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 脳死と判定された6歳未満の女児からの臓器摘出手術を終えた大阪大病院の担当者が14日、記者会見を開き、治療経過を含む両親のコメント全文を発表した。日本臓器移植ネットワークが13日に発表した両親のコメントは「治療過程については関与するところではない」として一部が削除されていた。全文は以下の通り(《》部分が13日時点で削除されていた箇所)。

 私たちの子は原因不明の拡張型心筋症になるまで、大きな病気をすることもなく、元気に成長してきました。

 昨年4月には幼稚園に入園し、初めての運動会の練習を一生懸命しておりました。運動会前日、風邪のような症状から病院を受診し、特発性拡張型心筋症であることが分かりました。

 12月に容体が悪化し、補助人工心臓をつけて移植を待機することしか命をつなぐ方法がなくなりました。《国内では、子供用の補助人工心臓が使用できなく、やむなく一時的な簡易の機械を使用するという選択肢しかありませんでした。》

 待機している間も小さい体で度々の脳出血や数回の開胸手術に耐えておりました。

 さらに何度も血栓が補助人工心臓内にでき、そのたびに管の取り換えも行っており、本当に生きた心地がしない日々でした。

 国内待機の限界を感じ、先生にお願いし海外での移植手術を目指し動き出しました。

 受け入れ先も決まり、渡米への準備をしているさなかの1月の上旬に最も心配していた血栓が娘の脳に飛び重篤な脳梗塞(こうそく)を起こしました。

 それでも諦めずに回復を祈っておりましたが、2日後に娘は脳死状態になりました。

 《命をつなぐはずの補助人工心臓が娘の命を奪う結果となってしまいました。》

 娘には補助人工心臓のことを『あなたのことを守ってくれている大事なものだよ』といつも伝えていただけに、本当に無念でやるせない気持ちです。

 娘がほぼ脳死状態にあると分かった時に私たちは、心臓移植待機中のことを思い出しました。国内では臓器提供が少ない現状を強く感じておりましたので迷わず娘の臓器を、移植待機されているお子様やそのご家族様のために提供したいと申し出ました。私たちは娘が発病してからの3カ月間、暗闇の中にいました。同じようなお気持ちの方に少しでも光がともせられたらと思っております。

 《今回の娘の死によりお伝えしたいことがあります。それは小さい子に、リスクの高い一時的な簡易の機械しかつけられないという今の日本の現状です。子供用の補助人工心臓は海外では何年も前から使われているのですが、日本では使用の許可が下りておりません。

 他のお子様とご家族に同じことが起こらないためにも一刻も早く改善して頂きたいと心から願っております。

 それが、娘が命をかけて私たちに伝えたかったメッセージではないかと思っております。》

 現在の日本の移植医療の現状を皆様にご関心を頂き、命のリレーが当たり前のように日本で行われるような環境に進んでいくことを望みます。(野中良祐)