中島 滋隆
ナカジマ シゲタカ絵で見て分かる生活習慣病③ インスリンのやっていること
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飢餓の歴史を背景として、インスリンは同化作用、つまり栄養備蓄のために、全身のあちこちで孤軍奮闘しています。具体的にどのような働きを担っているのでしょうか。
膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されたインスリンは、血流に乗って全身を巡り、主に肝臓、体を動かす筋肉、脂肪細胞等で活躍します。要は、栄養を貯蔵場所に送り込み、貯蔵に適した形に変換するよう促す役割です。
と同時に、異化ホルモン等、異化作用を抑制する働きも持っています。その結果、肝臓では糖新生が抑制されるのをはじめ、各所でブドウ糖や脂肪、タンパク質の分解が抑制されます。
こうして栄養素が細胞に取り込まれるようドアを開けつつ、取り出そうとする動きを邪魔する、というダブルの戦略で、抜かりなく同化作用を強めているのです。
空腹時でも出ている
誤解しやすいのですが、実は異化ホルモンと同化ホルモンはどちらも、常に最低限は分泌されています。ただ、時間帯や体内の栄養の状態によって一日のうちでも変動があり、その時々で優勢なものだけが「働いているように見える」わけです。
インスリンは、食事の前後でこの差が顕著です。前頁で見たのは、主に食後のインスリン分泌の様子。血糖値が上昇したのに応じてインスリンが大量に分泌され(追加分泌)、栄養備蓄のために奮闘するのです。
一方、夜中眠っていても、空腹でも、生きている限り体はエネルギーを必要とします。そのため異化ホルモンが働いて肝臓では糖新生が行われ、ブドウ糖が放出され続けます。ただしその量は、全身で取り込まれるのに見合うものでなければなりません。優勢である異化ホルモンを適度に抑えるため、常に一定量のインスリンが分泌されています。これをインスリンの基礎分泌と言います。