中島 滋隆(心理カウンセラー)- コラム「睡眠のリテラシー9」 - 専門家プロファイル

中島 滋隆
心身両面から医学と心理学の両面の視点に立ち支援します

中島 滋隆

ナカジマ シゲタカ
( 兵庫県 / 心理カウンセラー )
ナカジマメンタルヘルス研究室 代表
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睡眠のリテラシー9

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2014-12-19 10:58

睡眠に問題があると言えば、これまでは不眠を指すのがほとんどでした。寝つきが悪い、ぐっすり眠った感じがないなど、不眠は今でも深刻な悩みです。近年はそれに加えて、眠っているときの呼吸に関わる問題が注目されています。

 普通、睡眠中に呼吸が止まるはずはないと考えます。それは死を意味するからです。しかし、眠っている間に、呼吸が止まっては再開するというのを幾度も繰り返す病気が存在します。呼吸が止まる時間は1回あたり数十秒が多いですが、長ければ2分に及ぶこともあります。

 呼吸が止まるのは、横になって眠りが深くなると、のどや舌の奥の部分が垂れ下がり、空気の通り道をふさいでしまうからです。お酒を飲んだ時、あるいは肥満やあごの小さい方は、そうなりやすい傾向があります。

 呼吸が止まったままではもちろん危ないわけですが、すばらしいことに、脳がその状況をすぐに感知します。そして、身体を目覚めさせ、呼吸を再開させます。これで窒息死の危険は避けられます。ただし、その一方で、眠りが浅くなったり、場合によっては、本人が気づかないほどわずかに目が覚めたりもします。

 このようなことが呼吸の止まる度に起こるので、深い睡眠がとれなくなります。そのせいで、睡眠の大切な働きである疲労回復が妨げられるばかりか、心身に大きな負担が与えられます。この状態が長年にわたると、高血圧、心臓病、糖尿病などになりやすくなることが分かっています。

 睡眠中に呼吸が正常にできないと、昼間の生活にも影響が生じます。睡眠時間はそれなりなのに、眠気や疲労感が強く感じられます。仕事の能率が落ちたりすることもあります。このため、車を安全に運転できるかどうか、心配になります。
もし、眠っている時の呼吸がおかしいと自覚できれば、自ら進んで次の行動をとれるかもしれません。しかし、自分では意識のない時のことですから、昼間の不調や生活習慣病と結びつけては考えにくいでしょう。

 事実、睡眠専門の病院を受診したのは、「いびきがすごくうるさい」、「いびきの途中で、息が止まる」といった伴侶やご家族からの指摘(苦情)がきっかけというのがほとんどです。

 その意味では、いびきは重要なメッセージと言えます。"よく眠っているから、大きないびきをかいている"とみなしがちですが、そうではありません。むしろ、いびきは"助けを求める叫び声"と評する専門医もいます。

 睡眠中の呼吸の異常に対しては、小型の機器を使って鼻から空気を送り込み、呼吸を改善する治療が行われます。実際には、専用のマスクを着けて床に入ります。この治療は効果的ですが、それだけでは充分ではありません。睡眠時間の確保、規則的な起床と就寝、節酒や禁煙など健康な生活習慣は、睡眠の病気のあるなしにかかわらず、眠りを良くする大前提になります。

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