中島 滋隆(心理カウンセラー)- コラム「睡眠のリテラシー4」 - 専門家プロファイル

中島 滋隆
心身両面から医学と心理学の両面の視点に立ち支援します

中島 滋隆

ナカジマ シゲタカ
( 兵庫県 / 心理カウンセラー )
ナカジマメンタルヘルス研究室 代表
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睡眠のリテラシー4

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2014-12-12 11:24

朝になったら起きて仕事に行き、夜になったら帰って眠る。普通は、このような生活が当たり前です。ところが、そうではない生活を送らざるを得ない方々がいます。夜間に働く人にとって、また、ある日は日勤、別な日は夜勤という交代勤務で働く人にとって、夜に眠るのはときに"夢"となることもあります。

 わが国では、夜勤や交代勤務で働く人は、労働者全体の27%にのぼります。この値は10年前と比べて、1.4倍に増えています。今後、同じように増えることはあっても、減るとは思われません。今の社会は、より便利に、より効率的になるために、"おかしな"時間に働くことを求めているのでしょう。

 働く時間が変われば、睡眠を含めた、あらゆる生活の時間が変わります。であっても、それほど困らなければ大きな問題にはなりません。しかし、交代勤務で働くと、様々な困難に直面します。この背景には前回ご紹介した体内時計が関係しています。

 体内時計は、昼に活動し、夜に休む(眠る)ように、タイミング良く指示を出しています。これに対して、交代勤務、特に夜勤では、夜間に照明のついたところで働いて、昼間に眠ることになります。その結果、体内時計とのズレが生じてしまいます。

 生活時間と体内時計とのズレによって最も困るのは睡眠です。何より、夜勤明けの昼間には、ぐっすり眠れません。昼間ですので、外が騒がしいせいで眠れないこともありますが、基本的には体内時計からみて活動に適した時間帯に眠ろうとしていることが原因です。したがって、夜勤明けの不眠は当然の症状とも言えます。

 睡眠が充分ではないと、疲労も回復しきれないはずです。これまでの研究によれば、交代勤務は心臓病、高血圧症、糖尿病、メタボリック症候群など生活習慣病になりやすいことが明らかになっています。

 睡眠が昼間にしっかりとれないまま、次の夜勤につくと、今度は仕事中の眠気が問題になります。そもそも夜間は眠りやすくなるように身体の中の環境を体内時計が整えていますので、眠気はさらに強くなる可能性もあります。このような状況では、仕事上のミスや事故につながらないか、心配になります。

 交代勤務には、以上のような健康と安全の問題がどうしてもつきまといます。その一方で、私たちの暮らしに交代勤務はなくてはならないわけです。では、どのように対応すればよいでしょうか。

 交代勤務スケジュールの改善、睡眠や仮眠の工夫、光環境の調整、生活習慣の是正など、有望な対策はいくつか提案されていますが、それぞれ一長一短があります。より健康で安全な交代勤務にするには、それに関わる人々全体の参加と協力が必要です。その際には、各職場の経験とともに、体内時計や睡眠について正しい知識を共有することから始めるのがよいでしょう。

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