フランス:反テロ行進に370万人「史上最大」各国首脳も
毎日新聞 2015年01月11日 23時34分(最終更新 01月13日 01時36分)
【パリ宮川裕章】パリ中心部で11日に行われた仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃など一連の事件の犠牲者を追悼する反テロ行進には、推計200万人が参加した。地元メディアによると、フランス全土で370万人が反テロ行進に参加し、「フランス史上最大」(内務省)の規模となった。パリの行進に加わった50カ国以上の首脳は「今日パリが世界の首都となった。我々全ての国が(対テロに)立ち上がるだろう」と団結をアピール。各国の主要都市でも反テロの集まりが開かれ、国と宗教を超えた連帯を呼びかける声が相次いだ。
パリの行進は参加者が多くパリ警視庁が集計を断念するほどで、現地メディアは最大200万人と報道。1944年8月にドイツ占領から解放されて以来の人出となったという。フランス国歌の大合唱で始まった行進は、12人が犠牲となったシャルリーエブド襲撃事件の現場近くなどを通り、数時間たっても人の流れが止まらなかった。
参加した各国首脳は犠牲者に黙とうした後、横一列に並んで約20分間行進。オランド大統領はメルケル独首相と西アフリカ・マリのケイタ大統領に挟まれて歩いた。マリは2013年1月に、イスラム過激派に制圧された北部を、フランス軍が介入して主要都市が解放された経緯がある。
行進には、国家を団結させる狙いがある。フランスでは人口の約1割を占める約600万人のイスラム教徒が生活しており、イスラム過激派と大多数の善良なイスラム教徒を混同することによる社会分断への危惧が高まっている。参加した会社社長のジャック・ジモンさん(49)は「国の結束を守るために来た。フランスは自由の国だ」と述べた。
また東部リヨンで30万人、西部ボルドーで14万人が集まったほか、地方の小都市でも行進が行われ、「言論の自由」を威嚇する暴力に怒りの声を上げた。ロンドン、ベルリン、ニューヨーク、エルサレム、ベイルートなど各国でも同様のデモが行われ、国際社会がテロに対抗していく姿勢を示した。
パリの行進に加わったイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長が公式行事で同席するのは、10年9月の中東和平交渉以来。また行進に先立ち、フランス政府は11日、欧米などの治安関係閣僚をパリに招き緊急対策会議を開催。欧州連合(EU)加盟国における関連情報の共有、過激派に関する情報収集、過激派の宣伝映像の削除−−などの対策で一致した。