仏テロ連鎖:特殊部隊が突入、週刊紙テロの2容疑者を射殺

毎日新聞 2015年01月10日 11時39分(最終更新 01月10日 11時53分)

 【パリ宮川裕章、斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件で、仏憲兵隊特殊部隊(GIGN)は9日午後5時(日本時間10日午前1時)ごろ、パリ北東約40キロのダマルタンアンゴエルでサイド・クアシ容疑者(34)とシェリフ・クアシ容疑者(32)の兄弟が立てこもった印刷所に突入し、2人を射殺した。また仏警察所属の特殊部隊(RAID)はほぼ同時間帯に、パリ東部ポルトドバンセンヌで、アメディ・クリバリ容疑者(32)が約15人の人質を取って立てこもったスーパーに突入、クリバリ容疑者を射殺した。人質のうち4人の死亡が確認された。

 仏メディアによると、9日午後5時ごろ、印刷所正面の扉が開き、兄弟が外に出て自動小銃で銃撃を始めたため、特殊部隊が応戦。銃撃戦の末、兄弟を射殺した。印刷所敷地内からは複数の爆弾が見つかった。

 検察当局の発表によると、印刷所長が9日午前に一時人質に取られたが、直後に兄弟から解放された。印刷所には別の所員もいたが、隠れていて無事だった。

 シェリフ容疑者は同日午前、仏テレビ局BFMTVの電話取材に応じ、「我々は預言者の守護者だ」と述べ、イエメンの国際テロ組織アルカイダ系団体「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)幹部の財政支援を受けていたことを明かした。当局はシャルリーエブド襲撃現場に残っていた指紋から兄弟が実行犯と特定し、追跡していた。

 ◇アラビア半島のアルカイダ(AQAP)

 中東イエメンを拠点に国際テロ組織「アルカイダ」に同調する過激派組織。旧ソ連による1979年のアフガニスタン侵攻時に、イエメンから参加した義勇兵の一部が母体となった。義勇兵らは帰国後、反政府活動を展開。2009年にサウジアラビアのアルカイダ構成員と合流し、AQAPを設立した。戦闘員は1000人規模。09年12月の米航空機爆破未遂事件や、10年10月の英大使館幹部襲撃事件などに関与した。アルカイダから分派した中東の過激派組織「イスラム国」には批判的な立場を取る。

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