(産婦人科医)手も足も元気に動いてますね。
順調ですよ。
(カメラのシャッター音)
(但馬)須賀茜。
旧姓嘉茜さん。
あなたのお嬢さんですね?
(嘉郁子)ええ。
立ち入った事をお聞きしますがお嬢さんのお腹の子の父親はどなたですか?藪から棒に…。
お嬢さんは1年ほど前にご主人とお子さんを亡くされてますね。
再婚はしてらっしゃらない。
しかし妊娠している。
ひょっとして恋人が出来たんでしょうか。
ならばその方の名前を教えて頂けませんか?嘉博士。
まさか父親は存在しないなんて事はありませんよね?
(尾野)認めた!?
(但馬)ああ。
全て事実だと認めたよ。
つまり匿名の告発文書どおりですか?
(但馬)そういう事だ。
なんて事だ…。
もはや我々の手には負えんな。
(羽鳥)あれ?先生。
お出かけでしたか。
うん。
ちょっと野暮用。
あっ羽鳥くんあとで部屋に来て。
はい。
(郁子)茜?捜しちゃったじゃないの。
茜?茜!茜…!茜!
(須賀茜)ごめんね。
ママ…。
(嘉隼斗)ママ。
何もこんな時にぶたなくたって…。
命粗末にしないで。
(クラクション)
(郁子)どうしたの?
(隼斗)ちょっとそばを通りかかったから。
そろそろ帰る頃かなあと思って。
ふーん。
どう?調子は。
調子って?調子は調子さ。
仕事は順調?おかしな事聞くわね。
そうかな?
(ため息)まさかあなたが神様に溺れようなんて思わなかったわ。
溺れるなんて言い方やめてくれないかな。
じゃあ迷える子羊かしら?怒るよ本当に。
それよりなんか変わった事あった?え?例えば職場で…とかさ。
やっぱりあなたの仕業か。
何が?文科省の課長に茜の事聞かれたわ。
へえ…なんて?お腹の子の父親は誰だ?って。
どう答えたの?本当の事を言ったわ。
(隼斗)え…?父親なんて存在しないって。
まずいでしょそんな事言ったら。
本当の事だもん。
捕まるよママ。
ママは捕まらないと思う。
(隼斗)え?だって捕まえたら事実が公になっちゃうもの。
世界中をニュースが駆け巡る。
インパクト強すぎるわ。
事実を隠蔽するっていう事?うん。
そのほうが平和だもん。
間違ってるよママは。
もうその議論はいい。
もう始まっちゃてる事なんだもの。
今さらそんな議論してもなんにもなんないわ。
ああ茜は順調よ。
(郁子)あと4か月もすれば生まれるわ。
上がっていく?ご飯まだでしょ?なんか作ろうか。
いい。
そう?ありがとう。
助かったわ。
二度と妙なまねしないでちょうだいね。
冒涜だよ…。
(携帯電話)
(片山雛子)片山です。
(長谷川宗男)ああ長谷川です。
ご依頼の件判明しましたよ。
(雛子)お待たせしてすみません。
お電話しました片山です。
あっ嘉です。
どうぞこちらへ。
いえ…。
あっそう。
長谷川です。
よろしく。
(隼斗)どうも。
座って。
お楽に。
やっぱりすごいですね。
はい?慎重にしたつもりでしたけどこんなに早く身元がばれちゃうなんて。
悪い事は出来ないよ。
ですね。
でも平気です。
悪い事はしませんから。
あなたが文科省に送った告発文ですが…。
(隼斗)どう対処するんですか?まあ落ち着きなさいよ。
あっ…はい。
「バイオテクノロジー研究所の主席研究員嘉郁子は娘茜の息子瑠偉の体細胞からこしらえた人クローン胚を娘茜の胎内に移植した」「これは『ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律』第3条に違反する行為である」「速やかに対処されたし」あなたが送ったものに間違いありませんか?はい。
(長谷川)つまり君は母親を告発したわけだ。
そうです。
どうして?何がですか?だって身内じゃないの。
身内だろうが許されない行いをしたわけですから。
そう…許されない。
そういう事はしちゃいけないと法律に書いてあるね。
法律以前に神への冒涜です。
神か…。
それよりどう対処するんですか?だからこうして対処してるんだよ。
は?君は今後一切この事は口外しない事。
約束してほしい。
どういう事です?
(告発文書を破る音)ここに書かれているような事実はなかった。
そういう事にしたいの。
なぜですか?この事実が明るみになる事は好ましくありません。
国内外で物議を醸す事は間違いないからね。
だから見て見ぬふりをすると?大人の対応かな?要するに母は糾弾されないんですね。
何もないのに糾弾のしようがないでしょう?罰も受けない…。
我々の苦しい立場もわかってほしい。
この事は忘れてもらえるね?お話がそれだけなら。
騒いでも誰も得をしません。
無用に傷つくだけ。
賢明な判断を期待しています。
このまま口をつぐむと思いますか?生真面目な青年だそうです。
しかも確固たる信仰を持っている。
理不尽な要求と上手に折り合いをつけられるタイプではないでしょう。
厄介ですね。
ま…多少彼が騒いだところで真に受ける人間はいませんよ。
…かもしれませんが。
それより…雛子先生。
僕をややこしい事に巻き込まないでくださいよ。
お暇だと伺ったもので。
暇ですよ。
警察庁長官官房付きという冷や飯食らいですから。
次なる重要ポストへ向けて待機中と伺っております。
ハハ…ご冗談を。
皆さんは羊のドリーをご存じですか?1996年にイギリスで誕生したクローンの羊です。
体細胞核移植という画期的な技術によって生まれたドリーは世界を震撼させました。
なぜならその成功によって人間のクローンも夢ではなくなったからです。
事態を重く見た各国は法律でクローン人間を規制しました。
アメリカもイギリスもドイツもフランスももちろん日本もクローン人間をつくる事を禁じています。
ところがあと数か月でこの日本に禁じられたクローン人間が誕生するんです!本当です。
体細胞クローンです!法律で禁じられたクローン人間です。
これは絵空事じゃありません!絵空事じゃないからこそ禁止する法律があるんです!政府はクローン人間が誕生するかもしれないという事を知っています。
知っているのに隠すつもりです!本当の事です!信じられないかもしれないけどこれが事実です。
どうか…信じてください。
本当に…本当の事なんですから。
(隼斗)「皆さんは羊のドリーをご存じですか?」「1996年にイギリスで誕生したクローンの羊です」
(神戸尊)やっぱりありましたよ。
(角田六郎)今はみんな撮影機器を持ち歩いてるような時代だからねえ。
なんでも簡単に撮れちまう。
撮ったら誰かに見せたくなる…。
それが人情ですからね。
クローン人間ねえ…。
本当につくれるのかねえ。
(杉下右京)つくれるからこそ法律で禁止されている…。
彼の言うとおりですよ。
技術的には可能です。
決して絵空事ではない。
実際牛や豚や羊とかペットの猫なんかもクローンがつくられてますからね。
同じ哺乳類の人間だけつくれないわけがない。
しかし…人間なんかつくっちゃいかんだろう。
どうして?どうしてって…それはもはや神の領域だよ。
神の領域か…。
じゃあお前はつくっていいと思ってるのか?いや…人間が再生出来たらいいなって思わなくもないですけどね。
どんな技術であれもう一度その人間に会えるなら僕は神様を怒らせてでもその技術を支持しますよ。
(パトカーのサイレン)
(伊丹憲一)どうして殺しは減らねえのかなあ…。
(芹沢慶二)何も殺さなくたってねえ。
(三浦信輔)話せばわかるってか。
(伊丹)おお。
(米沢守)どうもご苦労様です。
左脇をひと突き。
肺から心臓に達してます。
(島崎ミホ)私たちボランティアで幼稚園や保育園の子供たちに絵本の読み聞かせをやってるんです。
今日もその日だったんですけど嘉さんが来なくて…。
連絡もつかないし…だから来てみたんです。
何度かベルを押したけど応答がなくて…。
玄関の鍵が開いてたもんで私…。
(携帯電話)中に入ってみたら…嘉さん死んでて…。
失礼。
(携帯電話)はい伊丹。
ああ…。
何!?わかった。
犯人が自首してきた。
(三浦・芹沢)えっ?
(携帯電話)もしもし?
(茜)「ママ…」茜?
(茜)「こっち来て…」え?こっち?
(茜)「隼斗のとこ」隼斗の?今あなた隼斗のとこいるの?何時…?あっ2時じゃない。
あなたいつ隼斗のとこ行ったの?
(茜)「いいから来て!」え?なんなの?どういう事?
(茜)「殺しちゃった…」え?
(茜)「お兄ちゃん殺しちゃった」あっ運転手さん。
(運転手)はい。
この辺でいいわ。
(運転手)はい。
(郁子)どうして…?ねえどうしてこんな事…。
隼斗がいけないのよ。
訳言ってちょうだい。
(ため息)
(隼斗)「皆さんは羊のドリーをご存じですか?」邪魔するんだもの隼斗の奴…。
だから…。
私…捕まっちゃうね。
刑務所だねえ。
裁判あるからたぶん産んでからだね入るの…。
出てくるまでママこの子の面倒見てくれるよね?ねえママ…。
ねえ…何時にここに来た?え…夜中の1時ぐらい。
部屋でネットやってたらこれ見つけて頭に来ちゃって…。
車いつものとこ?うん。
公園の脇。
誰かに見られた?ううん。
夜中だし…。
この部屋に入るところは?ううん。
わかった。
じゃあね今からママのいう事をよーく聞いて。
(アナウンサー)「警察官が駆けつけたところ背中を刃物で刺されて倒れている男性の遺体が見つかりました」「調べによりますと発見されたのはこの部屋に住む嘉隼斗さんで警察は殺人事件と見て現在捜査を進めています」「えーたった今入ったニュースです」「えー嘉さん殺害の犯人と名乗る人物がたった今自首した模様です」「えー嘉隼斗さんを殺害したとして先ほど自ら交番に出頭したという情報が入って参りました」「また詳しい情報が入り次第お伝えして参ります」ああ。
ニュースご覧になりました?ええ見ました。
犯人が自首をしたとか。
これがまた厄介で。
犯人は嘉郁子だそうです。
え…!?わかったぞ。
自首してきたのは嘉郁子。
被害者の母親だ。
母親ですか!?ああ。
現在方南署へ護送中。
だが…俺は犯人が別にいると思うけどなあ。
はい?だってそうだろう。
ガイシャの嘉隼斗は政府の隠し事を暴露したばかりだぞ。
暴露って例のクローン人間誕生の事?その直後に殺害されたとなれば政府による謀殺を疑って当然だろう。
えっ…ええ!?『X‐ファイル』じゃあるまいし。
あっ。
俺の推理を馬鹿にしたね。
いやそもそもさクローン人間なんていうのが『X‐ファイル』の世界だろ?だったら犯人は政府だよ。
政府による陰謀って相場が決まってる。
あんたどう思う?さあどう思うと言われましてもまだ何かを判断するほど材料がありませんからねえ。
うーん…単なる子殺しじゃあ話が締まらないと思うがなあ。
やややや…。
どうした?いや試しに嘉郁子を検索してみたんですけど珍しい名字ですからこの人で間違いないと思います。
分子生物学と細胞生物学の学者ですよ。
なるほど…。
なるほど。
となると単なる子殺しではないかもしれませんねえ。
うーん確かに…っていうかどういう事?いや分子生物学や細胞生物学はクローン技術と密接に関係してますから。
なるほど!
(ノック)
(三浦)あっご苦労さん。
警視庁の伊丹です。
三浦です。
芹沢です。
嘉です。
嘉郁子さん。
ええ。
早速ですが…。
ちょっと待った。
出た…。
ああ〜。
お疲れ様です。
どうも。
どうもじゃありませんよ。
どうして我々の邪魔をするんですかねえ?特命係さん。
邪魔なんてとんでもない。
ここで静かに見させて頂くだけですよ。
静かに?ええ。
見させて頂く?はい。
どうぞ戻って聴取を。
フン。
殊勝な事おっしゃってますけどねえどうせまた聴取の途中で乱入してきたりするでしょう?到底信じられませんねえ。
ま…どうぞ。
おいなんだよ。
見学だ。
すいませんが刑事見習いが…。
(芹沢)見習い?2名ばかし聴取の模様を見学しますがお気になさらずに。
わかりました。
おいどういうつもりだよ。
途中で乱入されるよりこっちのほうが精神衛生上いいだろ?いいか?見習い。
静かに見させて頂きなさい。
(せき払い)では改めて嘉郁子さん。
はい。
(三浦)職業は研究員だと伺いましたが…。
バイオテクノロジー研究所に勤務しています。
具体的なお仕事の内容は?クローン動物の研究開発をしています。
クローンっていうとあの複製しちゃうやつですか?ですね。
息子さんの隼斗さんは独立して一人住まいだったわけですか?そうです。
その息子さんつまり嘉隼斗さんを殺害したという事で自首されたわけですが…。
なぜ殺したりしたんですか?なぜ?殺害の動機です。
生きてる資格のない子ですから。
確かに隼斗は一人暮らしでしたが独立してというのは当たりません。
私が家賃を払ってましたし。
(郁子)早く定職に就けって言ってもちっとも言う事を聞かなかった。
そればかりか宗教にはまってしまってここ数年は私や娘を非難するようになりました。
非難というと?私が結婚を全うしなかったのを激しく糾弾したり娘にはもっとむごい非難を浴びせていました。
(三浦)むごい非難とは?娘の夫と息子は1年ほど前に釣り船の転覆事故で亡くなったんですが隼斗はそれを娘のせいだと…。
娘さんのせい?どういう事ですか?娘の精神が邪悪なせいで天罰が下ったんだと…。
なんの根拠もない非難です。
でも隼斗はあたかもそれが真実であるかのように娘を非難しました。
嘆き悲しむ娘の心を狂った刃でえぐったんです。
(郁子)彼はすっかりおかしくなってました。
もはや私の産んだ隼斗ではなかった。
偽善という仮面を被った怪物でした。
だから…殺しました。
彼を産み落とした母親としての責任がありますから。
殺す事で母親としての責任を果たしたと?そのつもりです。
一つだけよろしいですか?見習いは黙れ〜。
失敬。
いいえなんですか?聞きたい事があるんならどうぞ。
そうですか?ではお言葉に甘えて…。
個人的な興味なのですがずばりクローン人間というのはつくれるものでしょうか?技術的には十分可能だと思いますが。
ちなみにあなたの知識と技術でもそれは可能でしょうか?私ばかりでなくこの分野に携わる研究者なら誰でも可能ですが。
そうですか。
以上です。
そっちの見習いも聞きたい事があったら聞けば?あっ僕は結構です。
あっそうですか。
じゃあ続けましょうかね。
おい芹沢。
(芹沢)はい。
では殺害に至る状況についてお話を頂けますか?ゆうべ帰宅したら娘が泣いていました。
訳を聞くとまた隼斗に非難されたようでした。
娘さんが非難されたというのは例の「転覆事故が天罰」とかいうやつですか?いいえ。
実は娘は今妊娠しています。
その父親が誰かを娘は頑なに言おうとしないんですが。
父親が誰かを言おうとしない。
察するに不倫の結果ではないかと…。
恐らく相手は妻子持ち。
そのうえ娘はその子を産もうとしてるんです。
それが隼斗には我慢がならないらしくて娘をふしだらな女だと非難しお腹の子を悪魔の子だと罵りました。
なるほど。
娘は今大切な時期です。
精神的な動揺はお腹の子にも影響を与えます。
だから私は決心しました。
(郁子の声)深夜の突然の訪問に隼斗は迷惑そうでしたが私は構わず上がり込み彼を叱責しました。
あああんたもあんたの娘もろくでなしだな。
そろってひざまずいて許しを乞うがいい。
どうしてそんなふうになっちゃったの?前は優しい子だったのに…。
こんなものにうつつを抜かしてるからよ。
ちょっ…何すんだよ。
ぐわっ…!そうやって私は隼斗を殺しました。
ええお願い出来ますか?お安い御用です。
あの…この事件はすでにホシが名乗り出ていてまもなく逮捕という手はずになっていますがまさか根底から覆ったりする可能性があったりしますか?はい?いや…杉下警部が乗り出してるとなるとなんだか落ち着かないというかおちおち鑑識資料をまとめていられないというか…。
何やらご迷惑をおかけしているようで恐縮ですが実際のところまだなんとも言えません。
なるほど。
もし何かわかれば真っ先に米沢さんにご連絡します。
わかりました。
では早速お送りします。
よろしくどうぞ。
(メールの着信音)どうぞ。
どうもありがとう。
ここに倒れてたわけですね。
でロザリオはここに落ちていた。
こうしてロザリオを拾おうとした時左脇をグサリ。
その場でバタッと倒れるとちょうどロザリオは胸の辺りで下敷きですね。
嘉郁子の供述どおり。
ところでなぜ嘉郁子はロザリオを投げつけたのでしょうねえ。
それは怒り心頭だったからじゃないですか?何よこんなもの!っていう具合に…。
しかし彼女は嘉隼斗がロザリオを拾おうとした瞬間を狙って左脇を刺しています。
ええ。
怒り心頭だったわりには非常に冷静ですねえ。
そもそも相手の大事なものを投げつけるなんていう時は相当逆上している時です。
逆に初めから背中を狙うつもりでロザリオは背中を刺すためのおとりだったのかも。
なるほど!つまり逆上してロザリオを投げ捨てたように見せかけた。
それは背中を向けさせるための策略だった。
ええ。
それなら実は冷静なわけですからこうかがんだ瞬間を待ち構えて左脇をグサリ…。
しかし…。
なんでしょう?そもそもなぜ背中を狙うんですか?ああ…。
何もひと芝居打ってまで背中を狙わずとも刺すところなら山ほどあります。
仮に心臓を狙うのであれば正面からのほうが…。
いやいや。
正面からだとよけられちゃう恐れがあるでしょ。
なるほど。
納得しました?…してないようですね。
それにしても…。
娘が妊娠中っていうのが気になりません?クローン人間ですか?ええ。
どんな動物のクローンをつくるにしても卵子と子宮は必要ですからね。
つまり嘉博士は娘の卵子と子宮を使ってクローン人間をつくっているという事ですか?殺された嘉隼斗はあと数か月でクローン人間が誕生するって叫んでましたよね。
状況的にはそれと微妙にマッチしてません?分子生物学者の母親と妊娠しているその娘…。
しかも嘉郁子の供述ではお腹の子の父親は不明だと。
なるほど。
確かに符合していますねえ。
どこかに黒いコートありませんか?えっ?丈の長いやつ。
コートがなんです?公園で叫んでいた時嘉隼斗は確か黒いダウンのロングコートを着ていました。
そうでしたっけ?見当たらないんですよ。
証拠品として押収されたのでしょうかねえ。
(携帯電話)ん…?はいもしもし米沢ですが。
えっ?いやそのようなものは押収してませんが。
そうですか。
どうもありがとう。
やはりこの部屋にあるはずですがねえ。
ないですね。
本当に黒いダウンのコートでした?確かめてみましょうか。
動画がアップされてましたよね?あっはい。
あれ?おや…。
もう削除されてる。
ええ。
削除依頼の出されるような動画じゃないし…。
投稿者が自分で削除したのかも。
まあ戻ったら確認してみましょう。
僕パソコンにダウンロードして保存してありますから。
どうも。
とりあえず削除はしました。
どうやって削除したんですか?まあいいじゃありませんか。
ハッキングですか?パスワードを不正に入手して勝手に削除した。
実は私知らないんですよ。
なんとしても削除しろと命じただけで。
なるほど。
しかし一旦インターネットに載ってしまった情報は完全に消し去る事は不可能ですからね。
で嘉郁子のほうはどうなんですか?息子殺害はクローンの件とは関係ないようです。
供述でもクローンの件には一切触れてません。
本当にクローンと無関係なんでしょうか?さあそれはなんとも…。
無関係であってほしいですね。
(郁子の声)もう一度言ってみて。
(茜)私は妊娠の事で兄にひどく罵られました。
ふしだらな女だと蔑まれお腹の子は悪魔の子だと言われました。
そう。
それから?私は傷ついて泣きました。
そこへ母が帰宅して訳を聞かれました。
私が訳を話すと母は激怒しました。
今まで見た事のない怖い目をして…。
でもすぐに母は落ち着いて私が眠るまでそばにいてくれました。
朝起きると母は朝食を作っていました。
いつもと全く様子は変わりませんでした。
そのうち母は出かけてくると言って家を出ました。
母が兄を殺して自首した事を知ったのはテレビのニュースででした。
いいわよ。
それから?兄は何年も前から人が変わってしまいました。
私や母の事をことごとく糾弾するようになったんです。
母の結婚の失敗を責めたり私が夫と息子を事故で亡くしたのも私の精神が邪悪だからと私の責任のように言ったり…。
兄はもう昔の兄ではありませんでした。
全然別人でした。
そう。
いいわね?ママが自首して取り調べを受けたあと必ず刑事があなたのところに来て裏づけを取るわ。
そしたら必ず今言った内容を答えるの。
わかったわね?うん…。
ごめんねママ…私のせいで…。
(中園照生)供述内容の裏づけもほとんど取れましたし現場検証の結果ともほとんど一致していますので逮捕状を取ろうと思います。
(内村完爾)そうか。
スピード解決だな。
結構結構。
(中園)ホシが事件直後にすぐ自首してきましたので。
いいんだよそんな事は。
我々は事件を速やかに解決した。
そこを強調するんだ。
なーに遠慮する事はない。
(笑い声)はっ。
(チャイム)
(チャイム)はい。
「あっ警視庁の神戸と申します」「少々お話伺えませんか?」またですか?もう何もかも話しましたけど。
おまけに家宅捜索だか知らないけど家中しっちゃかめっちゃかにして…。
このうえまだなんの話が聞きたいっていうんですか?「ですからねお話もさる事ながらお部屋の片付けをお手伝いしに来たんですよ」手伝い?「はい」「本来警察は家宅捜索の後片付けはしませんがあなたが妊婦さんだとお聞きしましてね」「しかもお1人でしょ?」「後片付けは骨が折れるんじゃないかなと」「それで参上した次第です」「つまりお話はついで」お待ちください。
存外君は嘘つきですねえ。
杉下さんほどでは。
じゃあ片付けてください。
はい。
これですよ?見てください。
うわっ結構盛大にやっちゃってますね。
これはひどい。
ここなんていいほうです。
母の部屋なんてもうむちゃくちゃです。
とりあえず放り出されてる雑誌やDVDをひとまとめにしてください。
かなりお腹が目立ちますね。
何週目ですか?25週です。
おやおや。
へえそんなに変わっちゃいましたか。
最近の兄はほとんど別人でした。
母の部屋です。
昔はとても優しくて思いやりのある人だったのに…。
そうですか。
ところでお母様はいつお帰りになったのでしょう?母が何時に戻ってきたのかはわかりません。
朝起きたらいつもどおり朝食を作ってましたから。
夜中に出かけた事すら知りませんでした。
なるほど。
他に片付けるところは?もうありません。
君の部屋は?もう片付けました。
ありがとうございました。
助かりました。
あっ洗面所をお借り出来ますか?手を…。
僕も。
階段上がったところです。
はいどうも。
それからお茶など1杯頂けたらありがたいのですが…。
わかりました。
厚かましいお願いをしてすみません。
ああ君洗面所はここですよ。
洗面所なんて行く気ないくせに…。
茜さんの部屋ですね?この部屋だけ見ないのは心残りですからねえ。
同感です。
杉下さん…。
なるほど。
彼女もあの動画を見ていたようですねえ。
神戸くん。
はい。
あっ…。
彼女のものにしてはサイズが大きすぎる気がしませんか?嘉隼斗のものでしょうか?確かめてみましょう。
あっどうもすいません。
どうぞ。
あっ…。
じゃあ遠慮なく。
いただきます。
ところでお兄さんが黒いロングコートを着てらっしゃったのはご存じですよね。
えっ?ダウンのやつです。
ええ…。
実はそのコートが行方不明なんですよ。
部屋を捜しましたが見つからない。
そうですか…。
どこ行ったかご存じありませんか?私が?ええ。
いいえ。
実は重要な証拠品となる可能性のあるコートなのでもしどこかで発見されましたらぜひご一報を。
証拠品って…どういう証拠なんですか?それは捜査上の秘密です。
ごちそうさまでした。
では。
もうこんな時間ですよ。
待ちます?まだ。
はい。
あっ…当たりですね。
ええ。
約束しましたからねえ。
真っ先にご連絡頂けるという事でしたがまさかこんな真夜中にたたき起こされて呼び出されるとは…。
じゃこれお願いしますね。
真夜中なのにお元気ですなあ2人とも。
では。
どうも。
お疲れ。
お先です。
お疲れさまです。
(隼斗)「羊のドリーをご存じですか?」「1996年に…」確かにあのコートに似てますね。
ええ。
殺害された日の昼間…。
まあ正確には殺されたのは日付が変わった深夜だから前日の昼ですけど。
彼が着ていたこのコート彼の部屋にはなくなぜか妹茜のところにあった。
さてどういう事ですかね?さあわかりませんが少なくとも意味なくコートは移動したりしませんからね。
でも嘉郁子および茜の供述によれば嘉隼斗はゆうべ妹を罵倒しに実家を訪れたわけですよね。
その際にコートを置き忘れた。
そういう事も考えられますよね。
もちろん。
しかしそれならばさっき茜さんはなぜそう言わなかったのでしょう?僕が聞いた時知らないと答えました。
もし君の言うとおりならば正直にそう言えばいいじゃありませんか。
隠す必要などありません。
確かに。
茜さんがこの動画を見ていた可能性は大いにありますねえ。
まあさっき部屋にこっそり入った時この動画が投稿されていたサイトにアクセスしたままでしたからね。
ところが茜さんは動画の件には一切触れていません。
どうもそれが引っかかるんですよ。
この件に触れていない理由があるとしたら3つですね。
1つは実はあの動画の存在を知らない。
ええ。
サイトにアクセスしたままだったからといって動画を見たという証拠にはなりませんからね。
2つ目はあの動画を見たけれどそれほど重要とは思わないから言わない。
そうですねえ。
その場合かなり鈍感だと言わざるを得ません。
最後はあの動画を見たけれど隠しておきたいから言わない。
つまり故意に黙っている。
その場合故意に黙っている理由は?都合が悪いから触れたくない。
なぜ都合が悪いのですか?嘉隼斗の言ってる事が事実だから。
つまりまもなくクローン人間が誕生するという事ですか?はい。
そうなんですよ!嘉隼斗は公衆の面前でそう叫んだその夜殺されたんです。
この事が全く無関係だとは思えませんからねえ。
君気になる事を言ってましたね。
人間が再生出来たらいいなって思わなくもないですけどね。
釈迦に説法でしょうがクローン技術では人間をつくる事は出来ても人間の再生は出来ません。
クローン技術でつくられるのは言わば遅れて生まれてくる一卵性双生児ですからねえ。
一卵性双生児の2人が全く別人格であるように生まれたクローン人間もまた元の人間と顔形やDNAは一緒でも別の人間です。
わかってますよ。
キリストやヒトラーが再生出来るのはSFの世界の話だけですから。
つまり君はSFの世界の話を可能にするような技術があるならばたとえ神を怒らせようとその技術を使ってある人を再生させてもう一度会いたい。
そういう事ですよね?君が神を怒らせてでも会いたいという人物は一体誰なのでしょう?死んだおばあちゃんとか。
僕こう見えておばあちゃん子でしたから。
そんなロマンチックな話ではなかったような気がしますがね。
(電話)はいもしもし。
了解しました。
はい。
行きましょう。
ご依頼のコートから検出された顕著な指紋は4つでした。
4つ?はい。
つまり4人の人物がつい最近このコートに触れたという事になります。
なるほど。
今からその4人の人物の名前を発表します。
お願いします。
まず1人目は杉下警部あなたです。
ええ。
確かにごく最近触りました。
2人目はお2人がこのコートの持ち主だと考えていらっしゃる嘉隼斗。
このヤマのガイシャですな。
彼の指紋が最も広範囲で見られ数も多かったです。
コートの持ち主だと断定してもよろしいですかね?結構でしょう。
そもそもサイズは男性用ですから。
なるほど。
そして3人目は須賀茜。
旧姓嘉茜です。
こちらのゴミ袋からサンプルとして採取した指紋から一致しました。
そして4人目ですが嘉郁子の指紋が検出されました。
嘉郁子の?ガイシャの母親ですな自首してきた。
なるほど。
嘉郁子の指紋も検出されましたか。
(米沢)ええ。
ごく最近このコートに触れているはずです。
(月本幸子)どうぞ。
どうも。
それではいただきます。
いただきます。
いただきます。
ご飯とお味噌汁はおかわり出来ますから。
いや〜久しぶりですなあこんな本格的な朝食は。
女房に逃げられて以来まともな朝食とってませんから。
無理を言って申し訳なかったですね。
いいえお安い御用です。
出来る事なら毎朝開店してほしいぐらいですよ。
それはお断りします。
でしょうな。
あっ杉下さん。
はい。
聞くつもりはなかったんですけど聞こえちゃって…。
はい?ですからお待ち頂いてる間にお3人でお話ししてらっしゃったでしょ?コートの謎。
聞かなかった事にしてね。
もちろんです。
でもなんか私解けちゃったみたいで。
解けた?ひらめいちゃって…ウフッ。
謎が解けたんですか?聞きたいですか?ぜひお聞きしたいですね。
殺された方の部屋にあるはずのコートがどうして実家にあったのかって事ですよね。
実家は殺した方のお住まい。
つまりですね実は殺害現場は殺された方の部屋ではなくて実家だったんですよ。
実家で殺されて遺体が部屋に運ばれた。
そういう事?そういう事。
つまり犯行現場はガイシャの部屋ではなく実家だった。
そういう事?ご名答!フフフッ。
「フフフ」って…。
となるとコートは運び忘れたとか?さすが!当たりです。
犯人は犯行後当然焦っているわけで…。
だから遺体を運ぶ時にうっかりコートを運び忘れちゃったわけですよ。
あり得ませんなあ。
犯行現場は間違いなくガイシャの部屋です。
遺体が実家から運ばれたような痕跡はありません。
ねえ?杉下警部。
なるほど。
運ばれた可能性は大いにありますねえ。
(2人)えっ?でしょ?いえ残念ながら運ばれたのは遺体ではなくコートのほうですよ。
えっ?我々はずっと嘉隼斗のみがあのコートを着るものと考えていました。
まあ持ち主ですからね。
だから部屋にコートがなく実家にあったとなると彼が実家を訪問したのだろうかという考え方になってしまう。
しかし相手はコートです。
誰が着たっていいわけですよ。
犯行時コートは間違いなく彼の部屋にあったはずです。
つまり犯行後犯人はそれを着て家に帰った。
ええ。
つまり移動したのは遺体ではなくコートのほうですよ。
(角田)おう。
(大木長十郎)おはようございます。
おはよう。
ああっ…。
おはようございます。
珍しいね居眠りなんて。
ゆうべは泊まりになってしまったものですからね。
おおそれはご苦労さん。
1人でか?はい?神戸は?あっ今着替えに戻ってます。
そう課長に一つお願いがあるんですよ。
ん…?
(雛子)ご足労頂いてありがとうございます。
(長谷川)ご無沙汰だね。
君とは色々あったが今日はその話じゃない。
極秘の話ってなんですか?まもなくクローン人間が生まれようとしています。
えっ?突然何を言ってるんだって思うかもしれないけど…。
あっいや…。
やっぱり本当だったんですね。
ほらね。
彼らは情報をつかむのが早いんですよ。
ある程度知ってるなら話は早いわ。
嘉郁子の娘茜のお腹の中にいるのはクローンですか?ええ。
誰のクローンですか?
(長谷川)その辺りはまだ知らないか。
誰のクローンですか?死んだ息子のです。
釣り船の遭難事故でご主人と一緒に亡くなった息子さん?ええ。
でも死んだ人間の体細胞からクローン人間がつくれるんですか?核の遺伝情報が残っていれば可能だそうです。
実際成功したようですし。
(ため息)どうして私にそれを?君に伏して協力を仰ごうというんだ。
隠し事は出来ないだろ。
協力って…?杉下さんはどの程度この事に関心を持ってらっしゃいますか?えっ?この事実を暴こうとしていますか?暴くも何も…。
あの人は常に真実を求めてますよ。
そう。
それが厄介なんだよ。
干されているんじゃないんですか!?僕かい?干されてますよ。
こんなところにまでのこのこ出てきて…!
(長谷川)言葉に気をつけろ。
干されてはいても階級は君よりうんと上だよ。
雛子先生とは旧知の仲でね。
少々お手伝いしてるんだ。
杉下さんを止めて頂けませんか?止める?クローンについて詮索するのを。
無理ですよ。
あの人は止まらない。
ええ。
ですから…無理を承知でお願いしてるんです。
いや…。
考えてみてください。
クローンの事実が公になった場合生まれてくる子は幸せになれると思いますか?幸せどころか普通に暮らしていけると思いますか?私たちの社会がクローン人間を何事もなかったかのように迎え入れると思いますか?
(呼び出し音)あっもしもし神戸です。
うん…。
君にちょっと頼みたい事があるんだけど。
(三浦)おい逮捕状下りたぞ。
よし!いきますか!通話記録ですか。
ええ。
課長に取ってもらいました。
(携帯電話)きました?ええ。
もしもし。
(伊丹)何勝手なまねさらしてくださっちゃってるんですか?特命係の杉下警部!ちょっと嘉博士をお借りしています。
お借りしてます?ハハ…。
被疑者を連れてどこ行くつもりですか!逮捕状はもう下りてるんですよ!?しかしまだ執行前ですね。
嘉博士にご同行を願いましたら快くご了承頂けましたので。
つまりこれは任意同行です。
あっそれからもう一つ老婆心ながら申し上げれば逮捕状の執行は少し待ったほうがいいですよ。
では。
ちょっと!「では」じゃなーい!な…なんだって?任意同行だってよ。
ええ!?ふざけやがって…。
逮捕状の執行は待てだと。
(芹沢)あ〜杉下警部が待てっていうならちょっと待ったほうがいいかもしれませんねでも…。
すいませんすいません!冗談です…。
あなた方ってどういう関係なの?愉快な仲間といったところでしょうか。
フフッ…。
逮捕状の執行を待てってどういう事?あなたは逮捕されるおつもりでしょうがそうは問屋がおろさないという事ですよ。
(内村)何?被疑者が特命にさらわれた?ですからいまだ逮捕出来ておりません。
馬鹿者!早く特命を捜せ!はあ。
いっそ緊配を敷きますか?緊急配備?はい。
大馬鹿者!そんな事をしたらいい恥さらしだ!はあ…。
(郁子)どういうつもりなの?お嬢さんにも同行をお願いするんですよ。
呼んできます。
そういう事なら私は戻るわ。
任意だったわね。
あなたがお嬢さんの身代わりで自首した事はもうわかっています。
馬鹿馬鹿しい。
どうしても戻られるというのならば止めませんが我々はこれからお嬢さんと事件の検証をします。
その際あなたがいらっしゃったほうが心強いのではありませんかねえ。
何しろ身重の体ですから。
最初に引っかかったのは殺害の手口でした。
ロザリオを投げ捨て隼斗さんがそれを拾った瞬間を狙って背中を刺したという…。
あなたの供述は一応筋は通っていましたし遺体の状況も合致していました。
…が何やら釈然としないものを感じたんですよ。
そのあとがコートです。
本来この部屋にあるべき隼斗さんのコートをあなたの家で…それも茜さんあなたの部屋で発見しました。
さらにあなたの部屋のパソコンには隼斗さんの動画を見たのではないか…その可能性を示唆する痕跡があった。
釈然としない殺害の手口コートの移動パソコンの痕跡…。
この3点から僕は一つの仮説を立てたのです。
それは嘉隼斗さん殺害の犯人が実は茜さん…あなただったのではないかと。
つまりあなたはお嬢さんの身代わりとなって名乗り出たのではないかと。
違いますか?ママ…。
(郁子)しっかりしてなさい茜。
茜さん。
失礼ですがちょっと立って頂けますか?隼斗さんはこうしてお腹に耳をあて…。
やめて…。
どうですか?今僕の背中はがら空きでしょ?この状態ならばゆっくりと狙いを定めて…。
やめて!よしなさいよ!悪趣味だわ!茜さんはこの方法で隼斗さんの背中を刺したんです。
隼斗はこの子を軽蔑してたのよ。
お腹の子を悪魔だって言ってた。
ええ。
お2人の供述によるとそうでしたねえ。
まあその真偽は別として隼斗さんが茜さんのお腹の子供を困った存在だと感じていた事は事実でしょう。
そんな相手がお腹に耳を寄せたりするかしら?さあそれは持っていき方次第でしょうねえ。
お腹の子供を否定する相手だからこそあえてお腹に耳をあてさせて説得しようとするのは妊婦としては無理のない行動ですよ。
情に訴えるわけですね。
さてコートですがこれも犯人が殺害後に身に着けて帰ったと考えると嘉博士あなたが犯人だった場合コートを着て帰る積極的な理由が見つからないんですよ。
返り血は浴びていないはず。
しかもここと自宅の往復は車。
ここから車を止めた場所まで少し離れていますからその間黒いコートを着て闇夜に紛れるという考え方も出来なくはありませんがどうも弱い。
しかし茜さん。
あなたならば合点がいくんですよ。
何しろ妊婦ですからねえ。
その特徴的なお腹を隠したいというのが人情ですよ。
若い女性を見かけたという目撃証言と妊婦を見かけたという目撃証言では雲泥の差がありますからね。
あなたが着て帰るようにおっしゃったのではありませんか?茜さんがここで隼斗さんを殺害した。
その後あなたは駆けつけたはずです。
実際に現場を見ていなければロザリオなんて思いつきませんからね。
お2人は犯行のあった夜深夜2時6分から13分の7分間携帯電話で通話してますね。
しかしお2人ともその点については供述されていません。
通常2人いればどちらかがその通話について言及してしかるべきですがどちらも言及されていませんねえ。
(郁子)うっかり言い忘れたわ。
あなたもうっかり言い忘れた?お2人の供述は判を押したように一致しています。
つまり誤った答えまで写してしまってカンニングがばれてしまうのと一緒ですよ。
ママ…。
黙ってなさい。
もういいよ…。
何がよろしいんですか?私が…。
茜!隼斗を…兄を殺しました。
あの夜パソコンで隼斗の動画を見つけて…。
「クローン人間が誕生するんです!本当です」
(茜の声)私…もう許せなくて…。
なんで私の邪魔すんの?だから君が…いや君たちが許されない事をしてるからさ。
許されないって誰に?神様?そんなのどうでもいい。
もしこれでいつか地獄に落ちるなら喜んで落ちるわよ!そういう事を言うもんじゃないよ!
(ため息)あげるよ。
ほら…。
茜…。
(茜)ねえお兄ちゃん…。
聞いてみて。
生きてるんだよ?この子…。
今一生懸命生きてるの。
聞こえるでしょ?命の音が。
それなのにお兄ちゃん…この子の事殺せっていうの?そんな事させない。
(隼斗)うっ!ああっ…!
(茜)殺しちゃった…。
え?
(茜)「お兄ちゃん殺しちゃった」それであなたは駆けつけたわけですね。
この子が捕まるんじゃかわいそうだもんね…。
ごめんねママ…私のせいで…。
あなたとお腹の子のためならママ捕まる事なんてちっともいとわないわ。
ね。
さあ…わかったわね。
今言った事忘れないでね。
さあ…もう行きなさい。
ね。
気をつけて…。
あっ!ちょっと待って。
これ…着てって。
ほら。
ね。
あなた今目立つから。
ねえ…。
用心しなきゃ。
気をつけて。
さあ…。
(郁子)気をつけて帰るのよ。
わかった?その後あなたは偽装工作を開始した。
ごめんね隼斗…。
茜の事許してね…。
ね…。
ご承知でしょうがあなたの行為はれっきとした犯罪です。
犯人隠避。
しかし親族ですから公判で恐らく免責になるでしょうが…。
責任は取る!罪を逃れようとは思わないわ。
むしろ娘のしでかした事の責任を取りたいの!ねえ見逃してくれない?この子の代わりに罰は私が受けるから!無理ですよ。
この人にそういうの通じませんから…。
ねえ見てよ見て!この子は妊婦なのよ!?まもなく子供が生まれるの!そのお腹の子供の件ですが…。
クローンだそうですね。
文科省の追及であなたがあっさり認めたと聞きました。
誰から聞いたんですか?まあいいじゃありませんか。
なぜあっさり認めたんですか?一笑に付せばよかったのに。
そう簡単に真偽を調べられるような事じゃないんですから。
疑惑がくすぶったままだといつまでも追及されると思ったからよ。
煩わしいでしょ。
いや事実を告白しても当局は手出し出来ない。
そう思ってたんじゃありませんか?そうね。
それもあったかも…。
半々ね。
実際当局はその事実を知っても腰を上げなかった。
ええ。
(雛子)困った事してくれましたね。
(郁子)捕まる覚悟は出来ています。
(雛子)あなたを検挙すれば済むという問題じゃありません。
むしろ検挙すれば騒ぎになる…。
女としてこんな事言いたくありませんがおろせませんか?もう25週目です。
中絶は母体保護法に抵触します。
ええ…。
それとも法を犯してつくった子に母体保護法は適用されませんか?そんな事わかるわけないでしょう。
誰も答えられませんよ。
そもそもクローン人間が生まれてくる事なんて想定されてないんですから。
いずれにしてもあなたの行為は懲役10年以下もしくは1000万円以下の罰金。
あるいはその両方を課せられる罪です。
わかってます。
ママは悪くない…。
母は悪くないんです。
私が無理やり頼んだんです…。
ママは人間もつくれるのよね?貴明と瑠偉をつくってよ。
それは無理よ。
2人も無理よね…。
じゃあ貴明だけでいい。
また2人で赤ちゃんつくるから。
クローンっていうのはそういうものじゃないのよ。
仮に貴明さんのクローンをつくったとしても貴明さんそのものが出来るわけじゃないの。
貴明さんと遺伝子的に同一の人間が出来るだけ。
それも赤ちゃんとして生まれてくるのよ。
貴明さんの歳になるには32年かかる。
もちろん死んだ貴明さんの記憶がよみがえるわけではない。
同じ顔でも貴明さんとは別人なの。
母は噛んで含めるように私を諭しました。
でも私は聞こうとしなかった。
じゃあ瑠偉にするわ。
え?瑠偉は貴明と血がつながってる…。
だから瑠偉のクローンをつくって貴明の息子として…瑠偉の弟として育てるわ。
それならいいでしょ?ねえ出来るでしょ?ママ。
馬鹿な事言うもんじゃないよ茜…。
あっ費用だったら心配しないで。
貴明と瑠偉の保険金が下りるから。
ねえ…あなた今混乱してるのよ。
大切な人をいっぺんに2人も失ったから。
今夜はゆっくり休みなさい。
ね。
そう…。
お兄ちゃんもうここはいいわ。
戻って。
死ぬって…案外楽勝だなって思った。
今回は失敗しちゃったけどね…。
半ば脅迫して…母に無理やりさせたんです。
プロセスはどうであれ最終的に決断したのは私よ。
ああごめん隼斗。
今晩あの子についててやってくれる?妙なまねしないように見張ってて。
ね。
(隼斗)ママこそ妙なまねしないよね?ママ!
(郁子の声)その夜私は瑠偉の体細胞を採取した。
(郁子の声)とうとう禁断のクローン人間づくりに踏み込んだの。
(郁子の声)体細胞を血清飢餓培養しその核を茜の未受精卵を加工した除核卵に移植してクローン胚を作りそれをこの子の体内に戻した。
原理は簡単。
けど成功率は極めて低い…。
成功だったわ。
奇跡よ…奇跡が起こったの!この子のお腹の中で瑠偉のクローンが育ち始めた…。
あと4か月もすれば生まれるわ!あなたがクローンの事実をあっさり認めたのはその奇跡的な成功を誇りたかったからかもしれませんねえ。
娘を思う母性で粉飾された科学者の性とでもいうのでしょうか…。
杉下さんこれは提案なんですけどこの件はここだけの話にしません?はい?クローンの件については目をつぶりませんか?どうしたんですか?急に。
嘉博士のした事は明らかに違法です。
この先無事にクローンが誕生しようが残念な結果に終わろうが関係なくすでに女性の体内に人のクローン胚を移植した時点で罪に問われます。
ええ。
日本のクローン規制法ではそうなっていますね。
残念な結果に終わったならば恐れ多くも人間をつくろうとしたマッドサイエンティストが1人いた…。
それで済みます。
実際海外にもそういう科学者や医師が何人かいてニュースになったりもしました。
しかし…無事に生まれてしまったらどうなります?嘉博士を検挙する事はクローンの事実が公になる事です。
つまり生まれてくる子供がクローンだとみんなが知ってしまうんですよ。
日本だけじゃない…世界中の人々が。
クローン人間が生きられる場所がどこにありますか?そもそもクローン人間を人間として認めますか?人権を与えますか?戸籍はどうします?何も準備されてないんですよ。
世界中どこにも受け入れ態勢が整っている場所なんてないんです。
そりゃそうですよね。
存在する事を想定されていない人間なんですから。
しかし今回その想定外が起ころうとしている。
クローン人間が今順調に育っている。
まもなく生まれようとしてるんです。
クローンだという事実を知らなければ生まれてくるのは我々となんら変わりのない人間の赤ん坊です。
しかし我々が事実を知ってしまった瞬間その赤ん坊は…怪物にしか見えなくなる!怪物が…人々にどんな仕打ちを受けるか想像出来るでしょ?君は自分のした事の罪を償わなければならない。
でも君のそのお腹の中の生まれてくる子供にはなんの罪もない!そうですよね?杉下さん。
罪を犯したのは嘉博士なんです。
でも嘉博士を検挙すると結局生まれてくる子供が罪を…いや罰を受ける事になる!だから嘉博士の犯罪に目をつぶれと…。
ダメですか?どうも…僕はそういう事が出来ない性質なんですよ。
わかってますよ…。
そろそろ戻りましょうか。
伊丹刑事たちもカンカンだと思いますよ。
いえ私は何も…。
怒らないから言ってごらんよ。
本当に知らないんで。
特命さんと仲良しじゃありませんか。
そんな事言われたって知らないものは…。
おい言え!奴らは被疑者を連れてどこ行った!?知らないって言ってるじゃないですか!
(伊丹)なんだとコラ!ちょっとちょっと!やめて!離して!やめてー!やめてー!ちょっと!シートベルトして。
(ノック)ああすいません。
神戸くん!どういう事ですか!?今俺に話しかけないで。
混乱してるから。
(アナウンス)「留守番電話サービスに接続します」君は一体何を考えているのですか?いずれにしても折り返し連絡を待っています。
ああ僕の携帯はまだしばらく切ったままにしておかねば色々とややこしいので…。
携帯はお持ちですね?はい。
嘉博士の携帯に連絡ください。
座って。
いえ。
落ち着かないから。
お茶淹れるわ。
いや結構。
なんかしてないと落ち着かないの。
さっき科学者の性って言ったわよね?はい?母性で粉飾された科学者の性。
不適切な表現だったとしたらおわびします。
半分当たってるわ。
半分?最初から功名心があったわけじゃない。
最初は純粋に娘を思っての事だったの。
だからとんでもない事をしているって自覚もあった。
だけど奇跡的に成功してみるとそんな気持ちがだんだん薄れてきて…。
この成功を吹聴して回りたい衝動に襲われるようになった。
神戸さんの言うようにシラを切り通すべきだったのに。
衝動を抑え切れなかった…。
後悔先に立たず。
しかしそれが人間なのでしょうねえ。
(携帯電話)もしもし?神戸です。
わかっています。
一体何事か話してもらえますか?杉下さんがどうしてもクローンの一件で嘉博士を検挙するというのであれば僕は今すぐ茜さんのお腹の子供を始末します。
何を言ってるか自分で理解していますか?ええ。
子供が生まれないんであればクローンの事が公になっても平気です。
嘉博士がマッドサイエンティストの一人に名を連ねるだけ。
ですから杉下さんがどうしても検挙したいというのであれば僕はそれに協力すると言ってるんですよ。
子供を始末する事が協力ですか?あなたがどうしても検挙したいと言っている以上僕が相棒として協力出来るのはそれだけですから。
二者択一です。
検挙は諦めてクローンの事には目をつぶるか検挙するために僕にお腹の子供を始末させるか。
選んでください。
君はこの僕を脅しているのですか?お願い!変なまねしないでちょうだい。
どうやら時間の無駄ですね。
検挙すればいい。
今すぐ赤ん坊を始末します。
待ちなさい!
(携帯電話の操作音)
(携帯電話)これがラストチャンスですよ。
君は今どこですか?答えを聞かせてください。
茜さんは一緒ですか?ええもちろん。
いいから早く答えを。
これ以上引き延ばすなら今度こそ本当に今すぐ始末しますよ。
いいや出来ませんよ。
殺します。
「今すぐ」殺せやしない。
え?君は今単独で行動していますね?そばに茜さんはいないのではありませんか?もし近くに茜さんがいたとしたら君がそんなむごい事言えるはずありませんからね。
かないませんねあなたには。
でも俺は本気ですよ。
あなたが考えを変えない以上今すぐじゃなくても必ず殺します。
ええ。
君の本気を疑ったりなどしていません。
さあどっちですか?杉下さん!存外ずるいですねえ君は。
君に人殺しをさせるわけにいかないじゃありませんか。
そう…僕が殺そうとしてるのは人間なんです。
怪物なんかじゃない…。
神戸くん。
今茜さんはどこですか?今は裁判が早いからひょっとしたら生まれるのは入ってからかもしれませんね。
大丈夫ですよ。
ちゃんと出産の面倒も見てもらえるし確か申請すれば1年間は新生児と一緒に過ごせるはずです。
本当に?まあもちろん「塀の中で」ですけどね。
(チャイム)あっどうも。
お話済みました?ええ。
あの…茜は?あっあの奥です。
すいません。
茜!ママ!大丈夫だった?うん?神戸さんは?さあどこにいるのでしょうねえ?いやはや…まさか娘が真犯人だったとはなぁ。
やっぱ母親逮捕しちゃわないでよかったですね。
嘘嘘嘘嘘…。
あなた犯人隠避だからね。
2年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金。
立派な犯罪ですよ。
ええ…。
ただ肉親の場合ほとんどのケースで罰が免除されちゃうんですよ。
でも罪は罪!どんな形にせよ裁判まではいくからね!わかりました。
(大河内春樹)なぜだ?理由を言え。
あえて言うなら…。
ああ。
俺はもうあそこにいる資格がないっていうか…。
資格がいるのか?特命係は。
杉下さんの大事にしているものを踏みにじったっていうか…。
わからんな。
なんでもいいから俺をどこかへやるように人事に掛け合ってください。
(ため息)まだいらっしゃったんですか。
君が神様を怒らせてでも再生させて会いたいというのは城戸充ではありませんか?
(城戸充)ああー!もはや償う術のない罪に君が苦しんでいるのは知っています。
そんな十字架を背負っているからこそ君は常に正しくあろうとしてきたと思います。
そんな君が今日また罪を犯そうと決心した。
しかし先の罪と今回犯そうとしていた罪が決定的に違うのは先の罪を君は後悔し償おうともがいているのに対して今回の罪はもし本当に犯していたとしても君は恐らく後悔する事も悔いる事もなかったのだろうという事です。
君はそれが正しいと信じて罪を犯そうとした。
心情的には君の訴えはよくわかります。
しかし…。
罪は…罪。
犯した罪を償わなければならない。
断じてそう思っています。
なのに君を説得する事が出来なかった。
これは僕の罪なのでしょうね…。
それからもう一つ忸怩たるものがあります。
はい?殺された嘉隼斗さん。
彼はあの2人が供述するような人物ではなかったのではないかと。
恐らく心優しい正しい信仰心を持つ人物だったのではないでしょうかね。
そうそう神学校から入学案内が届いてましたよ。
ミネソタ州の神学校でした。
本気で神の門をたたこうとしていた彼の歪められた人物像が記録に残ってしまう事に胸が締め付けられる思いがしますねえ。
お先に失礼します。
ああもう一つだけ。
僕は君を追い出すつもりはありませんよ。
そもそも資格などというものはありません。
人事に掛け合っても無駄だとおっしゃってました。
ちょっちょっちょっちょっちょっちょっちょっ…!なんだよ?神戸さんが異動です!何!?尊が!?なんで?だからなんだ?いやあのその…。
だからなんだと言われましても…。
神戸がどうなろうと俺は知らん!特命などに興味はない。
いちいち騒ぐな馬鹿者!…はあ。
神戸さんが動くって本当ですか?ああ突然の事で驚いたよ。
なあ?神戸さんは?今人事に行ってます。
いやわからん。
とにかく急に辞令が下りたそうだ。
そうですか…。
そもそも俺はお前が動きたいと言っても反対した立場だ。
ええ。
(携帯電話)はいもしもし。
神戸くん?長谷川です。
異動なんだってね。
あなたですか…。
杉下右京を黙らせるとはなかなかの手腕じゃないか。
俺は動く気は…。
君は前回警察庁に戻れという命令に背いてるね。
今度も命令に背いたら…クビだよ。
まあ色々あったがこれからは仲良くやろうじゃないか。
(裁判長)ではこれより審理を始めます。
被告人は名前と住所を言ってください。
須賀茜です。
うっうっああ…!
(裁判長)どうしました?ううっ…!
(郁子)茜どうしたの!?茜大丈夫?
(郁子)すいません誰か救急車呼んでください!救急車!はあ…ああ…ああー!
(荒い息遣い)うっ…ああ…!あっ。
ああ君でしたか。
法廷で倒れたって聞いて。
今オペの最中です。
お嬢さんの命に別条はありません。
ですがお腹の赤ちゃんは…。
力を尽くしましたが残念です。
すいません。
はい。
目が覚めたら知らせてください。
子供の事は私が言いますから。
はい。
天罰かしらね?はい?自然の営みに背いた…。
こうなった以上検挙しますか?彼女を。
いいえ。
しない?恐らく自首をなさるでしょう。
そして隼斗さんの人柄も含めて真実を語ると思いますよ。
それぐらいの分別はおありでしょうから。
(郁子の嗚咽)車ですか?いえタクシーで来ました。
じゃあ送りますよ。
(ため息)やめときます。
どうして?ようやく一人に慣れてきたところですから。
ではまたいつか。
ええ。
どこかで。
ええ。
じゃあ。
(クラクション)2015/01/03(土) 13:00〜15:12
ABCテレビ1
相棒 season10[再][解][字]
「罪と罰」
詳細情報
◇番組内容
クローン人間誕生に絡み殺人事件が発生!
長谷川宗男・元副総監(國村隼)と代議士・片山雛子(木村佳乃)が絡み、右京vs尊が繰り広げられる!
◇出演者
水谷豊、及川光博、鈴木杏樹
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児、神保悟志
小野了、片桐竜次
【ゲスト】真野響子、浅見れいな、窪塚俊介、木村佳乃、國村隼
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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