と言われても、何のことかよく分からないという人のために少し説明をしましょう。
先ず、安倍政権や黒田総裁率いる日本銀行は、日本経済に関してどんな認識でいるのでしょうか?
それについては、お分かりだと思うのです。そうなのです、何が何でもデフレから脱却することが先決である、と。
だから、日銀はマイルドなインフレを起こすために市場からガンガン長期国債を買い上げ…
では、日銀がガンガン市場から国債を買い上げると何故インフレになるのか?
それは、一つには世の中に出回るお金の量が増えるから。そして、もう一つの理由としては、そのような政策を日本銀行が行っているということを人々が認識をすれば、人々は遠からずインフレが起きると予想するようになるからだ、というのです。
では、人々がインフレを予想するようになれば、何故景気がよくなるのか?
そこでリフレ派の人々は言うのです。モノやサービスの価格が上がると人々が予想するようになれば、人々は値段が上がる前に購入を急ごうとするから消費が活発化する、と。
しかし、私は、そのような仮説には与しません。そんなこと起こる筈がない、と。ハイパーインフレが起こるのであれば別ですが、物価が年率で2、3%或いは4、5%上がるからといって、何故急いで買う必要があるのか、と。というのも、食料品などは買い溜めが利かないものが多いですし、それに、衣料品などには流行がある、と。家電製品などの場合は、急いで買うよりも少々待って買うと品質が向上することがあるからです。逆にパソコンなどの家電製品などの場合は、幾ら安くなることが分かっていても、いつまでも購入を先送りするなんてことはないでしょ?
ということで、インフレになったからといって人々の消費行動にそれほど影響を与えることはないと思うのです。
いずれにしても、リフレ派の言う人々の期待に働きかける政策というのは機能しているのでしょうか?
実は、日銀が四半期ごとに実施している「生活意識に関するアンケート調査」をみると、リフレ派の考えていることとは全く違う実態が明らかになっているのです。
調査結果の中で注目すべき事項を挙げてみたいと思います。
・1年後の物価に対する見方
グラフをご覧ください。2014年12月時点で、物価が1年前と比べて「かなり上がる」と「少し上がる」と答えた人の割合は、合計80%強となっており、政権交代時期の2012年12月を境に物価上昇予想の割合が増えていることが窺がえるのですが、しかし、2008年前半頃における物価上昇予想の割合は、今よりもさらに大きかった訳ですから、マネタリーベースを2年で2倍に伸ばすと言ったほどには効果が出ているとは思えないのです。
過去2年間において物価上昇予想の割合が増えているのは、期待に働きかける政策が効果を発揮しているというよりも、円安の影響で実際に物価が上がったことによるものと考えるべきではないのでしょうか。
・物価上昇の感想
物価上昇の感想という調査項目があります。物価上昇について、どう思うか、具体的には、「どちからと言えば、好ましいことだ」、「どちらかと言えば、困ったことだ」、「どちらとも言えない」の3つから選択するものなのですが、これまでは、どんなにデフレからの脱却が必要だなどと言われても、概ね8‐9割の人々は、物価上昇は「困ったことだ」と答えていたのに、政権交代時の2012年12月頃を境に物価上昇を「好ましい」と思う割合が増えているのです。
但し、このように物価上昇を「好ましい」と思う割合が増える現象は、2006年頃の景気が比較的よかった局面でも既に見られていることなので、このことについても、期待に働きかける効果が出ているとは断言できないのです。
・物価下落の感想
日銀は、物価下落の感想についても調査をしています。具体的には、「どちらかと言えば、好ましいことだ」、「どちらかと言えば、困ったことだ」、「どちらとも言えない」の3つから選択するものですが、これまでは、「好ましいことだ」が「困ったことだ」を概ね上回ることが多かったのが、2014年に入ってからは逆転現象がみられているのです。景況感が悪化したことが原因であるかもしれませんが、2006年3月以前のデータがないためにその理由は即断できません。アベノミクスに対する理解によるものであるとするならば、2013年頃からそのような現象が起きて当然だと思うのですが…
いずれにしても、以上見てきたとおり、日銀の期待に働きかける政策が効果を発揮しているとは到底思えないのですが、如何でしょうか。
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