日本経済新聞

1月15日(木曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

トップ > 社説・春秋 > 記事

仏連続テロを教訓に連携と連帯深めよ

2015/1/14付
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 表現の自由を脅かすテロは決して許さない。フランスの風刺週刊紙「シャルリエブド」への襲撃など、同国で起きた連続テロ事件に抗議する行進に仏全土で約370万人が参加し、テロに屈しない決意と連帯を示した。

 卑劣なテロによって記者や漫画家、警察官、襲撃犯が押し入った商店で人質になったユダヤ人ら、17人が犠牲になった。一連の事件には国境を越えて広がるイスラム過激派の関与が指摘されている。テロを防ぎ、過激派を押さえ込むために、国際社会は連携を深めなければならない。

 新聞社を襲った兄弟は中東のイエメンを拠点とする国際テロ組織の下で、銃や爆弾の扱いについて訓練を受けたという。襲撃の際はロケットランチャーや手りゅう弾を含む大量の武器を持っていた。協力者の女は今も逃走中だ。

 事件の背景はわからないことが多い。まずは全容の解明を急いでほしい。欧州に広がるテロのネットワークを徹底的にあぶり出さねばならない。

 イスラム過激派はここ数年、中東に広がった民主化要求運動、いわゆる「アラブの春」後の混乱に乗じて活動を活発化させている。過激思想に共鳴する勢力はアフリカに広がり、ナイジェリアでは過激派「ボコ・ハラム」が少女の体に爆弾を巻き付けて自爆させるなど手口も凄惨さを増している。

 過激派の動きを一国で封じることはできない。欧米主要国はフランスでの連続テロを受けて開いた閣僚級会合で、国境管理やインターネット上の情報収集の強化を確認した。要注意人物の動きをつかみ、資金や武器の流れを断つ連携が重要だ。日本もこの輪に積極的に加わる必要がある。

 懸念されるのは、今回の連続テロにより、欧州各国でイスラム教徒への反感や移民排斥の動きが強まることだ。フランスでは反移民を掲げる極右政党「国民戦線」が勢力を伸ばし、ドイツでも反イスラムを訴えるグループがデモを繰り返している。

 テロ行為は大多数のイスラム教徒自身が批判する。パリの行進には、イスラム教やユダヤ教の宗教指導者も参加を呼びかけた。行進の先頭に立った40カ国以上の首脳の中には対立するアラブやイスラエルの指導者の姿もあった。

 テロを許さない決意と同時に、多様な文化や宗教の共存への意思も示したといえるだろう。

社説をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

【PR】

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 16,795.96 -291.75 14日 大引
NYダウ(ドル) 17,410.75 -202.93 14日 10:05
ドル/円 116.59 - .62 -0.49円高 15日 0:00
ユーロ/円 137.46 - .50 -0.69円高 15日 0:00
長期金利(%) 0.250 -0.010 14日 17:57

保存記事ランキング

1/14 更新

1位
(核心)ドイツとどこで差がついた? [有料会員限定]
2位
海外資金、不動産に1兆円 [有料会員限定]
3位
日本のPB開発に大変革 [有料会員限定]
日経Gooday(グッデイ)カラダにいいこと、毎日プラス

日経ウーマノミクスプロジェクト 女性が輝く社会へ 無料会員急増中
GlobalEnglish 日経版
CollegeCafe 日本経済新聞社の学生向け情報サイト

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について