勘三郎三回忌特別企画「密着!中村屋ファミリー大奮闘2014」〜七緒八くん大暴… 2014.12.30


歌舞伎の名門中村屋。
涙と笑いの1年に完全密着
今は亡き勘三郎さんの孫天才七緒八君は大暴れ
(七緒八)怖い。
(勘九郎)おはようございます。
弟哲之君も歩きだしました
父の思いを継いで
舞台に掲げられた2枚の写真
三回忌を迎えた十八代目中村勘三郎さんとその父十七代目中村勘三郎さん
そこへなぜかこんな方が
(明石家)分かった。
場違い。
いやいや。
もうホントに場違いで申し訳ない。
すぐ帰りますから。
あの〜3分から5分って言われてるんです…。
今日だけちょっと15分頂きたいと思いますので。
ことし11月勘三郎さんの三回忌と十七代目の二十七回忌の追善公演が行われました
中村屋とは古くから親交のある大女優…
勘三郎さんの姉…
2人の息子勘九郎さんと七之助さんが満員の客を前に熱演しました
さらに勘三郎さんゆかりの特別ゲストを迎えての追悼コーナーも
この日のゲストがさんまさんだったのです
こちらが私は19歳のときに『高坏』というげたのタップを見させていただいて感動してあっいつか舞台でああいうことをやりたいなと思ってたらその『ひょうきん族』という番組で私が「帰ってよ」っていうギャグをやってたんですよ。
皆さん見たことあると思うけどもう記憶にないんでしょうかね。
そのときはもうすごいウケたギャグがあるんですけどもその「帰ってよ」っていうギャグをこの勘三郎さんが舞台でやってくれはったんですよ。
すごい感動したんですよ。
それでえ〜こちらお父さま。
まあ私と同い年なんですけども…。
(観客たち)え〜。
同い年なんですよ。
ごめんね。
代わりに死んだらよかった。
できるか。
何でやねん。
しゃあない。
寿命やねんからそれは。
いや…すいません。
あのこんなやつらが長生きしましてすいませんでした。
え〜まあわれわれの時代勘九郎さん。
勘九郎さんが舞台でやっていただいて。
「駄目駄目」っていうのを舞台で私のギャグを…。
「そんなこと言っちゃ駄目駄目」っていうギャグをやっていただいたんですよ。
あとはこの2人。
ええ。
これで三代ですよ。
私の「アホちゃいまんねんぱあでんねん」というギャグあるでしょ?・「アホじゃありませんよぱあでんねんぱあ」っていう…。
いやいやあの…ギャグがあるんですよ。
(池乃)ぱあ。
(明石家)ぱあ。
いい!
(勘九郎)僕たちはこうやりますね。
1カ月にわたり豪華なゲストが登場
勘三郎さんの思い出を語るにぎやかな追善公演となりました
父の背中を追い中村屋を力強く引っ張る…
挑む大きな壁
(勘九郎)こいつら今に見てろよってのは思ってた。
妖艶な美しさが女性たちの間で大きな話題となっている次男…
(スタッフ)いやでもなるんじゃないですか?実際問題…。
(七之助)でもどうだろうね。
そんな大したことじゃない。
そんなこと言ったら…。
勘九郎さんの2人の息子もこんなに大きくなりました
天才役者の呼び声高い七緒八君は3歳に
未知なる大物…
歩き始めたばかり
目が離せません
中村屋はことし大きな挑戦に打って出ました
ニューヨークで歌舞伎を公演
かつて父勘三郎さんが二度にわたって挑み大成功を収めた晴れ舞台
今度は息子たちの番です
しかし次々と襲い掛かる難題難問
いら立ちを隠せません
負けるわけにはいかない
お父さんの面に泥を塗っちゃいけないっていうのは常にありますね。
父の名を汚してなるものか
若き挑戦者の姿にニューヨーカーは熱狂し喝采
天下の『ニューヨークタイムズ』も
(勘九郎)あっホント。
辛口なの?
ニューヨークだけではありません
この1年中村屋は大きく羽ばたきました
若い力を結集し渋谷に刻んだ新たな歴史
ところが…
(勘九郎)ずっと寝っぱなし?いつから寝てる?
(スタッフ)もうず〜っと寝てます。
母愛さんも若女将として奮闘
(七緒八)大きい声だった?
(前田)大きい声だったと思う。
中村屋スピリッツをしっかりと伝えます
中村屋最古参のお弟子さん中村小山三さんは94歳に
(小山三)こちょこちょこちょこちょ…。
新たな旅立ちの時を迎えた2014年
中村屋は若き力を合わせて熱い感動を生みだしていきました
皆が勘三郎さんの思いを胸に
(七之助・勘九郎)ありがとうござりまする。
そして兄弟は聖地歌舞伎座で奇跡と呼ぶにふさわしい時を迎えたのです
それは温かな涙があふれる素晴らしき瞬間でした
ことし1月1日中村屋ファミリー恒例の新年会
勘九郎さんの長男七緒八君はこの方が大好き
(小山三)あなた太ったわね。
現役最高齢の歌舞伎役者中村小山三さん
90歳年上です
七緒八君みんなに紹介したい人がいるようです
(七之助)「みんなノリタン」って言ってるよ。
弟の…
七緒八君は最近すっかりお兄ちゃん
哲之君が泣きだすと
(好江)はい。
哲之君笑顔
見守るおじいちゃん
お節の後には真打ちが登場します
勘三郎さんも大好きだった好江さん手作りのカレーです
でも小山三さんはもっぱら雑煮
よくかんでます
2014年は勝負の年になる
このとき勘九郎さんと七之助さんは大いなる決意を胸に秘めていました
舞台は…
2014年中村屋の2人は大きな戦いに打って出ました
7月に勘九郎さんと七之助さんが中心となってニューヨークで歌舞伎を上演するのです
ニューヨーク公演といえば父勘三郎さんが二度にわたって大成功を収めました
一度目は歌舞伎専用の劇場を建てニューヨーカーの度肝を抜き二度目は何とせりふの半分近くを英語でしゃべり大絶賛を浴びました
実は今回も勘三郎さんが行くはずでした
そして主役を息子勘九郎さんとダブルキャスト
つまり日替わりで交互に演じ競い合う計画だったのです
それが一転
しかし父という大看板を失ったからといって失敗するわけにはいきません
「中村勘三郎」に泥を塗っちゃいけないっていうのはあるししかも今「勘九郎」という名前を頂いて父がずっと継いでいた名前であるんでしっかりやらないといけないなっていうのは常に思ってますね。
これは一生だと思います。
(一同)おはようございます。
この日は七緒八君の誕生日
3歳になりました
お弟子さんの中村いてうさんからプレゼント
(七緒八)手裏剣。
(前田)手裏剣だ。
(前田)いてうさんに頂きました。
遊ぶ前にまずはじじちゃまへ報告
(いてう)中村屋。
七緒八君ひとしきり遊ぶと着物に着替え1階の稽古場へ
(いてう)カメラ。
カメラです。
よろしくお願いします。
(七緒八)お願いします。
(いてう)お願いします。
憂き目会わせし時平のおとど。
存分言おうじゃあんめえか。
(いてう)桜丸来い来い来い来い…。
先人たちに見守られ芸を受け継ぎます
七緒八君は来るべき本格デビューに備えて日々稽古を積んでいるんです
(いてう)笠は?
(いてう)そっち?ば〜たっ。
(いてう・七緒八)トン。
ば〜。
(いてう・七緒八)たっ。
そして自分の演技に納得がいくと決まってこの人を呼んできます
(前田)はい分かりました。
お母さんに今日の成果を見てもらうのです
トン。
(いてう)トン。
ば〜。
(いてう・七緒八)たっ。
(七緒八)何と聞いたか桜丸。
斎世親王菅丞相。
(いてう)なるほどなるほど。
七緒八君やりきりました
自慢げです
(前田)すごいね。
きちんとご挨拶してください。
(七緒八)ありがとうございました。
(前田)違う。
そんなんじゃ…。
(いてう)ありがとうございました。
(前田)ありがとうございました。
4月東京葛飾区のホールに大きな歌舞伎のセットが出現
でもここで公演の予定はありません
ではなぜ
おはようございます。
Nicetomeetyou.
(ポール)Nicetomeetyou.
この方はニューヨーク公演の舞台の責任者
そうこのセットはニューヨーク公演のテストのためだけに建てられたもの
実はセットを建ててみないと解決できない大きな問題が立ちはだかっていたのです
なぜわざわざテストのためだけに本番さながらのセットを建てたのか
実は演目に問題がありました
今回のニューヨーク公演は…
この映像は2009年に勘三郎さんが演じたものです
見どころは…
ご注目ください
白い浴衣を着た勘三郎さん
一度消えます
と次の瞬間
まったく別の人物に変身して登場
その間わずか6秒です
早変わりとは1人の役者が常識ではあり得ないスピードで衣装を着替えまったく別の役になって登場する技
まるで大仕掛けのマジック
江戸時代から磨きぬかれてきた歌舞伎の醍醐味の1つなんです
早変わりは舞台裏が勝負
しかし
今回のニューヨークの劇場はジャズ専用のホール
歌舞伎座とはだいぶ勝手が違います
舞台裏が狭く早変わりをする場所が確保できません
舞台下の奈落と呼ばれるスペースもないのです
そこでこの葛飾区の劇場に白羽の矢が
この劇場はニューヨークのジャズホールとほぼ同じ形
限られたスペースでどう早変わりをするか実際のセットで試してみることにしたのです
それにしても勘九郎さん厳しい表情
実はもう1つ大きな問題を抱えていました
父勘三郎さんのときにはなかった試練です
串田さんとは現代演劇の重鎮演出家串田和美さんのこと
勘三郎さんの盟友で歌舞伎に現代的な味付けをしニューヨーク公演を大成功に導きました
しかし今回は伝統的な演目
演出家は付かず主役が演出も決めるのが慣例です
そのため主役は座頭と呼ばれ大きな責任を負うのです
座頭の勘九郎さんニューヨークの舞台責任者にこんな心配事を相談
歌舞伎特有の幕あい
舞台転換の間アメリカ人の客はいらいらせずに待ってくれるだろうか
まさに演出家としての悩み
しかも勘九郎さんにはニューヨークのことばかりに専念できない事情がありました
もう1つ目の前に大仕事が待ち受けていたのです
5月7日渋谷にこんなパネルが
勘九郎さん七之助さんそして…
若い3人が大きな挑戦に打って出ました
渋谷・コクーン歌舞伎です
勘三郎さんが串田和美さんと組んで20年前から渋谷の劇場シアターコクーンで始めた新しい歌舞伎
若いファンを開拓した歴史に残るプロジェクトです
しかも今回の演目は過去2回上演して大成功を収めた名作『三人吉三』
先輩たちの名演でした
この大役に若手3人が挑みます
勘三郎さんが完成させた作品
大変なプレッシャーです
正直最初に『三人吉三』という話聞いたときは反対でした。
なぜかというとやっぱり前回前々回のイメージ…僕たちが持ってるイメージっていうのがあまりにも強烈でインパクトがあってあれか…と思って。
大丈夫か?と思ったのが正直な気持ちですね。
(尾上)ええ。
じゃあもう俺帰っていいっすか?獅童さん呼んでこい獅童さん。
ニューヨークも大変ですがこちらも大変
勘九郎さんと七之助さんは隙間のないスケジュールをこなしていきます
まさに殺人的
5月いっぱいは『三人吉三』の稽古
6月1カ月が本番で中2日でニューヨーク公演の稽古
そのままニューヨークへ渡り6日間公演してとんぼ返り
長野県松本で再び『三人吉三』を6日間公演
続いて8月は歌舞伎座でニューヨーク凱旋公演と銘打って再び『怪談乳房榎』を1カ月
勘九郎さんは追い詰められます
コクーン歌舞伎の稽古が半ばを迎えたこの日張り詰めた稽古場の空気が一瞬変わります
(女性)それでは…。
(女性)おめでとうございます。
七之助さん31歳の誕生日
共演の笹野高史さんからはこんなプレゼント
和んだ時間もつかの間再び真剣勝負
親父は安森源氏兵衛だ。
勘九郎さんと松也さんの芝居をじっくりと見詰める七之助さん
そして
(七之助)「それに縄をかけるとは」「褒美のかんざし」
(七之助)もうだってそんな勘の悪い人じゃないと思うし何かその今の…。
演出の串田さんにあるせりふが説明的過ぎるのでいらないのではと提案したのです
勘九郎さんも若手に指導
何としても偉大なる先輩たちに顔向けできる作品にしなければ
若者たちは悩み芝居をつくり上げていきました
今いっときか半時の…。
(尾上)息あるうちが極楽世界。
思えばはかねえ…。
(七之助・尾上)身の上だな…。
勘九郎七之助松也3人の挑戦は実を結びます
6月6日コクーン歌舞伎『三人吉三』開幕
3人が挑戦した新しい『三人吉三』は大評判となり毎日立ち見が出る盛況ぶり
チケットは1カ月間全て売り切れという快挙を成し遂げたのです
(観客たちの拍手)
そして千秋楽のわずか5日後…
地下鉄のホームであ然とする1人の女性
視線の先には歌舞伎役者
実はこれニューヨーク公演のPR作戦
初日を4日後に控え中村屋のお弟子さんたちがマンハッタンを練り歩いたのです
劇場のそばには江戸情緒たっぷりの長屋が出現
勘三郎さんと親しかった浅草の職人さんたちが駆け付けました
また勘三郎さんの生涯を描いたドキュメンタリー映画も上映
開幕に向けて期待がどんどん高まっていきます
開演3日前
勘九郎さん七之助さん中村獅童さんら出演者が到着
コクーン歌舞伎終了後すぐさま日本で稽古をし休む間もなくニューヨークに乗り込んできました
そして今回ニューヨークに初めて降り立ったのがこのお方
勘九郎さんの次男哲之君
何かしでかしそうです
ニューヨークに登場した…
(好江)ノリちゃんご挨拶できるようになったんだよね。
「こんにちは」してみて。
「こんにちは」
(スタッフ)こんにちは。
(好江)「こんにちは」は?「おはようございます」でしょ?「おはようございます」でしょ?
(スタッフ)おはようございます。
歩けるようになったばかり
歩きたくて仕方ありません
気が気でないのは勘三郎さんの奥さま好江さん
(スタッフ)じっとしてないですね。
哲之君の「哲」の字は勘三郎さんの本名「哲明」からもらったもの
とお兄ちゃんの姿がありません
あっ見つけました
あんな所に
(スタッフ)逆!
それは哲之君のベビーカーじゃないの?
2人ともパパが大好き
取り合いです
勘九郎さんは花火を見ようと家族を連れ出しました
明日から稽古
その前に家族サービスのつもりだったのですが…
大渋滞
このままではとても間に合いそうにありません
仕方なく車を降り見晴らしのいい道端から花火見物となりました
パ〜ン!
(前田)すごい奇麗。
翌日いよいよ劇場へ
今回の劇場ローズシアターは2004年にオープンしたジャズホール
6日間で全8回の公演予定
座席数は…
(勘九郎)あっ…。
勘三郎さんの写真が飾られていました
勘九郎さん劇場に入るとすぐさま…
だからやっぱりあのあそこはあの増やしたせりふでやってみていただけますか?正助が引っ込んで今ゆきかかっていきますがって言ったときに奥に入ろうと思ってるので。
(獅童)あっあそこだからね…。
(勘九郎)はい。
(獅童)長めにやるように。
(勘九郎)はい。
田島橋はもう絶対にこっち使います。
あんな奥行ってたら間に合わないんで。
獅童さんに演出プランの提案
さらに
実際の距離を見て出演者たちの動きを変更していきます
(勘九郎)え〜…次正助ここ。
(男性)はい。
で浪江さんがさ向こうに引っ込むと田島橋と一緒になっちゃうから…。
そして
(勘九郎)出からちょっと薄明かりっていうのでフォローしてもらった方が暗い中歩いてくるよりもちゃんと変わって明るいあれで出てきた方が分かりやすいもんね。
照明の微妙な明るさまで指示
まさに座頭としての仕事です
そしていよいよ出演者揃っての稽古が始まりました
本番まで2日間しかありません
にもかかわらずこのとき勘九郎さんは「新しいシーンを追加する」と言いだしました
セット転換をしている間に客が飽きてしまうのではないかと悩んでいた幕あいにまるでコントのような寸劇を追加したのです
(男性)それで舞台の2人は幕が…どうでしょう?3分の1ぐらい開いたら出てくればいいですね。
(勘九郎)そうですね。
(男性)あっ。
あっちの広い公園があんべ。
あれあのセン…セン…。
(男性)CentralPark?
(男性)そう…。
あっじゃあこっちのよあそこがあのコッコロ…。
(男性)ColumbusCircle?
(勘九郎)そう。
その近くの…。
みんな一緒に見た方がいい?
(男性)ああ…そんなら向こうにあるのがあのコロンバスサークルか。
(男性)ColumbusCircle?
(男性)評判のリンカーンセントラルフェスティバルか?
(男性)LincolnCenterFestival?
(勘九郎)そこでそう…そこでみんなすごい悔しがる。
それで「日本でも評判だから」
(男性)日本でも評判だから…。
一見お遊びのように見えますが笑いが取れなければ元も子もない非常にシビアなシーン
さらにアイデアを詰めていきます
分かった。
えっとね…。
その近くの…。
(男性)RoseTheater!ローズシアター。
ローズシアターでっつったらこっちが「大丈夫言わないよ」「セーフだ」って。
(男性)あっその近くにある…RoseTheater?
(男性)あれでしょ?まずリンカーンセンターフェスティバル。
(男性)LincolnCenterFestival.
(勘九郎)くそ〜!くそ〜!
(一同の笑い声)
あとはこのギャグがニューヨーカーに通じるのか
心強い助っ人がいました
(リンダ)えっと…もうちょっとツッコミ激しく発音にトラブってるときに彼が入っていくと…。
日本にも住んでいた映画監督翻訳家で今回はアメリカ人向けイヤホンガイドの監修を担当しています
(英語)
勘三郎さんがニューヨーク公演のときに頼りにしていた人物
いわば勘三郎さんが残してくれた財産です
(リンダ)すいませんね何かずけずけ。
全然。
もういっぱい言って…。
(リンダ)まあでも彼うまいし。
ねっ?もっと言って。
(リンダ)うん…はい。
(勘九郎)間とかタイミングとか。
(リンダ)はい。
果たして爆笑となりますでしょうか
そしていよいよ舞台稽古
しかしこの表情
思いどおりにはいきません
勘九郎さんついに声を荒らげます
やるんだったらちゃんと言ってよ。
(男性)分かりました。
(勘九郎)お願い。
ニューヨーク公演開幕まであと2日
稽古が思いどおりにいきません
踊り始めるまでがもうちょい早い方がいいね。
「乙な曲が流れてるから一踊りしようじゃねえか」「おうやれやれ」でもいいかもしんない。
七之助さんも勘九郎さんの元へ
さみしいね上が。
(勘九郎)なるほどな。
今全員下から上に上がってるからここはすごく盛り上がってんだけど上に誰もいないからただ通るだけの人もいたりする…。
(勘九郎)ねえ酔っぱらいたちは上手アウトでもいい?じゃあそっちの方がたぶんこううわ〜ってなる…。
(七之助)それか2・2に分かれるか。
2・2に。
今4人何かグループグループって…。
初めての劇場
役者たちがどこから出てきてどう歩くのか
そこから始めなければなりません
時間がどんどん過ぎていきます
しかも本来一番時間を割きたい重要なことが
勘九郎さんの…
主役である自分の見せ場
しかし全体を見るので精いっぱい
自分のことまで手が回りません
(勘九郎)赤ちゃん持って引っ込むの向こう。
(男性)あっあそこにします?
(勘九郎)向こう。
この数カ月酷使し続けた喉の調子も良くありません
手応えどころか問題点ばかり見えた稽古初日
勘九郎さんは焦っていました
なぜならここニューヨークで戦う怖さをじゅうぶんに知っているからです
ニューヨークのメディアは厳しいことで有名
今回の公演について演劇評論家に聞いてみても
ニューヨークでは辛口の評論が普通
成功の鍵は新聞や雑誌の演劇評が握っていると言っても過言ではありません
中でも最も影響力がありかつ厳しいのが『ニューヨークタイムズ』の劇評
勘三郎さんの1回目のニューヨーク公演のとき『ニューヨークタイムズ』は驚くべき劇評を掲載しました
(勘三郎)何百年も追い続けている日本の一座の芝居が夏のアクション映画の対抗馬になろうなどとは誰が想像した…。
もうね僕ホントにいつもね劇評気にしないんですけどね『ニューヨークタイムズ』は気にしたね。
このまれに見る大絶賛もあって公演は大きな成功を収めたのです
今回も『ニューヨークタイムズ』は初日に見に来る予定
果たしてどんな評価が下されるのか
もう時間はありません
休憩の合間にようやく自分の芝居をビデオで確認
教えてくれる父はいません
いらいらだけが募ります
(勘九郎)ちょっとさあれ…。
あんなので出すつもりだったわけ?ちょっとどうなってんの?ちょっ…駄目。
もう一回やんないと。
全然駄目。
駄目だね。
これだと幕前芝居やっても意味がなくなっちゃうもんね。
かつらが勝手に手直しされていたときには
それ取っちゃったんでしょ?
(男性)それもありました。
あっそうそうそう。
もうそんな…そんな怖いことしないでよ。
いやいやそしたら何か違う方法…。
だってさ…。
(男性)でもくっつきましたよ。
いやじゃなくてこれ取ったらそりゃこうやればぶかぶかなんだから取れちゃうよ。
ねえやるんだったらちゃんと言ってよ。
(男性)分かりました。
(勘九郎)お願い。
始まるまではぴりぴりしてました。
僕もお兄さんも。
まああの…。
責任がね人一倍あると…。
1回目のとき暖房がさない…えっと夏冷房…。
1回目のニューヨーク公演のとき勘三郎さんは激怒しました
(勘三郎)秋だからさ俺…。
劇場に設置したエアコンの音がうるさ過ぎてせりふの邪魔をしたのです
(勘三郎)いやだから言ったじゃんあなたたちにもさ…。
それでもって…。
地獄みたいな暑さだもん。
いやいや…。
分かりました。
怒ります。
うん。
やっぱりねぴりぴりしますよ。
そういう責任だったり…。
だから…。
別にそのねあれ…。
まあ機嫌悪かったですからねうちの父も。
(スタッフ)あ〜。
ニューヨーク…ホントに機嫌悪かった。
まあだから…。
(スタッフ)でもそのいらいらはやっぱ自分で分かっててもどうしようもなんなかった?どうしようもなんないもんなんですねそれがね。
この厳しい状況の中大きな力となったのがこちらの皆さん
アメリカ人の裏方スタッフです
きびきびとした動きで日本人とのチームワークも抜群
勘三郎さんの最初のニューヨーク公演のときは食い違うことが多く互いに戸惑うことばかりでした
しかし勘三郎さんとの二度にわたる経験がアメリカ人スタッフを成長させていたのです
日本とアメリカの色々な習慣の違いとか時間もなかったりする中本当にこちらのスタッフの方も頑張っていただいてもう役者一同に成り代わりましてホントにお礼を申し上げます。
それでね日ごとにね…。
(英語)
(一同の歓声)
勘三郎さんが体を張って伝えた中村屋スピリッツは海を越えたアメリカでも受け継がれ息子たちを助けてくれたのです
いよいよ初日の幕が開きます
しかし勘九郎さんの表情は曇ったままでした
2014年…
開演前の記者会見には報道陣が大挙して押し寄せました
すると勘九郎さんは
この公演を計画したのは勘三郎さんでした
息子とのダブルキャストで競い合うことにしていたのです
勘九郎さん1人になりましたが父と競います
おはようございます。
(スタッフ)おめでとうございます。
う〜ん…。
(勘九郎)おっナオ寝てたの?機嫌悪いの?七緒八さんちょっと具合悪いの。
(勘九郎)ナオソファで寝てていいよ。
本番5分前
勘九郎さんはふと勘三郎さんの2回目のニューヨーク公演のことを口にしました
(スタッフ)そうですね。
(英語)
2回目の公演勘三郎さんはせりふの半分近くを英語で演じたのです
(男性)ごめんなさい。
(勘三郎)いえいえ。
ただでさえこの緊張感
父のすごさをあらためて実感していました
すがる思いで父に
骨つぼに手を添え舞台へ
そしていよいよ出番というそのとき勘九郎さんに不思議なことが起きたのです
小さな奇跡
あっこれもしかしたらお父さんかなと思った。
張り詰めた空気。
緊張がピークに達する中いよいよ本番
勘九郎さんが舞台に飛び出した瞬間不思議な出来事が起こったのです
やっぱ…。
やんなきゃいけないって。
うん。
でニューヨーク…。
で行かなきゃいけないと思ってよしって言ってあの出の音になって。
行かなきゃいけないと思いながら出た。
気負って出たら…。
(勘九郎)いや〜いけねえいけねえ。
あっわっ遅れちまっただ。
袖が扉に引っ掛かったんですよ。
「うっ…」って。
(勘九郎)いや〜いけねえいけねえ。
あっわっ遅れちまっ…。
であっこれもしかしたらお父さんかなと思った。
お前そんな…あの…。
まあそういうのをね言ってたら切りがないけれどもやっぱりニューヨークの初めて…初日だしそういう状況だし…。
(勘九郎)落ち着けよっていう。
ホントにね引っ掛かったんすよ。
俺もあっこれいかんなと思って出てったんです。
(スタッフ)多少そこで一拍…。
(勘九郎)一拍あって。
うん。
男と女のだまし合いあり立ち回りあり見どころがたくさんありますが中でも注目は勘九郎さんの早変わり
まずはねずみ色の着物を着た絵師の役から下働きの男へ
やぶに隠れたかと思うとあっという間に茶色の着物を着て登場
さらに再び絵師へ
舞台裏はこんなことになっていました
(勘九郎)何をいたすのじゃ。
何…。
(獅童)おい!早く助太刀しねえか!
(勘九郎)うわ〜!できねえ。
オラできねえオラできねえオラできねえ。
嫌だ嫌だ。
やめてけれ。
オラできねえ。
(獅童)てい!
(勘九郎)うわ〜!
さて問題の幕あいです
急きょ作ったあの寸劇はウケるのか
あっあっちのよあの広い公園があのセッセントラ…。
CentralPark.
(観客たちの笑い声)CentralPark.あ〜そんでよあの向こうがあのコッコロンブ…。
ColumbusCircle.
(観客たちの笑い声)ColumbusCircle.
(観客たちの笑い声)LincolnCenterFestival.
(観客たちの笑い声)くそ〜!
(観客たちの笑い声)
大成功
続いては擦れ違いざまの早変わり
よ〜くご覧ください
一瞬のうちに着物もかつらも着替えているのです
お見事
今度は白い浴衣のならず者が消え
(獅童)正助これへ来い。
これへ来い。
わずか6秒で情けない男の役に
続いては舞台の裏を全力疾走
これだけ走れば息が切れそうなものですが勘九郎さんみじんも感じさせない動きで登場
そしてせりふも
もし佐々の旦那え?
さらりと言ってのけました
さすがです
勘九郎さん奮闘します
そして本物の水が大量に流れ落ちるクライマックス
滝の中で壮絶な立ち回りです
初日が終わりました
(勘九郎)いつから寝てる?
(スタッフ)ずっと寝てますね。
そして2日後
掲載された勘九郎さんの写真はとんでもない大きさでした
ん〜すごいじゃん。
ねえ。
だってここまででしょ?
裏面までの長い批評
内容も想像以上でした
早変わりの技術だけではなく瞬間的に別の役になりきれる勘九郎さんの演技力が褒めたたえられたのです
さらにあの幕あい劇についても高い評価
(勘九郎)この影響力あるの?
(英語の会話)
(男性)100%…。
(勘九郎)あっそう。
(英語)
(男性)この批評家のチャールズさんってのはそんなに簡単にいいこと書いてくれない…。
(勘九郎)あっホント。
辛口なの?
(男性)辛口なんです。
へ〜。
よかったね。
ねえ。
勘三郎さんの古くからの友人浅草の扇子職人の荒井さんも
(荒井)そうだよホントよかったよ。
『ニューヨークタイムズ』効果なのかこの日初めてのスタンディングオベーションが巻き起こりました
さらに90年の歴史を誇る高級雑誌『ニューヨーカー』までもが取材に来たのです
父勘三郎さんもなしえなかった名誉です
この日は夜の公演だけのためそれまでは自由時間
というわけで勘九郎さんはパパの顔に早変わりです
子供たちとおもちゃ屋さんへ
すると天才七緒八君が意外な素顔を見せてくれたのです
勘三郎さんの孫天才の誉れ高き七緒八君
ニューヨークのおもちゃ屋さんで意外な素顔が明らかになりました
喜び勇んで入っていくと現れたのは巨大なティラノサウルス
(勘九郎)食べられちゃうね。
見上げる七緒八君。
ところが
一方1歳の弟哲之君は
(勘九郎)すごい。
すごいぞ。
全然。
へっちゃら。
それどころか笑っています
しかし3歳のお兄ちゃんは
(前田)大丈夫乗らないから乗れないから大丈夫。
実は七緒八君はとても弱虫というか優しい性格
パパが男の子が好きそうなカッコイイおもちゃを薦めてもまったく興味を示さず選んだのは
何入れてんの?
(勘九郎)何?
(勘九郎)がいいの?
続いては遊園地へ
ここでも七緒八君見せてくれました
勢いよく回る乗り物を目にして
(七緒八)乗らない。
どれも怖くて乗りたくありません
そんな中見つけちゃいました
あっ…。
(勘九郎)おうちある?
(七緒八)見て。
(勘九郎)ホントだ。
とってもかわいらしい赤いおうち
これなら僕にも乗れると思ったのかご機嫌です
おうちやる。
(勘九郎)OK。
OK。
OK。
さあ夢の赤いおうちへ
しかし
(七緒八)ナオはおうち。
スタッフとパパ勘九郎さんは目撃してしまいました
赤いおうちの本当の姿を
何も知らぬ七緒八君赤いおうちに到着
とそのとき
赤いおうちが変身
信じられない姿に
赤いおうちやる?赤いおうち…。
電車に乗りたい。
(勘九郎)電車行こう。
電車行こう。
(スタッフ)めっちゃ泣いてる。

ニューヨーク公演は大成功に終わりました
ねえ早かったね。
あっという間ですね。
まあでもまあ…。
(スタッフ)それしか頭にない感じですか?もう。
えっ?いや今度ね…。
いけないっすけど。
でもホントに喜んでくれたから。
(スタッフ)そうですね。
それだけですね。
よかったホントに。
ほっとしました。
楽屋にもほっとした空気が流れます
ねえレストラン行って全然平気で。
そしたら…。
サニーサイドアップだからここに目玉焼き載っててさポテトとか書いてあったの。
それかなと思ったら…。
(スタッフ)言えなかったんですか?だってこれ何て言うの?じゃあ。
違ってるよ。
おいちょっ待てよ。
(スタッフ)「ステーキステーキ」とか…。
(七之助)「ミステーク」とか。
でもステーキはステーキなの。
ねっ。
そして打ち上げパーティーで勘九郎さん七之助さんも驚くまさかのサプライズが
(七之助)えっ?
小道具の窪田さんとアメリカ人の大道具さんとの間にロマンスが
あっ知ってるよ!あれ?
(七之助)あっマジ…。
(獅童)ペア…えっ?
(勘九郎)えっ?
(獅童)どういうこと?どういうことなの?
そして日本に帰ると今度は七緒八君が大勝負に挑むことに
しかし心優しい七緒八君にとっては大変な試練になったのです
ニューヨーク公演から戻ってわずか5日後
勘九郎さんと七之助さんは長野県松本市で再びシアターコクーンで大絶賛を浴びた『三人吉三』を熱演
休む間もなく8月は歌舞伎座
凱旋公演と銘打って再び『怪談乳房榎』
そしてもう1つ緊張の演目がありました
息子の七緒八君がせりふのある重要な役で舞台に上がるのです
七緒八君が演じるのは訳あって今は…
この言葉が男の胸に刺さりやがて本当の自分を取り戻していくクライマックスへ
重要なせりふです
さあ七緒八君の出番
評判の天才ぶりをここでも発揮と思いきや
おんぶしてあげましょう。
(七緒八)いいってば。
もうお母さまがお待ちになっておられるんですよ。
早く帰りましょう。
あ〜ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんが帰ってきた。
違いますよ。
よそのおじさんですよ。
さあ早く帰りましょう。
(七緒八)やだちゃっちゃんだちゃっちゃんだ。
蚊の泣くような声
せりふになっていません
これにはお父さん思わず怖い顔
「もっと大きな声を出さなきゃ駄目じゃないか」
今回の七緒八君の出演は勘三郎さんの親友であった三津五郎さんたっての願い
しかし
ちょっとねさすがに無理なんじゃないかなとは思いました。
だってせりふもしゃべったことないですし心情も表さなければいけないじゃないですか。
(スタッフ)あ〜そうですね。
こんなにも嫌なものかなっていうのは思いましたね。
子供が出るのは。
(スタッフ)あ〜そうですか。
舞台稽古
勘九郎さん声を掛けます
「頑張れ」
(いてう)早く帰りましょう。
(七緒八)あっちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんが帰ってきた。
違いますよ。
よそのおじさんですよ。
やだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
違います。
あっごめんくださいまし。
かなり声も出てきました
三津五郎さんも
笑顔です
しかしお父さんはまだまだ不満
「3階席にも聞こえるようなおっきい声で」
この人も気が気じゃありません
現役最高齢の歌舞伎役者中村小山三さん94歳
(小山三)あらら…あら〜。
小山三さんは4歳で中村屋に入門し以来90年尽くしてきた最古参のお弟子さんです
勘三郎さんが幼いころすでに教育係を務めていました
(小山三)ねえここの今の帯がさっき言ったあの帯に変えてちょうだいね。
それじゃないとあれおかしいからホントに。
中村屋の生き字引
細かく指導します
(小山三)ねえこれ付けひもあさぎにしてちょうだい。
あさぎじゃないと…。
うん。
駄目駄目駄目。
(小山三)こちょこちょこちょこちょ…。
そしていよいよ初日
お父さん緊張
そしてこの方も
(好江)おめでとうございます。
(勘九郎)おめでとうございます。
見た?分かる?ねっ?
七之助おじさまは
(七之助)ピッ。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
緊張をほぐしてくれました
(ため息)
さあ本番です
「七緒八!」の掛け声
(観客たちの拍手)
そして
おんぶしてあげましょうか?
(七緒八)いいってば。
も〜お母さまがお待ちになっておられるんですよ?さあ早く帰りましょう。
あっちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんが帰ってきた。
違いますよ。
よそのおじさんですよ。
やだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
あっごめんくださいまし。
この子のお父さまが遠方にいらっしゃってるものでございますから。
ごめんくださいまし。
さあ早く帰りましょう。
やだ。
ちゃっちゃんだ。
ちゃっちゃんだ。
(いてう)違いますったら。
さあ早く帰りましょう。
本番で一番声が出ました
お父さんの待つ楽屋へ
(七緒八)ありがとうございました。
(勘九郎)お疲れさまでした。
見てんだよ?分かった?
(七緒八)は〜い。
おっきい声だったよ。
褒めてもらおうと思ってるの?でも…。
ねっ。
(好江)お疲れさまでした。
(七緒八)お疲れさまでした。
七之助さんもすごくうれしかったそうです
泣いちゃった俺。
初日…初日か。
初日のね…あっ次の日ぐらい。
初日もそうだった…。
次の日ぐらいがめちゃめちゃ大きな声出たんだよね。
まあよかったって思って。
まあねいろんな思いがありますけどね。
あとは「どうだ」っていうのもあるしさ。
ねっ。
カワイイだけじゃないだろっていうのはね。
千秋楽まで日々成長していきました
あっちゃっちゃんだ!ちゃっちゃんだ!ちゃっちゃんが帰ってきた!違いますよ。
よそのおじさんですよ。
やだ!ちゃっちゃんだ!ちゃっちゃんだ!
歌舞伎座に元気な声が響き渡りました
七緒八君やっぱり天才
歌舞伎座の稽古場に大物たちが顔を揃えました
そして…
若い2人は神妙な面持ち
それもそのはず
勘三郎さんの父である十七代目の二十七回忌と勘三郎さんの三回忌の追善公演という大事な舞台が幕を開けるのです
(男性)いよ〜。
2人の息子を中心に大物たちが先代と勘三郎さんをしのび演じます
もちろんこの人の姿も
私たち未熟な者たちに力を貸してくださいましてホントにありがとうございます。
え〜一生懸命務めさせていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
ただでさえ大変な重圧
なのに2人はかつてない果敢な挑戦に打って出たのです
勘三郎さんと先代の追善公演
その大切な舞台で勘九郎さんと七之助さんはかつてない果敢な行動に出ました
ある演目をやらせてくれと興行主の松竹に掛け合ったのです
これはね絶対にやりたいと思ってたんです。
もうホント…。
いえいえそんなにしないんですけれども…。
夢ではないか。
うれしいわいな〜。
その演目とは…
あの三島由紀夫原作の喜劇で十七代目が初演し大好評
以来中村屋にとって特別な演目となっています
(玉三郎)夢ではないか。
うれしいわいな〜。
勘三郎さんと玉三郎さんのコンビでもたびたび上演され不動の人気を誇るようになりました
2005年の十八代目中村勘三郎襲名公演の演目としても選ばれたほど
見せ場はイワシを売るときの呼び声
伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏がイワシ買うえ〜。
(観客たちの拍手)伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏がイワシ買うえ〜。
中村屋が受け継いできた大切な家の芸
それを初めて演じる若い2人
大きなプレッシャーがかかるのは言うまでもありません
そんな中この方が駆け付けてくれました
坂東玉三郎さんです
出演はしませんが稽古をつけてくれることになったのです
玉三郎さんは勘三郎さんの兄貴分でした
2人は強い絆で結ばれていました
亡き勘三郎さんのためにも若い2人に立派に成し遂げさせなければ
そんな強い思いを抱いていたのかもしれません
舞台稽古でも細かく指導します
その姿を未来の歌舞伎役者2人の子供たちも見ていました
とそのとき
哲之君が突然玉三郎さんの方へ
慌ててお母さんの愛さんが追い掛けます
哲之君玉三郎さんに初めてのご挨拶ができました
小さなころから父の『鰯賣』を見てずっと憧れてきました
わしゃその商人のイワシ売り猿源氏というしずの男じゃわやい。
その憧れの役を初めて演じます
本当は父に教えを請いたかった
しかしその願いは永遠にかなうことはありません
父の映像を何度も見返して稽古を続けてきました
七之助さんの楽屋には先代十七代目と幼きころの勘三郎さんの写真が飾られていました
命は尽きても役者の魂は受け継がれていきます
先代の思いも勘三郎さんの思いも勘九郎さん七之助さんの胸に宿っています
そして七緒八君哲之君へ
さらにその次の世代へと受け継ぐ者の覚悟があるかぎり思いは伝わっていくのです
追善の幕が開きました
(勘九郎)こりゃ頭のない馬じゃ。
夢ではないか。
うれしいわいな〜。
大きな歓声が巻き起こります
まるで花が咲いたように若い2人の『鰯賣』は客席を新鮮な感動で包みこんだのです
そしてひとつき後の千秋楽
伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏がイワシ買うえ〜。
(観客たちの拍手)猿源氏がイワシ買うえ〜。
(観客たちの拍手)
この日歌舞伎座の奇跡ともいえる出来事が起こったのです
それは花道に2人が残ったラストシーン
これまでにない空気が歌舞伎座に立ち込めました
観世音様…。
(七之助・勘九郎)ありがとうござりまする。
(観客たちの拍手)
拍手が鳴りやまず芝居が中断
ショーストップといわれる現象です
これ以上名誉なことはありません
(観客たちの拍手)
観客の心に刻まれる夜を2人は生みだしたのです
(観客たちの拍手)
思わず握手
抱き合います
(勘九郎)すごい。
喜んでるね。
父に勝るとも劣らない大拍手
まさかのショーストップ
それでも2人はあくまで謙虚でした
あれはだからホントに僕たちだけではないなというその何だろうな…う〜ん。
追善ということで父祖父に対する拍手でもあるし中村屋というものを「頑張れ」という励ましの拍手でもあると思うし「よかったね」って喜びの拍手でもありいろんな思いがこもったものを頂いたんでねまあありがたかったですねホントに。
いやすごい盛り上がってましたよね。
まああれはちょっと特別な目で見てくださってるってのもありますけどね。
(スタッフ)あっそうですか。
(七之助)そりゃそうですよ。
だってうちの父親が早く亡くなってさまあかわいそう…同情ではないけど「あっ2人で頑張ってるな」っていう目はねどうしたってあるじゃない。
まあだからそれは助けになってお客さん盛り上がっていただいて。
(スタッフ)そうですか。
(七之助)はい。
あんなの全然…。
果敢に初めての演目に挑み立派に務め上げた息子たち
2人の芝居が本当に素晴らしくなければこれほどの拍手など起きるはずがありません
若い2人は自らの力で大きな1歩を踏み出しました
南座年末恒例の顔見世興行初日
ここでも驚くべき舞台を2人は成し遂げたのです
勘九郎さんと七之助さんがここでも躍動しました
めったに上演されることのない『爪王』
タカの七之助さんとキツネの勘九郎さんが死闘を繰り広げる舞踊です
重い衣装と激しい踊り
大変な演目です
俺出ずっぱりで走りっぱなしだよあしたも。
重いし。
めっちゃ重いの。
この人軽いの。
ホントにもう。
実は当初人気の演目『団子売』をやらないかと持ち掛けられたのですが2人はこの『爪王』にこだわりました
(スタッフ)もしかして『団子売』だったんですか?うん。
あの日も2人はここ南座の舞台に立っていました
そこに届いた悲報
あれからもう2年
(スタッフ)いやでもなるんじゃないですか?実際問題…。
(七之助)でもどうだろうね。
そんな大したことじゃない。
そんなこと言ったら…。
いっか。
話題になってくれればね。
(スタッフ)うん。
この日2人はなかなか楽屋を去ろうとしませんでした
今日の舞台の映像を何度も見直します
(勘九郎)あ〜怒ってる怒ってる。
おっ。
(七之助)いやいやこれ取ってこれ取るじゃない。
そしたらその後のお仕事…。
どうすればもっとお客さんに喜んでもらえるか
それは父勘三郎さんが生涯にわたって追い求め考え続けたことでした

兄弟で走り続けた2014年
勘九郎さんと七之助さんそして中村屋の人々は芝居に舞台に全身全霊を懸けました
守りに入ることなく攻め続け若さを力に変えました
驚きは喝采を呼び感動は歓喜に変わりました
中村屋は一丸となって大きく羽ばたいたのです
(観客たちの拍手)
そして2015年
来年はさらなる飛躍の年です
まずは『怪談乳房榎』で金沢に乗り込み…
春にはいよいよあの大プロジェクト江戸の芝居小屋を再現した移動式劇場平成中村座に挑みます
父勘三郎さんが生涯をかけてつくり上げた夢の舞台
ついに勘九郎さんと七之助さんが受け継ぎます
え〜父の夢であった平成中村座という芝居小屋が父が逝っちゃった後もこうやってできるというのはホントに皆さまのおかげでございます。
何と…
今回初めての女形ということで女形はどうかなっていうのは期待してますね。
はい。
(勘九郎)父の精神熱い魂を引き継いで4月から5月にかけて一生懸命務めます。
中村屋一世一代の大勝負です
(澤部)「今田耕司の新婚さんお邪魔します。
」。
(今田)お邪魔します。
2014/12/30(火) 12:00〜14:00
関西テレビ1
勘三郎三回忌特別企画「密着!中村屋ファミリー大奮闘2014」〜七緒八くん大暴…[字]

中村屋ファミリー涙と笑いの激動365日▽天才3歳七緒八くん初セリフに挑戦…大ピンチ▽94歳の弟子小山三さん奮闘▽勘九郎七之助に歌舞伎座&NYで奇跡が…

詳細情報
正式タイトル
勘三郎三回忌特別企画「密着!中村屋ファミリー大奮闘2014」〜七緒八くん大暴れ&NYの奇跡スペシャル〜」
番組内容
中村勘三郎の死から2年、中村屋を背負う勘九郎・七之助兄弟の1年に密着したドキュメンタリー。中村屋にとって2014年は激動の年だった…。勘三郎がいなくなって初めて開かれる新年会。そこに“新たな中村屋”の勇姿が!勘九郎の長男・七緒八くん2歳と次男・哲之くん7カ月だ。中村屋に賑やかな正月が戻った。7月、平成中村座ニューヨーク公演。勘三郎は過去2回、演劇の本場ニューヨークで歌舞伎上演を実現、大成功させた。
番組内容2
今回は勘三郎・勘九郎親子ダブル主演の計画だった。勘三郎が選んだ演目「怪談乳房榎」は三役早替りが見どころ。大舞台で勘九郎は父が呼んだあの熱狂を再現できるのか?不安と緊張の初日、舞台に飛び出す勘九郎に“小さな奇跡”が起こる!そして、ニューヨークの遊園地ではしゃぐ“小さな大物”七緒八くんにも、実は大きな試練が待っていた。それは8月の歌舞伎座での台詞のある重要な役への挑戦だ。稽古に奮闘するが大きな声が
番組内容3
出せない七緒八くん。厳しく指導する勘九郎、母・前田愛も熱いまなざしで見守る。果たして七緒八くんはしっかり台詞を言えるのか?そして10月の歌舞伎座・追善公演。勘九郎と七之助は父が得意とした「鰯売恋曳網」に挑む。これは勘三郎と人間国宝・坂東玉三郎が共演し大評判となった演目。亡き父に代わり熱く稽古をつける玉三郎。重圧の中、舞台に立ち続ける兄弟。そして千穐楽…歌舞伎座に奇跡のような瞬間が訪れた!
出演者
中村勘九郎 
中村七之助 
波野七緒八 
前田愛 
中村小山三
 / 
中村勘三郎 

【語り】
武田祐子(フジテレビアナウンサー)
スタッフ
【監修】
塚田圭一 

【構成】
武田浩 

【編集】
平原賢志 

【EED】
加藤武志 

【音効】
安藤友章 

【MA】
大出典夫 

【技術協力】
白石利彦(バンエイト) 

【協力】
田中亨(ファーンウッド) 

【協力プロデューサー】
近藤孝子 

【編成】
情野誠人 

【広報】
佐藤未郷 

【AP】
後藤裕子 

【TK】
本田悦子 

【AD】
高橋琴子
スタッフ2
【NY取材コーディネーター】
西本義次 

【取材】
幸田理一郎 
後藤憲治 
中西義博 

【ディレクター】
花枝祐樹 

【演出】
松木創 

【プロデューサー】
西村朗 
坂口和之進 
後藤博 
後藤朋子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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