仏連続テロ:マリ出身イスラム教徒の英雄的行動に賛辞
毎日新聞 2015年01月12日 22時04分
【ブリュッセル斎藤義彦】仏週刊紙襲撃テロ事件に関連したユダヤ人向けスーパー立てこもり事件で、客5人を冷蔵庫にかくまって救出に導いたアフリカ・マリ出身のイスラム教徒ラサナ・バティリさん(24)が、仏社会で「英雄」としてたたえられている。バティリさんは脱出した時に容疑者の共犯と間違われて一時拘束されたが、警察を非難せず、「イスラム教徒もユダヤ人もみな兄弟だ」と結束を訴えている。
バティリさんはマリからの移民で、4年前からスーパーで倉庫係として働いている。アメディ・クリバリ容疑者(32)が襲撃した際、地下でお祈りをしていた。バティリさんは地下に逃げ込んできた客が避難できるよう、大型冷蔵庫の冷却装置と照明を切って入れ、「静かにしているように」とかくまった。
バティリさんは、地下から外部に通じる荷物用エレベーターで一緒に逃げようと客らに提案。しかし、客らは容疑者がエレベーターの音に気づくことを恐れ、冷蔵庫に隠れることを選択し、バティリさんは一人で脱出した。
警察はアフリカ系の風ぼうからバティリさんを共犯者だと誤解。30分以上にわたって拘束した。誤解が解けた後、バティリさんは店の見取り図を書くなど警察に全面協力した。
バティリさんは仏メディアに「イスラム教徒もキリスト教徒もユダヤ人もみな兄弟だ。ともに寄り添って困難を克服しなければいけない」と、対立ではなく結束を訴えた。
仏メディアや各種のウェブサイトは、バティリさんを「英雄」とたたえ「勲章を与えるべきだ」と称賛している。