仏連続テロ:現場に大量の武器 組織的支援が濃厚
毎日新聞 2015年01月10日 23時33分(最終更新 01月11日 01時16分)
捜査当局はクリバリ容疑者の内縁の妻アヤト・ブメディエンヌ容疑者(26)とサイド容疑者の妻が知り合いで、昨年1年間に500回以上通話していたことを確認している。女性警官射殺事件の現場にブメディエンヌ容疑者がいたことも判明し、一連の事件の背景を知っている可能性があるとみて行方を追っている。
◇過激派の温床、拡散
【カイロ秋山信一】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件に関し、イエメンを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系団体「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)のメンバーが9日、AQAPの指示だったと主張した。仏当局による裏付けは得られていないが、容疑者がイエメンで軍事訓練を受けたとみられており、イスラム過激派の温床が各地で形成されていることに国際社会がどう対応するかが喫緊の課題となっている。
AQAPのメンバーは9日、襲撃事件について「指導部が作戦を指示し、彼らが周到に標的を選んだ」とAP通信に明言。AQAPのナダリ幹部は9日に声明を発表し、「イスラム教への攻撃をやめなければ戦争は続く」とさらなる攻撃を示唆した。
AQAPには耳目を集める事件を起こし、影響力を誇示する狙いがあるとみられる。昨年、イスラム国が台頭し、従来は過激派の指導的立場にあったアルカイダを脅かした。AQAPはイスラム国とアルカイダの和解を仲裁した時期もあったが、昨年11月にイスラム国のバグダディ指導者には「正統性がない」と批判した。
AQAPは2009年、本拠地のアフガニスタンからイエメンに戻ったアルカイダ構成員らが結成した。脅迫や利益供与によって東部の部族勢力と結びつき、無法地帯を形成。営利誘拐や麻薬密売を主な資金源にしている。イエメンで政府や米大使館を攻撃する一方、09年には米国で航空機爆破テロ未遂事件に関与するなど外国でのテロも志向する。昨年12月に発行したウェブ機関誌では、ローンウルフ(一匹オオカミ)と呼ばれる欧米のシンパが独自に起こすテロの特集を掲載。米英に次いで、仏を標的に挙げていた。