グレーテルのかまどスピンオフ ウィーンの甘い秘密〜カフェめぐりの旅〜 2015.01.03


(キムラ)音楽の都ウィーン。
この街にすてきな呼び名があるって知ってますか?その数市内になんと2,000軒!ウィーンっ子なら行きつけのカフェを持っています。
そこには何十種類ものスイーツやコーヒーそして愛情あふれる秘密の物語があなたを待っています。
カフェを巡って物語をひもとくのは…その物語とは?お菓子で名高いカフェのイチオシケーキ。
店のお菓子が大好きだったある女性に寄せられたもの。
野の花を愛した彼女の物語。
大作曲家が愛した謎のカフェスイーツを再現!
(瀬戸)うわっすげえいい音。
窓からは木が育ち?床は歩けないほどでこぼこ。
まっすぐが大嫌いだった芸術家の不思議なカフェ。
座りにくいでしょ絶対に。
ほら。
カフェスイーツのマイスターにも入門?オリジナルのケーキ作りに選んだ素材はあんこ!瀬戸がケーキに込めた気持ちとは?お話は更にたくさん!今宵はウィーンのカフェ三昧。
うん。
「グレーテルのかまどスピンオフ」。
ウィーンのカフェを巡る甘〜い秘密の物語をご賞味あれ。
カフェ巡りをご一緒するのは僕瀬戸康史。
初めてのヨーロッパにドッキドキです
これですね。
カフェ・シュペルル。
何かホテルっぽいですよね。
典型的なウィーンカフェを味わうならまずはここと薦められたのですが…
天井高っ。
歴史あるたたずまいにのっけから圧倒されました
1880年創業のカフェ・シュペルル。
130年前の開店当時から内装も家具も変えず大切に受け継がれています。
これ全部新聞ですか?昔ながらのカフェにお決まりなのは何十種類もの新聞や…お客さんたちがいつでも遊べるビリヤード台。
これカフェにあるのがちょっと意味分かんないですよ。
これも古そう!メニューをどうぞ!そういえばウィンナコーヒーってあるじゃない?本場のを頂いてみたら?20種類!あら何だか日本と様子が違うわね。
どう違うんだろうこれ。
Allcoffee?
(給仕)ええ。
全部コーヒーです。
ミルク入りの小さいサイズと大きいの。
アインシュペナーはホイップクリームが入っています。
でも代表的なのはメランジュ。
とりあえず…とりあえずこの代表的な…これを下さい。
(給仕)喜んで。
お待たせしました。
Thankyou.頂きます。
ウィーンでの初コーヒーお味はいかが?うん。
普通のミルクのコーヒーですね。
普通とは失礼な。
メランジュは濃いコーヒーにミルクを注ぎ泡立てミルクを載せたもの。
ウィーンっ子は大抵この飲み方なのよ。
これは何なんだろう。
そうね。
そのスプーン何だか意味深な感じでしょ?ちょっと質問があるんですけど持ってき方は何なんですか?
(モニカ)これは伝統なの。
ウィーンにあるカフェは全部これですか?そうよ。
これはこう決まっているのよ。
ウィーンのカフェハウスは国の文化遺産に指定されています。
それにはいくつか基準が決められているんです。
その一つが銀のお盆にカップそして水のサービスです。
ウィーンでは小さなエスプレッソを出す時だってこのやり方なのよ。
ちょっと!アインシュペナー持ってきて!「2番人気のコーヒーも試したら?」と来たのはアインシュペナー。
(モニカ)飲むのが難しいわよ。
あっ…。
ほろ苦いコーヒーと甘い生クリームが合いますね。
うん。
味はこっちの方が好きです。
名前の意味は一頭立て馬車。
御者が主人を待つ間冷めないようにクリームで蓋をしたのが由来とか。
日本のウィンナコーヒーはこれがもとと言う人も多いの。
二頭立て馬車というコーヒーだってあります。
フィアカーは強いお酒入り。
ウィーンでアイスコーヒーといえばこちら。
アイスクリームを入れたコーヒーに生クリーム載せ。
注文を間違えないようにご用心。
こうしたアレンジはウィーンならではのコーヒー文化。
定番だけでも20種類。
多い店は50以上の飲み方を誇ります。
不思議に思ったのが日本のカフェはBGMがかかってるんですけど無音なんですね。
人はカフェにおしゃべりをしに来ています。
あるいは静かに新聞を読みたいんです。
そこに余計な音楽はいらないでしょ?ウィーンの人たちはカフェハウスを第2の居間と呼んでるの。
ウィーンのカフェはコーヒー一杯を注文すれば何時間いてもいいのだとか。
時には本当にカフェに住んじゃった人もいたようで。
こちらは文学カフェとして名高いカフェ・ツェントラル。
カフェの入り口で出迎えてくれるのは19世紀末の作家ペーター・アルテンベルク。
彼が家に帰るのは寝る時だけ。
郵便の宛先も名刺にもこの店の住所を記していました。
彼は言います。
そこに行けば孤独も悩みもなんとかなる。
カフェはウィーンっ子の心の居場所です。
うわっすごい人!コーヒーでのんびりしたら目抜き通りを一歩き。
あっこれ…。
これザッハートルテですね。
しかもいろんな大きさ…。
作ったな〜これ。
すげえ難しいんすよ。
僕は「グレーテルのかまど」という番組でスイーツの物語を紹介しています
中でも最大級に難しかったのがザッハートルテ。
チョコレート菓子の王様といわれるウィーン生まれのケーキです
この時コツを教えて頂いたのがレシャンツさん。
名門カフェのトップを務めウィーン随一の腕利きといわれます
割とこの辺は歩かれたりするんですか?そんなレシャンツさんにお菓子屋さんのカフェを案内してもらいます。
まず訪ねたのはこちら。
名店ハイナー。
でも必ずやっぱりザッハートルテはあるんですね。
(レシャンツ)ええ。
どの店にもありますよ。
ウィーンを代表するものだし人気もあるしね。
どの店がおいしいかみんなよく食べ比べをするんだよ。
うわっすごいいっぱいある。
すごく種類がたくさんありますね。
すごい見てるだけでも楽しいですね。
2階にあるカフェではこうしたお菓子をゆったり頂けます。
(レシャンツ)このサイズはちょっとだけ食べたい時にいいんだよ。
カクテルと一緒につまんだりしてね。
あらっ!すみませ〜ん。
チョコレートクリームのヌガーですって。
うん!Good!おいしい!あっ!お菓子屋さんのカフェの店先は職人たちの腕の見せどころ。
下のプリンみたいな形のケーキは何なんですか?
(レシャンツ)ウィーン定番のクーグルフプフだよ。
ウィーンには長く愛されてきた定番スイーツウィーン菓子がたくさんあります。
例えばカラメルが美しいドボシュトルテは薄いスポンジとモカチョコクリーム。
矢羽根模様がお決まりのエスターハージートルテはヘーゼルナッツとバタークリーム。
カフェが店の顔として誇るケーキも味わい豊か。
カフェ・モーツァルトはピスタチオ風味。
文学カフェツェントラルはオレンジ風味のスポンジをチョコ生地でサンドして。
名店デメルは上品な紫の飾りが印象的。
このスイーツにある切ない物語が秘められています。
ハプスブルクの宮殿から目と鼻の先にあるデメル。
1786年にお菓子屋として創業。
そのスイーツは評判を呼び王室御用達の店として栄えます。
19世紀末店のカフェには上流階級の美しいご婦人方が足しげく通い女性の社交場として華やぎました。
あのケーキはそんな店をひいきにしていたある女性にあやかったもの。
ケーキを飾るこの青紫のかけら。
これこそが彼女がこよなく愛した花なのです。
これはスミレの砂糖漬けを砕いたものです。
とてもよい香りがします。
ひとかけらを口にはめばスミレの香りが甘くしっかりと広がります。
彼女の名はエリザベート。
ハプスブルク家最後の美しき皇妃。
シシィの愛称で呼ばれました。
今の南ドイツミュンヘンの貴族の家に生まれたシシィ。
自由な家風のもと野山を駆け回るおてんば娘に育ちました。
そんな彼女がウィーンに嫁いだのは15歳。
ハプスブルク家の皇帝フランツ・ヨーゼフの一目ぼれでした。
気に染まないまま嫁いだ少女を待ち受けていたのは厳しいしきたりやしゅうとめの嫁いびり。
宮廷の暮らしになじめず1人で食事をする孤独な日々を送ります。
そんな彼女の癒やしとなったのがスイーツ。
中でもお気に入りはスミレの花のシャーベットでした。
花の砂糖漬けは色や香りを季節そのままに閉じ込める事ができます。
作り方はとても簡単。
摘みたての花を卵白を溶いた水に浸して…砂糖を振りかけおよそ2週間乾かすだけ。
あまた咲く花の中でなぜスミレだったのでしょう?春になると真っ先に香るのがスミレなんです。
子どもの歌にも歌われています。
「スミレよスミレどうしてほかの花より一足先に咲くの?小さいから5月になる前に咲くんだよ」。
スミレが香りだすと長い冬が終わるんです。
子どもの頃を懐かしんでは涙に暮れていたと記されるシシィ。
スミレのお菓子は幼い頃駆け回った野山の春の香りがするお菓子でした。
今何時ですか?5時15分!
朝レシャンツさんの工房を訪ねます
君のために新しい上着を用意したよ。
ユニフォーム。
さあムッシュどうぞ。
いいんですか?Thankyou.
これまで130を超えるお菓子を作ってきた僕。
この旅でオリジナルの新作ケーキを作りたいとお願いしたんです
まだお一人なんですか?この時間は私だけです。
いつも最初に来て最後に帰るんだよ。
ええっ!?誰よりも早く出勤するのは修業時代からの習慣だとか。
(レシャンツ)おはよう。
さあみんなに紹介しよう。
こちらはコージ。
今日は一緒に仕事をしながらウィーンのカフェスイーツの内側を見てもらいます。
じゃあコーヒーを飲んだら始めましょう。
よろしくお願いします。
得意先のカフェはなんと40軒。
毎日数十種類のケーキや焼き菓子を作り届けています。
指折りのマイスターレシャンツさんのファンが多いのです。
修業の手始めは…。
まず最初は簡単なフィギュアを作ってもらいます。
手先の器用さが分かるからね。
アーモンドと砂糖のおだんごマジパンを使った細工物作り。
腕とセンスが試されます。
課題はバラの花。
レシャンツさんにとって思い出深い細工です。
私が見習いだった頃ちゅう房の窓辺にバラの茂みがありました。
そこからいつも1輪だけ取ってねその姿を写し取る練習をしていたんです。
マジパン細工はとても大切な技。
ウィーン菓子には見た目の派手さがありません。
特別な時にはマジパンの飾りで贈る人の気持ちを表すのです。
(レシャンツ)いい感じだ。
でもバラっぽくなってきたぞ。
よく見て。
バラになるように。

(レシャンツ)きれいでしょう?すごい!出来ましたね。
すごいうれしいです。
すばらしいよ。
14歳でこの道に入ったレシャンツさん。
師匠は新人の彼にもお菓子を作らせながら育ててくれました。
その気風は工房に引き継がれています。
見習いの彼女のアイデアもお店の商品に採用。
この花全部食べられるクリスマスのお菓子です。
すっご!食べるのがもったいないですねこれね。
ここはよくある見習いという扱いじゃなく自由があってアイデアも採用してくれるの。
その上修業もできるのよ。
すてきでしょ?
(レシャンツ)若い人からはたくさんのアイデアが出てきます。
ベテランの職人だと全部が頭の中に入ってしまっているから新しいものはもう出てきません。
今まで作ってきたものの繰り返しばかり。
若い人からはいつも新しいものが生まれ続けるんです。
何なら君をスイーツの職人に育てようか?俳優やめてね。
ハハハッ。
そうですねまだ分かんないですね。
そんなレシャンツさんに教わりながら新しいオリジナルケーキを作りたい。
日本から持参したのはあんこです。
冬ならではのスイーツお汁粉を作りケーキにあんこを使えるか相談します
すごい緊張するなこれ。
そんなに見ないで下さい。
ハハッ。
うん。
興味津々のレシャンツさん。
日本のお正月を召し上がれ。
フフッ。
お餅はお汁と一緒にどうぞ。
甘いね。
好きな味だ。
この豆ならケーキに使えると思うよ。
もし持ってきた豆がまだ残っているならそれを使って新しいケーキ君のオリジナルケーキを作れると思います。
どうかな?やった〜!よかった〜。
あんこを使ったウィーンのケーキ。
どんなお菓子になるのかしら?後ほどをお楽しみに。
談笑するご婦人方。
カードに興じる男たち。
典型的なウィーンのカフェ?…と思いきや実はこれある人の家の中。
元祖おうちカフェなのです。
あるじの名はヨハン・シュトラウス2世。
ワルツ王と呼ばれる作曲家です。
ご存じ「美しく青きドナウ」をはじめウィンナ・ワルツの名曲を次々に作曲。
生涯になんと479曲も世に出しました。
それにしてもなぜおうちカフェ?よほどのカフェ好きだったのかしら?
シュトラウス2世の銅像の前で待ち合わせたのは?エドアルド・シュトラウスさん。
ワルツ王の子孫です
もしかして失礼かもしれないんですけどものすごくそっくりですね。
ありがとう。
よく言われるんですよ。
記念像を見るとやはり誇らしい気持ちになります。
私の家族がいなければウィーンのアイデンティティ−の一部が欠けていたんですからね。
ワルツ王がなぜわざわざ家にカフェを作ったのか。
謎を探りに現在のシュトラウス邸を訪ねます
Hello.
エドアルドさんの奥さんと息子さんも出迎えてくれました
私の家系を紹介しましょう。
まずはヨハン・シュトラウス1世。
「ラデツキー行進曲」が有名です。
そして息子のヨハン・シュトラウス2世。
彼こそ偉大なシュトラウスです。
彼は家にビリヤードやカードで遊べる部屋を作りました。
お客用のテーブル席も置いてね。
そこを私のカフェと呼んでいました。
家にあったんですか?ええ。
なぜなら彼は音楽に取りつかれていたんです。
料理のメニューやシャツのカフスにまでワルツが書かれていたといいます。
恐らくそれが理由です。
浮かんだ曲をいつでも譜面に書けるようになるべく家にいたかったんですよ。
しかも彼はとても怖がりでさまざまな恐怖症を抱えていました。
奇妙な性格です。
だからカフェには親しい人だけを招いたんです。
おうちカフェの手がかりとなる資料が残っていました。
大活躍の頃ワルツ王夫妻が答えたアンケートです。
職業欄に彼が記したのは「ワルツ工場」。
確かに大忙しだったみたいね。
(ルーバイ)次のページにはシュトラウス夫妻の好物の料理が記されています。
キプフェル・ブレーゼル・シュトゥル−デル。
これがどんな料理だったのか今分かる人は恐らくいません。
シュトラウス夫妻はとても気に入っていたようです。
手がかりはキプフェル・ブレーゼル・シュトゥルーデルという言葉。
どんな料理なのかしら?再びエドアルドさんのお宅。
奥さんのスザンネさんが昔のウィーンのレシピを調べてくれました。
これが古くて硬くなったキプフェルよ。
これがキプフェル?キプフェルとは三日月型のパン。
ウィーンに昔からある素朴なパンです。
うん。
普通の甘いパン。
これだけでとてもおいしいですね。
古くて硬くなったキプフェルを細かく砕いてからバターで炒めるとこれがキプフェル・ブレーゼル。
残り物の再利用っぽいわね。
最後のキーワードシュトゥルーデル。
その生地作りが始まりました。
シュトゥルーデルはウィーンっ子おなじみのおやつなんだそうです。
最初のお菓子作りは母から学んだの。
母は完璧なシュトゥルーデルを作ったわ。
お母さんと作ってる時はすごい楽しかったんじゃないですか?そうね。
料理の基本は全部母から教わったのよ。
あともうちょっとね。
何か僕いつも…1人でねお菓子を作ってるじゃないですか。
2人で作ると何かすごく楽しいですね。
私もお手伝いがいてくれてうれしいわ。
シュトゥルーデルはウィーンっ子の母の味。
スザンネさんもよく息子さんたちに腕を振るいました。
母さんのおやつが大好きだった長男。
2年前病気で亡くしました。
彼と一緒にお菓子を作ったのだそうです。
(スザンネ)さあここからが大事よ。
テーブルでやるんですねこれ。
どうですか?生地を少し麺棒でのばしたあとは…。
これ…こうやってのばすんですか?えっ?初めて見ました!えっ?こうやって引きのばしていくの。
すごいすごいすごい!結構うまくいってるわ。
すごい!とにかく薄くしなくちゃいけないの。
生地の下に新聞を置いたら文字が透けて読めるくらいじゃなくちゃ。
生地が薄いほど表面はパリッとして中はしっとりの絶妙な食感になるんです。
真ん中はもうかなり薄いですね。
怖い怖い怖い!ええっ?この生地で具を巻くからシュトゥルーデル。
先ほどのキプフェル・ブレーゼルとリンゴを載せて…。
えっ?テーブルクロスを巻き簾のようにして巻き上げます。
うお〜!ものすごく大きい春巻きみたい。
こっちを持ってくれる?気を付けてね。
怖い怖い…。
怖い!そしたらUの字に載せるわよ。
OKOK…。
お〜!あとはオーブンで30分。
お〜!こんがり。
うわっすげえいい音。
パリッパリ。
ヨハン・シュトラウス2世のカフェスイーツ…Danke.頂きます。
人づきあいが苦手なワルツ王。
どんなお味を頂いたのかしら。
おいしい!私たちはシュトゥルーデルでお客をもてなします。
コーヒーと一緒に今日みたいにね。
昔も同じですよ。
すごく温かい感じがしたんですよものすごく。
何か懐かしい感じが。
だから…ひいおじいさんももしかしたら安心できるというかほっとできる食事だったのかなっていう…。
彼もほっとした事でしょう。
甘くてやさしい味ですからね。
孤独なワルツ王のキプフェル・ブレーゼル・シュトゥルーデル。
それは残り物のパンを使った素朴な母のおやつでした。
次に向かうのは24年前に出来たカフェだとか
何だこれ。
何だこれ。
まるで植物に侵食されたような建物。
不ぞろいな市松模様の装飾。
窓からは木が生えています。
おまけに地面はでこぼこ
何か遊園地の…一角みたいな感じですね。
1991年ウィーンの芸術家が手がけたカフェ。
もともと家具工場だった建物をリフォームしました。
今ではウィーンの観光名所にもなっています。
これ…これ座れって事ですか?座りにくいでしょ絶対にこれ。
ほら!こういきますもん。
こう…ほら。
作ったのは画家フンデルトヴァッサー。
自然界に存在しない直線は神への冒とくという信念を生涯貫きました。
カフェの2階は彼の美術館になっています。
うん?日本語っすねこれ。
彼はユダヤ人の母の手一つで育てられました。
小さな頃は押し花が大好き。
花の美しさをとどめたいと絵を描くようになりました。
彼が10歳の時ナチス・ドイツがオーストリアを併合。
ユダヤ人の母と彼の人生は激変します。
住む家を追われて地下室で息を殺す毎日。
69人もの親戚がナチスに連行され殺されました。
戦争が終わった時美術への気持ちがあふれ出します。
当時は復興の建設ラッシュ。
無機質な建物が街に次々と増えていました。
まるで刑務所のような建物。
彼の目には街が血を流し悲鳴を上げているように見えます。
人間にとって建物は体を守る皮膚のようなものだ。
彼は建築に関わりたいと強く願うようになります。
植物との共存自然界には存在しない直線の排除こそがフンデルトヴァッサーの建築に対する信念でした。
このカフェは気に入りましたか?楽しい気分になるカフェだなと思ったんですけど…。
建物が有機的な曲線で出来ているから気持ちいいんです。
実はフンデルトヴァッサー自身もこの波打つ床を歩くのは大変でした。
でもこの床でユーモアを交えた主張をしたかったんです。
権力者や国エンジニアやデザイナーの言いなりの暮らしはやめよう。
訪れる人にちゃんと目を覚まして五感で感じてもらうためなんです。
直線を恐れ嫌ったフンデルトヴァッサー。
そのカフェは人本来の自然な生き方を呼び覚ましてくれる場所です。
夜ひときわにぎわいを増すカフェがあります。
お客の目当ては焼きたてのご自慢スイーツ。
なぜか夜にしか出されません。
ここのブフテルンはオーストリア一だよ。
味がとてもいいんだ。
ここは居心地がいいんです。
そうしたら「ブフテルンでも食べようか」となります。
お客さんが口々に絶賛するブフテルン。
ふんわりもっちりとした食感に甘酸っぱいプラムのジャム。
夜限定の評判のお菓子。
一体どんなお菓子なのかしら?
そのカフェは街の中心地路地を入った所にあります
これですね。
おお!1939年創業のカフェ・ハヴェルカ。
店は朝8時から夜中の2時まで。
一日のうち1/4はお店が開いています。
ウィーンっ子はもちろん内外の作家や芸術家にも愛され彼らの居場所となり続けてきました。
Thankyou.You’rewelcome.すごいいい雰囲気のお店ですね。
そう。
店が出来た頃のままですよ。
時間が止まってるみたいな感じがします。
ポスターもいっぱいありますね。
(ミヒャエル)10年前のもので祖父父兄と私です。
私たち家族の結束力は強いんです。
ほかの方法では店は続けられなかったでしょう。
このカフェ最大の特徴は親子3代で守り続けてきた事。
今は亡き初代レオポルドヨゼフィーネ夫妻がこの店を開きました。
店の名物夜のブフテルンはヨゼフィーネの手作りでした。
92歳で亡くなる前の日まで毎日焼いていたそうです。
どんな方でした?おばあちゃんは。
「飴と鞭」という言葉がありますよね?飴の次は鞭です。
厳しかったですよ〜。
でもその中にいつも愛情がありました。
今店のブフテルンを受け継いでいるのは息子のギュンターさん。
早速秘伝のレシピ教わっちゃいます
イーストに混ぜる材料は全部温かくしておくんだ。
冷たいとシュッとしぼんじゃうからね。
ふんわりもっちりの食感はイーストの扱いがコツだそうです
お〜何か…。
そして一番大切なものそれは…塩だよ。
料理を作る時はお客に「なんてすばらしい!」と言わせたいだろ?でも塩が入らないと…オエッ。
ほかにももちろんちょっとした秘密はありますよ。
でもそれはないしょ。
ギュンターさんは母が作る姿を脇で見て作り方を覚えました。
今もレシピは母ヨゼフィーネの頃のまま。
中身もプラムのジャムに決めています。
僅かな小麦粉と砂糖で作れて腹持ちがよいブフテルン。
ブフテルンはボヘミアの家庭に伝わるお菓子です。
初代のハヴェルカ夫妻は共にボヘミア移民の家の生まれ。
ウィーンのカフェで働いていた時知り合いました。
夢は自分のカフェを持つ事。
結婚して程なく念願の店を構えます。
20代の若さでした。
戦争がブフテルンを出すきっかけでした。
空襲で街が廃虚となった中店は奇跡的に焼け残ります。
街の人には温かい食べ物と居場所が必要でした。
2人はいち早くカフェを再開しふるさとのおやつを焼き始めたのです。
2人に家はなく店の奥に寝泊まりしながら交代で一日中働きました。
昼間はレオポルドがカフェに立ち祖母は睡眠。
夕方4時に交代です。
祖母はそこからブフテルンを作り始めました。
当然時間もかかるので焼き上がりがいつも夜中だったんです。
夜中のブフテルン。
それは夫婦が必死で店を切り盛りしてきた証しです。
ヨゼフィーネは92歳レオポルドは101歳で亡くなるまで2人は店に立ち続けました。
夜8時ヨゼフィーネのブフテルンが今日も焼き上がりました。
頂きます。
あっうん!
(アミール)Good?焼きたてのホカホカが最高のもてなし。
夫妻が亡くなったあともブフテルンは夜にだけ出すと家族は決めました。
そこには2人の志を受け継ぐ息子や孫の気持ちが込められているのです。
2人は自分たちが何をしているのか分かっていました。
人生をカフェにささげていたんです。
何事にも屈せず続ける事。
それがお客さんに力を与えていたんだと思います。
強くない人たち成功していない人たちの励みとなったんです。
これがカフェですよ。
掛けがえがない店です。
旅の終わりに僕は再びレシャンツさんのもとを訪ねました
よっしゃ。
オリジナルケーキを作るためです
さあ何を作ろうか?ウィーンお菓子と日本のお菓子の融合ができたらなと思ってます。
まあチョコの…ムースがあって何かあんこがあって…。
ウィーンと日本の伝統の味が溶け合うケーキになるね。
コージトルテだ。
チョコクリームとチョコ味のスポンジはレシャンツさんの味ウィーンの味
さあ次は豆の出番だよ。
君の豆だ。
その上に僕のあんこを載せていきます
よっ!あっすごい!何か見た事がない今までに。
もう一つ用意したのは抹茶。
ケーキを飾るホワイトチョコにブレンドします
このケーキはある人に贈るつもりです。
この旅で一緒にお菓子を作ったシュトラウスさんご夫妻です
習ったばかりのバラの花に感謝の気持ちを込めます

お菓子が好きだった息子さんは生きていれば僕と同い年と聞きました
素材も彼が好きだったダークチョコだったりお母さんと息子さんの思い出の味。
同い年だったっていうのを聞いて僕にできる事ないかなと思った時に息子さんを近くに感じれるケーキを作りたいなと。
これはきれいだ。
うれしいね。
びっくりだよ。
見習いの最初からこんな見事なバラを作った人は見た事がないよ。
エヘヘッ。
ウィーンの思い出を込めたコージトルテの完成です。
シュトラウスさんは喜んでくれるでしょうか?
こんにちは。
Hello.ちょっと開けてみて下さい。
何かしら?あら!とても大きなケーキ!うわっきれ〜い!よかった。
ピンクのバラのコージトルテ。
ウィーンのチョコクリームと日本のあんこが出会った味わいはいかがかしら?どうぞ。
ちょっと味見してみて下さい。
どうですか?うんとてもおいしい。
おっ!いい味だよ。
よかった〜。
中に挟んであるのは何かしら?ああ。
これは日本のあんこ。
ああそう。
知らない味がしたの。
そこが面白いと思ったの。
濃密すぎず軽やかになってる。
チョコクリームだけだったらもっと重くなったでしょうね。
チョコクリームは息子が大好きだった味だよ。
私は息子と料理したのをずっと思い出していたの。
彼は甘い物が好きで一緒に作ったのよ。
きっとおいしいと言ったでしょうね。
ああ。
よかった〜。
本当にありがとう。
とても心が籠もってるわ。
優しいのね。
ありがとうございました。
よかったです。
カフェの街ウィーン。
何だか心が温まるのは人の気持ちがにじみ出ているからだと知りました。
日本でもそんな出会いを探したい。
そこにはどんな秘密が待っているでしょうか?
2015/01/03(土) 21:00〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまどスピンオフ ウィーンの甘い秘密〜カフェめぐりの旅〜[字][デ][再]

ウィーン・カフェ&スイーツの秘密の物語がたっぷり♪大作曲家の謎スイーツ再現や家族三代の名物カフェなど続々登場…レシピはグレーテルのかまどHPとデータ放送で公開!

詳細情報
番組内容
音楽・美術・ウィーン菓子…今も愛され続けるウィーン文化はカフェで育まれた。カフェをめぐりその魅力を美しく紹介する「グレーテルのかまど」スピンオフ企画。ウィーンならではのコーヒーアレンジやスイーツに舌鼓!芸術家が愛したカフェのひみつを探ったり、ウィーン菓子の巨匠に入門して新作ケーキに挑戦したり。家族三代のカフェ愛情物語も!番組内スイーツのレシピは番組HPとデータ放送で公開♪出演:瀬戸康史、キムラ緑子
出演者
【リポーター】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – グルメ・料理
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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