【ベルリン=赤川省吾】イスラム過激派によるフランスでのテロ事件を受けて、ドイツ東部でイスラム排斥運動が勢いを増している。12日夜、旧東独のドレスデンに2万5000人、ライプチヒには約5000人がドイツ国旗などを持って集まり、市内を練り歩いた。排斥運動が広がればドイツの対外イメージが失墜する。ドイツ政界は運動を抑え込もうと懸命だ。
運動を呼びかけたのは「西洋のイスラム化に反対する愛国的な欧州人(略称ペギーダ)」を自称する民族主義的な政治団体。2014年秋から旧東独を中心に反イスラムを訴えるデモを繰り返し、組織している。
12日にドレスデン中心部で開かれた集会は、これまでで最大に膨らんだ。「信じられないぐらい多くの仲間がいる」。主催者はフェイスブックにこう書き込んだ。外国人に差別的な土地柄として知られる旧東独・農村部から加わった人も多いとみられる。
集会の表向きの理由は「テロ事件の犠牲者の追悼」だった。フェイスブックでも情報を発信し、イスラムに不安を持つ一般市民を巧妙に誘う。
排斥運動はいまのところ旧東独が中心。独メディアによるとペギーダは12日、旧西独各地でも集会を試みたが、数百人しか人が集まらなかった。
ドイツ政界は、排斥論が全国に広がる前に抑え込もうと懸命だ。与党幹部は相次いでペギーダを批判。返す刀で移民・難民を受け入れる政策を見直すつもりがないことを表明した。メルケル首相は12日、トルコのダウトオール首相と会談し「イスラム教はドイツに属している」と強調した。「寛容なドイツ」を示そうと移民容認派による数万人規模のデモも各地で行われた。
ダウトオール、メルケル、ドレスデン、ドイツ政界、ドイツ、フェイスブック