大みそかのNHK紅白歌合戦でサザンオールスターズの桑田佳祐さんが歌った「ピースとハイライト」は、刺激的だった。
「都合のいい大義名分(かいしゃく)」で争いを仕掛けて、「裸の王様が牛耳る世は…狂気」などとつながる歌詞は、まるで現代ニッポンの風刺ではないか。集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍晋三政権への批判に聞こえた。ちょびひげを付けた桑田さんは、ヒトラーに扮(ふん)しているようにも見えた。
でも、この曲は二〇一三年に発売されていて、実は昨年の閣議決定とはまったく結びつかない。それにしても何という偶然か…。
もちろん、平和の花を咲かせるために希望の苗を植えようという趣旨の曲には、大いに賛同できる。平和をめざすメッセージであるのは間違いない。びっくりした筆者の方が、どうかしているのだろう。
もう一つ、新鮮さを覚えたのは、戦後七十年を踏まえた天皇陛下の年頭のお言葉だ。
<この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています>
安倍首相は「侵略の定義は定まっていない」などと語ったことがあるが、満州事変をどう考えているのだろう。今年は歴史認識が迫られる。歴史を学ぶ−、当たり前のことを陛下は語られたのだと思う。 (桐山桂一)
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