中島 滋隆(心理カウンセラー)- コラム「睡眠のリテラシー10」 - 専門家プロファイル

中島 滋隆
心身両面から医学と心理学の両面の視点に立ち支援します

中島 滋隆

ナカジマ シゲタカ
( 兵庫県 / 心理カウンセラー )
ナカジマメンタルヘルス研究室 代表
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睡眠のリテラシー10

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2014-12-19 16:10

朝、起きたら、のどが痛い、熱っぽい、しかもだるいと感じるときがあります。風邪をひいたのかもしれません。では、それより少し前の生活を振り返ってみて下さい。睡眠はどのような状況であったでしょうか。

 米国では次のような画期的な実験が行われました。参加者はまず、2週間にわたって毎晩の睡眠の状況(長さや質など)に関して、電話でインタビューを受けます。次に、風邪のウイルスを鼻に与えられます。そして、その数日後にどのくらい風邪をひいたか、検査されました。

 実際に風邪をひいたのは、参加者のおよそ4割でした。睡眠の状況と風邪との関連を調べたところ、睡眠時間が短いほど、風邪をひきやすくなることが分かりました。特に、睡眠が7時間を下回ると、その確率は高まりました。

 睡眠の質については、横になっている時間(就床時間)に対する実際に眠っている時間(睡眠時間)の割合(%)を指標としました。この割合が低くなるほど、風邪をひきやすくなることも分かりました。

 風邪というありふれた病気とて、たくさんの要因が関わっています。とはいえ、先の研究結果から見て、睡眠の良し悪しがかなり重要な意味を持つことは確かです。睡眠の量や質が乏しいと、外来の病原体から心身を守る力が弱くなってしまいます。

 このことは、睡眠を実験的に変えた研究からも証明されています。例えば、徹夜をさせた時、あるいは睡眠時間を半分にさせた時には、病原体を排除する細胞が減り、身体の中で大変な事態(炎症)が起きていることを伝える物質が増えます。

 海外旅行や交代勤務のように、体内時計が乱された時でも、同じような変化が生じます。日本であれば大丈夫なのに、海外ではお腹を壊しやすくなるのも、うなずけます。

 最近の研究によれば、睡眠の短縮によって炎症に関わる物質が増えても、睡眠を長くとれば減ることが分かっています。また、昼間に数時間の仮眠をとっても、同じ効果のあることが確かめられています。これらは睡眠による回復効果に他なりません。

 指を切ると真っ赤な血がだらだらと流れます。たいした傷でもないのに、かなり慌ててすぐに処置します。これに対して、睡眠を削っても、当然ながら血は出ません。それもあって、多くの場合、放っておくでしょう。

 しかし、これまで述べた通り、睡眠が悪くなると、体の中では、目には見えないけれども、"出血しているような"状態になります。こうした状態が長い間にわたって続くと、目に見えない傷が,いずれ目に見える形(=何らかの病気)になって現れてしまいます。

 それを避けるには、睡眠のとり方が心身にどのような影響を与えるかについて知り、理解して、想像することが大事になります。

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