成田空港に降り立った1人のオリンピアン。
アメリカで修行中の…北京ロンドンとオリンピック連続出場の飛び込み女王。
その演技は正確でダイナミック。
飛び込み強豪国アメリカを練習拠点にして次のオリンピックを目指している。
そんな中川が指導するネクストエイジは栃木県の高校3年生榎本遼香。
同世代では敵なしの高校女王。
彼女にはオリンピックを見据えたある目標が。
踏み切りから入水まで僅か1.8秒。
その中で回転数を増やす。
ネクストエイジの夢のためオリンピアンの猛特訓が始まった。
更に難しい指摘。
まとまってはおるけどどっかに何かインパクトがあるかって言われたら欠けとるかな。
日本の飛び込み女王と高校女王が本気でぶつかるドキュメント。
さあ始まりました。
今回は「飛び込み」です。
飛び込み。
踏み切りから水に入るまでおよそ1.8秒らしいんですよ。
すぐだね。
じゃあ審査員の人がさ「ハックション!」…もう終わってるかもしれない。
終わってます終わってます。
うわ〜!飛び込みは大きく分けて2種類あります。
まずはこちら高飛び込みですね。
コンクリート性の固定された台から飛び込むんですが高さは10mあります。
危ないじゃんもう!ここにちっちゃく…ちっちゃく人がいるの見えますかね?うん。
こっから落ちてきた時に…水面の時に1t。
うわ〜そうなんだ。
初めて知った。
そしてもう一つが板飛び込みですね。
こちらは3mで弾力性のある板から飛び込む形になっております。
ここがビヨ〜ンってなるんですね。
ビヨヨ〜ンってなる所が3m。
そして飛び込みは技の難易度や美しさが点数につながる採点競技でもあるんです。
ポイントは大きく分けて3つです。
踏み切り。
これですね。
そして空中演技。
回ってます。
更に入水。
ここもなんですね。
ここの踏み切りではその姿勢の美しさやジャンプの高さなどが採点されます。
へえ〜踏み切り。
ちなみに現在の飛び込み強豪国は中国アメリカロシアとなっております。
大国なんだな。
中国アメリカロシア。
日本はオリンピックではメダルまであと一歩の4位まで来ておりますのでこれが…。
4位まで行ったの?4位が最高なんです。
もうちょっとでメダルなんだ?そうなんですよ。
あと一歩。
まさに期待がかかってるんですがそんなこれまで日本が取った事ないメダルを目指しているのがネクストエイジの栃木県宇都宮市の高校3年生18歳の榎本遼香さんです。
さあ期待の榎本さんはどんな高校生なのでしょうか。
素顔に迫りました。
はい。
榎本が通うのは栃木県にあるスポーツ強豪校。
たくさんのアスリートが集まるこの学校でその存在は際立っている。
今年8月のインターハイで3連覇。
同年代では敵なしの高校女王だ。
いい笑顔。
すごくない?強みは入水技術。
優れたバランス感覚で空中での姿勢を整えまっすぐに水の中へ入っていく。
水しぶきが少ないノースプラッシュという技術だ。
更に爪先まで意識されたしなやかできれいな体のライン。
そこから繰り出される美しい演技が高く評価されている。
優れているのは飛び込みだけではない。
学校の成績も…。
3時間目が終わると日課がある。
早弁だ。
ウフフフ…やだ〜。
なんと1日5食。
これには訳が。
練習中も。
それで…。
(取材者)練習前とかも?放課後は市内のクラブチームで練習。
でも向かったのはプールではない。
屋外プールは夏の間しか使えない。
栃木県には飛び込みができる屋内プールがないため秋以降は練習メニューが限られる。
東京などに出かけてプールを借りる事もあるが多くて月に3回程度。
(上野)もうちょい…もうちょいくっと入れていいよ。
かつて飛び込み選手として活躍していた上野コーチ。
決して恵まれてるとは言えない環境の中二人三脚でトレーニングを重ねている。
そんな榎本が飛び込みを始めたのは思わぬきっかけからだった。
そうだね。
何だろきっかけって…。
もともと5歳から器械体操をしていた。
小学6年生の時には栃木県の大会で優勝した事もある。
ある日の練習中たまたま同じ体育館にいた…そんなスカウトあるんだね。
すぐに飛び込みに夢中になり本格的に取り組み始めた。
本格的に始めてから4年目。
高校1年でインターハイに出場し…2年生のインターハイでも高飛び込みそして板飛び込みで優勝し2冠を達成。
高校女王と呼ばれるようになった。
最後のインターハイ。
しかし板飛び込みでは…。
2位という結果に終わってしまった。
オリンピックを目指す榎本は高飛び込みと板飛び込みどちらの種目で勝負していくか模索している。
固定された台から飛ぶ…しなる板から飛ぶ…板飛び込みは板の反動をもらえる反面タイミングが合わないと板に足の力が吸収され踏み切る時の勢いが死んでしまう。
体もぶれやすく高度な技術が必要な種目で榎本は苦手意識を持っている。
今はインターハイで優勝を逃した板飛び込みの強化に特に力を入れている。
練習が終わるのはいつも夜8時過ぎ。
お迎えは父の役目。
家までおよそ40分。
その間に…また!おなかすいちゃいけないから。
帰宅するとすぐにストレッチ。
何かを書いている。
軟らかい書き物ですね。
うん本当。
勉強してんの?これ。
ノートには数字やアルファベットがいっぱい。
実はこれ演技の種類を表す。
その日に練習した演技を全て覚えて記録しているのだ。
壁に掲げた目標は「常勝」そして「成長」。
(取材者)その先も考えてる?その先は…ストイックでしたね。
すごかったね。
この人何がすごいかって…遼香ちゃん勉強も学年トップってすごくない?もうみんなが「何でもできるんです」友達が言うってすごくないですか?本当だね。
俺高3の時の早弁ってあんな事考えてなかった。
普通に食べてなかった?おなかすいて食べる訳じゃなくて空腹状態がいけないからっていうプロ魂の。
あの書いてたノート気になりますよね?気になった。
実はちょっと写しをお借りしてきました。
こちらです。
じゃん!この数字とアルファベットは演技の種類を表してるという事でしたが…。
分かんない。
もうこの時点で「この人頭いいな」って思うね。
ちょっとこれじゃよく分からないと思うので詳しくご説明致しましょう。
じゃあちらの方に。
こちらなんですが「105C」の場合の演技を。
技名「105C」の演技?そうです。
教えて。
1行目は飛び方。
飛び込み台から踏み切る時の姿勢。
1は前向きに踏み切る前飛び込み。
後ろ向きに踏み切る後ろ飛び込みは2と表す。
このほかにも種類がある。
2行目は極めて難易度が高い技でほぼ使われていないため0。
3行目は空中での回転数。
半回転は1。
1回転は2と表す。
最後のアルファベットは空中で回転する時の姿勢。
Cは膝を曲げて回転する抱え型。
Bは膝を伸ばして抱えるえび型。
Cの抱え型より難易度が高い。
つまりこの「105」の5は2回転半ですね。
なるほど。
そして「105C」とは…そういう事だったんだ!ようやく分かったよ。
これだけの練習をず〜っとやっていた訳なんですね。
この日?この日一日のやつが。
そういう事なんだ。
さあそしてネクストエイジ榎本さんはある難易度の高い技に今挑戦しています。
それが…じゃん!バン。
え?もうこれ泰造さんなら読めますね。
お願いします。
ちょっと隠して…上に上げていい?いいですよ。
えっと…えっと前飛び込みの途中宙返りなし。
それでは正解はVTRで確認しましょう。
こちらをどうぞ。
ちょっと待って。
夢であるオリンピックの舞台に立つためより難易度の高い技に挑む榎本。
曲げた膝を抱えて回転する抱え型。
それに対して膝を伸ばして回転するのがえび型。
えび型の方が回転の直径が大きく遠心力がかかるため難易度が高い。
こっちの方が難しいの?みたいですね。
すっげえ。
榎本は抱え型では3回転半回れるが…。
えび型ではまだ2回転半しか回れない。
これを3回転半にするのが目標だ。
1回転増やすためには踏み切りの時板をうまく利用してより高く飛ぶ事。
更に回転速度を上げる事などが求められる。
そのための練習をこの秋から本格的に始めた。
へえ。
回転数をあと1回って相当すごい事なんだろうね。
素人目に見てもあの1.8秒の中でもう一回回るって…。
想像できないね。
あと一回回れっていう事だもん。
なかなか厳しいですよね。
そんな遼香ちゃんを応援するのがオリンピアンの中川真依さんです。
北京ロンドンとオリンピックを2大会連続で日本代表になりました飛び込み女王です。
日本の女王って事だ。
日本の女王ですね。
つまり2008年から女子では中川さんしか出場していないんです。
この人本当にすごいんだね。
日本では圧倒的な強さを誇っていらっしゃるんですね。
そうか…。
そんな方が来てくれたの!?そうなんです。
アメリカから。
1か月ぶりに日本に帰ってきてくれました。
次のオリンピックを目指しアメリカでトレーニングを重ねている…今回日本での特別プログラムに参加するため一時帰国した。
忙しいスケジュールの中時間を割いてくれた。
えび型の3回転半を目指すネクストエイジに足りないものは何なのか…。
まずは映像を見てもらった。
首ひねった。
この日榎本と上野コーチは久々に屋内プールを借りて練習していた。
そこにオリンピアンが向かう。
こんにちは。
おっ!
(笑い声)実は中川と上野コーチは同期で同じ大会に何度も出場していた間柄。
中川が来る事は榎本にはないしょにしてあった。
練習を続けるが…。
突然の事にびっくり。
こんにちは。
2人は大会などで会った事はあるがちゃんと話した事はない。
(中川)恥ずかしい。
じゃちょっとやってみる?お願いします。
お願いします。
中川はえび型の3回転半を自分のものにしている。
速っ!すっげえ!榎本の2回転半と比べると明らかに違うのは回転速度。
速い!その回転速度をどうしたら上げる事ができるのか。
オリンピアンはすぐにある問題を見つけた。
指摘したのは腕の使い方。
2人の映像を比較してみると踏み切ったあと中川の方が速く腕を振り上げている。
腕を振り下ろす時も速く力強いためその反動でお尻が高く上がっている。
腕のスピードを速くすれば回転速度がアップするというのだ。
手が遅い。
もっと速くセットして…。
腕のスピードは実は榎本自身も課題にしてきた事。
これまでもずっと取り組んできた課題。
どうしたら一瞬の間に腕を速く振る事ができるというのか。
今のまだちっちゃい。
もうちょっと前に。
前に…。
今度は頭の位置を指摘した。
腕を振り下ろす時頭を後ろに残すよう意識すればお尻が上がりやすくなり回転速度が増すという。
頭の位置はこれまで意識していなかった。
オリンピアンが来る前の練習と合わせるとこの日60本以上飛んでいる。
え〜うそだろ!?もうちょっと顔の位置かな?ちょっと早いからもうちょっと残していいから。
榎本にスイッチが入る。
ここに持ってくるのは速くなったけどもっと前に。
前に大きく。
腕の振り方の特訓。
体で覚えさせる。
(中川)手前ね。
すっげえ…。
うわ〜鬼コーチ。
必死で食らいつく。
そしてこの日78本目の飛び込み。
うそだろ!?これ。
遼香ちゃん今のよかった。
最後の一本。
頭を残し腕を素早く振る事でお尻が高く上がるようになった。
速く回転できるようになり体勢を立て直す余裕が生まれ入水姿勢も美しくなった。
(中川)どう?最後の一本すごい高さも回転もあったの分かる?あの感覚。
今はまだ2回転半。
しかし榎本は3回転半へのきっかけをつかんだ。
最後に中川は大舞台に立つために大切な事を。
私の遼香ちゃんの飛び込みのイメージで言うとすごいまとまってはおるけどどっかに何かインパクトがあるかって言われたらそれに欠けとるかなっていう部分があるから。
やってない?それで結構…体をまっすぐ伸ばし大きく見せたあと素早く足を引き付け両手で締めるようにして体を小さくする。
一瞬の中のメリハリが見る者へのインパクトになる。
中川が伝えたかったのは魅せ方だった。
オリンピックに出て活躍したいっていうのが夢だからこれからもそれに向けて頑張っていきます。
一緒に頑張ろうというか応援してます。
数日後新潟で合宿中の榎本に会いに行った。
中川の教えを早速。
いつか中川さんを超えて自分が引っ張っていけるようにしたいです。
すごかったですね。
この「オリンピアン」の練習V見てたまにあるんだけど練習見て引いちゃうっていうね。
何か「もうやめてあげて!」じゃないですけど。
すごくない?78本。
78本。
この子多分あれなんだろうな負けず嫌いなんだろうね。
この方も遼香ちゃんぐらいの時ずっとやってたんだろうね。
なるほど。
だからもう当たり前なんだよ。
遼香ちゃんと中川さんがリオとか東京オリンピックで戦うかもしれないんでしょ?2人が同じ舞台で戦う様子が見てみたいですね。
いやもうこれは期待だね。
僅か1.8秒にドラマがある。
その一瞬に全てを懸け世界をめざす!2014/12/28(日) 17:30〜18:00
NHK総合1・神戸
めざせ!2020年のオリンピアン「飛び込み高校女王×日本の女王」[字]
2020年の東京五輪を夢見る若き逸材に先輩のオリンピアンが本気でぶつかるドキュメント。飛び込み“高校女王”の高難度回転技への挑戦に“日本の女王”が熱血指導!
詳細情報
番組内容
踏み切りから入水まで約1.8秒。一瞬の中にさまざまな技を込める飛び込み。宇都宮市の高校3年生榎本遼香さんは高飛び込みでインターハイ3連覇の“高校女王”。世界を見すえ、いま強化に取り組むのは苦手意識のある板飛び込み。世界で勝つために難易度の高い技を身につけようとしている。そんなネクストエイジを応援するオリンピアンは、北京・ロンドンと五輪2大会連続出場の“日本の女王”中川真依。回転速度を上げる猛特訓!
出演者
【出演】北京・ロンドン五輪代表…中川真依,高校3年生…榎本遼香,【司会】原田泰造,松岡茉優,【語り】山上智
ジャンル :
スポーツ – オリンピック・国際大会
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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