中島 滋隆(心理カウンセラー)- コラム「認知症を知る7 介護保険を活かす」 - 専門家プロファイル

中島 滋隆
心身両面から医学と心理学の両面の視点に立ち支援します

中島 滋隆

ナカジマ シゲタカ
( 兵庫県 / 心理カウンセラー )
ナカジマメンタルヘルス研究室 代表
Q&A回答への評価:
4.4/20件
サービス:0件
Q&A:74件
コラム:101件
写真:20件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

認知症を知る7 介護保険を活かす

- good

2014-10-06 14:39

 まずは介護保険の基礎の確認です。
 病気のない人は65歳以上でないと使えませんが、認知症と診断された場合は、40歳以上で利用できます。
 利用するには申請と認定が必要です。認定区分によって、保険を使って利用できるサービスの金額上限や種類、回数が異なります(表参照)。
 申請先は、市区町村の介護保険に関する窓口です。
 前回も説明したように、審査には「主治医意見書」が必要なので、申請前に主治医にその旨を伝えておきましょう。

申請から使うまでの流れ

 さて、申請が受理されると調査員が自宅や入院先を訪問し、認定に必要な調査を行います。
 認定審査会などを経て、認定証が送られてきます。1カ月半~2カ月ほど要すると考えておくとよいでしょう。認定結果(区分)に納得できない場合は、地域包括支援センターにご相談ください。
 そこからケアマネジャーが支援に入ります。まずは、本人の状況を把握し、暮らしや利用したいサービスの希望を整理し、適したサービスを検討し、ケアプランを作成するという所までで一区切りです。サービス提供が始まった後は、ケアプランが適切か定期的に評価し、状況に合わせて、ケアプランの修正を行います。
 ケアマネジャー次第で、受けられるサービスが相当違うこともありますので、ぜひともよい人を選びたいところです。信頼できそうで当人や家族と相性のよいことは大前提として、よく話を聴いてくれる人、フットワークの軽い人の方が望ましいと思われます。

1割負担+α 

認知症の介護はロングランとなることも想定されますので、費用負担が気になることでしょう。
 認定区分の上限に達するまでは、使ったサービス料の1割が自己負担になります。ケアマネジャーも通常は限度内に納まるようケアプランを作成します。ただし、使いたいサービスがあるなら(提供してくれる事業者があるなら)、上限を超えても構いません。上限を超えた分の費用は全額負担になります。
 1カ月の1割の自己負担分が、所得に応じて定められた上限額(表参照)を超えた場合には、その超えた金額が戻ってくる高額介護サービス費(コラム参照)という制度があります。生計を同一にしている世帯に介護保険サービスを利用している人が複数いる場合には、世帯内で合計した額が対象となります。受けるには、申請が必要です。
 さらに08年4月からは、医療の高額療養費と合計した額が年額で一定額(表参照)を超えた場合にも、超えた分が「高額介護合算療養費」として払い戻されるようになりました。こちらも最初の1回目だけは申請が必要です。

どんなサービスがあるか

 では、介護保険でどのようなサービスが提供されるのか、本人がどこでサービスを受けるかで分けて、主なものを見ていきます。
 ただし、いずれのサービスについても、介護保険の利く範囲と利かない範囲がありますので、事前によく確かめるようにしてください。

①自宅で
訪問介護
訪問介護員(ヘルパー)が自宅を訪問し、日常生活の中で不自由と感じることを支援します。
訪問看護
看護師が自宅を訪問し、健康の維持・回復を支援します。
訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが訪れ、体の機能の維持・回復を支援します。
配食サービス
事業者が定期的に訪れ、栄養バランスの取れた食事を調理し提供します。
訪問入浴
看護師や介護員が入浴の設備や簡易浴槽を積んだ車で自宅を訪問します。自宅の浴槽を使うことが難しい人の入浴を支援します。
居宅療養管理指導
医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士などが訪れ、暮らしの状況に合わせたアドバイスを行います。
福祉用具レンタル
ケアプランにおいて必要とされる福祉用具をレンタルできます。サービス事業者や品目によって料金は異なります。
福祉用具購入
直接肌に触れるなどの衛生的な理由で、レンタルに好ましくない福祉用具を購入する際、同一年度内10万円を上限として購入費の9割が介護保険から支給されます。
住宅改修(リフォーム)
ケアプランにおいて必要とされる住宅改修をする場合、上限20万円までの改修費のうち、9割が支給されます。

②通う
通所介護(デイサービス)
入浴や食事、健康チェック、趣味活動などを通じて、日常生活を支援します。
通所リハビリ(デイケア)
身体の機能の維持・回復を支援します。

③泊まる・暮らす
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期間の生活・宿泊で、食事や入浴など日常生活を支援します。
短期入所療養介護(ショートステイ)
短期間の生活・宿泊で、食事や入浴など日常生活を、医療面も含めて支援します。
老人保健施設
自宅へ戻ることを前提に入所し、医療も含めて一時的に日常生活を支援します。
特別養護老人ホーム
自宅での生活が難しい人のため、暮らしの場として生活を支援します。
介護療養型医療施設
病状は安定したけれど長期間の療養が必要な人のために医療、ケア、身体の機能の維持・回復などを支援します。ただし、厚労省は2018年3月末に介護保険の対象から外す方針です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の人がスタッフの支援を得ながら、少人数で共同生活を送る場です。
特定施設入居者生活介護
条件を満たした有料老人ホームやケアハウスなどでは、その職員が介護サービスを提供してくれます。

④混合型
小規模多機能型居宅介護
②を中心に、①や③を組み合わせ日常生活を支援します。

 さあ、いかがだったでしょう。認知症の家族を介護する中で、「この部分を肩代わりしてもらえたら」と思うことが、これらのサービスの中にないでしょうか? すぐ使うか使わないかは別にして、イザという時のため早めに準備しておくことをお薦めします。

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスQ&Aコラム写真