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犬も猫も…中国「動物喰い」の衝撃実態

2015.01.12 15:50 DMMニュース
ワンちゃんも猫ちゃんも食の対象
ワンちゃんも猫ちゃんも食の対象

「四本足のものなら、テーブル以外は何でも食う」

 といわれる中国人だが、昨秋、上海生まれの在日中国人T氏にその真偽を訊ねたところ、真っ赤になって怒り出した。

「それは偏見だよ! たしかに中国人はいろんな食材を使うけど、テーブル以外何でも食うだなんて、いつの時代の話だっての。お前、中国人をバカにしすぎだろ。いつまでも途上国だと思ったら大間違いだぞ」

 あまりの激昂ぶりにそのときは恐縮しきりだったのだが、この冬、中国に約1か月間滞在した結果、T氏の言が、田舎を知らぬ都会野郎のまったくの「妄言」だということが判明。その実態をリポートしたい。

「チーバ、チーバ(さあ、喰うぞ、喰うぞ)」

 黒竜江省・ハルビン市郊外の地方都市・方正県。人口約20万人ほどの街だ。

「お兄さん、マッサージいかかですか」

 の中国エステ嬢や日本へ嫁ぐ偽装結婚妻を多数輩出する町としても知られる。冬の平均気温はマイナス20度を超える酷寒の地だ。

 方正県の中心部はそれなりに都会だが、そこから10分も車を走らせれば、周囲は一面雪の畑と化し、荒涼とした風景が広がる。今にも崩れ落ちそうな土壁作りの民家が立ち並ぶT村に足を踏み入れる。

「あそこに丸刈りの男たちが集まってるでしょ。そろそろ始まるみたいですね」

 現地の知人はそういうと、一軒の民家を指差した。いかにもガラの悪そうな、スキンヘッドの輩が7、8名、民家の庭にたむろっている。

 と、そこへ軽トラックが滑り込んできた。嬉しそうに歓声をあげる男たち。軽トラの荷台から丸々と太った豚が姿を現した。

 危険を察知したのか、激しく雄叫びをあげている。男たちは数人がかりで荷台から引きずりおろすと、地面にねじ伏せ、口を無理やり木の棒でこじ開けると、それを喉奥にまでねじ込んだ。渾身の力で暴れ、目を剥き、泡を吹く豚。それを、男たちは、馬乗りになって押さえつけ、喉元にナイフを突き立てる。雄叫びは次第に嗚咽のような泣き声に変わり、それから少しだけ体を痙攣させると、ついに絶命した。

「チーバ、チーバ(さあ、喰うぞ、喰うぞ)」

 男たちの顔には会心の笑みと誇らしさが満ち溢れていた。

「さあ、たくさん食べてください。ここらへんでは、豚は神聖な動物として崇められているんです。古い友人が訪れてくれたときとか、結婚などのめでたいイベントのとき、あるいは厄落としなど、特別な時だけ、こうして親族、知人を集めて、一頭の豚を絞めて皆で食べるんです。さあ、どんどん食べてください」(知人)

 中国の肉に恐怖を感じている人にこそ、食べてもらい逸品だった。これぞ肉。まさに肉。血も滴る、絞めたての豚の肉が、これほど旨いとは。ちなみに、平均月収2千元(約4万円)程度のこの村で、豚は1頭千元。非常に高価で貴重な動物なのだ。

30分ほどで山羊を解体する職人技

 松花江にほど近いS村では、山羊の「吊るし」を目撃した。これも一頭千元以上する貴重な動物だ。豚と同様、当たり前のように、動物を、町中で絞め、捌き、喰らうのがこちらのスタイルだ。

 喉元にナイフを突き刺し殺した後、電柱にぶら下げ、皮を剥ぎ、内臓を取り出し、解体する。この間わずか30分ほど。無駄のない、完璧な職人技だ。

 この一連の流れを、日本のように隠蔽しようとせず、子どもたちにも見せる。食の危険が問題化している中国だが、田舎ではいまも「正しい食の教育」がなされているようだ。

 解体した肉はすぐさま中華鍋で煮込まれ、十数人の仲間と分かち合う。

「どうですか。臭くないでしょ? 新鮮な山羊は、内臓まで、全部食えるんですよ」

 いや、正直、ここまで旨い肉をはじめて食べた。絞め、捌かれる、そのプロセスまで見た上での肉の歓び、ありがたさを痛感した晩餐となった。

 方正県では、犬も普通に「喰う対象」だった。隣の家の庭に繋がれていたペットの犬が、翌朝、忽然と姿を消している。こちらでは当たり前の出来事である。

 犬といえば、朝鮮式の鍋が有名だが、こちらでは、煮たり、茹でたり、炒めたりとあらゆる方法で、その内臓まで食い尽くす。まさに食の王国である。実際、黒い毛の中型犬を食したが、これもまた何とも奥の深い旨さだった。

 犬ばかりではない。ハルビン市には猫を食わせる食店もあった。他にもいろいろ……。世界の動物愛護団体が知ったら悶絶しそうな「動物喰い」が、ありふれた日常生活の一コマとして存在する中国の地方に、「食の原点」を見た思いがした。

 動物愛護活動家の諸兄は、一度中国東北部への遠征をお奨めしたい。しかし、あの豚を絞め殺していた丸刈りの「東北人(ドンベイレン)」たちは、日本人のようにヤワじゃないのでくれぐれもご注意を。

(取材・文/小林靖樹)

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