都内公立保育所:非正規「4割」6割超年収130万円未満

毎日新聞 2015年01月13日 13時37分(最終更新 01月13日 13時53分)

都内公立保育園の非正規職員の年収
都内公立保育園の非正規職員の年収

 東京都内の公立保育園で働く職員は、非正規職員が4割を超すことが明星大の垣内国光教授(児童福祉論)の調査で分かった。非正規職員の6割超が年収130万円未満であることも判明。垣内教授は、保育の質的向上を目指すため、保育士らの待遇を改善するよう強調している。

 都内62市区町村に雇用状況についてアンケートをしたところ、31自治体から回答があった。調査報告書によると、2013年4月時点の保育士や調理師・栄養士、用務員ら職員計約1万6000人のうち、有期雇用の非正規は44.7%。区部は非正規が41.8%だったのに対し、市町村部は57.6%に達し、自治体間の差も浮かんだ。また、保育に従事する職員について雇用期間を調べると、6カ月が82%を占めた。

 さらに、東京自治労連を通じて15市区の非正規職員に対して、労働条件についてのアンケートも実施。3632人から回答があり、12年の年収について選択肢式で尋ねたところ、「50万〜100万円未満」が32.8%で最多だった。「100万〜130万円未満」が20%で続き、130万円未満の合計は約63%を占めた。

 垣内教授は「これでは労働者として生活できない」と指摘。「保育者を大切にすることによって、日本の保育の質を引き上げることを考えないといけないのではないか」と訴えている。また、調査に携わり、都内の公立保育園で非正規の保育士として17年働く三井文代さん(47)は「雇用不安が大きい。退職金や一時金もないので老後のことを考えると不安だ。それでも、子供と楽しく保育にかかわっていきたいと思うので仕事を続けている」と話す。【武本光政】

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