おはようございます。
「演芸図鑑」の柳家権太楼です。
「孟母三遷の教え」というのがありましてね孟子のお母さんって方は孟子の教育のために3回も引っ越しをしたという事がある訳でございまして「子どもは親の背中を見て育つ」なんてえ事を言いますよ。
さあ本日の出演でございますけれども今年の8月の5日にまことに残念でございますけれどもお亡くなりになってしまいましたけれどマンガ太郎さんでございます。
「演芸図鑑」の収録がございました。
その時のビデオでございます。
そして落語の方は私柳家権太楼でございます。
担当の方が今日でもって終わりますんで私も一席やらせて頂きたいと思いますんで拙いんでございますけれども「家見舞」をどうぞ。
(拍手)
(拍手と笑い)え〜皆様方におかれましてはいつも元気で何よりでございます。
やはり健康が第一でございますからね。
この間ね森林浴がいいですよって言ったらね前に座ってたおじいちゃんがね「森林浴は危ないよあれ」。
この間歩いてたらね木が倒れてきてね当たって入院したんですって。
木は気を付けて下さいね。
病は気
(木)からといいましてね。
(鼻歌)・「川は流れてどこどこ行くの」・「人も流れてどこどこ行くの」・「そんな」
(鼻歌)以下省略致しまして…。
・「泣きなさい笑いなさい」
(拍手)・「いつの日かいつの日か花を咲かそうよ」と。
そうだ今日はね寒い!ねえ。
もう雪が降るんじゃないかと思うぐらいに寒い!「冬の寒さ」というテーマでもって漫画を1枚描いてみたいと思います。
(鼻歌)サ〜ジャ〜ッとね。
(鼻歌)このおじさんが朝寒〜い朝ね歩いておりましたらばえ〜こちらの方に何かね光ってるものがありましてね。
ここにお金が落っこってたのね。
ほいでお金が落っこってたからちょっとこの拾おうかなと思ってクリクリクリクリするのでよく見ると氷が張っていた。
冬の寒い日ですから氷が張っていてなかなかこの中のお金が取る事ができなかったという訳でございまして。
このおじいちゃんはやっぱりね頭のいい人でございますね。
サ〜サ〜サ〜サ〜サッと。
何か温かいものをかければこの氷が解けるんではないかといろいろこの…まあ女性の方は分からないかもしれませんが男性の場合こういう場合は便利でございましてね。
サ〜サ〜サ〜サ〜サ〜サ〜サッとね。
ちょっとこう片足をちょっと上げたりなんか致しまして…。
まあ寒い朝でございますからブルブルブルブルと震えてまいりまして思い切って温かいものをチョンチョン…。
よくぞ男に生まれけり。
ねっ。
どこでもおしっこができる。
でもこれは軽犯罪でございましてねいけないそうでございますね。
これを犯罪で執行
(しっこ)猶予というそうですけども…。
(鼻歌)これでやっと解けましてお金を拾う事ができたんだけれどここで目が覚めちゃったのおじいさんね。
ここで目が覚めた。
じゃあこの話は全部うそ夢だったのかっていうと全部夢じゃなかったの。
お金があったのはこれは夢でした。
でもこれは夢じゃなかった…。
寒いですからね。
(鼻歌)このままだとちょっとねお下品ですからこれを…。
シャッとねサ〜サ〜サ〜サッと。
サ〜サ〜…。
(鼻歌)サ〜ッと。
今年はうま年でございますので。
それでおじいちゃん木には気を付けて下さい。
木馬でございますよ。
そうだ!危ないから一応これ補助か何かしておきましょうね。
サ〜サ〜サ〜サッと。
はい。
これで無事におうちに帰れたとこういう訳でございます。
はいおしまい。
どうもありがとうございました。
(拍手)今こんなよくしゃべるようになったんですが10代の頃ね本当に駄目だったんですよ。
おしゃべりが下手でうまい事しゃべれない。
舞台になると余計しゃべれない。
実を言うとね今でもしゃべれないのでコンサートは全部もうしゃべりは全部書いてそのまんま…。
セリフとしてっつうか…。
セリフとしてやってんのよ。
ですから全部出来上がったショーケースとしてやるんですけどでも何て言うか駄目だったんですよ。
その時にそのころ事務所の社長さんがね「お前は落語でも聞いてあれしろ」って。
でもそのまんまやる訳にいかない。
レコードも聴いたりいろいろしたんですがそしたらばある日ね先輩のフランク永井さんが「よし教えてやろう。
教えてあげよう」って。
フランク永井さんのおしゃべりはまるで幇間芸なんです。
そうですね。
フランクさんはね小三治さんなんかとず〜っと親しくしていらっしゃいましたからね。
落語なんかは?大好きです。
好きですか。
好きです。
布施さんといったらばいろんなヒット曲があります。
私たちは子どもの頃からず〜っと聴いておりましたけど。
「霧の摩周湖」。
「霧の摩周湖」。
平尾昌晃先生のうちが茅ヶ崎にあったもんですから大邸宅が。
夏の茅ヶ崎でカンツォーネを作ろうっていって出来たのが「霧の摩周湖」なんですよ。
和製カンツォーネ。
何を間違えたか。
それで僕とするとどんな歌でもよかったんです。
早く終わりにしてくれたらば次の日海に行けるというそういう気持ちだったから「いいですねいいですね」みたいなもんで。
出来上がったものを写真を撮りに北海道まで行く。
それで初めて摩周湖っていうものを見る。
今残念なのはあのころのヒット曲のレコードというのを一つも持ってないんですよ。
残すのが大っ嫌いで。
そうなんですか。
はい。
だからね今必死にいろんな所で買い集めてるんです。
自分のですか?自分のものを。
なぜならば嫌だったんですよ。
でねある時クレージーキャッツのハナ肇さんが「お前歌っていうのは財産なんだ」。
ヒット曲っていうのは財産。
財産を大切にしないやつなんてこの世の中にね…。
財産を大切にするからやっていけるんだから大切にしなきゃ駄目。
「はい」とは言ったものの歌なんか財産じゃないよ。
なんとか仕事をしてねお金ためて財産を本当に作った方がいいんだみたいなふうに思ってたんです。
それでそれから30代になりましてねそれでちょっと10年ほど外国のやつと結婚しましてねちょっと国外退去のような状態になって10年ほど向こうにいたんですよ。
一応もう一度戻ってきていいというようなあれがあったもんですからね戻れというか。
戻ってきて糧がないから歌をちゃんと歌おうと思って歌を歌い始めたらば席がないんですよ。
どういう事になります?だから自分が歌う場所みたいなものがないし自分はこういう歌手だったんだけどって言うけどもそういうところにもうちゃんと違う人がいて…。
結局これはしかたないなと思ってたところで10年ほど前に歌ってあんまり好きじゃなかったんだけどもレコード大賞とか歌謡大賞とか頂いた「シクラメンのかほり」を必死にいろんなとこで歌ったんですよ。
そしたらそれだけで「わ〜!」ってやってくれて席が少しずつ少しずつ空いて座れるようになったんですよ。
その時思ったのはやっぱり先輩ってすごいな。
本当に歌って俺の財産だったんだというふうに思いました。
若い時は歌ってる所の余地さえ何かっていうのは僕なんかは落語なんですけども「いいよそれ聞きたくねえよ」というのがあってそういうはじきをしてたんだけど振り返ったらあのころのあれはあれでいいんだよという…。
全然オッケーなんですよ。
迫力が「やるぞ」みたいなものが全然違ってたというような事で。
若さというすばらしさがね声に出るじゃないですか。
荒さというのも出てくるから。
ところがだんだん年を経てきたらそれもいいんだよと。
そうですね。
別物としていいんですよね。
歌としてじゃなくって何かねいいような感じが…。
ものすごい分かりますよ。
今の方がいいに決まってるんだと俺は…。
思いますか?思います。
人間国宝の陶芸家の方が90いくつの陶芸家の方が文化勲章をおもらいになった時に受賞された時に「どうですか?」って言ったら「やっと最近はいいものが出来るような気がしてきました」って。
文化勲章をもらってもまだいいものが出来てない。
これから何となくいいものが出来るような気がしてきたっていうのはやっぱりよくはなってるんだとは思うんですよね。
だから自分でそういうふうに向上心がず〜っと続かないと我々はできませんからね。
何しろね一歩じゃなくて半歩でもいいからちょっとその前に行きたいいい方に行きたいっていう。
その気持ちはずっと持ち続けてはいるんですけどね。
どのぐらいまで行きましょうかね私たちは。
僕は今年70…違う67。
1月で68になる。
そうですそうです。
だから学年で言うと一つ上師匠が上なんですが…。
布施さんは今6並びで。
6並び。
同期生に岩手県出身の千昌夫。
千さん同期なんですか。
同期同い年なんです。
それで大変な人生もあの人は送って…。
この前歌の番組で会いましたらね「頑張んなきゃ駄目だよね」って言ったら「頑張んなきゃだよ。
布施君!80まで歌わねば駄目だ80まで」って言ってたので一応80までは歌っていたいなと思うんですけど。
いいですよね歌ってましょうよ。
私たちはね人様の前へ出ないといけない商売ですからね。
うちのかかあがですね実はもう本当に布施さんの大ファンでございまして今日会ったら是非色紙をもらいたいと言ってるんですけど。
いいですか?はい。
すいませんね申し訳ないですね。
大した事は書けませんが。
何か…どういうふうに…。
いつも書いてる事なんですが…。
習字はお習いになった?いやもう全然やってません。
こんな感じでいいですか?それでは見せて頂いてもよろしゅうございますか?ちなみにどういうふうに読めば…。
これはね菅原道真が言ったいろんな事の中の一つで「萬事皆夢の如し」って「全て夢のようなもんだったな」って死ぬ前に言ったっていうんですよ。
わ〜夢のようだったなって思って死ねたらいいなというのが武蔵野少年の夢です。
というふうな事でございますか。
ありがたいですね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
(出囃子)
(出囃子)
(拍手)
(拍手)どうも。
もう一席だけ落語の方でもっておつきあいを願っておこうという訳でございますけれども。
よく落語の方には江戸っ子なんてえのが出てまいりますけどね宵越しの銭を持たないなんてえところを自慢にしておりまして。
「どうすんだよ?あんな事言ってさ。
兄ぃのところでもって2人でもって水瓶持ってきますからなんてさ。
大丈夫かよ?」。
「大丈夫だよ。
俺の知ってる店があるんだから。
そこへ話持っていきゃなんとかなるんだよ。
ほらそこの店だ。
いいとこそろってんだろ?入ろう入ろう。
おう!」。
「いらっしゃいませ」。
「あの〜悪いんだけどねちょいとね家見舞でもってね祝え事なんだけどもさちょいと水瓶もらいたくてさ」。
「ああさようでございますか水瓶を。
はいはいはいはい。
いかがですかこちら。
もうこれだったらねどこへ持ってっても恥ずかしいなんて事はございません。
これは二回火でございましてね備前焼でございますんでねこれだったらよろしゅうござんすよ」。
「あ〜それね。
うん…どのぐらいすんの?」。
「こちらはなんでございますよ。
28円でお願いしてますけどね」。
「は…28円ね…。
なっ?親父ようもう少し何ねえかな?焼け火箸を水の中突っ込むような音の出ねえような瓶はないか?」。
「何ですか?」。
「だからその…20っていうじゅ〜って音のしねえような瓶」。
「ああああお安いの?」。
「そうそうそう安いの」。
「だったらそう言いなさいよ。
はなに言うから言っただけだ。
だったら前通りにあるのねそれだったらねどれでも一火ですけどね6円でいいんですよ」。
「ああこれ?6円?あっそう。
じゃあこれもらおうかな。
ほら決まっちゃった。
なっ?はいはいはい6円出しな。
はいはい。
6円出しなよ」。
「うん…一緒に聞いたんだから知ってるよ」。
「聞いたとかどうとかじゃない。
6円6円」。
「おめえが出しゃいいじゃねえか。
おめえの方が近えんだから」。
「これは近いとか遠いって問題じゃねえんだよ。
出しなよ6円だから」。
「出さねえ訳じゃねえ。
ただ今銭がちょいとこま…」。
「いいよ大きくて」。
「そうじゃねえんだよ。
細けえのしかねえんだよ」。
「いいよ細かくていいから出しなよ6円」。
「がたがた言うな待ってろ」。
「はい」。
「うんもっとどんどん出しな」。
「どんどんねえんだよ」。
(笑い)「どんでおしめえ」。
「これ…5銭だよ」。
「ああ」。
「『ああ』じゃねえよおめえ。
おめえ5銭持って今世の中うろうろうろうろ歩いてたの?まぬけな野郎だなおめえは」。
「おめえいくらあるんだよ?」。
「俺一銭もねえよ」。
「おっ?おめえ一文無し?」。
「何言ってやがんだおめえ。
俺はおめえの懐当てにしてこうやって話持ってきてさ。
あ〜あ〜あ〜!親父!それちょっとすまねえけどさちょいとまけてくんねえかな?」。
「へえへえ少々でしたら勉強させて頂きますよ」。
「そう?じゃあどうだろうねそれすまねえと思うんだけどさひとつ…ならないかね?」。
「おいくらですか?」。
「だからねどうだろうねすまねえと思うんだけどさそれひとつ…ならないかね?」。
「途中がね聞きづらいんです。
はっきり言って下さい」。
「はっきり?じゃあどうだろうそれすまねえけどよこんなんでどう?」。
「何です?また。
竜の爪みたいな形して。
いけないよあんたこれ6円でお願いしてるんですよ。
それをあんた5円…」。
「うお〜。
誰が5円つった?手の形見てくれ手の形をさ」。
「おいくらなの?」。
「だから5銭」。
「はいはい5銭お引きするの?」。
「いやそうじゃねえんだよ。
5銭置いといてあとす〜っと引いてさ」。
「あんたまだ寝てんじゃないの?寝ぼけちゃ困る。
そらお門違いだ。
よそ行って下さい」。
「どうもすまねえ。
ハハハハハ!まからねえって」。
「当たり前だ。
6円のを5銭にしろってさ。
どうすんだあんな事兄ぃの前で言ってきちゃってさ」。
「しょうがねえだろうよ。
まさかおめえが5銭しか持ってねえとは思わねえからさ。
いいよなんとかなるよ。
ずんずん行きなさんなよ。
ほら見ろ見ろあの古道具屋。
軒先に雨水受ける用に置いてある瓶があらぁ。
あれ聞いてみる。
聞くのはタダだ。
おう!」。
「いらっしゃい」。
「ああ悪いけどさあそこにある雨水受ける用に置いてある瓶あるな。
あれちょいとさ売ってもらいたいんだけどさ」。
「ええええ結構でございますよ」。
「あっそう。
じゃあどうだろうねすまねえと思うけどさひとつ…にしてくれるかね?」。
「いくらですか?」。
「だからもうしょうがねえ。
5銭!おう!」。
「5銭?たったの?いいでしょう」。
「おおっ!?十とか百とかつかねえで?だから聞かなきゃいけねえんだ。
じゃあここへね銭…」。
「いいいいいい。
あげるから」。
「そうはいけねえ。
銭出しゃ買ったんだ。
もらったんじゃねえんだから。
それから悪いけどさ担いで帰っちゃうからよてんびん棒か何かあったら貸してもらいてえんだ。
荒縄か何か…ふん縛って」。
「裏の物置でね適当に見繕ってね持ってって下さいな」。
「どうだよ〜ねえ。
よかった。
これでもって。
大変なもんだ。
よかったな!」。
「あんた方2人でそこで喜んでるけどさその瓶何に使うの?」。
「何に使うって水瓶だよ」。
「それは水瓶は駄目だよそれは。
それは水瓶にならない瓶なんだから」。
「どうして?漏るの?」。
「漏らないですよ。
あのね言うよ。
日に一遍行くだろお前たちも紙持ってさ。
ギィ〜バタンで。
それであるのがその瓶なんだよ」。
「えっ?日に一遍?紙持って?ギィ〜バタン…あっ!あっこれ?どうもね親父これ5銭だしね。
これは掘り出しもんだよね」。
「だから最初から掘り出しもんって言ってんだ私は。
やめなさい」。
「いいよ買ったんだ。
もらったんじゃねえんだ。
水…」。
「駄目だよそこ水まかれちゃ。
裏のどぶ川でなんとかしてくんなきゃいけねえ」。
「いいよここでもって洗っちゃえば。
『見ぬ者清し』なんて事言うの。
今度銭が出来た時にね『こないだのはちょいとヒビがいってましたから』ってんでもってさそれまでの場つなぎなんだからさ。
おめえ瓶ゆすいでろ。
俺は水入れっから。
ほらどっこいどっこいどっこいどっこい。
ほらほらほらほらきれいになっちゃった。
ぐるぐるって巻け巻け。
行くぞ。
肩入れろ〜!ほ〜らどっこいどっこいどっこいどっこいどっこい!」。
「ちょいちょいちょいちょい!ちょっと待ってくんねえかな。
おめえは先棒で分かんねえかもしんないけどさ俺は後棒なんだぞおめえ。
水が張ってる時は大した事はなかったけどさ水抜いてこうやって日に当たるとえらい臭いだよこれ」。
「何だ?ああ…。
水が入ってるのはこれ臭気止めなんだ。
じゃあこうしようじゃねえか。
俺が兄ぃの所で何か言ってる間おめえ井戸端行って水張っちゃえよ。
瓶は兄ぃへの贈りもんですと。
水はおっ母さんへの贈りもんですってやらぁ分かりゃしねえんだからさ。
どうも行ってきやした!」。
「おお〜!おめえたちは本当に買ってきたのか。
どんな瓶?」。
「いいですよいいですよ!今野郎がね井戸端行って水張ってますから」。
「いいよそんなのはうちでやる…」。
「いいですよいいですよ!やらせてやって下さいよ!野郎こまめでねそういう事が好きなんですよ。
ああおっ母さん!おっ母さん立っちゃ駄目!おっ母さんは!おっ母さん耳遠いけど鼻きくから。
台所持っていくから。
大丈夫ですから!」。
「すまねえな〜。
おめえたちがさ買い物行ってる間にねちょいと酒の支度したんだけどさ飲んでいってくんねえかな?」。
「すみませんね。
酒となるってえとね遠慮のしねえたちでございますからね。
何だ兄ぃがよう酒ごちそうしてくれるってよ。
上がろうじゃねえか!何?」。
「嗅いでごらん手を」。
「手を?あ〜…」。
(笑い)「ここまで来てるとは思わなかったな。
湯行きてえな。
兄ぃ兄ぃ兄ぃねえ!あっしたちはちょっと湯に行きてえんですよ。
汗んなっちゃってね」。
「すぐそばだから行っといで」。
「ああそうですか。
すいませんけどね手拭いがあったら貸してもらいたいんですけどね」。
「お〜持っていきな持っていきな」。
「それからシャボンがあったら貸してもらいたいんですけどね」。
「お〜持っていきな持っていきな」。
「それから湯銭があったら貸してもらいたいんですけどね」。
「何にもねえんだな」。
「ええはたいて買ってきたから」。
「うれしい事言ってくれるな。
おっ母さん江戸っ子だね。
はたいて買ってきたってさ。
そこにあるそのがまぐち貸してくんねえか?」。
「はいはい」。
「じゃあ余ったらあとで2人でこれでたばこでも買いねえな」。
「すいません…5円もらっちゃった5円。
だったらあの瓶買えたなあれ。
いいな」。
「どうも行ってきやす!行ってきやした!」。
「早えな!」。
「烏の行水ってやつですけどね手だけ洗えばもう何でもない」。
「何を踊りを踊ってんだ?お膳の支度をしたんだ。
ちょいと食ってってくんねえか?」。
「すみませんどうもね。
こうやってね湯から上がったら膳の支度がしてあるなんていうのはね盆と正月が一緒に来たようでございますよ。
頂戴します。
ありがとうございます。
うん!冷や奴好きなんですよあっしたちは2人とも。
酒の毒吸い取るってんで豆腐は。
いいですよ」。
「うまいですね〜!体がほてってるでしょ湯上がりで。
そこんとこね冷や奴がす〜っと喉の通りがよくてね。
これはうめえ。
あ〜うめえ!何考えてんだ?豆腐だよ。
箸つけろよどうしたの?『冷や奴の水が随分冷たそうだけど一体どこの水だろう?』。
兄ぃ!この冷や奴のこの水なんですけどねこれ兄ぃが井戸端行ってじかにくんできた?」。
「何言ってんだ。
おめえたちがくんでくれた瓶の水だ」。
「うっ…。
あっしはちょっと豆腐を断ちやしてね忘れてたんだ。
断って駄目なの」。
「断ちもん食うやつがあるか。
じゃあやめろやめろやめろ。
覚弥の香々でいいか?」。
「あっいいですね覚弥の香々はね江戸っ子の食いもんだ。
トントントントンって刻んでね水に浸してキュッ!あ〜駄目〜!」。
(笑い)「覚弥の香々も断ったんです」。
「おめえたちはもう酒やめろ。
おまんま食ってけ」。
「まんま…おかず何ですか?」。
「何にもねえぞ。
おめえたちがそういう事言うから。
焼きのりだぞ」。
「焼きのり…。
焼きのりは大丈夫だな。
洗わねえもんな。
じゃあ焼きのりでおまんま…。
すいませんいろんな事言っておっ母さん。
じゃあ早いとこ食ってよ。
いやいやいやいや。
こうやってね温かいおまんまで焼きのりこれが一番だ。
フ〜フ〜フ〜!うめえな!何考えてんの?俺おめえが考えてるとぞ〜っとすんだ。
大丈夫だ。
焼きのりだ。
洗わねえんだよ。
何が?『おまんまから湯気が立ってるけど一体いつ炊いたんだろう?』。
兄ぃ!このおまんまなんですけどこれいつ炊いたんですか?」。
「たった今だ!瓶の水で」。
「うっ…。
あっしおまんま断ちました!」。
「何言ってやがんだ。
飯断つやつがあるか」。
「いやもうもうもう!」。
「何だ本当にまあ。
慌てて食うからそうやって喉をつかえる。
待ってろ待ってろ。
おっ母さん!やっこ喉に詰まらせたんだ。
すまねえけどさやっこにさ瓶の水1杯持ってきてやれ」。
(笑い)
(拍手)第609回NHK国際放送番組審議会は2014/12/28(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
柳家権太楼の演芸図鑑「布施明」[字]
落語家・柳家権太楼が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、柳家権太楼の落語。対談のゲストは布施明
詳細情報
番組内容
落語家・柳家権太楼が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、柳家権太楼の落語。対談のゲストは布施明。
出演者
【出演】布施明,マンガ太郎,【ナビゲーター】柳家権太楼
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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