仏連続テロ:治安維持に兵士1万人動員 重要拠点へ配置

毎日新聞 2015年01月12日 23時46分(最終更新 01月13日 00時55分)

デモ行進に参加し、腕を組んで連帯を訴えるオランド仏大統領(前列左から3人目)やメルケル独首相(同4人目)、ネタニヤフ・イスラエル首相(左端)、アッバス・パレスチナ自治政府議長(右端)ら=パリで2015年1月11日、AP
デモ行進に参加し、腕を組んで連帯を訴えるオランド仏大統領(前列左から3人目)やメルケル独首相(同4人目)、ネタニヤフ・イスラエル首相(左端)、アッバス・パレスチナ自治政府議長(右端)ら=パリで2015年1月11日、AP

 【パリ宮川裕章】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃など計17人が犠牲となった一連のテロ事件を受け、フランス政府は12日、兵士1万人を動員し、治安維持に当たる方針を明らかにした。文民統制が確立されている欧州諸国で、国軍が大規模な治安任務に当たるのは異例といえる。またパリ中心部で11日に行われた犠牲者を追悼する反テロ行進には、推計200万人が参加。地元メディアによると、フランス全土で370万人が参加し、「フランス史上最大」(内務省)の規模となったほか、世界各地でも行われた。

 ルドリアン仏国防相は軍兵士1万人を13日から国内の重要警備拠点へ配置すると発表。「これほどの規模の兵士が国内警備に動員されるのは初めてになる」と述べた。また、全国のユダヤ系学校など関連施設の警備に4700人の警察官や憲兵を動員。最高度の警戒態勢で、テロの脅威に当たる姿勢を鮮明にした。

 一方、11日のパリの行進では、パリ警視庁が集計を断念するほど参加者が多く、現地メディアは最大200万人と報道。行進にはフランスのオランド大統領のほか、メルケル独首相ら50カ国以上の首脳が参加した。

 今回の行進には、国家団結の狙いがある。フランスでイスラム教徒は人口の約1割を占める600万人。イスラム過激派と、大多数の善良なイスラム教徒を混同することによる社会分断への危惧が高まっており、行進には多くのイスラム教徒も参加した。

 行進は仏国内の都市だけでなく、ロンドン、ニューヨーク、ブラジル・リオデジャネイロ、エルサレム、ベイルートなど主要都市でも行われた。スポーツ界でも、テロに反対する動きが広がった。英国のサッカーのイングランド・プレミアリーグでは、選手が喪章をつけてプレーしたほか、フランスのサッカーリーグの会場では、観客が週刊紙の名前を使った合言葉「私はシャルリー」のメッセージを掲げ、テロに対抗していく姿勢を示した。

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