かなりショックだったようです。
一生懸命やって鼻っ柱をポキッと折られるような事が若い頃の晋作の日々だった。
だから「俺何したらいいんだろうな」という「どうしたら自分もやるべき事が見つかるのかな」という。
ところが高杉は海外体験でやるべき事を見つけます。
24歳の時…
(砲撃音)清国の民は西洋人にこき使われ上海はまるで植民地のようでした。
日本もひと事ではありません。
9年前にペリーの黒船が来航して以来…「幕府の方針に背を向け外国を打ち払おう!」。
高杉の心に火がつきました。
暴走する高杉を友人はこう例えました。
一旦走り始めたらもうコントロールできません。
ところが…。
物事を進めるには勢いだけでは限界があります。
諦めろ。
そんなある日高杉はまげを落とし頭を丸めてしまいます。
何事もうまくいかずやけになったのです。
あげくの果てに酒を飲んではどんちゃん騒ぎの毎日。
(高杉)それよいよいよいのよいよいよい!でも高杉の胸にはむなしさと焦りが渦巻いていました。
よいよいよい!頼りにしている先輩桂小五郎への手紙です。
志は高く負けん気も強い。
でも何ひとつ形にできない自分。
ザンギリ頭にはそんな苦しみが秘められていたのです。
高杉はかねてから……と宣言していましたが家庭を持って落ち着かせようと考えた親の勧めにより22歳で結婚します。
6歳年下の妻まさ。
藩の重役の娘でいわゆる良家の子女。
萩城下一の美人と評判で「うちの嫁に」と引く手あまただったそうです。
ほとんど家に居ない晋作の留守を守りながらまさは晋作が上海へ出張する時にはこんな手紙を記しています。
「何とぞ何とぞはやくはやくお帰りになられるようにくれぐれも祈っております」。
外を飛び回って破天荒な事を繰り返す晋作ですが一方で武家の跡取り息子として家を大切にし若い妻を気遣うそんな一面がうかがえます。
高杉晋作の人生を変えたもの。
それはこの風変わりな石です。
形は凸凹表面は滑らか。
これが暴走続きの高杉の生き方を変えていきました。
更に大切なのは心が通じ合った仲間たち。
晋作〜!困難に直面した高杉を助け導いてくれたさまざまな人々。
高杉の成長を促した仲間たちとの絆の物語です。
(砲撃)自分を見失った高杉に復活の兆しがあらわれます。
長州藩は幕府の外交に反発。
非常事態に藩は軍備増強を叫んでいた高杉を呼び出しました。
高杉は武士の常識を覆す提案をします。
この藩を守るため志のある者を募って隊を創立します。
名付けて「奇兵隊」!「奇兵」とは藩の正規兵である武士に対する雑卒。
武士だけに頼らず一人でも多くの兵を募り最新装備の洋式軍隊を創設しようとしたのです。
この画期的な方針に今まで政治や軍事と無縁だった庶民たちが「国を守るため働きたい」と声を上げます。
奇兵隊にとどまらず…こうした高杉の改革を仲間たちが助けます。
特に高杉の発案を実現に導いたのが藩から絶大な信用を得ていた親友久坂玄瑞です。
人柄は正反対ですがお互い認め合う仲でした。
高杉の久坂に寄せる思いです。
「兄弟の盟約をもいたしたく思っております。
天下を案じ国の事を思う時あなたの顔が目の前に見えるようです」。
自分の気持ちを隠さず伝える高杉とそれに応える久坂。
藩主の側近周布政之助です。
若い頃から政治の改革を進めてきた周布は自分の主張が上に通らないつらさを痛いほど知っていました。
かつて高杉は周布にとんでもない計画を願い出た事があります。
藩の重役の周布に将軍暗殺に協力してくれというのです。
高杉の求めに周布は特別な刀を持ってきます。
これを使え。
藩として計画を認めてくれるのかと思ったところ…。
周布は大切な藩主の家紋を削りだします。
自分も藩を捨てて協力するという覚悟でした。
藩重役の周布にそんな事はさせられない。
高杉は反省し計画を中止します。
周布は高杉の志を否定する事なく先走りしすぎる気持ちをたしなめたのです。
周布政之助なんかは感じてたと思うんですよ。
自分の若い頃に非常に似ているようなそういうにおいを感じてたと思うんですね。
だから晋作に応援してやりたくなったんじゃないんですかね。
ところが高杉の性格はそう簡単には変わりません。
ようやく本格的に活躍し始めたところでのつまずきでした。
ひとつき後悶々とする高杉の目を覚まさせる出来事が起きます。
・晋作〜!晋作〜!酒に酔っているのか高杉の名を叫ぶ男。
晋作〜!牢屋に届く大声で高杉を叱り励ます周布。
お酒による失態かそれともわざとなのか。
周布はこの騒ぎで謹慎処分を受けてしまいます。
でも周布の思いは確かに届いていました。
この直後に高杉が買い求めたものがあります。
こちらが高杉晋作の修養石です。
形は凸凹。
でも表面は滑らかな修養石。
牢の中で高杉は己を磨いていきます。
自分を見守ってくれる大切な人々との絆をもとに高杉は力を生かすべき時を静かに待ったのです。
すてきな友達や上司に恵まれ高杉は羨ましいとお思いでしょ?彼はその上優秀な後輩にも恵まれそのうちの2人が後に総理大臣になっています。
日本最初の総理大臣伊藤博文と明治陸軍の重鎮山県有朋です。
伊藤博文は高杉の2歳年下で幼なじみ。
ふるさと萩にはその仲の良さの証しとして2人が一緒に遊んだという木の馬が残されているほどです。
高杉が外国の公使館に放火したり暗殺を企てたりする時も伊藤はいつも一緒。
一方の山県は高杉がつくった奇兵隊を引き継いで実質的なリーダーになった後輩です。
でも勝手な行動をする先輩高杉は藩の組織を預かっている山県からすればトラブルメーカー。
いつも後始末をさせられていた山県は後にこう語っています。
とても危険で刺激的。
魅力はあるけど大いに迷惑。
そんな先輩皆さんはついていきたいですか?境内にあるのは駆け出しそうな馬と力強く手綱を引く男の像。
かかれ〜!それは高杉らしいあまりに無謀なクーデター。
でも高杉は自分の後輩たちを巻き込みながら奇跡的に成功させていきます。
まさにやんちゃな高杉だからこそ実現できた歴史的な大逆転劇です。
高杉が牢にいる間に長州藩は最大の危機を迎えていました。
外国への対応をめぐって幕府との対立を深めた長州藩は京都で幕府や有力藩の連合軍とついに激突。
高杉の仲間が大勢戦死します。
その中には高杉を支えた親友久坂玄瑞もいました。
更にこうした事態の責任を取り藩の重役周布政之助も切腹。
高杉は頼りにしていた人々を一気に失ってしまいました。
長州の危機は続きます。
禁門の変の責任を問うため…牢から出た高杉は幕府に屈服する藩の方針に反発。
しかし幕府の大軍を前に立ち上がる者はいません。
長州の事は長州の者がやるしかない。
高杉は藩の主導権を奪い返すためクーデターを決意します。
長州に戻った高杉が最も頼りにしたのは自分が創設した庶民の軍隊奇兵隊でした。
諸君!今こそ命を捨て志を立てる時である!高杉の様子はこう記されています。
ところが山県は協力を断ります。
自分が預かる奇兵隊を守るためでした。
この時下関近くにいた奇兵隊の兵力は200〜300。
2,000の藩政府軍と戦っても勝ち目はありません。
「今更戦いなど迷惑だ」。
山県の率直な思いでした。
高杉は憤ります。
この腰抜けどもが…。
皆腰抜けだ!駄目だ駄目だ!いくら高杉でも1人では何もできません。
ところが…。
高杉は決起を決意します。
彼は1人ではありませんでした。
高杉を慕う後輩伊藤博文が仲間を連れてきたのです。
その数僅か80。
しかし高杉には十分でした。
高杉の叫びです。
かかれ〜!うお〜!高杉たちは軍資金を奪うためまず下関の藩の役所を襲撃。
この動きに藩政府もすぐに反応。
高杉たちを討つべく軍勢を萩から南下させます。
高杉の決起はひねり潰されるかに見えました。
ところがここで思わぬ展開に引きずり込まれた男たちがいます。
山県有朋と奇兵隊です。
藩政府が山県たちへの態度を硬化。
高杉との連携を防ぐため武器を手放すよう命じてきたのです。
庶民の軍隊である奇兵隊が武器を捨てればいずれ解散させられるかもしれません。
山県は高杉のあおりを受けて…こうなればやむをえない。
我々も戦うぞ。
翌年1月。
奇兵隊は南下してきた藩政府軍を奇襲攻撃。
これで流れが変わります。
高杉の呼びかけに各地の部隊が応え決起軍に参加し始めたのです。
膨れ上がった決起軍は藩政府軍を圧倒。
高杉の無謀な決意が多くの人々を巻き込み…ところで山県が決起に参加した直後高杉はこんな歌を贈っています。
「俺とお前は焼けた山のつる草みたいなもの。
根っこでつながっているから結局俺と一緒に動いたじゃないか」。
高杉には迷惑をかけた気などさらさらなし。
山県の苦笑いが目に浮かぶようです。
高杉の戦いには自分たちの手で国の未来を切り開こうと大勢の若者が参加しました。
その中に…こちらはその子孫の方。
ご先祖は餅屋の息子で17歳で高杉の戦いに参加。
その活躍を喜んだ高杉から新しい名前を付けてやると言われ名前を変えたそうです。
先祖の戸籍です。
私の祖父の兄貴が無敵幸之進ですね。
何とも勇ましく縁起が良すぎるほどの名前ですがちょっと困った事もあるそうです。
みんなから強いんじゃないかというような事を言われるからね。
強いんじゃないんだという事を何べんも説明した事もありますよ。
名前を付けて頂いたというのはあれですよねまあ感謝せにゃいけん事が多いでしょうね。
それでは最後にもうひとつ高杉が活躍した下関には高杉と彼を支えた人々との絆の強さを実感できるものが今も残っています。
そんな秘話をどうぞ。
高杉の決起から1年半。
しかし戦いのさなかに結核で倒れ翌年4月14日息を引き取ります。
高杉が発起人となり造られた神社があります。
祭られているのは吉田松陰や久坂玄瑞たちおよそ400人。
皆高杉を支え導き一緒に戦ってくれた人々です。
高杉自身の碑も彼らと共にあります。
高杉の後輩…彼は栄達を遂げたのちも高杉を忘れませんでした。
高杉の死後40年以上たったあと下関に建てられた顕彰碑に伊藤はその雄姿を記しています。
2015/01/04(日) 01:40〜02:25
NHK総合1・神戸
歴史秘話ヒストリア「高杉晋作“愛され・やんちゃ”革命!」[解][字][再]
幕末の過激なヒーロー・高杉晋作。やることなすこと“やんちゃ”で型破り。でもなぜか仲間から愛され助けられながら時代を変えた若者の、夢と挫折と全力疾走の青春秘話。
詳細情報
番組内容
幕末の“過激なヒーロー”高杉晋作。幕府の要人暗殺未遂や藩に無断での軍艦購入契約など、やることなすこと“やんちゃ”で型破り。友人から「鼻輪のない暴れ牛」と例えられるほど。でもなぜか仲間や上司が、涙ぐましいほど助けたくなる“不思議な愛されキャラ”。その高杉が幕末情勢を逆転させる武力クーデターに挑んだ時、「愛されやんちゃ」ぶりが周囲を動かし、熱ききずなで時代を大きく動かす。夢と挫折と全力疾走の青春秘話。
出演者
【キャスター】渡邊あゆみ
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ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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