何でせくんじゃ!のう文。
自分の人生を自分の命を何のために使う?大河ドラマ「花燃ゆ」。
ご期待下さい。
皆様ごきげんよう。
ご無沙汰しております。
連続テレビ小説「花子とアン」で村岡花子を演じました吉高由里子です。
今年もあと残り僅かとなりましたが皆様はどうお過ごしでしょうか。
今日はなんと朝から夕方まで「花子とアン」のダイジェストを一挙に放送致します。
1週間の見どころを20分にまとめたダイジェストを26週分全て放送します。
途中でニュースを挟んだりとかしながらもたっぷりとこぴっと最後までお届けしますので是非ご覧下さい。
それでは間もなく始まります。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
昭和20年4月15日東京の夜空にB29が現れ大森の町も恐ろしい爆撃を受けました
美里!防空壕に逃げましょう。
早く行かないと危ないわ。
(爆撃音)
(美里)キャ〜!何?命よりも大切なもの。
この女性が村岡花子。
「赤毛のアン」を初めて日本語に訳した翻訳家です。
これは花子とアンが出会い日本中の人たちに夢と勇気を送り届けるまでの物語
花子こと安東はなです。
甲府の貧しい農家に生まれました
おじぃやんおはようごいす。
ああおはよう。
兄やん行ってこうし。
はな。
ももとかよの世話頼むじゃんね。
うん。
はなはこんなに小さくてもこの家の大事な労働力なのです
ええなあ…。
(武)突撃!はな!はなたれ!おまんちは小作で貧乏なもんで学校も行けんずら!
(一同)貧乏貧乏!何とか言えし!はな!はなじゃねえ!おらの事は花子と呼んでくりょう。
はあ?花子と呼べし!小作のくせに花子?笑わせるじゃんけはなたれ!何するでえ!逃げろ〜!
(朝市)はな大丈夫け?はなじゃねえ。
花子と呼んでくりょう。
あっ。
あっ。
(吉平)はな!ほれ。
おとう!帰ってきただけ!おお〜!
はなのおとうは行商の仕事をしています。
甲府特産の生糸を東京に売りに行き代わりに日用品を買い付けてこっちで売るのです
(吉平)おまんたちに取って置きの土産があるだぞ。
土産?
(吉太郎)おとう何ずら?
(吉平)これじゃ〜!ほりゃあ何ずらか?絵本じゃ。
てっ!絵本?
(かよ)食うもんがよかった…。
てっ!本じゃん!本物の本じゃんけ。
おら初めて本に触った。
夢みてえじゃん。
はなも飯にしろし。
はなは1年生ずら?学校で字は習っとらんのか?うちの手伝えが忙しくって学校にゃ一日も行っちゃあいん。
てっ!一日も?ほらはな急げ!今日から学校行くだよ。
学校?これまでの後れを取り返すだ。
(鐘の音)
(本多)新しく入学した安東はなさんずら。
とりあえずこけえ座れ。
はい。
(笑い声)おまん今まで学校来ちゃいんからほんなこんも分からんだか。
おら先生に言われたとおりやっただけずら。
(笑い声)学問してよき人となれずら。
(生徒たち)学問してよき人となれずら。
よしよしほうずらほうずら。
よ〜く読めたずらよ〜。
ほういうなまった言葉で子どもらに教えるのはどうじゃろう。
これじゃあ東京じゃ通じんぞ。
ずらずらずらずら。
おまんはまだいただけ。
授業の邪魔ずら。
帰ってくれちゃあ。
あんな田舎教師にゃはなを任せられん。
はなのおとうはとんでもない所でとんでもない事を考えていました
はなは飯より本の方がいいずらよ。
あ〜兄やん!頂きます。
(一同)頂きます。
(吉平)帰ったぞ!あっおとう!お帰り。
おとうお帰り!急いで食え。
食ったらみんなで出かけるだぞ。
帰るなり何ずら。
どけえ行くでえ?町の教会じゃ。
教会?
(吉平)一家そろって洗礼を受けるんじゃ!またおとうの気まぐれが始まっただ。
そうさな。
(森)神の祝福をお祈りしています。
(一同)ありがとうございました。
(吉平)牧師様!やあ安東さん。
どうしました?この子に洗礼をお願えします。
てっ。
本じゃん。
てっ!全部本じゃんけ!・おとう!大変じゃん!こんなにうんとこさ本がある!あっ…。
はな〜。
おとう!この世にゃあこんなにうんと本があっただけ。
はな!東京の女学校へ行ったら毎日思っきし本が読めるんじゃ。
ほういう学校に行きてえか?うん!よ〜し!おとうに任しとけ!うん!
しかしある夜の事です
(ふじ)また小作料が上がって今年は4俵納めにゃならんですよ。
てっ!また値上げけ!あの欲張り地主め!大きい声出さんで!あんたもちっとは考えてくれちゃ。
このまんまじゃこの冬すら一家7人越せんじゃん。
小作料の値上げでおかあたちが困っている事を知ったはなは…
あっ!地主様。
ちょっくら教えてくれろし。
おらのようなボコでも雇ってくれる人はいるずらか。
ほりゃあねえ事はねえら。
ご無心でごいす。
口利いてくれろし。
それから程なくして地主の使いがやって来ました
何ずら?
(三郎)給金の前払いずら。
奉公先は長野の材木問屋だ。
待ってくりょう。
奉公って何の話ずら?花子だかはなとかいうボコに頼まれて徳丸様が手を尽くして下さっただ。
はなが!?本当にはながお願えしたですか!?ほうさよ!てっ!そしてはなが奉公に行く日がやって来ました。
おじぃやんおかあ兄やんかよもも。
しばしの別れずら。
はなは辛抱強えボコだ。
ふんだけんど辛抱できんくれえつれえこんあったらいつでも帰ってこい。
おかあ…。
あっ迎えが。
花子でごいす。
よろしゅうお頼み申します。
ほれがまずいこんになっただ。
話が違って女のボコじゃいらんだと。
え…。
先方は力仕事ができる男のボコをお望みで。
ほんな…。
ほんじゃあはなはお役に立たんですね。
ほうじゃ。
男のボコしかいらん。
ふんじゃあ前に置いてったこの俵持ってくわ。
待ってくりょう!男ならここにおる!おらが奉公に行くずら。
吉太郎!考え直してくれちゃあ!おらが行けば米が残る。
冬が越せるじゃんけ。
おかあ…ふんじゃあな。
あっ兄やん!兄やん!
(ふじ)吉太郎!兄やん…兄やん!兄やん!おらが奉公先なんか頼まんかったら兄やんが行くこたぁなかったさ。
おらのせいだ。
ほうじゃねえ。
そうさな…貧乏神のせいずら。
元気出せ。
ん…。
熱いぞ。
はな熱があるじゃんけ!はな大丈夫け。
(荒い息遣い)
はなの熱は2日たっても下がりませんでした
よう朝市。
あっおじさん大変じゃん!はなが…。
はな!はな!大丈夫け!?おら…やっぱし死ぬだな…。
バカこくでねえ!死んじゃ駄目じゃん。
はなはまだまだ生きんきゃ駄目ずら!まだまだ…?ああ!おとう書くもんあるけ?
(吉平)これかい?こりゃはなの辞世じゃ。
え…?「まだまだとおもひすごしおるうちにはやしのみちへむかふものなりはなこ」。
あっ!はな〜!はな!はな!はな!
(泣き声)…医者には診しただけ?医者?何で医者に診せんだ!?はな!まだ辞世の歌は早え!
(鶏の鳴き声)
(ふじ)はな。
おかゆが出来ただよ。
おかあ白いお米じゃん!ああうめえなあ。
(ふじ)うめえか?
(吉平)うんと食べて精つけろし。
こんちは。
(周造)ああ。
はな熱下がったずらか?ああ。
顔見してやれし。
あっ朝市。
元気になってよかったじゃん。
これはなに。
何べん言ったら分かるずらか。
はなじゃねえ。
おらの事は花子と呼んでくりょう。
はなでも花子でもどっちでもいいら。
おとう。
おらは面白半分で辞世の歌を詠んだんじゃねえ。
ほれは分かっとるが…。
おらあん時本当に死ぬ覚悟しただよ。
一遍死んで生まれ変わったも同じだ。
おら生まれ変わったこの命を大事にするだよ。
ふんだからやっぱし自分の好きな名前を自分で付け直す事にしただよ。
みんなおらの事は花子と呼んでくれろ。
朝市分かっただけ?うん。
やっぱしこの子はただもんじゃねえ。
天才か…ひょっとしたら神童かもしれん。
へえ…これ本当に君が?私はこれを見て心に決めたです。
この子は神童じゃ。
一日も早くこんな田舎じゃなくて東京の女学校に行くべきじゃと!あんた…。
うちのもんたちはみんな学問の大事さがこれっぽっちも分かっとらんのです。
お父さんは本気で修和女学校の寄宿舎にお嬢さんを入れたいと。
はい。
でははっきり言わせてもらいます。
私は反対です。
てっ!反対?あそこの生徒は華族や富豪のお嬢様ばかりです。
いくらはなさんが優秀で学費免除の給費生として入学できたとしても華やかなお友達とうまくやっていけるでしょうか。
つらい思いをするのではないでしょうか。
わしの目の黒いうちははなを東京の女学校へなんか絶対に行かせん!
(武)女学校なんか行ける訳ねえら。
はな。
えっ?おまん本当は本がいっちょ好きだよね。
女学校行って好きな本をいっぺえ読みてえじゃねえだけ?本なんか嫌えだし華族のお嬢様の行く女学校なんかちっとも行きたくねえ。
本当け?おかあは字ぃ読めんからここに何が書えてあるだかさっぱり分からん。
ふんだけんどはながこれを読むと幸せでいっぱいの気持ちになる事だきゃあ分かるだよ。
おまんの顔がキラキラするだ。
言ってみろし。
遠慮しんで。
嫌えになろうと思ったけんどやっぱしうまくいかねえ。
好きなもんは好きだ。
本がうんとこさ好きだ。
ほれといつか教会の本の部屋みてえなうちに住んで片っ端から本を読んでみてえさ!思いっきし本読みてえ!
そして3年の月日が流れました
お父やんお願えがありやす。
(周造)何でえ改まって。
はなの夢をかねえてやってくりょう。
はなを東京の女学校に行かしてやってくりょう!おかあ…。
はなは自分が遊びてえのも我慢して妹たちの面倒見てくれて本当に本当にいいお姉やんだ。
これっからははなの好きなようにやらしてやりてえだよ!吉太郎も奉公から帰ってきたしこの機会にはなを東京に行かしてやってくりょう!お願えしやす!お父やん!お願えします!
(戸が閉まる音)あんた!おとうが許してくれたさ!ほうけ!ほうけ!ほうけ!はなよかったな!これでやっと東京の女学校に行けるだぞ!
そして別れの日が
はなは東京の女学校に転校するこんになりました。
今日で最後じゃんね。
この学校の事もみんなの事も決して忘れんさ。
回想とりあえずこけえ座れ。
(笑い声)はなの事は決して忘れんさ。
(サト)はなちゃん。
さいならはな!さいならはな!さいならはな!さいならはなちゃん!みんな…みんな…。
おまんの言いてえ事ぐれえ分かるさ。
「おらの事は花子と呼んでくりょう」ずら?ほうずら。
安東…。
元気でいろし!さいなら!さいなら!元気でいろし!はなたれ〜!はな!はな!さいなら〜!
こうして10歳のはなはふるさとを旅立ちました。
曲がり角の先には一体何が待っているのでしょうか?
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
はなは10歳でふるさとの甲府を離れました。
汽車に乗るのも東京へ行くのも生まれて初めての事ばかり。
小さな胸は緊張と不安で今にも破裂しそうでした
おとう…おら…。
心配するな!修和女学校はほりゃあすばらしい学校じゃ。
はなの大好きな本が山ほど読めるし海の向こうのカナダっちゅう国から来た先生たちが英語で授業をして下さるんじゃ。
英語?グッドモーニング。
グッドアフタヌーン。
グッドイブニングじゃ。
何でえほれ。
はな着いたぞ。
ここじゃ。
甲府の村とは別世界のミッションスクール修和女学校です
ごめんくださいませ!今日は日曜日じゃから学校は休みずらか。
(ブラックバーン)Stop!
(英語)
(富山)校長のミスブラックバーン先生です。
あっこちらが校長先生ですか。
私は校長の通訳を担当する英語教師の富山です。
寄宿舎の寮母とお裁縫の教師をしております茂木でございます。
娘がお世話になります。
よろしくお願えしやす。
ここが今日からお友達と生活するお部屋です。
失礼します。
生徒の多くは華族や富豪といった特権階級のご令嬢たち。
寮では予科本科高等科の生徒が一緒に暮らします
(3人)ご機嫌よう。
ごき…?
修和女学校は徹底的な英語教育で知られていました
(英語)
ABCも知らないはなは…
(英語)
(英語)
校長が教える50センテンスは起きてから寝るまでの日常生活をつづった50の英文。
これを暗唱するのが基本でした
(醍醐)とてもついていけないわ。
おらもだ。
MissDaigo.醍醐さん。
英語はどこで学びましたか?貿易の仕事をしている父から少し教わりました。
(ブラックバーン)MissAndo.Whendidyougetup?グッド…グッドモーニング。
ふざけてるの?おら…じゃなくて私もおとうに教わりました。
これさえ覚えておけば大丈夫。
なんとかなる。
グッドモーニング。
グッドモーニング。
昼はグッドアフタヌーン。
グッドアフタヌーン。
夜はグッドイブニングじゃ。
グッドイブニング!
(笑い声)
更に金曜日は恐怖のイングリッシュスピーキングデー
(小声で)来た。
(英語)
外国人教師とは全て英語で話さなければなりません
イタタ!離してくりょう!
(英語)「なぜ逃げるのですか」とお尋ねです。
英語がさっぱり分からんから…。
(英語)日本語を使ってはいけません。
もう勘弁してくりょう!
「ゴートゥベッド」というのはブラックバーン校長の最大級のお仕置きです
(茂木)ブラックバーン校長のお許しが出ない限り食事は頂けません。
心を落ち着けて一人でよく反省して下さい。
はい…。
待ってくりょう!はな!待てし!はな!みんなどうしてるら…。
会いてえなあ…。
はい。
安東ふじさんに郵便ずら。
(ふじ)はあ〜!フフフフ。
(朝市)こんちは!ああ朝市!うまいとこ来たじゃん。
おまんこれ読んでくれちゃ。
はなから?ほれじゃあ読みます。
「おかあおとうおじぃやん兄やんかよもも。
元気け?おらは元気です。
毎日食った事もねえようなごちそう食って元気でやってるだよ」。
(かよ)毎日ごちそういいなあ。
「みんなもお元気で。
元気な花子より」。
おしまい!「元気元気」って随分と元気の数が多くねえだか?
(周造)そうさな。
はなの事を心配したふじはすぐに返事を出しました
(ふじ)「はな。
お便りありがとね。
はな。
本当に元気にしてますか?はなはうんと辛抱強えボコだけんどあんまし辛抱し過ぎるじゃねえだよ。
あんまし便りに『元気元気』と書えてあるとけえって心配になるだよ。
つれえ時にはつれえと寂しかったら寂しいと正直に言ってくりょう。
体に気ぃ付けるだよ。
おかあより」。
はなはスコット先生の部屋の掃除を命じられました
掃除した事ねえだけ!うちでは使用人がするの。
お母様の部屋にもこんなのなかったわ!はなさん!見てごらんなさい。
これきっとスコット先生の大切な人よ!随分鼻の高え男の人だな。
いいなずけかしら!うちに帰りてえなあ…。
厳しい毎日。
はなのホームシックは重症になっていました
(吉平)グッドイブニング。
グッドイブニングはな。
てっ!おとう!はな元気にしてたか?おら…ホームシックにかかっちまって。
おかあに会いたくなってうちに帰りたくなる病気みてえだ。
へえ〜!はなもうほんな難しい英語を覚えただか!やっぱしはなはすげえな。
おとうの顔見たらこぴっと元気になったさ!
(英語での歌声)美しい声じゃな。
スコット先生…。
(歌声)
嫌いだったはずの英語がこの歌を聴いて初めてはなの心に響いてきました
ご機嫌よう。
2学期の総まとめの課題を出します。
(富山)日頃の感謝の気持ちを込めてブラックバーン校長に英語でお手紙を書きましょう。
(小声で)英語で?
(富山)今週いっぱいに提出して下さい。
期日を守れなかった者ブラックバーン校長がお読みになって合格点が取れなかった者は落第と見なし上のクラスに進級できません。
(どよめき)どうしよう。
英語の手紙なんて書いた事ないわ。
おらやっとこさABC覚えただに英語の手紙なんて逆立ちしても無理ずら。
はながまたスコット先生の部屋を掃除していた時の事。
ごみの中にあった英語の手紙を見つけよからぬ事を実行してしまいます
何でえこりゃあ。
いよいよ課題の成績発表です
(英語での挨拶)2学期の課題の結果を発表します。
このクラスは…全員合格。
(一同)やった〜!一番点数が高かったのは…安東はなさんのお手紙です。
(一同)えっ!?
(どよめき)
(英語)「親愛なるブラックバーン校長先生へ。
私がどれぐらい先生を愛しているかを申し上げるためにお便りしようと思います」。
(英語)
(富山)「あなたに出会ってからあなたを思わなかった日は一日もありません」。
(英語)
(富山)「私は一日中あなたの事を思っております」。
スコット先生どうかなさいました?
(富山)「愛を込めて。
花子」。
落第は免れたもののはなの心は晴れません
その陰で激しく傷ついている人がいたからです
スコット先生食事も喉を通らないなんてどうしたのかしら。
さあ。
スコット先生!スコット先生ごめんなさい!
日本語しか話せないはなでしたが通じなくても謝らずにはいられませんでした
先生の部屋の掃除しててごみ箱に落ちてた紙っぺらを見たら英語が書えてあったからおらそれを丸写しにしちまったです!安東はなさん。
今の話は本当ですか?
(ブラックバーン)AndoHana.…はい。
謹慎中のはなを訪ねてきたのは…
(吉平)グッドアフタヌーン。
はな。
てっ?はな久しぶりじゃな。
申し訳ねえ…。
おら…もうこの学校にはいられんだよ…。
この度は娘がとんでもない事をしでかしてしまって本当に申し訳ありませんでした!このとおりでございます!…と通訳して頂けますか?はっ?おとう。
もういいだよ。
おら退学になって当たり前だ。
はな…。
だけんどここを出てく前にスコット先生にちゃんと謝りてえだ。
おらスコット先生の歌聴いてあんな嫌だった英語も初めて心に響いてきただ。
謝らんとどうしても甲府に帰れねえだよ!お願えしやす!Hana!SpeakEnglish.
(英語)「ここにいたければ英語を学びなさい」。
(英語)
(富山)「そうすればあなたは強くなれます」。
はい!
その日からはなは猛勉強を始めました
(英語)
そしてある日
スコット先生。
I’msorry.Hana.
初めて英語が通じた瞬間でした
はなは15歳。
英語が大好きな女学生になりました
この単語何だろう?イタッ!また口答えですか?Gotobed,Hana!あの!はなじゃありません!私の事は花子と呼んで下さい!
まだ一度も花子と呼ばれた事のないはなでした
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
5年前修和女学校に編入した頃のはなは英語が恐ろしくて西洋人の先生たちから逃げ回っていました。
しかし今では横文字の本がなくては夜も日も明けぬほど英語が大好きになっていました
この単語何だろう?イタッ!イタタタタ!
(ブラックバーン)Hana!あの!はなじゃありません!私の事は花子と呼んで下さい!
そして毎週日曜日には孤児院に出向き恵まれない子どもたちのために奉仕活動を行っています
(一同)・「かごめかごめ」あの背の高い岩田様おうちは財閥で大富豪ですのよ。
その隣の北澤様は金沢の由緒あるお家柄で帝大一の秀才なんですって。
だ〜れだ?はなおねえさん!はなじゃなくて花子おねえさんでしょ!はなははなだ!逃げろ〜!
(子どもたち)逃げろ〜!あっ!あっ!待て!待て待て!
(ミニー)No!
(泣き声)
(北澤)・「Twinkle,twinkle,littlestar,」Canyousing?
(2人)・「Twinkle,twinkle,littlestar,」・「HowIwonderwhatyouare」Hereyouare.More?
(畠山)ミニー・メイちゃんはカナダから貿易商のお父さんと一緒に日本に来たんだけどお父さんが亡くなってしまったそうよ。
ずっと誰にも心を開かなかったらしいの。
そう…。
先ほどはありがとうございました。
花子さんは英語の発音が実にきれいですね。
てっ!申し遅れました。
北澤です。
花子さん?花子…。
どうかなさいましたか?あっいえ…何でもございません。
はなは生まれて初めて花子と呼んでくれる人が現れ恋に落ちてしまったようです。
そんな折孤児院の子どもたちのためにクリスマス会を開く事になりました。
はなの提案で「親指姫」の紙芝居をする事になったのです
花子さん。
はい。
「親指姫」はいつ読まれたんですか?父が一番最初に買ってきてくれた絵本なんです。
お父様はどんなお仕事をしていらっしゃるんですか?父は…あちこち飛び回って商いをしております。
海外にもよくいらっしゃるんですか?海外?
(北澤)花子さんの英語の発音はお父様仕込みかと。
あ…。
英語は最初だけ父に教わりました。
回想グッドアフタヌーン。
(北澤)やっぱりそうか。
花子さんのお父様は貿易会社を経営なさってるんですね。
ええ…。
そしてクリスマス会の日がやって来ました
「チューリップの花が咲きそのつぼみからなんと親指ほどの小さな女の子が生まれました」。
「初めまして。
私親指姫です」。
(笑い声)あの子に英語で紙芝居をやってあげたいんです。
私も同じ事考えてました。
えっ?えっ?
しかしその日はなは門限を破ってしまったのです
(茂木)はなさん?あなた…。
申し訳ありません!申し訳ありません!
(富山)給費生が門限を破るなんてあってはならない事です。
「Gotobedforeverandever」ですね…。
停学か退学か。
今日から冬休みだというのに門限破りをしたはなを待っていたのは一人で学校と寄宿舎の大掃除をするという罰でした
うちの生徒たちが集めた歳末の寄付金です。
どうぞお納め下さい。
ミニー。
お宅の生徒さんに渡して頂けますか。
「MissHana」…。
それはミニーが描きました。
クリスマス会の日はみんなが帰ったあとでミニーのために特別に英語で紙芝居をしてくれたそうで。
それではなさん遅くなったんだわ。
事情をくみ取ってはなさんの罰を軽くして頂けないでしょうか。
はなは孤軍奮闘しやっとの思いで大掃除を終わらせました
やっと終わった〜!
(拍手)Hana.Yes.What?とんでもない!罰当番でお掃除しただけですから。
(茂木)遠慮しないで。
甲府までの往復の切符をお買いなさい。
あなたこの5年間一度もおうちに帰ってないでしょう。
(ブラックバーン)Hana.はい。
ん…。
(郵便配達員)ごめんなって!安東ふじさんに電報ずら!電報?
(朝市)おばさん!電報はなからけ!おおはなから?見せろし。
はなが帰ってくるぞ〜!
ブラックバーン校長の計らいではなは5年ぶりに甲府へ帰ってきました
(周造)てっ!
(吉太郎)てっ!お帰りはな。
おかあ!おじぃやん。
兄やん。
かよ。
もも。
会いたかったさ!あ〜!ほいじゃ頂きます。
(一同)頂きます。
うめえ〜!毎日華族のお嬢様たちと同じごちそう食ってたらほんなもん口に合わんら。
ううん!おかあのほうとうは日本一じゃん!無理しんでいい。
どうでえ?おらお姫様みてえけ?うん!きれいじゃん。
あっかよ。
よく似合う。
脱ぐ事ないじゃない。
私もその着物友達から借りたの。
ねえかよは上の学校には行かないの?行かん。
どうして?兄やんに言われただよ。
おなごが勉強なんしたってお嫁に行くのに邪魔なだけずらって。
でも…勉強で知らなかった事が分かっていくのってホントにわくわくするわよ。
お姉やんはのんきでいいずら。
えっ?おらの事はほっといてくれちゃ!かよ!あっ…朝市。
元気ねえじゃんけ。
私帰ってこねえ方がよかったのかな…。
かよも兄やんも何か壁があって…。
はなは何にも分かってねえ。
かよちゃんのこんも…。
かよがどうしたの?かよちゃん…。
何?年明けたらすぐ製糸工場の女工になるだ。
女工…。
そして新しい年がやって来ました
(徳丸)何でえ?正月早々に。
え〜っと…おまんは?安東花子です。
ああふじちゃんの娘の!地主様お願いがあって参りました。
何ずら?私に働き口を世話して下さい!お願いします!この不景気にそう簡単に稼ぎ口が見つかる訳ねえずら。
そこをなんとか!商売の邪魔だ。
帰ってくれちゃ。
(三郎)帰った帰った!あっリンさん。
明けましておめでとうごいす。
(リン)おめでとう。
はな女学校やめて働くだと?えっ?知らんだけ?徳丸さんとこで「働き口世話してくりょう」って頭下げてただと。
おばさん…おらのせいずら!朝市。
おらがはなにかよちゃんの話なんしたから…。
朝市!黙っててって言ったじゃん!ごめん!女学校やめて働きてえって徳丸さんに頼みに行ったそうじゃんけ。
てっ!はい。
はな。
おら許せねえ。
お姉やんがほんな簡単に勉強投げ出しちもうなんて…。
情けなくって悔しくって力が抜けた。
何のために働きに出るだかおらまで分からんくなっただ。
みんな心ん中で応援してるだよ。
かよも吉太郎も。
ふんだけんどおらだって家族の役に立ちてえ。
みんなが苦労してるだにおらだけ勉強さしてもろうなんて…。
(吉太郎)分からんやつじゃ!はなが今やめたらおかあたちのこれまでの苦労が全部水の泡じゃんけ!兄やん!畑見てくる。
キチ!畑行くならおらも…。
地主さんに働き口なんかねえって断られただ。
畑ならおらも手伝えるから…。
さっさと東京帰っちめえ。
ここにいられても食いぶちが増えるだけずら。
(周造)キチ…。
はな。
自分の手見てみろし。
ほの手はもう百姓の手じゃねえ。
ほの手は米を作るよりわしらが作れんもんを作るのに使えし。
みんなほう思っとるだ。
はなは東京へ戻る事にしました
(白鳥)安東さん。
ご機嫌よう。
ただいま帰りました。
ご機嫌よう。
あなたが留守の間これが届きました。
北澤さん…。
てっ!適切でない表現がありましたので私が墨で塗り潰しました。
あしからず。
年賀状届きましたか?あ…すいません。
あれ読めなかったんです。
厳しい先輩に墨で塗り潰されてしまって…。
そうだったんですか。
「恭賀新年」のあと何て書いてあったんですか?参ったな。
じゃあ今言います。
はい。
「会えない時間があなたへの思いを育ててくれます」と書きました。
金沢に帰っていた時の率直な気持ちです。
それではっきり自分の心に気が付いてしまいました。
花子さん。
僕はあなたが好きです。
花子さんさえよければ近いうちにご両親にもお目にかかって結婚を前提にしたおつきあいをお願いしたいと思っています。
け…結婚?やっと言えた。
あの…。
1つ聞いてもいいですか?はい。
北澤さんはこんな私のどこを好きになって下さったんですか?子どもが好きで笑顔が実にすてきなところです。
あなたの笑顔を見ているとご両親にこよなく愛されて温かい家庭に育った人だという事が伝わってくるんです。
はい。
本当にそうです。
私の父は貿易会社の社長なんかじゃありません。
行商人です。
大きな荷物を担いで生糸や日用品を売っているんです。
私のうちは小作の農家で葉書を書いても母は字が読めません。
妹のかよは製糸工場の女工になりました。
私そんな家族が恥ずかしくて…。
けどそんな家族に支えられて東京で勉強させてもらっているんです。
大好きな家族なんです。
ごめんなさい!花子さん!本当ははなです。
でも花子って呼んでもらえてうれしかった。
さよなら。
はな16歳の冬でした
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
(蓮子)校長室はどこかしら。
ご案内します。
これが嵐を呼ぶ編入生蓮子とはなの出会いでした
(綾小路)葉山伯爵の妹さんですか!それにしても随分大人びてますね。
24ですから同級生より8歳年上という事になりますね。
その年でなぜうちの学校へ?詮索するのはやめましょう。
ええ…。
お食事のお時間です。
食堂へご案内します。
はなは蓮子のお世話係を命じられました
お食事のお時間です!・食堂へは参りません。
こちらで頂きます。
えっ?もう下がっていいわ。
え…。
失礼致しました…。
「もう下がっていいわ」?普通「ありがとう」よね。
「ほらあなたの唇のおかげで私の唇の罪が清められました」。
そこまでで結構です。
この先は割愛して次の章へ移ります。
待って下さい!ここはロミオとジュリエットが愛を確かめ合う大変重要な章だと思うんです。
授業の教材としてふさわしくないと言ってるんです。
さあ次へ進みますよ。
「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」。
何ですかその歌は。
与謝野晶子です。
そんな事を聞いてるんじゃありません。
男女の恋愛を汚らわしいものだと決めつけていらっしゃるようですね。
それはご自身の恋愛経験が乏しいからでは?
(どよめき)あなたは教師を侮辱するんですか!いいえ。
客観的な感想を述べただけです。
出ていきなさい!Gotobed!ではお先に。
ごめんあそばせ。
開けなさい。
白鳥様。
食事をみんなと一緒にしない不届き者がいると聞いて参りました。
葉山蓮子さん開けなさい!いいですか?食事は食堂で…。
今朝は食欲がないのでお食事は結構です。
ごきげんよう。
ちょっと!
そのころ甲府にあるはなの実家では…
(朝市)おばさん!今日も書く練習をしましょう。
(リン)朝市!おかあ…。
兄やんたちが汗水たらして働いてるだに毎日教会で何をしてるだ!もうあんなとこ行くじゃねえ!いや…明日も行く。
はっ?おら勉強がしてえだ。
勉強だと!?この親不孝もんが!
(ふじ)あ〜リンさんリンさん!おら百姓にはならん。
何だと!?師範学校受けて教師になる。
てっ…。
(吉太郎)朝市…。
やっと自分のやりてえ事が見つかっただ。
毛布をお届けに参りました。
そこへ。
これブドウを搾った滋養のお薬よ。
へえ〜!よろしかったらいかが?はい!おいしい!このお薬おいしいですね!もう一杯いかが?このお薬ホントに最高ですね!何だか楽しくなってきました!もうそのくらいにしておいたら?え〜?もっと飲みましょうよ先輩。
「先輩」?蓮子先輩!あ〜気持ちいい〜!みんな起きろ〜!お星様があんなにきれいですよ!・「Twinkle,twinkle,littlestar,」・「HowIwonderwhatyouare」お星様があんなにきれいですよ…。
これはこれは!皆様ご清聴誠にありがとうございます!はなさん!ワ…ワインってブドウ酒の事ですか?まさか!
(醍醐)ブドウ酒ですって!?
(どよめき)
(英語)「はなさんにブドウ酒を飲ませたのはあなたですか?」。
いいえ。
ブドウ酒は滋養のために私が家から持ってきたものです。
はなさんがそれを勝手に飲みました。
えっ!?お薬だとおっしゃいましたよね?お酒は百薬の長と申しますもの。
(富山)つまり葉山さんの部屋にあったブドウ酒をあなたが見つけて勝手に飲んだんですね?
(吉平)バカ野郎!何でじゃ…何で酒なんか!お酒って知ってたら私絶対飲んだりしなんだ!本当だよ!おとう信じて…。
分かっとる。
はなは嘘なんか言っちゃいんっておとうが一番よ〜く分かっとる。
でも…ほんでも悪いこんは悪い!おとう!ここは男子禁制だから!校長先生に会って謝るだ!
(悲鳴)
(ブラックバーン)Stop!You,sir!Getout!校長先生!先生方!娘がとんでもねえこんをしでかしちまって申し訳ありません!本当に申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳ありません!本当に申し訳ありません!
(英語)この件は校長先生が一旦預かるそうです。
処分保留のまま謹慎を命じられたはなのもとに妹のかよから便りが届きました
(かよ)「お姉やん勉強頑張ってるけ。
おらは製糸工場で毎日汗まみれになって働いてるだよ。
朝から晩まで休みもなくて監督さんにどなられてばっかしいるけんど辛抱しんきゃね。
つらくてたまらんときゃああのクッキーの事を考えるだよ。
お姉やんが焼いてくれた甘〜いクッキーの味を思い出すとどんなつらいこんも辛抱できるさ」。
「クッキーの缶はおらの宝物だよ。
お姉やん。
今度会ったらおらに夢の国みてえな女学校の話をうんとこさ聞かしてくれちゃあ」。
かよ…。
このまま退学になる訳にはいかない。
はなは蓮子の部屋へ向かいました
お話があります。
あの時私もブドウ酒を飲んでいたのに先生方に言いつけないんですね。
告げ口して何が変わるんですか?私それどころじゃないんです。
自分の事で精いっぱいなんです!もし本当に退学になんかなったらこれまで支えてくれた家族の苦労が全部水の泡になってしまうんです!家族を悲しませると思うと情けなくて…。
家族はそんなに大切なもの?離れていても家族はいつも私のここにいます。
みんなそうでしょう?あなたいくつ?私16ですけど。
16ならたとえ退学になったとしてもいくらでもやり直せるじゃないの。
私から見ればあなたは自由で幸福な小鳥よ。
幸福な小鳥?何言ってるんですか?あなたはいつも周りの人に守られて面倒な事は全て周りにやらせて何も傷ついた事ないんでしょう。
私は16の時…。
蓮子さん?
(ノック)・
(醍醐)はなさんこちらにいませんか?16の時どうしたんですか?何でもございません。
今日は小鳥たちがうるさいこと。
いよいよ処分が言い渡される日
(ドアが開く音)
(茂木)葉山さん…。
どうしたんですか?ノックもしないで。
今大事な話をしているから出ていきなさい。
ブラックバーン校長。
安東はなさんにお酒を飲ませたのは私です。
どうぞ私を退学させて下さい。
蓮子さん…。
あなた何なんですかその態度は!ブラックバーン校長…。
(英語)「神様はどんなに罪深い人間でも悔い改めればお許し下さる」とおっしゃっています。
(英語)「ただし…」。
(英語)「ここにいたければ条件があります」。
(英語)「集団生活のルールは守れますか」。
(英語)「今日から誰もあなたの事を特別扱いしません。
自分の事は全て自分ですること」。
(英語)「真摯な気持ちで勉学に励むこと」。
(英語)「食事はみんなと一緒に食堂でとること」。
(英語)「これまでの習慣を全て捨てて新しい自分に生まれ変わるのです」。
I’mtrustingyou.ブラックバーン校長は信じています。
(英語)「あなたはきっと変わる事ができる」。
はなさんの通訳はどうでしたか?完璧からは程遠いですがまあ意味はつかめていたんではないでしょうか。
そうですか。
蓮子さん!ありがとう!何か勘違いなさってるようね。
えっ?私はあなたにお礼を言われるような事は何もしておりません。
本当に退学になりたかったんです。
は…?うちの者たちは私をやっかい払いするためにここの寄宿舎に入れたんです。
あの人たちの思いどおりになってたまるかとつまり復讐してやろうと思ったんです。
あなたのためなんかじゃありません。
あっ待って下さい。
(茂木)アーメン。
(一同)アーメン。
(一同)頂きます。
(戸が開く音)ありがとう。
何ですって?「ありがとう」?目上の私に向かってその言葉遣いは何ですか!「ありがとうございます」と言い直しなさい!ちょっとあなた!何なさってるんですか?聞いてるんですか?いつもいつもそのような態度をとって…。
白鳥さん。
お席に戻りましょう。
嵐を呼ぶ編入生の蓮子とはな。
この2人この先どうなるのでしょうか?
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
修和女学校では年に一度の大きなイベントが近づいていました
今年も大文学会が近づきました。
(醍醐)今年は本科最後の大文学会ですもの。
頑張りましょう!
(一同)ええ!
(富山)出し物を考えておくように。
全員参加です。
(一同)はい!
(畠山)去年もおととしも「リア王」だったでしょう?せっかくだから新しいお芝居をやろうって事になって。
ねえ「ロミオとジュリエット」はどうかしら?舞踏会の場面もあるし華やかでロマンチックだわ!すてきね。
賛成。
私も賛成ですわ!賛成です。
出し物は「ロミオとジュリエット」に決まりはなは翻訳して脚本を書く事になりました
(はな)その運命に引き裂かれてしまうという悲劇です。
それでは主役のロミオとジュリエットから決めていきましょう。
我こそはと思う方は手を挙げて下さい。
ロミオですか?ジュリエットですか?
(竹沢)ジュリエットです。
(梅田)ジュリエットです。
私もジュリエットです!醍醐さんならジュリエットにぴったりですわ。
私もほかの役で結構です。
ではジュリエットは醍醐様でよろしいですか?
(拍手)ありがとうございます!精いっぱい務めますわ。
ロミオ役はどなたかいらっしゃいませんか?誰か勇気を出して手を挙げて下さい。
蓮子さん…。
本当に主役のロミオをやって下さるんですか?
(蓮子)ええ。
やります。
(どよめき)
蓮子は何を思ってロミオ役を買って出たのでしょうか
第三幕までの脚本出来ました!「ああどうすればいいの?パリス公爵の愛を受け入れる事など私には到底できないわ」。
ロミオは?ロミオがいなきゃ始まらないじゃないの!葉山様稽古場にも顔出さないなんて本当にやる気あるのかしら?優雅に歌なんて詠んでいらっしゃる場合じゃないんですけど。
蓮子さんロミオの役引き受けましたよね?あっ私の事はお構いなく。
そんな!ロミオがいなければお稽古になりません!今すぐ稽古場に来て下さい!
一方甲府の若者たちはそれぞれの将来を模索していました
(吉太郎)朝市は本当に百姓やめて教師になるだけ。
(朝市)うん。
おらもやっとやりてえこんが見つかっただ。
兵隊になる。
兵隊?こないだ甲府に連隊がやって来たら。
道端で見てるうちに体中がカ〜ッて熱くなって「これだ!」と思っただ。
おら東京の女学校行ってるはなにずっと引け目感じてただ。
かよもうちに金送るために工場行って妹らに先越されたみてえで…。
おら長男なのにこのまんまでいいずらかってずっと考えてただよ。
軍隊に入ればおかあたちに楽さしてやれるじゃん。
おらのおとうも兵隊だっただ。
てっ…。
おら顔も知らんけど赤ん坊ん時日清戦争で死んだだよ。
ほうか…。
「おおいとしいロミオ様。
私たちはどうすればよいのでしょう?」。
「おおいとしいジュリエット。
私はあの月に誓う。
そなたへの永遠の愛を」。
こんな芝居じみたセリフ恥ずかしくて言えませんわ。
これお芝居ですから。
こんな陳腐なセリフに感情を込めろという方が無理です。
陳腐…。
(梅田)何でしょうあの態度。
私あの方の相手役なんかできません!醍醐さん落ち着いて。
葉山様がロミオをやるなら私降ろさせて頂くわ!どうぞ。
蓮子さん!ひどい…。
醍醐さん…。
(茂木)今度はどうしたんですか?すみません役の事でもめてしまって…。
配役を変えたいんです。
(通訳するはな)葉山様がロミオのままだと私ジュリエットをやりたくありません!
(通訳するはな)私がロミオ?「嫌なら降りなさい」とおっしゃっています。
降りません。
蓮子さんはどうしますか?私も降りません。
(通訳するはな)困りましたね。
どうしましょう?「では蓮子さんがジュリエットをやりなさい」と。
どうしてですか?どうして舞台の主役なんか引き受けたんですか!復讐したい人がいるの。
私家の者たちを憎んでいますの。
回想これ以上葉山の家の名をおとしめるな。
私をこの学校に入れたのは体のいい幽閉なんです。
なぜそんな事を…。
出戻りの私は葉山家の恥さらしだからよ。
そんな…。
私にはあなたのお父様のように思ってくれる家族は一人もいないの。
回想
(吉平)申し訳ありません!それどころか私の存在を世間から消そうとしてるのよ。
だから私がここにいる事をおおっぴらにしてあの人たちが一番大事にしてる世間体をぶち壊してやりたいの。
そのために舞台の主役を?ええ。
はなは蓮子の秘密に一歩踏み込んでしまったようです
(茂木)富山先生。
蓮子さんは稽古に現れずはなさんの脚本もまだ完成してません。
富山先生も稽古場にいらして生徒たちを指導して下さい。
お願いします。
いえ私は…。
あの方の事をまだ引きずってらっしゃるんですか?出来た〜!どうしたんですか?こんな朝早く。
何だか目が覚めて。
待って下さい。
このままだとジュリエットの役降ろされますよ。
舞台に立てなくなってもいいんですか?いいえ。
じゃあこれ読んで下さい。
徹夜で書き上げた脚本です。
私なりに脚色も加えました。
これを読んでやるかどうか決めて下さい。
「おおロミオ様!」。
稽古に出てこない蓮子に代わり白鳥が代役を買って出ました
「ロミオ・モンタギュー!」。
「おお愛するジュリエット…」。
もっと気持ち入れて!
(ドアが開く音)脚本最後まで読みました。
率直に感動致しました。
あなたやっぱり翻訳力だけは大したものだわ。
蓮子さん…。
(茂木)やっと本気になってくれましたね。
「バラはたとえほかのどんな名前でも香りは同じ。
名前が何だというのでしょう」。
そうかな…。
どうしたの?はなさん。
ここどうしても気になるんです。
「バラはたとえほかのどんな名前でも香りは同じ」とシェークスピアは言ってますがもしバラがアザミとかキャベツなんて名前だったらあんなすてきに感じられるかしら?つまりはなさんは何が言いたいの?あの…ここのセリフ変えたいんですけど…。
はなさん。
悪いけどそんな時間はないわ。
このままいきましょう。
分かりました。
「名前が何だというのであろう。
ロミオの名前を捨てたところで私は私だ!」。
「ロミオ様それはどうでしょうか。
もしバラがアザミやキャベツという名前だったら同じように香らないのではありませんか?やはり名前は大事なものです」。
そのセリフの方がずっといいわ!前より意味が深まって聞こえます。
そうね。
じゃあそれでいきましょう。
(園子)あなた。
蓮子さんからこれが。
(葉山)何だこれは?「修和女学校講堂にて大文学会開催の運びと相成り候。
兄上様には必ず必ずおいで下さりたく候」。
まさか蓮子さんお芝居に出たりなさらないわよね?何?あそこの大文学会には華族のご父兄も大勢いらっしゃいますわ。
また悪いうわさでも立ったら…。
明日じゃないか!
そして本番の日がやって来ました
あの…例の復讐の件私でよければつきあいます。
えっ?舞台に上がって家の人たちに復讐するって言ってたじゃないですか。
どうせやるなら本気でとことんやりましょうよ。
それで?その復讐の相手は今日はいらっしゃるんですか?招待状は送ったわ。
よし。
どうして私の復讐につきあってくれるの?それは…。
友達だから。
ジュリエットだと?あなた。
どんな役なんですか?主役だ。
なぜ私がこの役をやりたかったか分かりますか?えっ?私もジュリエットのように家に縛られて不幸になったから。
兄が決めた人と無理やり結婚させられたの。
その時私はまだ14で右も左も分からなかった。
14歳…。
あなたと同じ16の時に子どもを産んだの。
でもその子も奪われて…。
もともと家の名を守るためだけに仕組まれた結婚だったの。
今の私は空っぽ。
生きていてもしょうがないの。
そんな…。
はなさんとは住む世界が違うの。
友達になんかなれっこないでしょう。
(開幕のベル)これ以上私に近づかないで。
嫌ですそんなの。
(拍手)あなたは空っぽなんかじゃない。
・「おおジュリエット。
そなたこそ私の妻にふさわしい。
どうか私と結婚してくれ!」。
「おお愛するジュリエット。
私はそなたが望むならいつでもモンタギューの名を捨てる覚悟はできている!」。
モンタギュー…。
「キャピュレットの家に縛られているのはそなたの方ではないのか?」。
「私が家に縛られている?」。
「そなたには父上が決めたいいなずけのパリス公爵というお方がいるではないか!」。
「それは父が勝手に決めた事。
父が考えているのは私の事ではなくキャピュレットという家の事だけですわ」。
「私は…私は父の操り人形ではありません!」。
「このまま運命を呪って生きていく事に何の意味がありましょう」。
「それよりは家の名前などない天上の国でロミオ様と2人永遠の愛を手にしとうございます」。
「ロミオ様…」。
(拍手)蓮子さん。
私いい事思いついたんですけど。
失礼。
誰ですか!?こんないたずらしたのは!待ちなさい!
(鐘の音)すいません!乗ります!
(2人の笑い声)
(2人の笑い声)ねえ蓮子さん。
私の腹心の友になってくれて?ええ!
この日は2人にとって生涯忘れられない記念日になりました
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」はなちゃんは本科を卒業したらどうするの?まだ考えているの。
勉強は続けたいけれど兄も妹もうちのために働いているのに私だけ好きな事続けていいのかしら。
そろそろ卒業後の進路を決めなければならない時期でした。
そんな折学校からの紹介ではなは出版社でアルバイトをする事になりました
ごきげんよう。
(せきばらい)ごきげんよう!修和女学校から参りました安東と申します。
ああ君か。
今日からひとつき臨時で働いてもらう事になった小間使いさんだ。
花子と呼んで下さい。
よろしく小間使いさん。
よろしく。
よろしく小間使いさん。
よろしく。
・小間使いさん電話出て。
・あっ取れた…。
・そちら麹町2525番ですか?ごき…ごきげん…ごきげんよう。
・もしもし?何か言ってますよ!・もしもし?あの…ごきげんよう。
・もしもし。
あれ?何ですか?
本棚にあった英英辞典に心引かれるはな
ん?てっ!
(英治)はい。
てっ…。
その男性は出版社に出入りしている印刷会社の2代目村岡英治でした
どうもありがとうございます。
いえ。
今の誰?
ある日の事
君英語できるんだよね?はあ…。
ちょっとここ座って。
あのねこれのここちょっと読んでみて。
「Thebodystructureofcamels…」。
はなにチャンスが訪れました。
試しに英文を翻訳する事になったのです
出来ました!村岡君!はい。
どう?拝読します。
どう?とても素直できれいで読みやすい翻訳だと思います。
(梶原)小間使い君。
本気でやってみないか?えっ?使い物になりそうだ。
こぴっと頑張ります!「こぴっと」?それどこの国の言葉?小間使いから翻訳者に昇格ね。
おめでとう。
ありがとう。
そういえばはなちゃんは花子と呼ばれたいって言ってたわよね。
ええ。
世に自分の作品を出す時にその名前を使えばいいじゃないの。
ペンネームね!うん。
悪くないわ。
こぴっとやる気が出てきたわ。
蓮様の夢は燃えるような本物の恋ですよね。
ええ。
そして恋の歌をたくさん作るの。
これが私のペンネーム。
白蓮?すてき!
(葉山)頼む。
助けてくれ。
お兄様?この縁談を受けて葉山の家を救ってくれ。
どういう事ですか?投資していた貿易会社が潰れてもうどうにもならない。
このとおりだ。
見合いだけでもしてくれ。
先方は九州の石炭王だ。
この縁談がまとまりさえすれば…。
莫大な結納金でも入るんですか?お兄様は私をお金で売るおつもりですか?
(梶原)はいお給料。
ありがとうございます!初めてのお給料?はい!帰りに友達にきんつば買って帰ろうと思います。
そう。
そのころ蓮子の見合いが始まろうとしていました
(久保山)お待たせして申し訳ない。
あっこちら嘉納さんだ。
何も知らずにはなは蓮子の帰りを待っています
きんつば買ってきたのにな…。
蓮子の見合い相手嘉納伝助は一代で巨万の富を築き上げた九州の石炭王。
蓮子より25歳年上です
こんないい縁談は金輪際ないぞ!お兄様は本当に私があの方と夫婦になれるとお思いになるんですか?頼む。
先方にはお前を必ず説得するという約束でもう結納金も受け取ってしまった。
蓮子はある事を決心していました
蓮様お帰りなさい!ただいまはなちゃん。
固くなってしまったかしら?ううん。
おいしい。
ねえ。
私甲府のはなちゃんのおうちに行ってみたい。
えっ…。
今度の週末は?えっ!?
(もも)てっ!来たじゃん!みんなただいま。
さあどうぞ。
女学校のお友達の葉山蓮子さん。
ごきげんよう。
おじい様お母様ももちゃん。
お目にかかれてうれしゅうございます。
(周造)こっちこそ…。
(ふじ)はながいつもお世話んなっておりやす。
隣のもんでごぜえやす。
よろしく。
ありがとうございます。
これは何ですか?おかあが作ったほうとうよ。
おいしゅうございます!
(ふじ)蓮子さんお代わり。
(もも)兄やんは兵隊さんになるだよ。
兵隊?えっ志願するの?兄やん…。
兄やん…ほんなに兵隊さんになりてえだけ?
(吉太郎)うん。
今すぐじゃねえが心は決まってるだ。
ほん時が来たらおらはこのうちを出てく。
そう…。
「君死にたまふことなかれ」。
「あゝおとうとよ君を泣く君死にたまふことなかれ末に生まれし君なれば親のなさけはまさりしも親は刃をにぎらせて人を殺せとをしへしや人を殺して死ねよとて二十四までをそだてしや」。
これ差し上げます。
吉太郎さんが持っていて下さい。
(鳴き声)蓮子さん。
今一人じゃ抱えきれねえようなこん抱えてるじゃねえだけ。
やっぱしほうだねえ。
ほれはお母様にも言えねえような事け。
私の母は早くに亡くなったんです。
顔も知らないんです。
一度でいいから会いたかった…。
はなちゃんが羨ましいです。
こんなに優しいお母様がいらして。
蓮子さんはもううちの家族じゃん。
こんなすすけたおかあでよければいつでもほうとう作って待ってるだよ。
おかあと呼んでもいいですか?おかあと呼べし。
(笑い声)蓮子さん。
大丈夫だ大丈夫だよ蓮子さん!つれえ時にゃあいつでもここへ帰ってきて泣けし。
大丈夫だ。
(泣き声)この時間が永遠に続けばいいのに。
私には青春なんて一生ないと思ってたわ。
でもはなちゃんと出会って失われた時間を取り戻したの。
この半年間本当に楽しかったわ。
このキラキラした時間を私決して忘れない。
遠く離れても。
遠く離れても?
(鐘の音)
(白鳥)安東はなさん。
甲府から帰るとはなに荷物が届いていました
これ私が一番欲しかった辞書よ!
(英治)「安東はな様先日の翻訳のお礼です。
英語の勉強こぴっと頑張って下さい」。
回想てっ!はい。
私こんな高価な辞書頂いてもいいのかしら?その辞書の贈り主もはなちゃんの才能を認めたのね。
やっぱりはなちゃんは高等科へ行って翻訳の才能を磨くべきだわ。
蓮様はどうするの?もちろん行くわ。
ありがとう。
私やっと心が決まったわ。
蓮子にも手紙が届きました
結納から嫁入りまで段取りは既に決められていました
(鐘の音)
進路指導の日
(茂木)はなさん気持ちは固まりましたか?はい。
私は高等科へ進みたいと思います。
家族に仕送りをしながら勉強を続けたいんです。
そしていつか翻訳の仕事をしたいんです。
(通訳する富山)それは並大抵の努力ではかないませんよ。
覚悟してます。
(醍醐)はなさん!大変大変!どうしたの?これをお読みになって!蓮様!
(醍醐)どうしてそんなまた年配の方と…。
(園子)お色直しは何回でも多ければ多いほどいいそうよ。
お金に糸目はつけない方だから。
運命に翻弄される蓮子
蓮様…どうして…。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
九州の石炭王と婚約した蓮子
蓮様…どうして…。
蓮子の婚約報道から1週間。
はなの心には大きな穴が開いたままでした
蓮様!ごきげんよう。
お久しぶり。
どうして何も話してくれなかったの?ずっと隠してたなんてひどい!新聞ご覧になったでしょう?とてつもない玉のこしなのよ。
そんな結婚なさるなんて恥ずかしくないの!?蓮様の嘘つき。
お兄様が持ってらしたあの縁談は断ったんじゃなかったの?自分は操り人形じゃないって蓮様言ってたじゃないですか!それも嘘だったの!?この結婚は私が望んだんです。
蓮様が?東京で盛大に披露宴をやるから是非いらしてね。
嫌よ!披露宴なんか行かないわ!おめでとうも絶対に言わないから!蓮様どうしてそんなに冷静でいられるの?もう会えなくなるかもしれないのに…。
ごきげんよう。
(ドアが閉まる音)蓮様待って!やっぱりそんな結婚間違ってるわ!結婚式なんかすっぽかしてどっかに逃げましょう!ねっ?私もつきあうから!しばらくどっかに隠れるの。
そうだ山梨のうちはどうかしら?はなちゃん何言ってるの?私がいつそんな事頼んだ?蓮様が夢を諦めてしまうのは私どうしても嫌なんです!言ってたじゃないですか。
一度でいいから誰かを心から愛したいって。
今ならまだ引き返せるわ。
いい加減にして下さらない!?子どもじみた友情ごっこはもう飽き飽きしました!友情ごっこ…?まさか本当に私と腹心の友になれたと思った訳じゃないでしょうね?そもそも伯爵家で育った私と山梨の貧しい農家で育ったあなたとでは住む世界が違い過ぎるんです!さようなら。
蓮様…。
そして結婚式の日。
はなは式場に現れませんでした
回想蓮様の夢は燃えるような本物の恋ですよね。
ええ。
そして恋の歌をたくさん作るの。
歌人白蓮。
はなちゃん…。
ごめんなさい…。
(シャッター音)
嘉納伝助と蓮子は東京で盛大な結婚式を挙げた後炭鉱のある福岡へやって来ました
・「月が出た出た月が出た
(ヨイヨイ)」
(嘉納)飲むか。
(笑い声)冗談でえ。
あの…そちらのかわいらしいお嬢様は?ああ〜まだ紹介しちょらんやったな。
娘の冬子ばい。
娘?
伝助には子どもがいないと聞いていた蓮子は耳を疑いました
冬子。
こん人が今日からお前のおっかしゃんたい。
ほれ。
挨拶しぇんか。
(冬子)こげなお姫様をおっかしゃんとか呼べんばい!
冬子は伝助が外の女性に産ませた子どもだったのです
時は流れ年号が明治から大正に替わりはなは高等科の最上級生になりました
そのころ甲府の家では大変な事が起きていました
(周造)かよが!?かよいつ工場からいなくなったですか!?1週間前だ。
前金の分もまだ働いてねえだに。
見つからなんでも金は利子つけて返してもろうぞ!
(戸が閉まる音)お姉やんどけえ行ったずら。
かよ…。
かよ!かよ!
(吉太郎)おかあ落ち着けし。
おかあ!
(鐘の音)
(醍醐)しっかりなさって!かよ!どうしたの!?
(かよ)会いたかった…お姉やん!かよ…痩せたね。
顔色もよくねえ。
毎日朝の5時から夜の8時まで機械の前に立ちっ放しで…。
一日中ただ黙って機械の前に立ってるとおらもう自分が生きてんだか死んでんだかよく分からんくなって…。
(かよ)プツッと辛抱の糸が切れちまっただよ…。
かよ…。
おら死んでも工場には戻らねえ。
おら東京で仕事見っけて必死に借金返すつもりだ。
かよ…。
今日はゆっくり体休めて。
先の事はまたゆっくり考えよう。
はなはかよと暮らす事を考え東京で働く決心をしました
かよを心配してふじが東京にやって来ました
(生徒たち)ごきげんよう。
おかあ!はな!1人で来ただけ?ほうだよ!かよが心配で汽車に飛び乗っただ!よく1人で来られたじゃんね!おかあ…。
遅くなってごめんね。
どけえ行ってたでえ。
出版社に雇ってもらえるかお願えしに行ってきただ。
出版社?何の事でえ?おかあ。
おら卒業したら東京で働きてえ。
出版社に働くこんになったら甲府には帰れねえけんどおかあほいでもいい?ああ…いいに決まってるじゃんけ。
うん。
はなの好きにしろし!ありがとう!Isaymyprayers.
(生徒たち)Isaymyprayers.
ふじにははなが立派に輝いて見えました
そしてふじは自分の胸の内をはなには話さず一人甲府に帰っていきました
(茂木)安東さん。
お手紙ですよ。
あっありがとうございます。
(ふじ)「はなあと2か月で卒業ですね。
はなの帰りを楽しみに待っています」。
(もも)「この葉書おかあは出さなかったけんどおらが代わりに送ります。
もも」。
おらもお姉やんに言おうかどうしっかずっと迷ってただよ。
えっ?おかあお姉やんが帰ってくるもんだと思い込んでた。
ほれでもおらは東京にいてもらいてえ。
そうよ!はなさんは東京で夢を追いかけるべきよ。
(畠山)せっかくここまで来たんだから面接頑張って。
ありがとう。
頑張るわ。
(梶原)君はこの会社に入ったらどんな本を作りたいの?それは…大人からも子どもからも愛されて読んだ人が思いっきり想像の翼を広げられるようなそんなすてきな物語の本を作りたいんです。
親御さんはあなたが働く事に賛成ですか?…はい。
おうちは山梨の甲府ですか。
ええ。
どんな所なの?ブドウ畑と田んぼしかない所ですがうちの庭からは富士山が見えます。
へえ〜富士山が。
盆地なので冬は寒くて空っ風が冷たくて母の手はいつもあかぎれだらけです。
母はいつも私たちの心配ばっかりしてます。
「風邪ひいてねえか。
腹すかしてねえか。
こぴっとやってるか」って。
母は字の読み書きができなかったのに私の知らない間に一生懸命字を練習して私に初めて葉書を書いてくれました。
(ふじ)「はなの帰りを楽しみに待っています」。
安東君どうかしましたか?ごめんなさい。
両親が賛成してくれてるなんて嘘なんです。
母はずっと私の帰りを待ってます。
この10年間ずっと待っててくれたんです。
なのにおかあの気持ち全然分かってなくて…。
ううんほうじゃねえら。
本当は心のどっかで分かってたはずなのに自分の都合のいいように気付かんふりしてただけずら。
ごめんなさい!私やっぱりここで働けません。
甲府に帰ります。
何だって?君。
本当に申し訳ありません!
(英治)安東はなさん。
あ…村岡印刷さん。
どうしたんですか?いつぞやは英英辞典ありがとうございました。
あの辞書を持って甲府に帰ります。
えっ…甲府に帰ってしまわれるんですか?じゃあ。
ナマケモノは…木にぶら下がりながら夢をみてるんだと思います。
は…?だからあなたも夢を忘れないで下さい。
ごきげんよう。
さようなら。
はなたちの卒業が近づいたある日甲府の幼なじみ朝市から葉書が届きました
(朝市)「はな。
この間の依頼の件我らが母校に代用教員の口があったのでお願いしときました」。
「幸い今日採用の返事をもらえました」。
採用?
(朝市)「はな。
おらと一緒に母校で働くじゃん」。
てっ!
卒業式。
はなは富山先生の計らいでブラックバーン校長のスピーチの通訳をする事になりました
「私の愛する生徒たちよ。
我と共に老いよ。
最上なものはなお後に来る」。
「旅路の最後まで希望と理想を持ち続け進んでいく者でありますように」。
10年間の思い出が詰まった修和女学校を後にしはなは甲府へと向かったのです
2014/12/29(月) 08:00〜10:25
NHK総合1・神戸
「花子とアン」ダイジェスト こぴっと一挙放送!「女学校編」[字]
あの感動をもう一度!連続テレビ小説「花子とアン」第1週から第7週まで「女学校編」をダイジェストでお送りします。
詳細情報
番組内容
(第1週)明治後期、甲府の貧しい農家で生まれた安東はな(山田望叶)は本が大好きな少女だった。父・吉平(伊原剛志)は、はなの才能を感じ、東京の女学校へ転校させようと奔走する。(第2週)修和女学校の給費生になったはな(山田望叶)。良家のお嬢様との共同生活や外国人教師の厳しい授業に戸惑う毎日。ある日、校長先生へ英語の手紙を出すという宿題が出て…
出演者
【出演】吉高由里子,山田望叶,伊原剛志,室井滋,石橋蓮司,松本明子,カンニング竹山,山崎一,マキタスポーツ,山崎竜太郎,里村洋
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
キーワード1
連続テレビ小説
キーワード2
花子とアン
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:4617(0x1209)