マスコミではまったく話題になっていないため、タイトルは『出題ミスについて』ではなく『出題について』としました。
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植物の形態観察と遺伝に関する問題です。
問題が実験器具の扱い、アブラナの形態、エンドウの遺伝、をモザイク的に切り貼りしたようで全体に流れがなく、作問慣れの無さが伺われますが、それはいいとして、、、、(日本語も下手だし…)
必要な所を以下に打ち直します。
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〈実験〉
(1) エンドウの丸形の種子5個と,しわ形の種子5個を校庭の花壇にまいて育てた。
(2) (1)でまいたエンドウの種子を,得られた種子の形で分類した。
〈結果2〉 以下の表の3種類に分類することができた。
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まいた種子の形 | 丸形 | しわ型 |
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得られた種子の形 | すべて丸形 | 丸形としわ型 | すべてしわ型 |
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まいた種子の形の分類| ① | ② | ③ |
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〔問3〕 〈結果2〉の②から得られた丸形の種子の数としわ型の種子の数のおよその比と,②から得られた丸形の種子の遺伝子の組み合わせのおよその比を組み合わせたものとして適切なのは,次の表のア〜エのうちではどれか。ただし,エンドウの種子が丸形になる遺伝子をA,しわ形になる遺伝子をaとする。

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私の出した答えは『解なし』です。
東京都の発表した正解は『エ』です。
どういうことなのでしょうか?
私の思考過程を以下に示します。
まいた種子の遺伝子型は以下のようになるはずです(特に純系であるとの記述はありません)。
丸=AA or Aa しわ形=aa
これらが『校庭の花壇に』まかれて育てられたのです。
特にネットなどを使って隔離したなどという記述はどこにも見当たりません。
よって、これらは昆虫によりランダムに交配されたはずです。
遺伝子形が三種類ですので、組み合わせは以下の6通りです。
丸×丸 → AA×AA → AA → すべて丸
丸×丸 → AA×Aa → AA と Aa → すべて丸
丸×しわ → AA×aa → Aa → すべて丸
丸×丸 → Aa×Aa → AA と Aa と aa → 丸としわ
丸×しわ → Aa×aa → Aa と aa → 丸としわ
しわ×しわ → aa×aa → aa → しわ
つまり、雌しべと雄しべの逆パターンまで考えれば、どの種子から育った株からでも、丸もしわも出現することになります。
この時点で〈結果2〉が有り得ないことになり、問題不成立、よって解無しです。
では問題文に登場する〈結果2〉及び東京都の発表した正解『エ』とはどういうことなのでしょうか?
実はこれ、すべて自家受粉(同株受粉)であると考えると辻褄が合います。
以下の表のようになります。
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まいた種子 | 丸=AA or Aa | しわ形=aa|
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得られた種子 | 丸=AA | 丸としわ=AA or Aa or aa | しわ=aa |
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まいた種子の分類 | ① | ② | ③ |
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すると②の種子から成長した株に実った種子のうち、丸形の
形質の比 丸形:しわ形 = 3:1
遺伝子形の比 AA:Aa = 1:2
よって都の発表した正解『エ』と一致します。
作問者のうっかりミスは明らかです。
『校庭の花壇にまいて育てた。』などとせず、『それぞれの株をネットで覆い、昆虫の侵入を防いだ。花が咲いてから人の手で人工的に同株受粉した。』とすれば、良かったのです。
「問題文の流れ、特に〈結果2〉から言って、すべて自家受粉であると読み取れる。」と言うなら、それは苦しい言い訳です。
問題文の記述通り『校庭の花壇にまいて育てた』場合、同様の結果は得られませんから。
作問者と受験生の間に共通の感覚、固定観念を前提にするのはルール違反です。
問題文を厳密に読み取った優秀な受験生ほど、戸惑ったのではないでしょうか?
ココを話題にしているの、私だけなのですかね?
テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術