半導体開発:天野教授らに14億円支援 省エネ原発4基分
毎日新聞 2015年01月13日 06時00分
青色発光ダイオード(LED)に使われる窒化ガリウムを使ったエネルギー効率の高い半導体の開発助成費として、環境省は2015年度当初予算案に約14億円を盛り込む方針を固めた。2年後の実用化を目指す。環境省は、この半導体が普及すれば、原発4基分以上の省エネが可能と試算し、地球温暖化対策の要にできるともくろむ。
助成対象は、ノーベル賞を受賞した天野浩・名古屋大教授(54)の研究室や大阪大、法政大、複数の電機メーカーが加わる共同開発プロジェクト。新材料は「パワー半導体」と呼ばれ、現在主流のシリコン型に比べ、発熱による電力損失を理論上、85%抑えられるほか、発熱も減って冷却装置が不要になるとされる。半導体は、エアコンや電気自動車、太陽光発電など多くの機器に使われており、新材料の普及で、20年時点には100万キロワット級の原発4基分以上のエネルギーを削減できるという。
ただし、実用化には高電圧でも性能が低下したり、壊れたりしない耐久性や、製造コストを下げるための対策が必要になる。
環境省は14年度に6億円を助成して設計を進めてきたが、「天野教授の技術と経験で、高品質の半導体を生み出してほしい」(幹部)と期待し、15年度は2倍超に増額することにした。16年度末までにパワー半導体を製造し、実際に機器に搭載して効果を検証する。
天野教授への支援を巡っては、文部科学省が14年度補正予算案に研究設備費として12億円を計上し、名大を産官学の連携拠点とする構想を描くなど、ノーベル賞受賞を機に政府が支援を強化している。【阿部周一】