日本からおよそ9700km離れたフランス・花の都「パリ」
多くの芸術家を育みとりこにした街…
やってきたのはモデル・知花くらら
パリにやってきました〜!冬のパリすごい寒いですけどまあでも雰囲気あっていいですよねシャンゼリゼ通りもすごくにぎわってますたくさんの人がいて…凱旋門も後ろに見えるしなんかワクワクします今から100年以上前パリを含めたヨーロッパを中心に一人の日本人女性が国際的な女優として活躍していました彼女の名は「太田花子」近代彫刻の巨匠あのロダンが日本人でただ1人モデルにした名もなき偉人です
日本人初ともいえる…
時は明治
海外で暮らすことはおろか旅行すら珍しかった時代
己の身ひとつ…
しかし…
粂吉どこだ!
成功の陰には想像できないほどの壮絶な人生があった
やぁっ!
目の前で…
男尊女卑の時代座長に抜てき
しかし…
そして世界的彫刻家ロダンをもとりこにした花子の魅力とは…?
まず訪れたのはパリの中心地…
ここでは近年あるブームが起こっているという
パリにも日本人街のようなものがあってこの地区がそうなんですけど最近の…ここ近年の日本ブームでまたさらにいろんなお店ができてるそうなんですよねなんか日本語の看板がすごいたくさんある見えますか?あれカラオケカラオケも日本の文化ですすごいね
通りにあふれる日本語の看板
一瞬パリにいることを忘れてしまいそうだ
にぎわってる〜
どの店も大繁盛
店の前には行列までできている
なんかにぎわってるので入ってみたいと思います入ってみよ
パリっ子に人気の和食レストランへ
店内は…ほぼ満席だ
ラーメン
イチオシはラーメン
うどんやそばのバリエーションも豊富だ
・しょうゆらーめんお待たせしましたはいありがとうございますはいどうぞすごいちゃんとラーメンふふふ…
のりやシナチクナルトにチャーシューも乗ったオーソドックスなしょうゆらーめん
魚介を使った和風ダシ
そのお味は…?
あぁ〜おいしいふふふ…わぁなんかほんとにパリにいることを忘れちゃうおいしいです温まりますね
後ろを見ると…
皆さんお箸使い上手ですね
今やパリの人たちも器用に箸を使いこなす
ちょっとお話うかがっていいですか?ボンジュール日本食レストランにはよくいらっしゃいます?なにが好きなの?あはは…かわいい皆さんお箸もお上手ですね日本食はよく召し上がるんですか?メニューは何がお好きですか?
豚のしょうが焼きもおいしそう
日本の文化はお好きですか?日本の漫画は何がお好きですか?懐かしい…あはは…そうねちょっと前の世代かもしれませんね
パリでは毎年ジャパン・エキスポという日本の文化をテーマとした博覧会が開かれている
参加者は20万人以上漫画・アニメ・ゲームなど若者を中心に浸透している
さらにこんなモノまで
ふふふ…ありましたここで〜す!マンガカフェ〜!
日本発祥のマンガ喫茶いわゆる「マン喫」
内装はパリらしいオシャレなデザイン
最初に見つけたのは…
これ飲み放題ですかねね?
ドリンク飲み放題はフランスにはないサービスで大人気
保管されているマンガはすべてフランス語に翻訳された日本の作品
日本でも人気のマンガを中心に1万冊以上が貸し出されている
知花が見つけたのは…
わ懐かしい…これ電影少女じゃない?あぁやっぱりそうだフランス語だふふふ…なんか不思議な感じが…うんフランス語の勉強になりそうですねこれね懐かしい…夢中になっちゃうまずいまずい…
パリのマン喫にはソファーでゆったり楽しめる広いスペースが
まるで図書館のようだ
ほかにも…
斬新私ねマンガ喫茶って小学生以来行ったことないんですけどあんな感じ?今日本でも1人ブースふふふ…
壁で仕切られたブースにはクッションが置かれ床に寝そべることができる
お客さんに聞いてみた
よくここには来るんですか?どうして?漫画なに読んでるんですか?今日本のそういう文化…カルチャー好き?
さらに…
カップル?そうそうそうあそうそうそうって日本語で返ってきちゃった
(笑い声)ちょっとだけですガールフレンド?そうそう…名前はレティシアですそうなんだボンジュールよく一緒にいらっしゃるんですか?毎日毎日ここ?コスプレもするんですか?ちょっと…
きょうも漫画の登場人物を意識した衣裳なのだという
かっこいいじゃんありがとうふふふ…
店長に話を聞いた
どうして日本のマンガ喫茶をやろうと思ったんですか?ふ〜んほかの日本のカルチャーもお好きですか?やっぱり両思いですねははは…まあそうとも言えますね顔が赤くなったははは…今の日本の文化がパリの人たちを魅了してるんだなってすごく感じたんですけどまあきっと100年前も日本人である花子たちがやるお芝居とその花子という役者がパリの人々を同じように魅了してたんだなと思うとすごくそれが重なるというかシンクロしますねすごく
100年以上前パリで大活躍した…
いったいどんな人物だったのか…
1868年近代日本の幕が開けた明治元年
花子は愛知県一宮市で生まれる
本名「太田ひさ」
家は裕福な農家で8人きょうだいの長女だった
しかし…
ひさは生まれてすぐ養女に出されてしまう
詳しい理由は不明だ
養子先は名古屋で野菜売りを営む酒井粂吉夫婦
おぉ上手上手!
明治の初め芸所と言われていた名古屋
ひさも6歳ごろから芸を仕込まれた
こりゃあひさは将来大物になるぞいっぱい稼いで父ちゃん母ちゃん楽にさせてくれよな?な〜に言ってるのよ!気が早い…
蝶よ花よとかわいがられていたある日…
粂吉どこだ!ちょっと勝手にあがらないで!やめてください!
(泣き声)子どもが泣いてるじゃないですか!知るか!もうええ…あすまでにこの家から出て行け!借金代わりだ!
養父の粂吉は大の道楽者
莫大な借金を作り失踪してしまった
ひさと養母長屋での貧しい2人暮らしが始まった
そんなある日…
田舎の土産だから大した物じゃないけど…
30過ぎのこの女性旅一座の座長を務めていた
実は…折り入ってお願いがあるんだお願い?うちの子役が熱出して困ってるんだひさちゃんを貸してもらえんだろうか?
座長はひさを代役で使いたいという
ひさちゃん踊りや鳴り物ができるんだろ?そりゃあ芸事には大層金かけたがねぇ…もちろんそれ相応のお礼はさせてもらうよお礼ですか…
貧乏暮らしを強いられていた養母にとって渡りに船
ひさが女優ねぇ…悪くないわね
これがひさの…
一座は芝居をうちながら各地を転々…
アイアイおつると申します…ダメダメ!気が入ってないじゃないか!
座長は厳しかった
役者は一に声二に姿三に顔セリフは歌え!歌は語れ!そんな安い芝居じゃお客さんに泣いてもらえん!もう1回!はい!アイアイおつると申します…いかん!もう1回!
こうして芸の基礎をたたき込まれた
(座長)いかん!もう1回!
だが…
ひさ…こんな所にいたんか何だ…泣いてるんか?
まだ10歳にも満たない子ども夕暮れ時になると自然と涙があふれた
しょぼしょぼするな!元気出せ…
彼女は後にこう語っている…
巡業を終えひさが家に戻ったのは…
これ…多少ですがお礼ですひさ役に立ちましたか?ええずいぶん助かりましたよまたお願いしたいぐらいですよ
すると養母の口から思わぬことばが…
でしたらこれからも使ってやってもらえます?えっ?いいんですか?えぇ…
小金を手にし味をしめたのだ
そして13歳の時役者から芸者に
役者よりも金がいいという理由で売られたのだ
その後ひさは20歳と30歳の時に結婚を経験しますしかしどちらも失敗…何もかも失いどん底に突き落とされました
ようやく人生の伴侶を得るがそれも失った
ひさは家族の愛に飢えていた
1901年独り身になったひさは横浜・関内で芸者として再び働く
当時の横浜は日本の玄関のようなもの
外国人も多くさまざまな情報が飛び交っていた
そんななか彼女の運命を変える外国人に出会う
この男性がその1人目の人物
名前は…
ウィルガードはコペンハーゲンで日本の文化を紹介する見世物興行をうつため芸者や力士などを集めていたのだ
《失うものは何もないだから怖いものは何もない…》よろしくお願いします
こうして…
そしてこのあとさらなる波乱の人生が待ち受ける
花子あなたが一座の座長になりなさいうわぁまぶしい!えぇ〜…
やって来たのはパリの西地下鉄グルネル駅
この高架下にずっとマルシェがこういうふうに並んでいるんですけれども花子が生きていた時代からある古いマルシェなんだそうですおお〜なんかもういいにおいがする
100年以上前から市民の台所として愛されているパリの市場マルシェ
スーパーより新鮮な食材が手に入ると人気だ
あははっあ〜すごいいいにおいがするなんだろう?ドライフルーツ?
中でも気になったのが…
オレンジ色の丸い玉これは…?
これなんですか?メルシーあめ玉みたい!いただきます
思った以上にジューシー
甘い…わおっ
日持ちをよくするために砂糖漬けにする
次に見つけたのは…
あった!パン屋さん!
パリの朝といえば…
エクスキュゼモワボンジュールムッシューアンクロワッサンシルブプレ・はい
パリの朝はやっぱりクロワッサン
これおいくらですか?・ありがとうあ〜これもおいしいんだよねシュケット・んメルシームッシュー!・ありがとうございましたいただいちゃいました
シュケットは小さなシューの皮にあられ砂糖をまぶした定番お菓子
う〜ん!おいしい!これね揚げ菓子なんですよねちょっと食感がお餅みたいなで周りにお砂糖がついててほんとにねおやつとしておいしい!久々に食べた!
次に見つけたのは…
ボンジュールこれはなんですか?ちょっと…試食してみたいんですけど
熱した鍋の中には牛乳とバター・塩・コショウとにんにくそこへ砕いたジャガイモを入れて…
あ〜ジャガイモの香りがする
よく混ぜて…チーズをたっぷりと!
大きな木べらで手早く混ぜていくと…
おお〜溶けてる溶けてるいい香りですよ〜これはたまらんねぇ滑らかになってきたほわぁ〜
長く伸びるようになったら…
できあがり?はいメルシー
にんにくとチーズの香り
いただきますちょっと待って…おいしいもっと食べたいなんかこうあっという間に口の中でフワ〜ってなくなってっちゃう意外とガーリックの香りが効いててあ〜…おなかすいてきちゃった私朝ごはん食べたばっかりだけど
そこで
もう一口…もう一口いただけますか?うわぁスゴイ!
優しいパリジャン
いっぱいくれたメルシー!
100年以上続くこのマルシェ
花子が訪れたかもしれない…聞いてみた
あの100年前に日本人女優で花子という人がこちらパリに渡ってきて頑張って生活してらしたんですけどその方のことご存じですか?
日本人が海外で生活することなどほとんどない時代
花子は1人ヨーロッパで生きていた
デンマークで巡業を終えたひさはその後トルコ・イギリスへと向かいますそこで運命を変える2人目の人物に出会うのです
1905年デンマークでの興行を終えたひさは日本に帰らず新たな一座に参加ヨーロッパで芝居を続けていた
そして巡業で訪れたロンドンでのこと
みんな座ってくれ
花子が所属する「新山座」の通訳兼マネージャー吉川馨
あるプロデューサーがうちの一座を売り込んでくれると言ってるんだプロデューサー?
新山座をプロデュースしたいという人物…それは
アメリカ人興行師のロイ・フラーさんだ
ロイ・フラー
世紀末パリのキャバレーで絶大な人気を誇ったアメリカ人の女性ダンサー
「へびダンス」と呼ばれたロイ・フラーの踊りが映像で残されている
ゆったりとした衣装でクルクルと回るロイ・フラー
衣装の色が変わるのは前後左右から照明を当てているからだ
それまで照明を使ったパフォーマンスなどなかった時代
最先端の踊りとして注目を集めた
そして彼女はダンサーとしてだけでなく演劇のプロデューサーとしても名が通っていた
オペラ座の東にある大通りグラン・ブールヴァール
かつて劇場が建ち並びにぎわいを見せた場所だ
花子の運命を変えたロイ・フラーという方の研究をなさっている方がいらっしゃるそうなんで会いに行きたいと思いますあの方かな?ボンジュール…
グレヴァン劇場はもともと蝋人形館として開業
蝋人形の展示ブースの奥に劇場が…
この建物は当時のまんまなんですか?改築を繰り返していますが当時のままですよここですあぁ〜…あぁ!おぉ〜…
座席の数は100ほどの小さな劇場
なんかこうすごく小さい劇場ですけど雰囲気がありますねでもこの劇場の雰囲気の中で日本を題材とした舞台を見るのも興味深いですね私ちょっとこの舞台の上に立ってみたいんですけど…いいですかね?はいおぉ〜なんかこうなってるんだちょっとドキドキするなぁへぇ〜…客席近いですねほお…うわぁ…うわぁ…まぶしいえぇ〜…でもこのライトを花子が浴びてたんですよねなんか不思議な感じ私同じ場所に立ってるふ〜ん…
スポットライトで照らされた花子はここでどんな歓声を浴びたのか…
なんかこう…すごくまばゆい世界だったのかな舞台の上の世界ってきっと舞台の上に立つことで花子に見えてたものもあるでしょうしね花子の人生を変えたものでもあるでしょうし…なんか気持ちいいかもふふふ…そもそもどうしてロイ・フラーが日本人一座に興味を持ったんですか?ロイ・フラーさんは花子の何に衝撃を受けたんでしょうか?そこで…ふ〜ん…
ロイ・フラーは一座を大絶賛
そして…
名前を聞いているんです太田ひさと申しますハナコ?
これが…
花子の演技が世界的プロデューサーの目にとまったのだ
《平凡な名前だけど自分に合っているかも…》
芸名を変えることで不遇だった過去も忘れられそうな気がした…
特に決めていません何事もみんなで話し合い平等にと心がけてきました
劇団の顔となる座長を置くべきだという
そして…
えっ?
男尊女卑の風習が強く残っていた時代
ましてや…
この女なに言ってんだばかばかしい世も末だ
しかし…
おかしな冗談を…からかってるんですねいやあの顔は本気だどうすんだ?彼女は実績のあるお人だ信じてみませんか?
こうして花子は一座の新たな座長となった
この時のことをロイ・フラーは自伝に残している
ページをめくると…
「天才花子」の文字
こう書かれている…
演じたのは…
この時代…
しかし…
ロイ・フラーはこの日本人の天才女優を売り出すため名前を「花子」に変え一座の座長に
そしてハラキリを演じさせた
すると一座はたちまち人気に
花子の死の演技はヨーロッパ中で大きな話題となった
腹に小刀を突き立てもん絶口から血を流し鬼気迫る表情で死の恐怖を表した
その迫真の演技に誰もが息をのみ引き込まれたという
ロイ・フラーは自伝にこう表現している
花子は…
そこにはある秘密が隠されていた…
花子は10歳を過ぎたころ子役ばかりの一座に入っていた
これは1人小屋に残って稽古していた時のことである
ダメだ!基本がなってない!
男の名は…
たては基本が大事だまっすぐ振り下ろす「真っ向竹割り」真横に振りのく「抜き胴」斜めの「けさ掛け」この3つをしっかり体にたたき込め!はい!
稽古を再開してまもなく…
やめやめ!きょうはこれでしまいにしようえ…まだ始めたばかりですけど…戸浪城之介こと阿部井糺!お前に怪しい節があるによって詮議のため逮捕する
男は刑事だった
実は戸浪は明治維新の際政府と戦った会津藩士の残党
警察に追われていたのだ
阿部井逃げてもムダだ!
出口にはほかの刑事が待機していた
もう逃げられない…
くそ〜っ!
白虎隊を思わせることばを吐いた
いやっ!やぁ〜っ!
みずから小刀を腹に突き刺した
花子の目はあまりの恐怖に大きく見開いていた
・阿部井!・腹から抜け!おい刀抜かせろ!見ちゃダメだ…・手ぬぐい持ってこい!・おい!おい!阿部井!
この時の記憶が後の真に迫る演技につながっていると言われている
このあとある人物との出会いでさらに大きく運命が変わる
訪れたのはパリの中心地オペラ座
1875年建築家シャルル・ガルニエの設計により建てられた劇場
豪華けんらんなネオ・バロック様式は息を飲むほどの美しさ
観客2,000人の歓声と喝采を浴びるのは選ばれし者たち
世界最高峰のオペラバレエ団「パリ国立オペラ」
パリ・オペラ座にやって来ましたそしてここに花子と同じように人々を魅了したいと願って頑張って活躍している日本人女性がいるというので行ってみたいと思います
いったいどんな女性なのか…
担当者に案内され舞台裏へ
広いんですね
その女性は今レッスン中だという
特別に稽古場を見せてもらった
世界中から集まったダンサーがレッスンに励む
オペラ座に在籍するダンサーは現在154人
みずから選んだクラスに参加してスキルを高める
広い稽古場でひときわ輝くその女性を見つけた
知花が見つめるその先で優雅に踊る女性…
ニュージーランド人の父を持つ日本人だ
去年7月昇級コンクールで1位になり見事正式団員となった
レッスンが終わるのを待って話を聞かせてもらった
お邪魔しますあこんにちはこんにちははじめまして知花ですはじめましてよろしくお願いしますオニールですなんかもうごあいさつのしかたがバレリーナですねいえいえ…
くしくも名前は「はな」
花子と同じようにパリで頑張る女性だ
いかがですか?その日本人としてパリのオペラ座で踊るっていうのは…うん…やっぱり私にとっては日本人だからだけじゃなくダンサーとしてオペラ座で踊ってるっていうのはすごく自分でもスゴイなぁって…すごい最初はもうビックリして今でもパリでオペラ座で踊ってるってスゴイなぁと思いますねそうですよね…やっぱり夢だったんですか?じゃあそれが今かなったわけですねそうですねそれがすごいですそれがすごいビックリです何を感じるものですか?実際舞台に立つとワクワクしたその気持ちがやっぱり…ことばでは言えないんですけど…うん…気持ちですね100年前にパリで活躍した女優の花子さんっていう方ご存じですか?私は聞いたことないですねう〜んそっかそっか…きっとねオペラ座の舞台とは少し…ね彼女が立ってた舞台って違うかもしれませんがでもこう…女優さんにとってダンサーさんにとって踊り手にとって舞台にあがることっていうのはどういうことなんですか?やっぱり毎日の…その努力毎日クラスを受けるわけじゃないですか毎日リハーサルをするわけじゃないですかなのでその舞台に立つっていうのは私にとっては舞台で頑張るんじゃなくてその頑張った分は全部前にやって舞台で踊れるっていうのはその……のように感じるのでこれから目標などありますか?どうなっていきたいですか?まぁやっぱり私の目標はオペラ座でのエトワールになりたい…ですけどとにかく…頑張っていきたいですなるほどね…
花子のように世界最高峰の舞台でひときわ輝く星頂点を目指す
ヨーロッパで話題になり名声を得た花子3人目の運命を変えた人物世界的彫刻家ロダンとの出会いによって状況が大きく変わるのです
花子とロダンの出会いは1906年
マルセイユで行われた植民地博覧会
2人はどのように出会ったのだろうか
ここはですね昔の新聞をたくさんストックしてあるお店なんだそうですここで花子とロダンが出会った頃の新聞を探してみたいと思います
「新聞博物館」といわれているこの店で何か手がかりをつかめるだろうか
ボンジュールおっすごい!古い紙のにおいがするう〜んいいにおい
壁中に積まれた膨大な資料
お宝が眠っていそうだ
全部新聞ですかね?壁にズラ〜っと…天井まで箱が並んでますけど
箱に書かれた名前は…チャップリンマイケル・ジャクソン
記事に書かれた人物別にわけられている
新聞だけでなく雑誌のストックも豊富だ
すごいですよこれ1891年だって日本だと…明治時代ですよねなんかこれ触っていいのかな…?触っても大丈夫なのかな?こんな古いの…よくこんな保存状態のいい状態で残ってますよね〜すごい…あ〜いいにおい
花子とロダンが出会った頃の記事がないか聞いてみた
ロダンと花子が出会ったフランス植民地博覧会の記事を探してるんですけど1906年の4月から11月ごろまでの
そういうと無造作に積み上げられた大きな本のようなものを探り始めた
これ動かす?
ある一社の新聞を1年分まとめたものだ
すいませんねぇ…よくこういうの残ってますよねでもいや〜信じられない
ほかの新聞のストックを細かく調べてくれている
知花も紙面とにらめっこ
すると…
ありがとうございますあったあった!あはははっありましたね〜!残ってるもんなんだなぁ…
植民地博覧会は当時ヨーロッパの植民地であったアジアやアフリカ地域の文化を紹介する催しだ
この博覧会に花子一座も参加
連日公演を行った
そして7月下旬のある日
ロイ・フラーに連れられ花子一座を観劇したのがあのロダンだった!
当時ロダンは「青銅時代」をはじめ「カレーの市民」「地獄の門」など今も語り継がれる世界的な作品を世に送り出し誰もが知る存在になっていた
当時すでに世界的権威となっていたロダンと初めて出会った花子しかしその時…《薄汚いじいさんじゃない》
花子一座は「マルセイユ植民地博覧会」の催しの一つとして公演を行っていた
演目は…
最大の見せ場はラストシーン
花子演じる芸者のおそでが…ノドに短刀を突き立て絶命するシーンだ
この鬼気迫る演技をある人物が見ていた
その人物こそ世界的な彫刻家として知られるオーギュスト・ロダン
花子の人生を大きく変えた運命の人だ
終演後花子は楽屋でぐったりしていたそこへ…
・花子さん…ロダン?あのロダンが?ちょっと待って!きょうはとても疲れたからお断りしてちょうだいはぁ…?
そして…
あなたが花子さんですか?
ロダンみずから楽屋に訪ねてきたしかし…
《この人が彫刻家?薄汚いじいさんじゃない》
これが2人の…
これを受け取ってくれますか?メルシーありがとう
するとロダンは紙と鉛筆を取り出し…デッサンを始めた
そしてあっという間に花子を描き上げた
まあ…!
こうして花子はロダンのモデルを引き受けることになった
その後花子はひとつきばかりアトリエに通ったが作品はなかなか出来上がらなかった
これまで顔の像なら2〜3日で仕上げたロダンだが
そういって何度もやり直した
作品にかけるロダンの情熱に押され花子はどんなに疲れていても途中でやめたいとは言わなかったという
何度も作り直しようやくできあがったのは3年も経ってからのことだった
そもそもロダンとはどんな人物だったのか?
ここがロダン美術館ですねわぁキレイ
まず見つけたのは…
あれ…あれ本物ですね「考える人」わぁすご〜い
ロダンの作品で最も有名な…
近づいてみた…
へぇ〜やっぱりすごく大きいこの作品迫力がありますね生で見るとほんと今にも動きだしそうなんか彫刻を見ると人の体ってこうなってるんだなって改めて考えさせられますねLePenseur…考える人…なに考えてるんでしょうね悩んでんのかな?
…という説がある
その説の元は同じくロダンのこの作品だ
イタリアの詩人…
彫られているのは腐敗した役人や飢えに苦しみわが子を食べる男など現世で罪を犯した人
それらの人々が地獄への門をくぐる姿をのぞき込んでいるのがこの「考える人」とも言われている
博物館はロダンが晩年亡くなるまでの10年間生活しながらアトリエとして使った場所
迎えてくれたのは…
部屋には立ち姿のブロンズ像が2つ
左にあるのは…
このヨハネ像を作る2年前ロダンは別の像を作っている
この作品はある男性をモデルにした等身大の像なのだがあまりにリアルなため「人間から型を取ったのではないか」と疑いをかけられたのだ
それに怒ったロダンは2年後人間よりもわずかに大きいヨハネ像を作りその疑いを晴らした
例えばロダンが彫刻家として作品を作るときに具体的に実在する人物を作品にしたことっていうのは多いんですか?彼が彫刻に表そうとした人物たちの共通点ってなにかありますか?ハナコの場合は…ロダンが作ったハナコの彫刻を実際に見ることはできますか?
ロダンが3年の月日を費やして作り上げた花子の「死の顔」とは…
なんかこう彼自身すごく人間に興味を持たれてたんだろうし人を彫刻で表現することにきっとね情熱を燃やしていてでつかめない何かをずっとずっと追い求めてたんでしょうしねだから彼がたくさんハナコの彫像を作ったっていうのはとっても興味深いなと思ってハナコの何をつかみたかったんだろうって彼女にロダンが何を見てたのか彼女の表情の裏に何を感じてたのかそれをねぜひ知りたいと思います
このあと…
花子の「死の顔」に会うため向かったのはパリの南西車で1時間ほどの場所だ
パリ郊外のムードンという所にやってきましたここは美術館になってるのでちょっと行ってみたいと思います
かつてロダンが住みアトリエにしていた場所
ロダンは「死の顔」を作るため花子をここへ招いた
しかし完成まであまりに時間がかかる為花子の部屋を設けパリにいる間は泊まらせたという
お邪魔しますわぁすごい古い家具の香りがするダイニングですねここがね意外とこう…人の雰囲気がまだ漂ってる感じがするへぇ〜
ここでロダンと奥さんロイ・フラーそして花子4人で一緒に食事をしたという
これロダンだロダンが向こうに座ってる写真ですねこれねへぇ〜ホントここで暮らしてたんだなぁ…へぇ〜どういう暮らしだったんでしょうね
世界的な彫刻家ロダンの香りがいまだにする部屋
花子はどんな会話をしたのか…
ロダンが暮らした家の隣には大きなギャラリーが
ロダンは今この「考える人」の下で眠っている
中に入ると…
ボンジュール
学芸員のマニアンさんが来てくれた
ロダンは作品の大半をここで作りここに残している
有名な…
…など代表作が所狭しと並べられている
こちらに花子の「死の顔」があるんですよね?ちょっと待っててくださいお願いしますわぁ〜!こちらに花子の「死の顔」があるんですよね?ちょっと待っててくださいお願いしますわぁ〜
(マニアンさん)これですわぁ〜!へぇ〜!
ワゴンに乗せられたたくさんの花子の顔
大きさも素材も表情もさまざまだ
たくさんあるんですねう〜ん…そんなに?
(マニアンさん)はいそしてこれが…
今にも死に絶えそうな鬼気迫るその表情
断末魔の苦しみに歯を食いしばって耐えているように見える
えぐって表現された目はロダンが何度もやり直して完成させた部分だ
人の表情ってもちろんキレイな表情だけじゃなくってホントにいろんな感情がほとばしった瞬間があるわけですよねなんかその……その瞬間を彼自身芸術家として見てたんじゃないかなぁってそう思いますどうしてでもロダンは花子という1人の人物をそんなに彫刻で描き続けたんでしょうね…研究されてるなかでたくさんロダンの作品をご覧になってきたと思うんですけれどもその上でこのロダンの作った花子の彫像たちを見てご自身は何をお感じになるのかなぁと思って…難しい質問なのかもしれないんですけどこの作品を通して花子という人がどういう女性だったと思いますか?どうお感じになられますか?
ロダンが作り続けた花子の顔
知花は何を感じたのか?
本当にたくさんあるのに驚きましたねで一つの表情じゃなくていろんな表情が…こう試作としても本当にいろいろあって本当にたくさん作り続けたんだなという感じですよね私そのね花子さんにお会いしたこともないですしもちろん存じ上げなかったんですけど…そんな印象を受けます
ロダンのモデルを務めた花子は名実ともに国際派女優となった
そして…
誕生して間もない映画への出演依頼が舞い込んだのだ
日本人初の映画女優夢は膨らんだ
しかし…
映画女優・花子の誕生は幻と消えた
家族を失い逃げるように日本を飛び出したあの日からおよそ19年
花子はついに日本へ戻った
帰国後妹の家に身を寄せた花子
養子をもらい孫ができた
その孫に話を聞いた
花子の晩年を知る澤田正子さん
花子はどんなおばあちゃんだったのか?
けどまさかこんな派手なことをやってたいうことは全然ないしょのないしょでしたからもうとにかく芝居やったとかなんとか全然知らないんですよ私がそういう生活をポーンと切っちゃったんですよねあんで嫌やったやないですかそういうのいちいち思い出すのが孫連れて遊びに歩くというの
家族の温もりを知らずに育った花子
孤独が彼女を強くし成長させた
帰国後本当の家族を手に入れ役者人生に幕を下ろした
そして1945年家族にみとられ永眠
くしくもロダンと同じ77歳だった
パリで花子の足跡をたどった知花くらら
何を思う…
すごく印象的だったエピソードがあの…ロダンのどんな過酷なリクエストにも彼女はこう堪え忍んで…応え続けたということなんですけど…なんかそこに彼女のそのたおやかさの中に芯の強さがあるような気がして風に吹かれる柳のようにでも時にはこう決断をきちんとしていくその芯の強さと日本的なそのやわらかさ繊細さっていうのはすごくこう…憧れる部分がありますし女性としてすごく魅力的だなぁ…と思いますできるなら本当にお会いしてみたかった
花子を彩る数々の称賛の言葉
ロダンを魅了した国際派日本人女優太田花子
2014/12/28(日) 11:30〜12:54
テレビ大阪1
ニッポン無名偉人伝3[再]〜ロダンが愛した国際派女優花子の波乱人生〜[字]
明治時代、その演技力で天才彫刻家ロダンを魅了し、ヨーロッパ全土で活躍した国際派女優花子。その足跡を知花くららがフランス・パリにたどる紀行ドキュメンタリー。
詳細情報
番組内容
世界的彫刻家ロダン唯一のモデルとなった日本人、太田花子。単身ヨーロッパへ渡り、劇団を立ち上げ世界各国で公演。だが、その道のりは波乱万丈そのものであった。女座長としての劇団旗揚げ、2度にわたる離婚、第一次世界大戦の勃発…。しかし、ロダンがハナコをモデルに3年がかりで完成させた傑作「死の顔」が発表されると状況は一変。巨匠ロダンを魅了した花子の“死の演技”とは…?
出演者
旅人:知花くらら
ナレーター:窪田等
ホームページ
www.tv-osaka.co.jp/sp/mumei_ijin03/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
バラエティ – 旅バラエティ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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