中島 滋隆(心理カウンセラー)- コラム「睡眠のリテラシー28」 - 専門家プロファイル

中島 滋隆
心身両面から医学と心理学の両面の視点に立ち支援します

中島 滋隆

ナカジマ シゲタカ
( 兵庫県 / 心理カウンセラー )
ナカジマメンタルヘルス研究室 代表
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睡眠のリテラシー28

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2015-01-12 12:37

適度な運動は睡眠に良いと言われています。その通りですし、運動不足では太って、ロクなことはないので、この考えに反対する方はおられないでしょう。

 では、もし仮に「喫煙は睡眠に良い」という研究成果が出されたとしたら、どのように捉えたらよいでしょう。

 まず、誰がどのように研究したかが問題になります。信頼のあるデータをこれまでも出してきた研究者がしっかりした方法で見つけた成果であれば、それなりに確からしくなります。

 次に、どこに発表したかです。時々「○○学会」で発表したという報道があります。学会で発表するには、事前に審査を一応は受けますが、それほど厳しくはありません。このため、やや眉唾もののデータが発表されることもあります。

 確かな情報と見なせる最も大事な条件は、成果が論文として専門の雑誌に発表されていることです。もっとも専門誌と言えども、ピンからキリまであります。一般にはどの雑誌がピンか分かりませんし、専門家であっても、分野が違えば分かりにくいことがあります。

 論文が学術誌に投稿されると、その内容が正しいかどうかを複数の専門家によって厳しくチェックされます。ピンの雑誌であるほど,厳しさが増します。

 投稿された論文に対して、たくさんの質問や批判が出されます。著者はその一つひとつ回答しながら、元の論文を修正します。場合によっては,実験を改めて行わなければならないこともあります。

 苦労して修正した論文を次に投稿して、「それでよし」と判定されたら、とてもラッキーです。その論文は日の目を見られます。さもなければ、もう1回,さらにもう1回と修正を求められます。

 修正が幾度かあっても,その学術誌に掲載されればよいわけです。そこまで至らず、不運にも「ダメ出し」されてしまうと、別な雑誌に改めて投稿し、また一から始めなければなりません。著者としてはつらいですが、正しくて、意味のある情報を世に出す上で、このような過程はなくてはなりません。

 また、「喫煙は睡眠に良い」というような新説が本当に正しいかを判断する時、その研究の資金はどこから来たかが重要な意味を持ちます。多くの場合、公的な機関(日本では、文部科学省や厚生労働省など)からの研究費によります。一方、そうではなく、例えば、もしタバコ会社から資金が提供されていたとしたら、どうでしょうか。

 こうした状況への対応について、ほとんどの学術誌は事細かに決めています。必ず求められるのは「この研究は○○会社からの資金で行われた」旨を論文の最後で申告することです。ただ、その内実はよく分からないことが多いです。

 睡眠に関する情報の真偽を見分けるには、その"行間"に目を向けてみるとよいでしょう。

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